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カメでもわかるCRPの話(2022年新訂版)

  • 内科

  • その他

  • 初期研修医

  • 初期研修医向け
  • 感染症
  • CRP

574,412

577

2021/1/17
2022/9/8 更新

本スライドの対象者

医学生/研修医/専攻医/専門医

内容

臨床上何かにつけて測定されCRPですが、そんなCRPの有用性と落とし穴についてカメでもわかるようにまとめてみました。

【他のコンテンツ】

* サルでもわかる経口抗菌薬の話

https://slide.antaa.jp/article/view/5199820d537c41bc

* タコでもわかる静注抗菌薬の話

https://slide.antaa.jp/article/view/e097b2a75e264a01

* カメでもわかるCRPの話

これ

* ニワトリでもわかるβ-ラクタム系以外の抗菌薬の話

https://slide.antaa.jp/article/view/a335f79d13f144ee

* アナグマでもわかるフルオロキノロンの話

https://slide.antaa.jp/article/view/067106f6aebb4bf8

* ウシでもわかる真菌の話

https://slide.antaa.jp/article/view/e491e8559fc14d39

ご質問・ご意見等はtwitter(@metl63)までお寄せください。

スライド内容の転用も歓迎します。その折にはお手数ですがご一報ください。

高野哲史

公立昭和病院


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カメでもわかるCRPの話(2022年新訂版)

  1. カメでもわかるCRPの話

  2. この講義のお題 * CRPとは⼀体何か︖ * CRP測定の利点と⽋点 * CRPのよくある誤解

  3. CRPって何? 一言でどうぞ

  4. CRPは いつ測定する? 一言でどうぞ

  5. CRPの働きって? 一言でどうぞ

  6. CRPとは何ぞや 解釈の差がでない部分から CRP = C-reactive protein - 肺炎球菌のC多糖体に結合することから命名 - IL-6などの刺激により肝臓で合成されるタンパク質 ・ 補体C1qを修飾するなどで単球・好中球を活性化︖(全容不明) ・ いずれにしても,何かしら免疫学的役割があるよう - 炎症や組織障害の⾮特異的バイオマーカー ・ ⽩⾎球数,⾚沈(ESR)も同じようなポジション

  7. CRPは上昇するまでに6時間,ピークを迎えるまでに12-48時間 ⽩⾎球数 CRP ⾚沈(ESR)

  8. CRPは上昇するまでに6時間,ピークを迎えるまでに12-48時間 単回の測定で 現状の評価は しにくい ⽩⾎球数 CRP ⾚沈(ESR)

  9. クリニカルクエスチョン(CQ) 的なもの

  10. CRPとは何ぞや この辺の疑問に答えていきます CRP = C-reactive protein - 「えんしょう」の数字︖ - ⾼ければ重症,低ければ軽症︖ - ウイルス感染と細菌感染を区別できる︖ - 抗菌薬投与はCRP正常化まで必要︖

  11. CRPとは何ぞや CRP = C-reactive protein - 「えんしょう」の数字︖ - ⾼ければ重症,低ければ軽症︖ - ウイルス感染と細菌感染を区別できる︖ - 抗菌薬投与はCRP正常化まで必要︖

  12. CRPとは何ぞや CRP = C-reactive protein - 「えんしょう」の数字︖ - ⾼ければ重症,低ければ軽症︖ - ウイルス感染と細菌感染を区別できる︖ - 抗菌薬投与はCRP正常化まで必要︖ △ どんなときにCRPは上昇しますか?(具体的に)

  13. CRPが上昇する 6つのケース

  14. Malignancy: 悪性腫瘍

  15. Inflammation: 炎症

  16. Necrosis: 組織障害・壊死

  17. Trauma: 外傷

  18. Infection: 感染症

  19. Allergic reaction: アレルギー反応

  20. Malignancy: 悪性腫瘍 Inflammation: 炎症 Necrosis: 組織障害・壊死 Trauma: 外傷 Infection: 感染症 Allergic reaction: アレルギー反応

  21. 先生方の イメージ

  22. Malignancy: 悪性腫瘍 Inflammation: 炎症 Necrosis: 組織障害・壊死 Trauma: 外傷 Infection: 感染症 Allergic reaction: アレルギー反応

  23. 大前提

  24. CRPは 非特異的 マーカー

  25. CRP上昇=感染症 はそろそろ卒業

  26. 原因不明の CRP上昇を 見たら?

  27. “MINTIA”に 沿いワークアップ バイタルサイン評価,病歴の再聴取, 身体診察,血液検査,画像検査

  28. ざっくり 整理

  29. Malignancy: 悪性腫瘍 予後予測因子としてCRPが推奨あり - 食道癌,大腸癌,肝細胞癌,膵癌,膀胱癌,腎癌,卵巣癌, 子宮頸癌,血液腫瘍 Inflammation: 炎症 (自己炎症性疾患・膠原病) - 高安病,各種血管炎,結晶性誘発性関節炎,多発性/皮膚筋炎 リウマチ性多発筋痛症,ベーチェット病,強直性脊椎炎など Necrosis: 組織障害・壊死 (転じて,解剖学的構造の破綻) - 膿瘍形成,臓器梗塞,急性膵炎,消化管穿孔,急性大動脈解離など Trauma: 外傷 ‒ 熱傷,骨折,手術侵襲 Infection: 感染症 - どちらかといえば細菌感染症 Allergic reaction: アレルギー反応 - 薬剤熱(Ⅲ型)など

  30. 全疾患の暗記は 不要

  31. 患者にフィット した鑑別を

  32. CRPとは何ぞや この辺の疑問に答えていきます CRP = C-reactive protein - 「えんしょう」の数字︖ - ⾼ければ重症,低ければ軽症︖ - ウイルス感染と細菌感染を区別できる︖ - 抗菌薬投与はCRP正常化まで必要︖

  33. CRPとは何ぞや この辺の疑問に答えていきます CRP = C-reactive protein - 「えんしょう」の数字︖ - ⾼ければ重症,低ければ軽症︖ - ウイルス感染と細菌感染を区別できる︖ - 抗菌薬投与はCRP正常化まで必要︖

  34. CRPは 高ければ重症? はいかいいえで

  35. CRPは 低ければ軽症? はいかいいえで

  36. CRPは 低くても重症の 場合がある

  37. 「CRP低いし 帰宅でいいな」

  38. やったこと ありませんか?

  39. 単回の測定で 判断するのは やめる ERとか

  40. 症例

  41. 症例1 よくあるケース (202x年冬のERと仮定) 症例: 80代,⼥性 主訴: 発熱,全⾝倦怠感 現病歴: X⽇に別居の娘が患者宅を訪問した際に患者 がぐったりしていたため救急要請.いつから発熱し ていたかは不明. 基礎疾患: ⾼⾎圧症.⼿術歴なし. 常⽤薬: アムロジピン 5 mg/⽇. 次はバイタルサイン・⾝体所⾒

  42. 症例1 よくあるケース [バイタルサイン] 意識レベル JCS Ⅰ-1, 活気不良. ⾎圧95/56mmHg, 脈拍121bpm, 呼吸数 24/min, 体温 39.6℃, SpO2 99%(室内気). [⾝体所⾒] 右肋⾻脊柱⾓に強い叩打痛を認める. 頭頸部・胸部・四肢・⽪膚には異常所⾒なし. 次はシステムレビュー

  43. 症例1 よくあるケース [Review of Systems] 陽性所⾒: 排尿時痛,残尿感,腰痛(右優位) 陰性所⾒︓頭痛,咽頭痛,咳嗽,呼吸困難,下痢, ⾎尿,関節痛 「急性腎盂腎炎っぽいな・・・」 どんな検査を出しますか?

  44. 症例1 [⾎算] Hgb RBC Htc MCV PLT WBC Stab Seg Eos Bas Mon Lym よくあるケース 12.2 g/dL 482 x104/mcL 41.8 % 86.7 fl 17.4 x104/mcL 9,900 /mcL 4.5 % 90.5 % 0.0 % 0.0 % 3.0 % 2.0 % [⽣化学] TP 6.7 g/dL Alb 3.6 g/dL ALP 75 U/L AST 35 U/L ALT 31 U/L LD 555 U/L CK 218 U/L Na 141 mEq/L K 3.7 mEq/L Cl 99 mEq/L BUN 88 mg/dL CRE 1.22 mg/dL UA CRP ⾎糖 4.3 mg/dL 0.28 mg/dL 90 mg/dL [尿定性・沈渣] ⽐重 >1.030 pH 8.5 蛋⽩ (1+) 糖 (-) ケトン体 (1+) 潜⾎ (+-) 細菌 (2+) ⾚⾎球 1-4/HPF ⽩⾎球 >99/HPF 上級医にどうプレゼンテーションしますか?

  45. 症例2 よくあるケース (202x年冬のERと仮定) 症例: 80代,⼥性 主訴: 発熱,全⾝倦怠感 現病歴: X⽇に別居の娘が患者宅を訪問した際に患者 がぐったりしていたため救急要請.いつから発熱し ていたかは不明. 基礎疾患: ⾼⾎圧症.⼿術歴なし. 常⽤薬: アムロジピン 5 mg/⽇. 次はバイタルサイン・⾝体所⾒

  46. 症例2 よくあるケース [バイタルサイン] 意識レベル JCS Ⅰ-1, 活気不良. ⾎圧95/56mmHg, 脈拍121bpm, 呼吸数 24/min, 体温 39.6℃, SpO2 99%(室内気). [⾝体所⾒] 右肋⾻脊柱⾓に強い叩打痛を認める. 頭頸部・胸部・四肢・⽪膚には異常所⾒なし. 次はシステムレビュー

  47. 症例2 よくあるケース [Review of Systems] 陽性所⾒: 排尿時痛,残尿感,腰痛(右優位) 陰性所⾒︓頭痛,咽頭痛,咳嗽,呼吸困難,下痢, ⾎尿,関節痛 「急性腎盂腎炎っぽいな・・・」 どんな検査を出しますか?

  48. 症例1 [⾎算] Hgb RBC Htc MCV PLT WBC Stab Seg Eos Bas Mon Lym よくあるケース 12.2 g/dL 482 x104/mcL 41.8 % 86.7 fl 17.4 x104/mcL 9,900 /mcL 4.5 % 90.5 % 0.0 % 0.0 % 3.0 % 2.0 % [⽣化学] TP 6.7 g/dL Alb 3.6 g/dL ALP 75 U/L AST 35 U/L ALT 31 U/L LD 555 U/L CK 218 U/L Na 141 mEq/L K 3.7 mEq/L Cl 99 mEq/L BUN 88 mg/dL CRE 1.22 mg/dL UA CRP ⾎糖 4.3 mg/dL 18.11 mg/dL 90 mg/dL [尿定性・沈渣] ⽐重 >1.030 pH 8.5 蛋⽩ (1+) 糖 (-) ケトン体 (1+) 潜⾎ (+-) 細菌 (2+) ⾚⾎球 1-4/HPF ⽩⾎球 >99/HPF 上級医にどうプレゼンテーションしますか?

  49. 症例の比較 特段の既往のない高齢女性 発熱39℃台,qSOFAは3点 身体所見では右優位にCVA叩打痛あり 尿検査では尿中白血球 >99 /HPF 上部尿路感染症および敗血症性ショックを疑う かたやCRP 0.28mg/dL かたやCRP 18.11mg/dL 帰宅ですか?入院ですか?

  50. どちらも原則入院

  51. CRPの高低を 入院適応の絶対的な 判断材料にしては ならない

  52. では CRPを役立てるには?

  53. CRP測定の意義 デンマークで行われたコホート研究 ◎ 市中発症の菌⾎症患者2017名のうち193名(9.6%)がCRP<2.0mg/dL ◎ 30⽇死亡率はCRP <2.0mg/dLの群で13.5%, CRP >10.0mg/dLの群で20.6%と後者の群で⾼かった ◎ 市中発症の菌⾎症症例ではしばしばCRPは正常範囲に留まるため 重症感染症を否定したり抗菌薬投与を保留する理由にはならない (Fredrikke Christie Knudtzen, et al. J Infect. 2014 Feb;68(2))

  54. CRP測定の意義 ◎ 市中敗⾎症(旧基準)の診断 カットオフ値 (Crit Care(2006); 10: R53) 3.8mg/dLで感度79.7%, 特異度57.9%(LR+ 1.9, LR- 0.35) 5.0mg/dLで感度71.6%, 特異度63.2%(LR+ 1.9, LR- 0.45) 10.0mg/dLで感度63.5%, 特異度94.7%(LR+ 11.9, LR- 0.39) ◎ 市中肺炎の診断 カットオフ値 (Fam Pract(2009); 26: 10-21) 2.0mg/dLで感度79.6%, 特異度62.1%(LR+ 2.1, LR- 0.33) 続きます

  55. CRP測定の意義 ◎ ICU⼊室時のCRP >10mg/dLでは有意に臓器不全の割合が⾼い (呼吸器: 65% vs. 28%, 腎 16.6% vs. 3.6%) ◎ CRP >10mg/dLでは死亡率も⾼かった(36% vs. 21%) (Clin. Inv In Crit. Care Vol 123, Issue 6, P2043-2049, June 1, 2003)

  56. ざっくり CRP >10mg/dLは 警戒が必要,かも

  57. CRP >10mg/dLを みたら抗菌薬投与?

  58. NO CRP >10mg/dLを みたら抗菌薬投与?

  59. CRP >10mg/dLを みたら“高CRP血症” の原因を検索すべし ERでは内科診断学の腕の見せ所

  60. CRP上昇は かくれ重症患者への セーフティネットと 心得る

  61. ただし

  62. CRP低値でも ガードを 下ろさない

  63. CRPとは何ぞや CRP = C-reactive protein - 「えんしょう」の数字︖ - ⾼ければ重症,低ければ軽症︖ - ウイルス感染と細菌感染を区別できる︖ - 抗菌薬投与はCRP正常化まで必要︖

  64. CRPとは何ぞや CRP = C-reactive protein - 「えんしょう」の数字︖ - ⾼ければ重症,低ければ軽症︖ - ウイルス感染と細菌感染を区別できる︖ △〜○ - 抗菌薬投与はCRP正常化まで必要︖

  65. 実際の研究 アメリカで行われた小児(3ヶ月から7歳)の中耳炎での検討 ◎ 中⽿炎症例を細菌性(n=82),細菌+ウイルス(n=69), ウイルス性(n=12),不明(n=22)にグループ分け ◎ 4グループ間ではCRPの値に統計学的優位差なし (<0.6-22.8, <0.6-17.8, <0.6-2.0, <0.6-6.8mg/dL) ◎ ただし,細菌性と⾮細菌性だけで⽐較すると 細菌性でCRPは⾼値(1.58 ± 3.16 vs 0.64 ± 1.24mg/dL) (Nooruddin R. Tejani, et al. Pediatrics. May 1995, 95(5) 664-669)

  66. 実際の研究 成人の非定型細菌 vs. ウイルスでは ◎ 成⼈の感染症症例139名と健常⼈40名で⾎清CRP値を⽐較 病原体はLegionella, Mycoplasma, Coxiella, Denguevirus, hParvovirus-B19,CMV, HSV-1, 2, EBV, Influenza A/B virus) ◎ 健常⼈群に⽐して感染症群では有意にCRP⾼値, ただし病原体の判別には有⽤でない ( Med Virol. 2016 Feb;88(2):351-5. Epub 2015 Aug 19.)

  67. 感染症によりCRP 上昇が起こるのは 間違いないようだ

  68. 細菌性>ウイルス性 でより上昇の傾向

  69. ただし 限界あり

  70. ○mg/dL以上なら 細菌性という話は 現状できない

  71. 完全な判別は 無理

  72. さらに

  73. CRP上昇を見た 時の動き方は 変わらない

  74. CRP上昇を見たら 抗菌薬 ではない

  75. CRP上昇を見たら 徹底的に原因検索

  76. 原因を問わず 可能な限り 臓器診断をつける

  77. CRPとは何ぞや CRP = C-reactive protein - 「えんしょう」の数字︖ - ⾼ければ重症,低ければ軽症︖ - ウイルス感染と細菌感染を区別できる︖ - 抗菌薬投与はCRP正常化まで必要︖

  78. 感染症症例全例で CRP陰性化まで 抗菌薬が必要?

  79. 抗菌薬の投与期間を 規定するための ファクター

  80. 患者背景

  81. 感染臓器

  82. 原因微生物

  83. 時に 投与薬剤

  84. 投与期間の設定は 患者・臓器・微生物 この3(+1)ファクター 必要

  85. 決めきれない時は CRPやESRを使う

  86. 例えば,成書に 治療期間: ○週以上 と書いてあるもの

  87. 超長期の抗菌薬投与 を要する時 硬膜外膿瘍,急性/慢性骨髄炎, 黄色ブドウ球菌性脊椎膿瘍など (Johns Hopkins ABX Guideで「CRP-guided」と検索した項目のうち記載のあるもの)

  88. 標準治療期間以上に 漫然と抗菌薬を 使用しない

  89. 長期間投与する 場合も根拠が重要

  90. どうなったら やめるか 決めておく

  91. わからなければ リファレンスを探す 感覚で治療しない

  92. まとめ

  93. CRPは 現況を必ずしも 反映しない

  94. CRPは 非特異的な 評価項目である

  95. CRPは 感染症のマーカー ではない

  96. CRPは どちらかというと 細菌感染症を示唆

  97. CRPは ただし完全な どちらかというと 判別は無理 細菌感染症を示唆

  98. 診断学でも 治療学でも CRPに依存 し過ぎない

  99. 一方で CRP不要論も 結構過激

  100. 限界を知り 適切に使う

  101. り わ カメでもわかるCRPの話 お

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