ニワトリでもわかるβ-ラクタム系以外の抗菌薬の話

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高野 哲史

公立昭和病院

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一見使い勝手がいいようで実はそうでもない、ちょっと特殊な抗菌薬3種類(ニューキノロン・テトラサイクリン・マクロライド)について、ニワトリでもわかるようにまとめてみました。

【他のコンテンツ】
* サルでもわかる経口抗菌薬の話
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* タコでもわかる静注抗菌薬の話 2020年版
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* カメでもわかるCRPの話 2021年版
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* ニワトリでもわかるβ-ラクタム系以外の抗菌薬の話
これ

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ニワトリでもわかるβ-ラクタム系以外の抗菌薬の話

1. ニワトリでもわかる β-ラクタム系以外の抗菌薬の話 2021年版 - Part 1(フルオロキノロン・テトラサイクリン・マクロライド) -
2. この講義の目標 * β-ラクタム系をバックアップする薬剤の把握 * 各薬剤の特徴・特色の理解 * 投与に際する注意点の把握 紹介する薬剤を習熟するのも重要ですが, β-ラクタム薬の使用に慣れることをより優先しましょう 抗菌スペクトラム,感受性の読み方,経口薬への切り替え,など
3. 名前を聞いたことはあるけれど・・・ * フルオロキノロン(ニューキノロン) * テトラサイクリン * マクロライド おしながき 具体的にどんな薬剤がありますか?
4. たくさんある * フルオロキノロン(ニューキノロン)系 おしながき ナリジクス酸<ウイントマイロン>,ピペミド酸<ドルコール>,ノルフロキサシン<バクシダール>,ロメフロキサシン塩酸塩<バレオン>,オフロキサシン<タリビッド>,シプロフロキサシン<シプロキサン>,プルリフロキサシン<スオード>,レボフロキサシン<クラビット>,トスフロキサシン<オゼックス>,ガレノキサシン<ジェニナック>,シタフロキサシン水和物<グレースビット>,モキシフロキサシン<アベロックス> テトラサイクリン<アクロマイシン>,ビブラマイシン<ドキシサイクリン>,レダマイシン<デメチルクロルテトラサイクリン>,ミノマイシン<ミノサイクリン>,タイゲサイクリン(タイガシル) エリスロマイシン<エリスロシン>,クラリスロマイシン<クラリス>,アジスロマイシン<ジスロマック>,ジョサマイシン<ジョサマイシン>,アセチルスピロマイシン<スピラマイシン>,フィダキソマイシン<ダフクリア> * テトラサイクリン系 * マクロライド系 覚えられる人いますか?
5. 引き算しましょう なので
6. * フルオロキノロン(ニューキノロン)系 おしながき ナリジクス酸<ウイントマイロン>,ピペミド酸<ドルコール>,ノルフロキサシン<バクシダール>,ロメフロキサシン塩酸塩<バレオン>,オフロキサシン<タリビッド>,シプロフロキサシン<シプロキサン>,プルリフロキサシン<スオード>,レボフロキサシン<クラビット>,トスフロキサシン<オゼックス>,ガレノキサシン<ジェニナック>,シタフロキサシン水和物<グレースビット>,モキシフロキサシン<アベロックス> テトラサイクリン<アクロマイシン>,ビブラマイシン<ドキシサイクリン>,レダマイシン<デメチルクロルテトラサイクリン>,ミノマイシン<ミノサイクリン>,タイゲサイクリン(タイガシル) エリスロマイシン<エリスロシン>,クラリスロマイシン<クラリス>,アジスロマイシン<ジスロマック>,ジョサマイシン<ジョサマイシン>,アセチルスピロマイシン<スピラマイシン>,フィダキソマイシン<ダフクリア> * テトラサイクリン系 * マクロライド系 これだけにしましょう
7. * フルオロキノロン(ニューキノロン)系 おしながき シプロフロキサシン<シプロキサン> レボフロキサシン<クラビット> ドキシサイクリン<ビブラマイシン> ミノサイクリン<ミノマイシン> アジスロマイシン<ジスロマック> フィダキソマイシン<ダフクリア> - CDI(C. difficile 感染症)の治療薬 * テトラサイクリン系 * マクロライド系 足し算も大事だけど引き算も大事です 役割
8. 特殊な感染症に対する第一選択薬 - 非定型肺炎 - 性感染症 - その他(原虫・真菌など) 役割 スペクトラムはべらぼうに広いが β-ラクタム薬のバックアップ・エージェント 各論にいきましょう 一般細菌以外に広がる抗微生物活性
9. * フルオロキノロン(ニューキノロン)系 おしながき シプロフロキサシン<シプロキサン> レボフロキサシン<クラビット> ドキシサイクリン<ビブラマイシン> ミノサイクリン<ミノマイシン> アジスロマイシン<ジスロマック> フィダキソマイシン<ダフクリア> - CDI(C. difficile 感染症)の治療薬 * テトラサイクリン系 * マクロライド系 早速
10. ニューキノロン(フルオロキノロン) * 1962年のナリジクス酸の合成・臨床使用から発展 * 細菌のDNA複製阻害・不安定化 - トポイソメラーゼⅡ(特にDNA gyrase), Ⅳに作用 - 前者が対GNR,後者が対GPC - ⅡとⅣのどちらにどれくらい効くかは薬剤により異なる * 2021年6月現在,本邦では十数種類が販売 * 高い腸管吸収率・組織移行性,そして長い半減期 * 濃度依存性抗菌薬 – 「十分量」を「一度」に(シプロフロキサシンは二度) * 高い耐性率と豊富な副作用・薬物相互作用に留意が必要(後述)
11. ニューキノロン(フルオロキノロン) 抗菌スペクトラム :「抗グラム陰性桿菌薬」+α - 広域スペクトラムの抗菌薬 - 経口薬では唯一緑膿菌に活性あり α : 非定型肺炎の原因菌 - レジオネラ,マイコプラズマ,クラミドフィラ 性感染症領域 - クラミジア,マイコプラズマ,ウレアプラズマ 抗酸菌 - 結核菌,一部の非結核性抗酸菌 薬剤耐性の話 (M. hominis, M. genitalium )
12. (Sのみ)
13. ニューキノロン(フルオロキノロン) 高い耐性率を鑑み 使用率低減を求められている 薬剤耐性対策アクションプラン2016-2020: https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000120769.pdf 耐性率が高いと どう困りますか?
14. ニューキノロン(フルオロキノロン) 高い耐性率を鑑み 使用率低減を求められている 薬剤耐性対策アクションプラン2016-2020: https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000120769.pdf 耐性率が高いと どう困りますか? - 治療でき得る患者も治療できない
15. ニューキノロン(フルオロキノロン) 薬剤耐性の大原則 抗菌薬は使えば使うほど 効かない薬に変わっていく 今のままでキノロンは1,000年後,100年後,10年後に満足に使えると思いますか? キノロンだけの話ではないが 次に副作用と薬物相互作用の話
16. ニューキノロン(フルオロキノロン) ニューキノロンの副作用って つぎです 多い? 少ない?
17. 読んだこと,ありますか? 添付文書 (第一三共エスファ株式会社より許諾の上掲載)
18. 添付文書 (第一三共エスファ株式会社より許諾の上掲載) 案外最近改訂されているのです
19. 結構重大,副作用の欄 添付文書 いちいち「指導」が必要です 2019年1月改訂 2019年9月改訂 (第一三共エスファ株式会社より許諾の上掲載)
20. この他にも多様な副作用 ニューキノロン(フルオロキノロン) QTc延長,重症低血糖,光線過敏,etc. 安心・安全だと思っていると足を掬われます 相互作用も豊富
21. 薬物相互作用 フルオロキノロンの経口薬は 多価金属イオンでキレートされる レボフロキサシンだと Al, Mg, Fe(一部のFQはCaも) [レボフロキサシンの添付文書] Al3+: AUC 44 %低下 Mg2+: AUC 22 %低下 Fe2+: AUC 19 %低下 同時投与で効果減弱 投与時間を2時間ずらして投与 (同じFQでも程度は異なる) (クラビット細粒10%のデータ,インタビューフォームをもとに作成) (FQが先) (第一三共エスファ株式会社より許諾の上掲載)
22. フルオロキノロンの経口薬は多価金属イオンでキレートされる 制酸薬・消化性潰瘍治療薬として処方されるアルミニウム製剤 便秘薬として処方されるマグネシウム製剤 貧血治療に処方される鉄剤 処方薬を患者ごとに判別し,その都度内服方法を指導できるか? 多くは高齢であろう患者が,内容を理解し実践できるか? 忙しい外来の中ではなかなか厳しいんじゃないかと思います (先生が処方したキノロン,うんちになっているかもしれません) 薬物相互作用
23. 抗結核作用 レボフロキサシンは結核症のセカンドライン治療薬である 安易なレボフロキサシンの先行投与により ・結核の発見が約2週間遅れる ・結核患者の予後を悪化させる(早期に耐性を獲得されるため?) 可能性がある 公衆衛生上,治療選択上の大きな問題になります 処方するならば必ず結核症の除外を – どんな検査?
24. ニューキノロン(フルオロキノロン) どんな時に・どんな風に使うのか? では 先生方が知っておくべき薬剤は ただひとつレボフロキサシンのみ 記憶に死ぬほど余裕のある人はシプロフロキサシンも
25. レボフロキサシン(levofloxacin) * 本邦では1993年発売,国内で開発(第一三共) * 静注薬・経口薬ともにあり * 経口薬の生体利用率はほぼ100% * 半減期: 約7時間 * 主に腎排泄 – 腎機能障害があれば要調節 * 薬価: 錠剤500mg 99.4円/錠 静注用500mg 1,630円/バッグ
26. レボフロキサシン(levofloxacin) 投与量: 1回500mgを1日1回投与 - 投与期間は疾患により異なる - 腎機能に応じ投与量の調整が必要 (正常腎機能の体重50kg以上の成人に投与する場合) 第一選択薬となるケースは?
27. レボフロキサシン(levofloxacin) 第一選択となるケースは極めて少ない
28. ニューキノロンでなければならない = 必然性 の吟味が必要 ・・・・・・・・・ 他のクラスの抗菌薬で行けそうだったらそっちにしてください
29. * フルオロキノロン(ニューキノロン)系 おしながき シプロフロキサシン<シプロキサン> レボフロキサシン<クラビット> ドキシサイクリン<ビブラマイシン> ミノサイクリン<ミノマイシン> アジスロマイシン<ジスロマック> フィダキソマイシン<ダフクリア> - CDI(C. difficile 感染症)の治療薬 * テトラサイクリン系 * マクロライド系 次
30. テトラサイクリンってどんな薬剤ですか? 古い薬?新しい薬? 具体的な商品名/一般名は? 抗菌力を発揮する機序は? スペクトラムは広い?狭い? 副作用は多い?少ない? 妊婦へは投与できる?できない?
31. テトラサイクリン * 1945年 放線菌が合成するクロルテトラサイクリンの発見から発展 * 微生物のタンパク質合成阻害 – リボソーム30Sサブユニットに結合・静菌的 * 本邦で主に使用されるのは2(+1)種類(2021年6月現在) * 高い生体利用率,長い半減期 – 時間依存性抗菌薬(一応) * 細菌だけに留まらない超広域スペクトラム * 副作用と薬物相互作用(多価金属イオン・制酸薬)に留意 * 妊婦への投与は避ける – 胎児歯牙黄染・一過性骨形成不全のリスク (FDA妊娠時危険区分D: アミノグリコシド,テトラサイクリン) 尋常ならざるカバー範囲を誇るユーティリティプレイヤー
32. テトラサイクリン ドキシサイクリン(doxycycline) MRSAやPRSP,CRE,VRE,多剤耐性グラム陰性腸内細菌科細菌用 - 使用時は専門家へ相談 タイゲサイクリン(tigecycline) – 厳密にはグリシルサイクリン ミノサイクリン(minocycline)
33. テトラサイクリン ドキシサイクリン(doxycycline) 抗菌スペクトラムは同一 ミノサイクリン(minocycline) * 経口薬のみ(生体利用率: 約90%) * 肝・胆汁排泄 * 血中半減期: 14-22時間 * 多価金属イオンとキレート形成 * 多めの水で服用 * 消化管症状の副作用が多め * 経口薬(生体利用率: 約90%)と静注薬 * 肝・胆汁排泄 * 血中半減期: 15-23時間 * 多価金属イオンとキレート形成 * 多めの水で服用 * 消化管症状の副作用が多め * めまい・ふらつきなどの前庭障害 * 小児への長期投与(>21d)で 歯牙黄染のリスク増加
34. テトラサイクリン ドキシサイクリン(doxycycline) 抗菌スペクトラムは同一 ミノサイクリン(minocycline) 1回100mgを1日2回内服(ミノサイクリンは静注も) いずれも
35. テトラサイクリン ドキシサイクリン(doxycycline) 抗菌スペクトラムは同一 ミノサイクリン(minocycline) * 経口薬のみ(生体利用率: 約90%) * 大腸に拡散され排泄 * 血中半減期: 14時間 * 多価金属イオンとキレート形成 * 多めの水で服用 * 消化管症状の副作用が多め * 経口薬(生体利用率: >90%)と静注薬 * 肝臓・胆汁排泄 * 血中半減期: 16時間 * 多価金属イオンとキレート形成 * 多めの水で服用 * 消化管症状の副作用が多め * めまい・ふらつきなどの前庭障害 * 小児への長期投与(>21d)で 歯牙黄染のリスク増加 抗菌スペクトラムは(ほぼ)同一 腎機能による容量調節不要 -> 厳格な使い分けは原則不要(臨床的な好みはあるものの) 経口: ドキシサイクリン / 点滴: ミノサイクリン ミノサイクリンの方が若干副作用の懸念が大きいことには注意 実際のスペクトラム 緩下薬・鉄剤・制酸薬との併用注意
36. (Sのみ)
37. テトラサイクリン 教科書的な第一選択 テトラサイクリンの本領は一般細菌ではない
38. テトラサイクリン 教科書的な第一選択 ここだけは知っててもよかろうと
39. テトラサイクリン 教科書的な第二選択・代替選択薬 なんとなく知っていると役立つ,かも MRSA治療にはドキシサイクリン < ミノサイクリン この他β-ラクタム系抗菌薬にアレルギーのある   患者への治療選択肢となり得る(髄膜炎は原則ダメ)
40. * フルオロキノロン(ニューキノロン)系 おしながき シプロフロキサシン<シプロキサン> レボフロキサシン<クラビット> ドキシサイクリン<ビブラマイシン> ミノサイクリン<ミノマイシン> アジスロマイシン<ジスロマック> フィダキソマイシン<ダフクリア> - CDI(C. difficile 感染症)の治療薬 * テトラサイクリン系 * マクロライド系 最後
41. マクロライドってどんな薬剤ですか? 古い薬?新しい薬? 具体的な商品名/一般名は? 抗菌力を発揮する機序は? スペクトラムは広い?狭い? 副作用は多い?少ない? 妊婦へは投与できる?できない?
42. マクロライド * 1950年 放線菌が産生するピクロマイシンの発見から発展 * 微生物のタンパク質合成阻害 – リボソーム50Sサブユニットに結合 * 2021年現在,頻用されるのは クラリスロマイシン(14員環),アジスロマイシン(15員環) * 広義の「マクロライド系薬剤(≠抗菌薬)」は色々 - タクロリムス(23員環),イベルメクチン(16員環),フィダキソマイシン(18員環) 良薬だが口に苦くなり過ぎた ◎ Helicobacter pylori 除菌に用いる アモキシシリン + クラリスロマイシン + PPI ◎ 非結核性抗酸菌領域で重要なポジション
43. マクロライド * 抜群の分布容積(≒ 組織・細胞内濃度),長い半減期 - 肺・肝・腎では血中濃度と同等かそれ以上 - ただし中枢神経系・関節腔内への移行性は不良 - (時間依存性抗菌薬) - 副作用に留意 – 半減期が長いので出ると「中止」できない 良薬だが口に苦くなり過ぎた QTc延長 – 心血管死リスク.特に入院中は心電図のチェックを 消化器症状(14員環で特に) – 下痢・悪心・嘔吐 肝機能障害 – 胆汁うっ滞型 * 妊婦にも安全に投与可能
44. マクロライド * 比類なき薬物相互作用の数 ・エリスロマイシンと   クラリスロマイシンで多い   - CYP450系で代謝されるため   - スタチンとの併用に注意 ・アジスロマイシンには少ない   - 一部の免疫抑制薬の併用に注意 良薬だが口に苦くなり過ぎた 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構 クラリシッド錠200mg https://www.info.pmda.go.jp/go/pdf/530213_6149003F2020_3_01 スペクトラムは? タクロリムス,シクロスポリン シロリムス,など
45. (Sのみ)
46. マクロライド – アジスロマイシン * 特色のある抗菌スペクトラム – グラム陽性球菌がメイン,だがしかし テトラサイクリン的 凄まじい薬剤耐性率  (肺炎球菌: 78.2%, GAS: 50%(2012年)) マイコプラズマでも耐性化が問題に – 耐性遺伝子の検索が必要
47. マクロライド – アジスロマイシン * 特色のある抗菌スペクトラム – グラム陽性球菌がメイン,だがしかし テトラサイクリン的 凄まじい薬剤耐性率  (肺炎球菌: 78.2%, GAS: 50%(2012年)) マイコプラズマでも耐性化が問題に – 耐性遺伝子の検索が必要
48. アジスロマイシン(azithromycin) 実際の投与設計・投与期間は微生物により異なる -> 投与前に必ず成書のチェックを. 一般細菌では既に耐性化している懸念も大きく, 感受性結果 / アンチバイオグラムの確認が必須 - β-ラクタムのバックアップとして使いにくい 現実的には百日咳・非淋菌性尿道炎・Campylobacter 腸炎の 1st choiceであることだけ知っていれば及第点か・・・?
49. おまけ
50. リンコマイシン – クリンダマイシン * 微生物のタンパク質合成阻害 – リボソーム50Sサブユニットに結合 * 経口薬は高い生体利用率(90%),そして高い細胞内濃度 - 細胞内寄生菌の一部への抗菌活性(Nocardia spp. など) - 膿瘍病変での有効性と関係があるかもしれない * 高い骨移行性(血中濃度の約50%) – 骨・関節感染症の併用薬として * 髄液へは移行しない  * 細菌の毒素(タンパク質)の合成の抑制 – 感受性があれば  * Eagle effect / inoculum effectの対策として - 大量の細菌に大量のβ-ラクタム薬を使用すると効果が落ちる -> 機序が異なりこれらの効果の影響がないクリンダマイシンを併用する マクロライドの類縁薬
51. リンコマイシン – クリンダマイシン * 肝排泄 – 腎機能による容量調節不要 * 妊婦にも安全に投与可能 * 抗菌薬関連下痢症の頻度が高い - 薬剤による直接的なものに加えCDIを惹起する頻度が高いとされる - 特に静注より経口で起こりやすい(らしい) - 投与後1ヶ月経ってから起こることがあるのでフォロー時も注意が必要 マクロライドの類縁薬
52. リンコマイシン – クリンダマイシン マクロライドの類縁薬 * グラム陽性菌と偏性嫌気性菌に抗菌活性あり - 通性嫌気性グラム陰性菌は× - Bacteroides spp.は耐性化が進んでいる(耐性率60%ほど) - 一部の偏性嫌気性菌は苦手(Peptostreptococcus, Prevotella など) - 特に”横隔膜より下”の臓器における「抗嫌気性菌薬」としてはかなり厳しい * 市中型MRSA(CA-MRSA)に対する治療選択肢の一つ - ミノサイクリンやST合剤などと並ぶ - 医療関連MRSA(HA-MRSA)では使用しない * 一部の原虫に対する活性 - toxoplasma, Pneumocystis jirovecii, Babesia, Plasmodium など
53. OKですか? 練習問題やってみましょう
54. X-2日からの咳嗽と労作時呼吸困難のためX日にERを受診. X-4日にスーパー銭湯(循環風呂)を利用した. ADLは自立.初療時は意識清明,独歩可能. 血圧 148/71 mmHg,脈拍 51 bpm,呼吸数26/min,体温 39.0 ℃,SpO2 93 %(室内気). 胸部CT: 両側下肺野に気管支透亮像を伴うコンソリデーション〜すりガラス陰影を認める. 血液検査: LDH 558U/L, Na 128mEq/L, CRP 33.33mg/dL 症例1°40代・男性(既往・併存症なし) 追加すべき検査は?
55. 喀痰塗抹: グラム陽性球菌(1+), グラム陰性球菌(1+), 白血球(2+) – Geckler-4(喀痰培養も同時に提出) 尿中肺炎球菌抗原迅速検査: 陰性 尿中レジオネラ抗原迅速検査: 陽性 症例1°40代・男性(既往・併存症なし) ① セフトリアキソン ② ペニシリンG ③ アジスロマイシン ④ レボフロキサシン ⑤ セフトリアキソン+アジスロマイシン ⑥ その他 この時点で考えられる治療薬は?(複数選択可)
56. 症例1°40代・男性(既往・併存症なし) この時点で考えられる治療薬は?(複数選択可) ① セフトリアキソン ② ペニシリンG ③ アジスロマイシン ④ レボフロキサシン ⑤ セフトリアキソン+アジスロマイシン ⑥ その他 喀痰塗抹: グラム陽性球菌(1+), グラム陰性球菌(1+), 白血球(2+) – Geckler-4(喀痰培養も同時に提出) 尿中肺炎球菌抗原迅速検査: 陰性 尿中レジオネラ抗原迅速検査: 陽性
57. 喀痰塗抹: グラム陽性球菌(1+), グラム陰性球菌(1+) – Geckler-4 - 喀痰培養も同時に提出 尿中肺炎球菌抗原迅速検査: 陰性 尿中レジオネラ抗原迅速検査: 陽性 症例1°40代・男性(既往・併存症なし) 治療期間は? ① 3-5日 ② 5-7日 ③ 7-10日 ④ 10-14日 ⑤ それ以外 喀痰塗抹: グラム陽性球菌(1+), グラム陰性球菌(1+), 白血球(2+) – Geckler-4(喀痰培養も同時に提出) 尿中肺炎球菌抗原迅速検査: 陰性 尿中レジオネラ抗原迅速検査: 陽性
58. 喀痰塗抹: グラム陽性球菌(3+), 白血球数(3+) – Geckler-4 - 喀痰培養も同時に提出 尿中肺炎球菌抗原迅速検査: 陰性 尿中レジオネラ抗原迅速検査: 陽性 症例1°40代・男性(既往・併存症なし) 治療期間は? ① 3-5日 ② 5-7日 ③ 7-10日 ④ 10-14日 ⑤ それ以外 喀痰塗抹: グラム陽性球菌(1+), グラム陰性球菌(1+), 白血球(2+) – Geckler-4(喀痰培養も同時に提出) 尿中肺炎球菌抗原迅速検査: 陰性 尿中レジオネラ抗原迅速検査: 陽性
59. X-7日から発熱・左下腿の腫脹があり,X-2日に近医を受診して蜂窩織炎の診断でセファレキシンの処方を受けた.自宅に帰って薬を内服したところ略全身の蕁麻疹と呼吸苦があり当院へ救急搬送.初療医師からアナフィラキシーと診断され経過観察目的に入院した. アナフィラキシーによる症状は軽快し退院することになったが,蜂窩織炎の治療を継続するにあたり自宅で経口投与可能な薬剤を選択することになった. 症例2°70代・男性
60. [退院時] ADLは自立.意識清明,下腿の痛みのため足を引きずりながら歩く. 血圧 133/50 mmHg,脈拍 88 bpm,呼吸数18/min,体温 37.5 ℃,SpO2 99 %(室内気). 既往症: 高血圧症,便秘症 常用薬: アムロジピン5mg1錠分1(朝),酸化マグネシウム500mg3錠分3(朝昼夕) 症例2°70代・男性 ① セファレキシン ② アモキシシリン ③ レボフロキサシン ④ アジスロマイシン ⑤ ドキシサイクリン ⑥ バンコマイシン この時点で考えられる治療薬(経口)は?(複数回答可)
61. [退院時] ADLは自立.意識清明,下腿の痛みのため足を引きずりながら歩く. 血圧 133/50 mmHg,脈拍 88 bpm,呼吸数18/min,体温 37.5 ℃,SpO2 99 %(室内気). 既往症: 高血圧症,便秘症 常用薬: アムロジピン5mg1錠分1(朝),酸化マグネシウム500mg3錠分3(朝昼夕) 症例2°70代・男性 この時点で考えられる治療薬(経口)は?(複数回答可) ① セファレキシン ② アモキシシリン ③ レボフロキサシン ④ アジスロマイシン ⑤ ドキシサイクリン ⑥ バンコマイシン
62. 退院時処方でレボフロキサシン錠500mg1錠分1(朝) をセファレキシンの投与期間と合わせて合計10日間になるように処方した. 症例2°70代・男性 この時気をつけることは?
63. 退院時処方でレボフロキサシン錠500mg1錠分1(朝) をセファレキシンの投与期間と合わせて合計10日間になるように処方した. 症例2°70代・男性 この時気をつけることは? ① 薬剤に対するアレルギー ② 酸化マグネシウムとの内服間隔の確保 ③ 時により結核の除外(レントゲンでのスクリーニング,喀痰塗抹・培養,T-SPOT検査など) ④ 大動脈解離・大動脈瘤と腱障害のリスクの説明 ⑤ アンチバイオグラムの確認(処方をする前に)
64. X-7日から咳嗽と徐々に増悪する労作時呼吸困難あり. X日に体動困難となりERを受診し,緊急入院. ADLは自立.初療時は意識清明だがぐったり. 血圧 102/66mmHg,脈拍 89bpm,呼吸数24/min, 体温 38.4℃,SpO2 94%(室内気).妊娠の可能性は否定. 胸部レントゲン: 右中〜下肺野で大葉性肺炎を疑う浸潤陰影あり. 血液検査: pH 7.30, PaO2 70mmHg, PaCO2 33mmHg,   HCO3- 20mEq/L, CRP 8.11mg/dL 症例3°30代・女性(既往・併存症なし) 追加すべき病歴・検査は?
65. 飲酒: 機会飲酒,喫煙: 30本/日 15歳- 職業: 学校教諭(高校) アレルギー: なし 愛玩動物飼育歴: なし 住居: 鉄筋コンクリート 築6年 環境暴露歴: なし 海外・国内渡航歴: なし 同居者: 夫(症状なし) 症例3°30代・女性(既往・併存症なし)
66. 喀痰塗抹: グラム陰性桿菌(3+), 白血球数(3+) – Geckler-4 - 喀痰培養も同時に提出,血液培養2セットも 尿中肺炎球菌抗原迅速検査: 陰性,尿中マイコプラズマ抗原: 陰性 尿中レジオネラ抗原迅速検査: 陰性 症例3°30代・女性(既往・併存症なし) ① ペニシリンG ② セフトリアキソン ③ アンピシリン・スルバクタム ④ レボフロキサシン ⑤ セフトリアキソン+アジスロマイシン この時点で考えられる治療薬は?(複数選択可)
67. 喀痰塗抹: グラム陰性桿菌(3+), 白血球数(3+) – Geckler-4 - 喀痰培養も同時に提出,血液培養2セットも 尿中肺炎球菌抗原迅速検査: 陰性,尿中マイコプラズマ抗原: 陰性 尿中レジオネラ抗原迅速検査: 陰性 症例3°30代・女性(既往・併存症なし) ① ペニシリンG ② セフトリアキソン ③ アンピシリン・スルバクタム ④ レボフロキサシン ⑤ セフトリアキソン+アジスロマイシン この時点で考えられる治療薬は?(複数選択可)
68. 喀痰塗抹: グラム陽性球菌(1+), グラム陰性球菌(1+) – Geckler-4 - 喀痰培養も同時に提出 尿中肺炎球菌抗原迅速検査: 陰性 尿中レジオネラ抗原迅速検査: 陽性 症例3°30代・女性(既往・併存症なし) 合計(静注+経口)の治療期間は? ① 7日未満 ② 7日 ③ 7-10日 ④ 10-14日 ⑤ それ以外 治療経過は良好で,入院後酸素2L/min.の投与を要したが X+2日に酸素投与は終了,体温・呼吸回数も正常化した. 喀痰・血液培養は陰性で起因菌は同定できなかった. X+6日目から経口薬へステップダウンし退院を検討している.
69. 治療経過は良好で,入院後酸素2L/min.の投与を要したが X+2日に酸素投与は終了,体温・呼吸回数も正常化した. 喀痰・血液培養は陰性で起因菌は同定できなかった. X+6日目から経口薬へステップダウンし退院を検討している. 症例3°30代・女性(既往・併存症なし) 合計(静注+経口)の治療期間は? ① 7日未満 ② 7日 ③ 7-10日 ④ 10-14日 ⑤ それ以外
70. 喀痰塗抹: グラム陽性球菌(1+), グラム陰性球菌(1+) – Geckler-4 - 喀痰培養も同時に提出 尿中肺炎球菌抗原迅速検査: 陰性 尿中レジオネラ抗原迅速検査: 陽性 症例3°30代・女性(既往・併存症なし) 適切な経口薬は? ① アモキシシリン/クラブラン酸 ② セファレキシン ③ セフポドキシム-ブロキセチル ④ レボフロキサシン ⑤ それ以外 治療経過は良好で,入院後酸素2L/min.の投与を要したが X+2日に酸素投与は終了,体温・呼吸回数も正常化した. 喀痰・血液培養は陰性で起因菌は同定できなかった. X+6日目から経口薬へステップダウンし退院を検討している.
71. 喀痰塗抹: グラム陽性球菌(1+), グラム陰性球菌(1+) – Geckler-4 - 喀痰培養も同時に提出 尿中肺炎球菌抗原迅速検査: 陰性 尿中レジオネラ抗原迅速検査: 陽性 症例3°30代・女性(既往・併存症なし) 適切な経口薬は? ① アモキシシリン/クラブラン酸 ② セファレキシン ③ セフポドキシム-ブロキセチル ④ レボフロキサシン ⑤ それ以外 治療経過は良好で,入院後酸素2L/min.の投与を要したが X+2日に酸素投与は終了,体温・呼吸回数も正常化した. 喀痰・血液培養は陰性で起因菌は同定できなかった. X+6日目から経口薬へステップダウンし退院を検討している.
72. - Part 1(フルオロキノロン・テトラサイクリン・マクロライド) - ニワトリでもわかる β-ラクタム系以外の抗菌薬の話 おしまい