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クリスマスにおけるトナカイ咬傷の可能性
#1. クリスマスにはトナカイ咬傷が増えるのでは? 大阪大学医学部附属病院 感染制御部 住吉 翔元
#2. クリスマスに彼らは訪れる ▼サンタクロース(以下サンタ)はトナカイを連れ、
クリスマスに小児にプレゼントを配る。
→クリスマスにはトナカイの曝露が増える可能性がすっごく高い
#3. トナカイは人を咬む? ▼奈良の鹿による咬傷の報告がある
日本救急医学会雑誌.2021;32:543-8 →同じシカ科だし、
多分トナカイも人を咬むだろう!
#4. クリニカルクエスチョン クリスマスには
トナカイ咬傷が増えるのでは?
トナカイ咬傷に関する文献調査
#5. まずは検索。。。 検索の範囲では1993年にサンタがトナカイに咬まれて敗血症になった(起因菌:Streptococcus rudolfus)という記載がある。
→やっぱりトナカイ咬傷自体はあるに違いない。
BMJ.2010 Dec 10:341:c6782. Google, Google Scholar, PubMedで、
”トナカイ咬傷 ”, ” reindeer bite”, ”caribou bite” を検索
→ヒト感染を示す論文はなかった。
#6. 季節性があるならば!! →Google trendでクリスマスの時期にトナカイ咬傷の検索が
増えているならば、実際に罹患した数が多いに違いない! ▼Google trendを分析することで、蜂窩織炎は罹患数の多い夏に
検索が多く、罹患数の少ない冬に検索が少ないことを示した文献がある。 Infect Drug Resist.2018;11:689-93.
#7. Google trend: 「トナカイ」 ※検索は2023年12月5日に実施、過去5年間、日本で検索 12月に多い!!
#8. Google trend: 「トナカイ咬傷」 ・・・・・ ※検索は2023年12月5日に実施、過去5年間、日本で検索
Googleトレンドによるトナカイ咬傷の季節性分析
#10. Google trend: 「reindeer」 ※検索は2023年12月5日に実施、過去5年間、全世界で検索 12月に多い!!!!!
#11. Google trend: 「reindeer bite」 ※検索は2023年12月5日に実施、過去5年間、全世界で検索 ある!!・・けど季節性なさそう
#12. Google trend: 「reindeer bite」 ※検索は2023年12月5日に実施、過去5年間、全世界で検索 USA ONLY(たぶんアラスカ?)
トナカイ咬傷の結論と関連情報
#13. 結論 日本でトナカイ咬傷はすっごく稀。
サンタもトナカイも歓迎しよう。 世界で唯一アメリカ(アラスカ?)は
年中トナカイ咬傷だらけであることが示唆されるに違いない。 ▼ ▼
#15. おまけ② トナカイはBrucella Suis biover 4の中間宿主
WHO.2006” Brucellosis in humans and animals” →トナカイと濃厚な接触の病歴があれば
ブルセラ症は意識してよいかもしれない Scand J Infect Dis.1989;21:337-8. トナカイの肉が原因と考えられるブルセラ症をおこしたイヌイットの報告がある。