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合理化する経口抗菌薬

投稿者プロフィール
高野哲史
Award 2020 受賞者

社会福祉法人恩賜財団済生会支部神奈川県済生会横浜市東部病院

100,459

380

概要

2022年6月16日のweb講義で使用したスライドです。

「サルでもわかる経口抗菌薬の話(https://slide.antaa.jp/article/view/5199820d537c41bc)」および「感染症診療のマテリアル(https://slide.antaa.jp/article/view/1f0d960faeee49f0)」と併せてご活用ください。

ご質問・ご意見等はスライド中メールまたはtwitter(@metl63)までお寄せください。

スライド内容の転用も歓迎します。その折にはお手数ですがご一報ください。

【他のコンテンツ】

* タコでもわかる静注抗菌薬の話

https://slide.antaa.jp/article/view/e097b2a75e264a01

* カメでもわかるCRPの話

https://slide.antaa.jp/article/view/e83a7e12c9d74d3b

* ニワトリでもわかるβ-ラクタム系以外の抗菌薬の話

https://slide.antaa.jp/article/view/a335f79d13f144ee

* アナグマでもわかるフルオロキノロンの話

https://slide.antaa.jp/article/view/067106f6aebb4bf8

* ウシでもわかる真菌の話

https://slide.antaa.jp/article/view/e491e8559fc14d39

本スライドの対象者

研修医/専攻医/専門医

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テキスト全文

合理化する経口抗菌薬の必要性

#1.

e n i l m a e r t 合理化する経口抗菌薬 S 公立昭和病院 感染症科 高野 哲史

#2.

おしながき 総論 - なぜ抗菌薬を「合理化」するのか 各論 - 「合理化」するための薬剤選択

#3.

“Streamline” 1. 流線形にする. 2. 合理化・簡素化する.効率化する.

#4.

streamline なぜ合理化が必要か? 例えば

広域抗菌薬と狭域抗菌薬の比較

#5.

streamline なぜ合理化 が必要か? 抗菌活性あり ⼀部活性あり 原因微生物 薬剤A(広域抗菌薬) 正常細菌叢(腸内フローラ等) 薬剤耐性傾向の細菌

#6.

streamline なぜ合理化 が必要か? 抗菌活性あり ⼀部活性あり 原因微生物 薬剤A(広域抗菌薬) 正常細菌叢(腸内フローラ等) 薬剤耐性傾向の細菌

#7.

streamline なぜ合理化 が必要か? 広域抗菌薬A: 薬剤A(広域抗菌薬) 治療は可能 正常細菌叢を不必要に撹乱 より高度の耐性菌を選択 原因微生物 腸内正常細菌叢(腸内フローラ) 薬剤耐性傾向の細菌

#8.

streamline なぜ合理化 が必要か? 抗菌活性あり ⼀部活性あり 原因微生物 薬剤B(狭域抗菌薬) 正常細菌叢(腸内フローラ等) 薬剤耐性傾向の細菌

#9.

streamline なぜ合理化 が必要か? 抗菌活性あり ⼀部活性あり 原因微生物 薬剤B(狭域抗菌薬) 正常細菌叢(腸内フローラ等) 薬剤耐性傾向の細菌

#10.

streamline なぜ合理化 が必要か? 狭域抗菌薬B: 薬剤B(狭域抗菌薬) 治療は可能 正常細菌叢への影響が小さい 原因微生物 耐性菌リスクが低い 腸内正常細菌叢(腸内フローラ) 薬剤耐性傾向の細菌

感染症診療における原則

#11.

streamline なぜ合理化 が必要か? 微生物Xに対し最適・最良の治療選択肢は薬剤Bである. 薬剤Aは不適切な選択肢とは言えない(治療は可能である)が, ベストな選択肢を差し置く理由があるかが重要

#12.

streamline なぜ合理化 が必要か? ・・・・ 感染症診療は「三⽅よし」 - 近江商⼈の⾔葉 売り手よし = 医療者が満足する - 治療効果が高い・末長く抗菌薬を使用できる 買い手よし = 患者が満足する - 感染症がよく治る・副作用で悩まない 世間良し = 病院・医療環境が満足する - のちの患者に耐性菌リスクを残さない

具体的な薬剤選択の基準

#13.

streamline なぜ合理化 が必要か? 感染症治療に求められる原則 患者の感染症を最大限治療可能であること= 最大の治療効果 患者に与える副作用が最小であること= 最小の有害事象 耐性菌の誘導を最小限に抑えること= 最小の耐性菌誘導(選択圧) + コスト,投与の簡便さ,薬剤へのアクセスの良さ など 「目の前の患者の治療」だけに囚われ過ぎてはならない

#14.

では 具体的にどのような薬剤を揃えるか? (特に外来のセッティングにおいて)

妥当な薬剤選択の詳細

#15.

各論 ‒ 妥当な薬剤選択 1 アモキシシリン 2 アモキシシリン・クラブラン酸 3 セファレキシン 4 ドキシサイクリン / ミノサイクリン 5 レスピラトリーキノロン1剤(レボフロキサシンなど) 6 メトロニダゾール

#16.

各論 ‒ 妥当な薬剤選択 β-ラクタム系 それ以外 1 アモキシシリン 4 ドキシサイクリン / ミノサイクリン 2 アモキシシリン・クラブラン酸 5 レスピラトリーキノロン1剤 3 セファレキシン 6 メトロニダゾール * ⽣体利⽤率(bioavailability; %F)が⾼い - ⾼い吸収性の担保 * 余計な抗菌スペクトラムを持たない - 他薬と組み合わせやすい * 効果と副作⽤につき⻑期に渡りかつ多数の研究で検討されている * 薬価が安い ・・ ・・・・ 経⼝抗菌薬に限ってはまず治療したい臓器に対し処⽅するイメージ

#17.

1 アモキシシリン 主たる標的臓器: 顔周り(⼝腔,咽頭,中⽿,副⿐腔) * ペニシリン系抗菌薬 - ペニシリンアレルギーに注意 * ⽣体利⽤率: 85%程度 - 薬物⾎中(組織内)濃度を作りやすい *「ペニシリン耐性肺炎球菌」の解釈に注意 (penicillin resistant Streptococcus pneumoniae; PRSP) - 2008年にPRSPの判定基準が変更(右図) -「アモキシシリンで治療可能なPRSP」が殆ど <肺炎球菌の薬剤感受性 - CLSI M100-S17(-2008年)> 薬剤 ペニシリンG (経口・静注いずれも) 適応 疾患による 区別なし MIC(mcg/mL) 感性(S) 中等度耐性(I) 耐性(R) 0.125-1 2 0.06 <肺炎球菌の薬剤感受性 - CLSI M100-S19以降(現⾏基準)> 薬剤 ペニシリンG (経口) 適応 疾患による 区別なし MIC(mcg/mL) 感性(S) 中等度耐性(I) 耐性(R) 0.06 0.125-1 2 ペニシリンG 髄膜炎 0.06 - 0.12 (静注) 非髄膜炎 2 4 8 アモキシシリン 非髄膜炎 2 4 8 処⽅例(正常腎機能の成⼈において) 急性副⿐腔炎: 1回500mgを1⽇3回(各⾷後)内服を5-7⽇ 溶連菌による咽頭炎: 1回500mgを1⽇2回(朝⼣⾷後)内服を10⽇間

#18.

2 アモキシシリン・クラブラン酸 主たる標的臓器: 顔周り(副⿐腔),肺,腹腔内臓器,膿瘍,動物咬傷など * ペニシリン系薬剤 + β-ラクタマーゼ阻害薬 - ペニシリンアレルギーに留意 * ⽣体利⽤率: 85% / 60% * 副作⽤として下痢と肝障害が有名 * 外来診療においては極めて広域と捉えるべき薬剤 - 市中感染症の⼀般細菌をほぼ網羅する抗菌スペクトル - 嫌気性菌活性も⾼い = 腸内正常細菌叢への影響⼤ * 処⽅する際は“オグサワ” が無難か︖(保険査定の問題がある地域あり) - クラブラン酸の⽤量依存的に下痢の頻度が増加1) 1) グラクソ・スミスクライン株式会社.オーグメンチンES⼩児⽤ドライシロップ 申請資料 2.5 臨床に関する統括評価 pp1-2. https://www.pmda.go.jp/drugs/2005/P200500023/index.html.2022年3⽉23⽇閲覧.

#19.

3 セファレキシン 主たる標的臓器: ⽪膚,尿路 * 第1世代セファロスポリン系薬剤 * ⽣体利⽤率: 90%以上 * ⻑時間作⽤型の剤形(複合顆粒)があるのが便利 - 1⽇2回投与が可能(カプセルは通常1⽇4回投与) 処⽅例(正常腎機能の成⼈において) 蜂窩織炎・丹毒: 顆粒1回2g(⼒価1g)を1⽇2回(朝⼣⾷後)内服を5-14⽇ 急性膀胱炎: 顆粒1回2g(⼒価1g)を1⽇2回(朝⼣⾷後)内服を7⽇

セファロスポリン系薬剤の特徴

#20.

tips:セファクロルについて * 第2世代セファロスポリン - 抗菌スペクトルが「帯に短し襷に⻑し」感 * ⼩児における投与量・剤型でセファレキシンに⾒劣り - 添付⽂書上の上限量: 100mg/kg/⽇ vs. 40mg/kg/⽇ * アレルギーの頻度に懸念あり アナフィラキシー: セファレキシン・アンピシリンの約10倍1) ⾎清病様反応(Ⅲ型アレルギー):セファレキシン・アンピシリンの約180倍1) 1) 岡⽥正⼈著, 『レジデントのためのアレルギー疾患診療マニュアル 第2版』,pp. 245, 医学書院, 2014.

#21.

tips: 第3世代セファロスポリンについて * 広域過ぎる抗菌スペクトル - 明らかに市中感染症の原因とならない微⽣物までカバー * 低い⽣体利⽤率,⾎中/組織内濃度 - 個の抗菌活性は⾼いとされるものの, ⼗分なTime above MIC(TAM)を確保できるか不安あり * ピボキシル基を有する薬剤は⼩児で重篤な低⾎糖のリスク1) * 3世代セフェムに耐性獲得 ≠ 3世代セフェムだけに耐性獲得 - ほとんどの場合他の有⽤な薬剤を巻き込んで耐性となる 1)公益社団法⼈⽇本⼩児科学会 薬事委員会.ピボキシル基含有抗菌薬の服⽤に関連した低カルニチン⾎症に係る注意喚起. https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/20190820pivoxil_chuikanki.pdf.2022年3⽉18⽇閲覧.

#22.

4 ドキシサイクリン / ミノサイクリン 主たる標的臓器: β-ラクタムアレルギー患者の気道,⽪膚感染症など * テトラサイクリン系薬剤 * ⽣体利⽤率: 90%以上 *「ドキシ」か「ミノ」かどちらかあればOK - 臨床上の厳密な使い分けは不要だが適応疾患に若⼲の差あり - 「ドキシ」はめまいやふらつきの副作⽤が少ないとされる 筆者は 「ドキシ」を優先 * 妊婦への投与は禁忌,8歳未満の⼩児へも原則禁忌 - 胎児の催奇形性,⻭⽛⻩染,⾻形成不全の可能性あり * ⾦属イオンとキレート形成 → 吸収率低下 - Mg,Al,Fe,Zn併⽤時は投与時間を2時間以上ずらす 処⽅例(正常腎機能の成⼈において) マイコプラズマ肺炎: 1回100mgを1⽇2回(朝⼣⾷後)内服を7-10⽇ など

レスピラトリーキノロンの使用法

#23.

5 レスピラトリーキノロン 主たる標的臓器: 全⾝臓器どこでも * 気道感染症にも使⽤できるニューキノロンの総称 * ⽣体利⽤率: 総じて⾼い(70%〜ほぼ100%),組織移⾏性も抜群 * 1剤採⽤すれば⼗分,使い分けの必要なし - 使い慣れた1剤の効果と副作⽤を理解し使いこなすことが重要 * 妊婦への投与は原則禁,⼩児も⼀部薬剤除き禁 * 尋常ならざる広域抗菌スペクトル - 薬剤により嫌気性菌,緑膿菌,結核菌を含む - ⼀⽅で耐性獲得が極めて進⾏していることが⼤きな懸念 → ⼤腸菌をはじめとした腸内細菌⽬細菌

#24.

5 レスピラトリーキノロン 主たる標的臓器: 全⾝臓器どこでも *「キノロン安全神話」は今や過去の話 ⼤動脈瘤・解離1, 2),腱断裂・腱障害のリスク増(2019/9追加) (OR 2.79; 95%CI 2.31-3.37 / OR 2.25; 95%CI 2.03-2.491)) ⼼電図異常(QTc延⻑),低⾎糖,光線過敏,末梢神経障害,痙攣など2) * 薬物相互作⽤も豊富 Mg,Al,Fe,Zn製剤でキノロンの吸収率減2) → 投与時間ずらす ステロイドとの併⽤で腱障害の頻度増2, 3) NSAIDとの併⽤でけいれん惹起の可能性2) 1) Sonal S, et al., Aortic Dissection and Aortic Aneurysms Associated with Fluoroquinolones: A Systematic Review and Meta-Analysis, Am J Med. 2017 Dec;130(12):1449-1457 2) レボフロキサシン錠250mg「明治」添付⽂書: https://www.info.pmda.go.jp/go/pdf/780009_6241013F2306_1_07, 2022年3⽉10⽇閲覧. 3) 医薬品インタビューフォーム「レボフロキサシン」: https://www.info.pmda.go.jp/go/interview/1/430773_6241013C2032_1_1F.pdf, 2022年3⽉10⽇閲覧.

#25.

5 レスピラトリーキノロン 主たる標的臓器: 全⾝臓器どこでも * このクラスの殆どが⼤なり⼩なり抗結核作⽤あり(トスフロキサシンにはなし 1), 2)) - ⽇常診療において本菌を敢えてカバーする必要は皆無 - 結核菌は最短1週間の投与でキノロン耐性を獲得し得る3), 4), 5), 6) - 投与により⼀時症状改善7),喀痰抗酸菌塗抹陽性率も73%低下する6) = 診断が遅れる → 結核診断前のキノロン投与により結核関連死亡リスクが増加(1.8-6.9倍) 3), 8) * ⼀般臨床において第⼀選択薬となるケースは極めて少ない - レジオネラ症,急性前⽴腺炎(,感受性があればサルモネラ症)へのfirst choice - 基本的にはβ-ラクタム系薬剤へアレルギーのある患者へのalternative choice 1) Alexandra A, et al., Mycobacterium tuberculosis DNA gyrase: interaction with quinolones and correlation with antimycobacterial drug activity, Antimicrob Agents Chemother. 2004 Apr;48(4):1281-8. 2) ⽇本呼吸器学会成⼈肺炎診療ガイドライン2017作成委員会著, 『成⼈肺炎診療ガイドライン2017』,pp. 123, 株式会社メディカルレビュー社, 2017 3) Wang JY, Hsueh PR, Jan IS, et al: Empirical treatment with a fluoroquinolone delays the treatment for tuberculosis and is associated with a poor prognosis in endemic areas. Thorax. 2006 Oct; 61(10): 903-8. 4) Dooley KE, Golub J, Goes FS, et al: Empiric treatment of community-acquired pneumonia with fluoroquinolones, and delays in the treatment of

メトロニダゾールとその適応

#26.

6 メトロニダゾール 主たる標的臓器: 腹腔内臓器,膿瘍(肺化膿症,腹腔内膿瘍など), Clostridioides difficile infection(CDI, 軽症に限る) * * * * 偏性嫌気性菌治療で最も信頼できる薬剤 - 薬剤耐性の懸念が極めて⼩さい ⽣体利⽤率: 90%以上,組織移⾏性も抜群 嫌酒効果あり(ジスルフィラム様効果) → 投与中と投与後数⽇は禁酒指導 “メトロニダゾール脳症”に注意が必要 → 疑ったら投与中⽌ - 構⾳障害,歩⾏障害,四肢の協調運動障害が多い1) - 頭部単純MRI T2/FLAIRにおける⻭状核に両側対称性の⾼信号が特異的 処⽅例(正常腎機能の成⼈において) CDI(軽症): 1回500mgを1⽇3回(各⾷後)内服を10⽇間 例えば腹腔内膿瘍の維持期治療: セファレキシン + 本剤 β-ラクタムアレルギーがある場合:レボフロキサシン + 本剤 「おかず」的 1) Caspar GS, et al.; Metronidazole-induced encephalopathy: a systematic review, Journal of Neurology (2020) 267:1–13

#27.

Appx. ST合剤 -trimethoprim/sulfamethoxazole<SMX/TMP>主たる標的臓器: 全⾝臓器どこでも * 葉酸代謝阻害薬 * ⽣体利⽤率: 90%以上 * しばしばある副作⽤が忍容できれば優れた薬剤 悪⼼・嘔吐・下痢 – ⽤量依存性である.可能なら減量を検討 ⾼カリウム⾎症 – ACE阻害薬・ARBとの併⽤注意.カリウム交換樹脂の使⽤を検討 ⾎清クレアチニン上昇 – 必ずしも腎障害を意味しない.軽度なら容認 GFRは理論上変化しないので疑えば蓄尿GFRを確認 ⽪疹,肝障害,⾻髄抑制(特に⾎⼩板減少),⽇光過敏など * 薬剤耐性が進⾏していることには留意が必要 * β-ラクタム系薬剤へアレルギーのある患者へのalternative choice - 中⽿炎,肺炎,尿路感染症等で利⽤価値あり

#28.

各論のまとめ アモキシシリン: 顔周り(口腔,咽頭,中耳,副鼻腔) ・溶連菌咽頭炎,急性副鼻腔炎など アモキシシリン・クラブラン酸: 顔周り(副鼻腔),肺,腹腔内臓器,膿瘍,動物咬傷 ・広域抗菌薬であることを認識して処方する セファレキシン: 皮膚,尿路 ・蜂窩織炎 / 丹毒,急性膀胱炎,軽症の急性腎盂腎炎 ・内服回数の少ない顆粒が便利 ドキシサイクリン / ミノサイクリン: ※β-ラクタムアレルギーのある患者 ・マイコプラズマ肺炎はじめ市中肺炎,蜂窩織炎 / 丹毒 ・めまい,ふらつき,消化器症状注意.妊婦と小児は禁 レスピラトリーキノロン1剤: ※β-ラクタムアレルギーのある患者 ・中枢神経・前立腺を含む全身. ・副作用・抗結核作用からとにかく濫用を避ける → 末長く使える様に メトロニダゾール: 腹腔内臓器,膿瘍,CDI ・中枢神経・前立腺を含む全身.脳症に注意.疑えばMRI撮影,投与中止. ・嫌気性菌の関与を疑う場合のbest choice

経口抗菌薬の適応と不適応

#29.

御清聴ありがとうございました. ご不明点・ご質問・ご相談等なんでもご連絡ください. ak.takano.39@showa-gh.jp

#30.

事前質問: 演者の先生が経口抗菌薬で 治療できる/できないと考えている感染症及びその状況 A. 経⼝抗菌薬での治療が不向きと考えている感染症 - 複雑性/侵襲性感染症 ≒ ⾎流感染症を伴う (= 機能的・解剖学的・免疫学的異常を伴う) = ⼜は 致命率が⾼い感染症 感染性⼼内膜炎,髄膜炎,⾻・関節感染症(⾻髄炎を含む) ⻩⾊ブドウ球菌菌⾎症(Staphylococcus aureus Bacteremia; SAB) 腹腔内臓器感染症(胆管炎・胆嚢炎)が推定される場合の急性期 経⼝抗菌薬での治療が不向きと考えている状況 - 患者のバイタルサインに逸脱がある → 複雑性感染症を想定 - 腸管機能不全状態 = 下痢・嘔吐がある → 吸収されない可能性 - 臓器・微⽣物学的診断が不明瞭 → 診断を誤る・遅らせる

#31.

事前質問: 演者の先生が経口抗菌薬で 治療できる/できないと考えている感染症及びその状況 参考: COMS criteria C O M Clinical improvement observed 臨床症状が改善している Oral route is not compromised 経口投与が嘔吐・吸収障害・絶食・嚥下障害・意識障害・下痢で妨げられることなく、適切な経口抗菌薬の選択肢がある Markers showing trend towards normal 下記のパラメータが正常値まで改善しつつある 24時間以上解熱(>36℃かつ<38℃) かつ下記 (1) - (4)を2つ以上満たさない 1) 脈拍数 >90bpm,2) 呼吸数 >20 /分,3) 血圧が不安定,4) 白血球数 <4,000 /mcLまたは>12,000 /mcL S Specific indication/deep seated infection requiring prolonged i.v. therapy 静注抗菌薬の長期間治療が必要な疾患(IE、髄膜炎、骨・関節の感染症)ではない


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