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公立昭和病院
臨床上何かにつけて頻用されるCRPですが、そんなCRPの有用性と落とし穴についてカメでもわかるようにまとめてみました。
【更新履歴】
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* スライド17枚目があまりにも見辛かったので文字サイズと色を変更しました.
(すみません)
* 補足スライドを1枚追加しました.
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* スライド内の一部の図表を削除しました(差し替え予定).
【他のコンテンツ】
* サルでもわかる経口抗菌薬の話 2020年版
https://slide.antaa.jp/article/view/5199820d537c41bc
* タコでもわかる静注抗菌薬の話 2020年版
https://slide.antaa.jp/article/view/e097b2a75e264a01
* カメでもわかるCRPの話 2021年版
これ
* ニワトリでもわかるβ-ラクタム系以外の抗菌薬の話
https://slide.antaa.jp/article/view/a335f79d13f144ee
* アナグマでもわかるフルオロキノロンの話
https://slide.antaa.jp/article/view/067106f6aebb4bf8
* ウシでもわかる真菌の話
https://slide.antaa.jp/article/view/e491e8559fc14d39
ご質問・ご意見等はtwitter(@metl63)までお寄せください。
スライド内容の転用も歓迎します。その折にはお手数ですがご一報ください。
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カメでもわかるCRPの話 2021年版
この講義の目的 * CRPがそもそも何かを知ろう * CRPの良いところと悪いところを知ろう * CRPは”使える”のかについて考えよう
CRPとは何ぞや CRPってそもそもなんですか? 説明してみてください
CRPとは何ぞや CRPってどんな時に使いますか? 教えてください
CRPとは何ぞや CRPってどんな時に使えますか? 答えは浮かびますか? 基礎的なところからいきましょう
CRPとは何ぞや CRP = C-reactive protein - 肺炎球菌のC多糖体に結合することから命名 - IL-6などにより刺激され肝臓で合成 - 炎症や組織障害の非特異的バイオマーカー -> 白血球数(WBC),赤沈(ESR)も同じような雰囲気 確からしい部分 Wikipedia 「C反応性蛋白」より拝借
CRPとは何ぞや 確からしい部分 上昇するまでに6時間,ピークを迎えるまでに12-48時間かかるということは知っておかなければならない 「現状」を評価できる検査ではない
CRPとは何ぞや 確からしい部分(臨床医はあまり詳しくなくてもいいかもしれない) 炎症 CRP合成 病原体 * 意外にも自然免疫の一部として機能 * 向炎症効果により組織障害を 不必要に助長してしまうことも CRPを下げた方がいい(CRPを治療した方がいい)一つの根拠と言ってもいいかも ・・・・・・ medicina Vol.57, No.1, 2020-1 CRPの役割より引用・一部改変
CRPとは何ぞや 臨床をしていてCRPで悩むケース 慣習的で確からしくないCRPの評価方法 いくつかのケースを考えてみましょう
CRPとは何ぞや CRP = C-reactive protein - 「えんしょう」の数字? - 高ければ重症,低ければ軽症? - ウイルス感染と細菌感染を区別できる? - 抗菌薬投与はCRP陰性化まで必要? ようこそCRP沼へ この辺の疑問に答えていきます
検証 CRP = C-reactive protein - 「えんしょう」の数字? - 高ければ重症,低ければ軽症? - ウイルス感染と細菌感染を区別できる? - 抗菌薬投与はCRP陰性化まで必要? ひとつめ 具体的にどんなときにCRPは上昇しますか? △
CRPが上昇するケース * Malignancy: 悪性腫瘍 * Inflammation: 炎症 * Necrosis: 組織壊死・組織障害 * Trauma: 外傷 * Infection: 感染症 * Allergic reaction: アレルギー反応 頭文字とって「MINTIA」なんてどうですか?
CRPが上昇するケース 先生方のイメージは・・・?
CRPが上昇するケース * Malignancy: 悪性腫瘍 * Inflammation: 炎症 * Necrosis: 組織壊死・組織障害 * Trauma: 外傷 * Infection: 感染症 * Allergic reaction: アレルギー反応 こんな感じでは?
CRPが上昇するケース * Malignancy: 悪性腫瘍 * Inflammation: 炎症 * Necrosis: 組織壊死・組織障害 * Trauma: 外傷 * Infection: 感染症 * Allergic reaction: アレルギー反応 こんな感じでは? 本当にそれでいいですか?
CRPが上昇するケース CRPはあくまで【非特異的】な炎症マーカー 他の可能性の吟味なしにCRP上昇 = 感染症ではダメ -> “MINTIA”の検討を! そのための バイタルサイン,問診,身体診察 脳死・脊髄反射ではいけません 各々のケースをざっくりと整理しましょう
CRPが上昇し得る代表的なケース * Malignancy: 悪性腫瘍 - 食道癌,大腸癌,肝細胞癌,膵癌,膀胱癌,腎癌,卵巣癌, 子宮頸癌,血液腫瘍 * Inflammation: 炎症(自己炎症性疾患・膠原病) - 高安病,各種血管炎,結晶性誘発性関節炎,多発性/皮膚筋炎 リウマチ性多発筋痛症,ベーチェット病,強直性脊椎炎など * Necrosis: 組織壊死・組織障害 - 膿瘍形成,臓器梗塞,急性膵炎,消化管穿孔,急性大動脈解離など * Trauma: 外傷 – 熱傷,骨折,手術侵襲 * Infection: 感染症 - どちらかといえば細菌感染症 * Allergic reaction: アレルギー反応 - 薬剤熱など みにくいスライドですみません 予後予測因子としてCRPが推奨あり あとで少し詳しく
全てを暗記する必要は当然ありません 患者ごとに可能性を吟味し 傾斜をかけて鑑別を絞る意識を つまり,入院患者の突然のCRP上昇で最初から腫瘍や膠原病の関与を疑う必要性は乏しい 患者にフィットした鑑別を
検証 CRP = C-reactive protein - 「えんしょう」の数字? - 高ければ重症,低ければ軽症? - ウイルス感染と細菌感染を区別できる? - 抗菌薬投与はCRP陰性化まで必要? おつぎ 症例を通してみてみましょう ×
症例1 よくあるケース 時は20xx年冬の寒い夜.救急外来で当直中,上級医が救急車を応需したらしく看護師に呼ばれ眠い目を擦りながらERへ行くと,80代の老婆が佇んでいた. 聞くと38℃台の発熱と全身倦怠感があるという.高血圧症以外に併存症はなく,特段の既往症もないとのこと.常用薬はアムロジピン(5) 朝1錠のみ. 溜息をつきつつ,診療を始めることにした. 次はバイタルサイン・身体所見
症例1 よくあるケース [バイタルサイン] 意識レベルはJCS Ⅰ-1, 活気はあんまり.血圧95/56 mmHg, 脈拍121 bpm, 呼吸数 24/min, SpO2 99 %(室内気), 体温 39.6 ℃. [身体所見] 頭頸部・胸部・四肢・皮膚には異常所見なし.右肋骨脊柱角に強い叩打痛を認める. 次はシステムレビュー
症例1 よくあるケース [Review of Systems] 陽性所見: 排尿時痛,残尿感,腰痛(右優位) 陰性所見:頭痛,咽頭痛,咳嗽,呼吸困難,下痢,血尿,関節痛 「急性腎盂腎炎っぽいな・・・」 どんな検査を出しますか?
症例1 よくあるケース [血算] Hgb 12.2 g/dL RBC 482 x10^4/mcL Htc 41.8 % MCV 86.7 fl PLT 17.4 x10^4/mcL WBC 9,900 /mcL Stab 4.5 % Seg 90.5 % Eos 0.0 % Bas 0.0 % Mon 3.0 % Lym 2.0 % [生化学] TP 6.7 g/dL Alb 3.6 g/dL ALP 75 U/L AST 35 U/L ALT 31 U/L LD 555 U/L CK 218 U/L Na 141 mEq/L K 3.7 mEq/L Cl 99 mEq/L BUN 88 mg/dL CRE 1.22 mg/dL UA 4.3 mg/dL CRP 0.28 mg/dL 血糖 90 mg/dL [尿定性・沈渣] 比重 >1.030 pH 8.5 蛋白 (1+) 糖 (-) ケトン体 (1+) 潜血 (+-) 細菌 (2+) 赤血球 1-4/HPF 白血球 >99/HPF 上級医にどうプレゼンテーションしますか?
症例2 これもよくあるケース 時は20xx年冬の寒い夜.救急外来で当直中,上級医が救急車を応需したらしく看護師に呼ばれ眠い目を擦りながらERへ行くと,80代の老婆が佇んでいた. 聞くと38℃台の発熱と全身倦怠感があるという.高血圧症以外に併存症はなく,特段の既往症もないとのこと.常用薬はアムロジピン(5) 朝1錠のみ. 溜息をつきつつ,診療を始めることにした. 次はバイタルサイン・身体所見
症例2 これもよくあるケース [バイタルサイン] 意識レベルはJCS Ⅰ-1, 活気はあんまり.血圧95/56 mmHg, 脈拍121 bpm, 呼吸 24/min, SpO2 99 %(室内気), 体温 39.6 ℃. [身体所見] 頭頸部・胸部・四肢・皮膚には異常所見なし.右肋骨脊柱角に強い叩打痛を認める. 次はシステムレビュー
症例2 これもよくあるケース [Review of Systems] 陽性所見: 排尿時痛,残尿感,腰痛(右優位) 陰性所見:頭痛,咽頭痛,咳嗽,呼吸困難,下痢,血尿,関節痛 「急性腎盂腎炎っぽいな・・・」 どんな検査を出しますか?
症例2 これもよくあるケース [血算] Hgb 12.2 g/dL RBC 482 x10^4/mcL Htc 41.8 % MCV 86.7 fl PLT 17.4 x10^4/mcL WBC 9,900 /mcL Stab 4.5 % Seg 90.5 % Eos 0.0 % Bas 0.0 % Mon 3.0 % Lym 2.0 % [生化学] TP 6.7 g/dL Alb 3.6 g/dL ALP 75 U/L AST 35 U/L ALT 31 U/L LD 555 U/L CK 218 U/L Na 141 mEq/L K 3.7 mEq/L Cl 99 mEq/L BUN 88 mg/dL CRE 1.22 mg/dL UA 4.3 mg/dL CRP 18.11 mg/dL 血糖 90 mg/dL [尿定性・沈渣] 比重 >1.030 pH 8.5 蛋白 (1+) 糖 (-) ケトン体 (1+) 潜血 (+-) 細菌 (2+) 赤血球 1-4/HPF 白血球 >99/HPF 上級医にどうプレゼンテーションしますか?
症例の比較 特段の既往のない高齢女性 発熱39℃台,qSOFAは3点 身体所見では右優位にCVA叩打痛あり 尿検査では尿中白血球>100/HPF 上部尿路感染症および敗血症性ショックを疑う かたやCRP 0.28 mg/dL かたやCRP 18.11 mg/dL 入院適応の違いは?どちらが重症?
入院適応 どちらも重症, どちらも原則入院です CRPの高低自体は入院に際する意思決定に関わり得ません 見誤ることなかれ
CRP測定の意義 ◎ 市中発症の菌血症患者2017名のうち193名(9.6 %)が CRP <2.0 mg/dL デンマークの症例レジストリに登録された症例のコホート研究 ◎ 30日死亡率はCRP <2.0 mg/dLの群で13.5 %, CRP >10.0 mg/dLの群で20.6 %と後者の群で高かった (Fredrikke Christie Knudtzen, et al. J Infect. 2014 Feb;68(2)) ◎ 市中発症の菌血症症例ではCRPは低値〜正常範囲であることも多く 重症感染症を否定したり抗菌薬投与を保留する理由にはならない 逆に役立つ瞬間って?
CRP測定が役立つ,かも ◎ 市中敗血症(旧基準)の診断 カットオフ値 3.8 mg/dLで感度79.7 %, 特異度57.9 %(LR+ 1.9, LR- 0.35) 5.0 mg/dLで感度71.6 %, 特異度63.2 %(LR+ 1.9, LR- 0.45) 10.0 mg/dLで感度63.5 %, 特異度94.7 %(LR+ 11.9, LR- 0.39) 現在の知見 続きます ◎ 市中肺炎の診断 カットオフ値 2.0 mg/dLで感度79.6 %, 特異度62.1 %(LR+ 2.1, LR- 0.33) (Fam Pract 2009; 26: 10-21) (Crit Care 2006; 10: R53)
◎ ICU入室時のCRP >10 mg/dLでは有意に臓器不全の割合が高い (呼吸器: 65 % vs. 28 %, 腎 16.6 % vs. 3.6 %) ベルギーの大学で行われたRCT ◎ CRP >10 mg/dLでは死亡率も高かった(36 % vs. 21 %) (Clin. Inv In Crit. Care Vol 123, Issue 6, P2043-2049, June 1, 2003) (Clin. Inv In Crit. Care Vol 123, Issue 6, P2043-2049, June 1, 2003) CRP測定が役立つ,かも
CRP測定の意義 CRPが高ければ, 高いから何なのかを考えること まとめると ・ ・ ・ ・ ・ ・ CRPが低くても重症のこともままある
CRP測定の意義 「CRP高値」は重症患者を捕捉する セーフティネットになればよい まとめると CRPが10 mg/dL以上は警戒すべき状況かも 特に救急外来とか
検証 CRP = C-reactive protein - 「えんしょう」の数字? - 高ければ重症,低ければ軽症? - ウイルス感染と細菌感染を区別できる? - 抗菌薬投与はCRP陰性化まで必要? はい次 △
実際の研究 ◎ 中耳炎症例を細菌性(n=82),細菌+ウイルス(n=69), ウイルス性(n=12),不明(n=22)にグループ分け アメリカで行われた小児(3ヶ月から7歳)の中耳炎での検討 ◎ 4グループ間ではCRPの値に統計学的優位差なし (<0.6 to 22.8, <0.6 to 17.8, <0.6 to 2.0, <0.6 to 6.8 mg/dL) (Nooruddin R. Tejani, et al. Pediatrics. May 1995, 95(5) 664-669) ◎ ただし,細菌性と非細菌性だけで比較すると 細菌性でCRPは高値(1.58 ± 3.16 vs 0.64 ± 1.24 mg/dL)
実際の研究 ◎ 成人の感染症症例139名と健常人40名で血清CRP値を比較 成人の非定型細菌 vs. ウイルスでは (感染症病原体はLegionella, Mycoplasma, Coxiella, Denguevirus, hParvovirus-B19, CMV, HSV-1, 2, EBV, Influenza A/B virus) ( Med Virol. 2016 Feb;88(2):351-5.doi: 10.1002/jmv.24341. Epub 2015 Aug 19.) ◎ 健常人群に比して感染症群では有意にCRP高値, ただし病原体の判別には有用でない
CRP上昇は細菌>ウイルス? 小児科領域ではウイルス性感染症より細菌性感染症で 有意な上昇を見ると多くの研究で結論づけ とりま 成人でもある程度応用はできるかもしれないが, 完全に判別することは難しい
検証 CRP = C-reactive protein - 「えんしょう」の数字? - 高ければ重症,低ければ軽症? - ウイルス感染と細菌感染を区別できる? - 抗菌薬投与はCRP陰性化まで必要? さいご ×
抗菌薬の投与期間 標準的な抗菌薬投与期間は, 感染臓器 原因微生物 によって決められます 肝に銘じておくべき
抗菌薬の投与期間 * 7日間 * 14日間 * 28日間 * その他(5日間,10日間,42日間,それ以上) 7の倍数で勘定するといいと思います
抗菌薬の投与期間 * 単純性のGNR菌血症に対してCRPベースの 抗菌薬投与期間(ピーク値の75%減少まで) を設定 * CRP群170例,7日投与群169例,14日投与群165例で 治療予後(30, 60, 90日)を検討 * CRP群の抗菌薬投与期間の中央値は7日(5-28日), 7日投与群とともに治療失敗率は14日投与群に非劣勢 検討はされている (Elodie von Dach, et al. JAMA. 2020; 323(21): 2160-2169) =CRP群
抗菌薬の投与期間 だったらCRPベースにしないで7日投与で良くないか? ん〜 CRPを利用して単純性GNR菌血症の7日治療期間の妥当性を証明した寸法
抗菌薬投与期間 抗菌薬投与期間の設定はあくまで臓器・微生物ベース 「まだCRPが高いから抗菌薬継続」は必ずしも適正ではない 普遍的原則 疾患個別の適切な治療期間は都度成書(Sanfordなど)を参照すること (最適な治療期間は結構コロコロ変わります)
まとめ CRP = C-reactive protein - 「えんしょう」の数字? - 高ければ重症,低ければ軽症? - ウイルス感染と細菌感染を区別できる? - 抗菌薬投与はCRP陰性化まで必要? どうでしょう × △ × △
まとめ * CRPは患者の「今」の状態を反映しない * 「非特異的」よりも「特異的」な項目の評価を CRPより先に評価すべき項目はありませんか? * CRPは感染症だけのマーカーではない! - ”MINTIA” * 役立つタイミングはある(小児領域,一部のウイルスor細菌の判別) * CRPの特性を知り賢く,適切に使いましょう 最近では心血管疾患・イベントの予測とリスク評価に高感度CRPが活用できるという研究が盛んです
カメでもわかるCRPの話 2021年版 おしまい