#4.
梅毒感染を疑う症状や病歴がある(※) RPR(非特異的検査) 陽性 TPLA/TPHA(特異的検査) 結果に関わらず 可能性:活動性梅毒、陳旧性梅毒+他疾患、生物学的偽陽性など 緊急状態というわけでなければ特異的検査の結果を待っても良いですが、 梅毒特異的検査が陰性でも梅毒感染を否定できない状況ですので、 専門家へのアクセスが良ければ早めに相談するのもやぶさかではありません。 病歴 リスクのある性交渉歴、他の性感染症の罹患歴 パートナーの性感染症罹患 ※ 症状 皮疹(特に手掌)、リンパ節腫大、脱毛、粘膜疹(口腔咽頭、 外陰部など)、神経症状、他の性感染症を疑う症状や徴候など
#5.
梅毒感染を疑う症状や病歴がない RPR(非特異的検査) 陽性 TPLA/TPHA(特異的検査) 陰性 可能性:梅毒感染超初期、陳旧性梅毒(稀)、生物学的偽陽性など 治療が必要な梅毒感染超初期(後にTPLA/TPHAが陽転化してくる)の可能性があ るため、後日再検査を行う必要があります。 梅毒感染超初期 RPRのみ陽転化した状態です。梅毒を疑う症状や病歴が無いと 言っても、本人が正直に申告しなければ分かりません。 陳旧性梅毒(稀) 梅毒治療後に、稀ですが梅毒非特異的検査(通常は生涯陽性)が 陰転化することがあるそうです。 生物学的偽陽性 種々の病態(膠原病、妊娠、悪性腫瘍、血液疾患、ウイルス感染症 など)でRPRが偽陽性となることがあります(BFP)。
#6.
梅毒感染を疑う症状や病歴がない RPR(非特異的検査) 陽性 TPLA/TPHA(特異的検査) 陽性 ※ 梅毒の感染歴は間違いないけど、病期や治療適応を考えたい! RPRの実測値を見る! ※RPR/TPLA両者偽陽性が無いわけではありません(PMID 39424100)
#7.
梅毒感染を疑う症状や病歴がない RPR(非特異的検査) 陽性 TPLA/TPHA(特異的検査) 陽性 RPRが低い(4–8 倍/RU 以下)の場合 可能性:活動性梅毒(潜伏)、陳旧性梅毒 梅毒への感染歴は間違いなさそうだが、症状が無いため判断が難しい 潜伏梅毒 自覚症状はないが、治療が必要(活動性梅毒)な状態。 活動性梅毒だとRPR値が高いことが多いが、RPRが低くても否定できない (3期梅毒など)。再検査でのRPR値変化など総合的に判断する。 ※ 抗体量が多すぎてRPRが低く出ることもある(プロゾーン現象) 陳旧性梅毒 過去に梅毒へ罹患していたが、治癒している状態。 感染歴があり(TPHA陽性)、治療歴がないのにいつの間にか治癒して、 でもRPRが低めで陽性のまま(serofast)となっている方も少なくない。
#8.
梅毒感染を疑う症状や病歴がない RPR(非特異的検査) 陽性 TPLA/TPHA(特異的検査) 陽性 RPRが低い(4–8 倍/RU 以上)の場合 可能性:活動性梅毒(潜伏)、陳旧性梅毒 活動性梅毒の可能性がある(高め)が、陳旧性梅毒はまだ否定できない。 RPRが十分に高ければ治療を開始することが多いが、間をおいて再検査する、 判断に迷うが治療してしまう、など種々の選択枝がある。 ※ ここで提示する「4–8」の値はクリアなカットオフではありません。 初療における見逃しを避けるため、域値を低めに設定しています。 (参考)感染症法上、梅毒の無症候性病原体保菌者の届出基準はRPR 16以上または16倍以上 ※ RPR測定を自動化法で行っている場合、「8倍(1:8)」ではなく「8.0 RU」など実数で出ます。 この場合、おおよそ等価と考えて良いと言われています。
#9.
RPR 陰性 TPHA 陽性 (TPLA/TPPA) 梅毒感染を疑う症状や病歴が ない 少しでも ある 確認と再検 ① 確認:プロゾーン現象でないか確認する。 経過観察 (特にTPHA高値の場合) ② 再検:TPLAがRPRより先に上がることが 過去の感染歴(陳旧性)を疑う ※TPHAなどは終生陽性となる ※念のため再検する、方法も無難 あるため、間をおいて再検査し (2~4週程度)、RPRの上昇が 無いか確認する。
#10.
2.梅毒の背景知識 用語 説明 活動性梅毒 治療が必要な状態の梅毒 潜伏梅毒 自他覚症状のない活動性梅毒。RPRの多寡/時期は問わない。 陳旧性梅毒 治癒状態の梅毒(抗体陽性だが治癒状態のもの) 早期梅毒 感染1年以内の活動性梅毒(皮膚粘膜からの感染力が高い) 後期梅毒 感染1年以上の活動性梅毒(他者への感染力は弱い) 梅毒診療ガイド (日本性感染症学会)
#11.
梅毒の自然経過 (NEJM 2020;382:845-54より引用、改変) 早期でも 神経を侵す! 曝露/感染 CNS浸潤 40% 感染から 2~6週 10% 1期梅毒 【感染局所の病変】 口腔咽頭や外陰部の ・硬性下疳 ・無痛性横痃(リンパ節腫大) ・無症候性 ・感染≦1年 早期神経梅毒 早期 潜伏梅毒 眼梅毒 耳梅毒 1期から 1~2月 【無症候性】 2期梅毒 【全身への播種】 ・皮疹(バラ疹) ・発熱 ・全身のリンパ節腫大 ・粘膜病変(有痛性も) ・脱毛 ”Moth-eaten” ・肝炎 (ALPが上昇しやすい) ・腎炎 (膜性腎症など) ・消化管(胃、大腸など) 2期再発 (24%) ≦30% ・無症候性 ・感染>1年 【症候性】 ・梅毒性髄膜炎 ・髄膜血管型 神経梅毒 後期 潜伏梅毒 70% 30% 後期神経梅毒 ・無症候性 感染 2~50年 3期梅毒 終生潜伏 ゴム腫 心血管梅毒 (15%) (10%) 眼梅毒 耳梅毒 ・髄膜血管型神経梅毒 ・進行麻痺・脊髄癆 など(5%)
#12.
3.梅毒検査の背景知識 ① スピロヘータの直接検出 ・病変(特に硬性下疳の潰瘍表面)の擦過物をパーカーインク法や 暗視野顕微鏡検査で確認する方法。 ・1期梅毒の間のみに実施可能。 ※ 実際にはあまり行われない ② 核酸増幅検査(PCR法など) ・種々の検体で実施可能 ・商業的にはまだ広く行われていない
#13.
③ 非特異的梅毒検査 NTT;Non-Treponemal tests STS法;Serological Tests for Syphilis ・ウシ脂質抗原などトレポネーマではない抗原を利用した検査 ・RPR法、VDRL法、凝集法など様々ある。 ・国内ではRPR法が一般的である。 ・非特異的な検査なので、偽陽性が常に問題となる(妊娠、膠原病、 肝疾患、ウイルス感染症など)。 ・数値が治療適応判断や治療効果判定に重要。 ・TPHA法検査より先に上がることが多い。
#14.
④ 特異的梅毒検査 (トレポネーマ抗原法) TT;Treponemal tests ・トレポネーマ抗原を使用した、特異的な検査 ・偽陽性は少なく、陽性であることは活動性の感染または過去の 感染の確定的な検査となる。 ・数値の高低はあまり関係なく、陽性か陰性かが大事。 ・TPLA法(ラテックス):高感度で、RPRより先に上がることもある ・TPHA法(赤血球)・TPPA法(ゼラチン粒子) ・FTA-ABS法(※):RPRと同時期に陽転化する。 ※保険診療で実施できるFTA-ABS(主にIgG)は比較的早期に上昇するためTPHA(TPLAより陽性化が遅い) 陰性の場合に用いられるが、検査依頼できる機関が減ってきている。 ※FTA-ABS-IgM検査はさらに早いが、自費検査になることに注意が必要。