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ABCDアプローチ【救急診療の総論】

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三谷雄己

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投稿者

田邉綾

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テキスト全文

  • #1.

    救急診療の10箇条初期研修医のあなたに 岡山県 笠岡第一病院 救急科 専攻医 田邉 綾 外科 藤井 研介

  • #2.

    初期研修医にとって救急診療能力は必須 臨床研修の基本理念 (医師法) 臨床研修は, 医師が, 医師としての人格をかん養し, 将来専門とする分野に関わらず, 医学及び医療の果たすべき社会的役割を認識しつつ, 一般的な診療において頻繁に関わる負傷又は疾病に適切に対応できるよう, 基本的な診療能力を身につけることのできるものでなければならない →救急現場は初期研修の最適な場

  • #3.

    救急診療は難しい 分類できない症状 時間的制約 予測できない重症患者 →救急現場独自の視点が必要

  • #4.

    救急診療とは 急性疾患の認識 複雑な病態の解明と診断 蘇生や治療の開始 →診断や治療のエラーは患者のアウトカムに大きく影響する →研修医はよくあるエラーを認識する必要がある

  • #5.

    Annals of Emergency Medicine An International Journal March 01, 2021

  • #6.

    Revisiting the Ten Commandments of Emergency Medicine: A Resident’s persective WrennとSlovisによる ”The Ten Commandments of Emergency Medicine” が発表されて30年が経過する 著者と同じ施設で研修するレジデントの視点から, 救急診療において必要な10ヶ条を昔と今を比較しながら再提言している  →シンプルで我々の日常診療にも適応可能

  • #7.

    救急診療の10箇条 1. 慎重にABCを安定化させる 2. ナロキソン, グルコース, チアミンを忘れない 3. 妊娠検査 (時々, エコー) を実施する 4. 最悪を想定する 5. 画像検査前に患者を安定化させる 6. Red flagsを探す 7. 誰も信用しない (カルテさえも) 8. ミスから学ぶ 9. 患者を自分の家族と思う 10. 常に患者に寄り添う Ann Emerg Med. 2021 Mar;77(3):367-370.

  • #8.

    1. 慎重にABCを安定化させる 救急の全ての患者でAirway, Breathing, Circulationを迅速かつ徹底的に評価する必要がある 経時的に評価を行う ABCに異常があれば, 介入までの時間, 順序, 初期診断が誤っていた時の有害性を考慮する必要がある ex)すぐに挿管が必要か, Vfに対する速やかな除細動 蘇生中に必要な晶質液の量と速さには特に注意する必要がある Ann Emerg Med. 2021 Mar;77(3):367-370.

  • #9.

    ◎先ずはABCの異常の認知から モニターを眺めるのではなく, “見て”, ”聞いて”, ”触れて”, 患者を診る事から診療を開始する ABCの異常を認知できなければ介入できない モニターに異常がなくてもABCに異常をきたしていることがある Aの異常ーStridor Bの異常ー呼吸回数, 呼吸様式 Cの異常ー末梢の冷感・冷や汗, 橈骨動脈の触れ, 皮膚の色調(網状皮斑)  N Engl J Med. 2016 Dec 1;375(22):2187. ショックによる網状皮斑 My perspective

  • #10.

    2. ナロキソン, グルコース, チアミンを忘れない 全ての意識障害患者で血糖の測定, ナロキソン, チアミンの投与が推奨される オピオイド流行下では, オピオイド中毒とそれに伴う呼吸抑制の早期認識とナロキソンによるreverseが重要である 特に脳卒中を疑う患者では速やかに血糖を測定する必要がある 救急外来でチアミン欠乏症の頻度は多くはないが, 診断と治療の遅れが患者のアウトカムに大きな影響をもたらす チアミン投与適応は他に, 腫瘍, 胃バイパス術後, 妊娠悪阻, 摂食障害に伴う栄養不足がある Ann Emerg Med. 2021 Mar;77(3):367-370.

  • #11.

    ◎オピオイド中毒 米国でのオピオイドによる中毒死は増加の一途を辿っている 日本ではオピオイド中毒の頻度は低く, 意識障害患者にナロキソン投与する状況は少ない しかし, 日本でもオピオイド製剤の誤用や乱用による急性中毒の報告は存在する 中毒を呈す病歴(フェンタニル貼付製剤の誤用含む)や症状(徐呼吸や意識障害, 縮瞳)からオピオイド中毒を疑えば, 診断・治療目的にナロキソンを投与する My perspective N Engl J Med. 2015 Jan 15;372(3):241-8. J Forensic Sci. 2019 Nov;64(6):1936-1942.

  • #12.

    3. 妊娠検査 (時々, エコー)を実施する 妊娠可能年齢の女性には速やかに妊娠の有無を評価する必要がある 生殖技術の進歩に伴い, 40代後半まで妊娠の可能性を考慮する必要がある 外傷以外の若年女性の腹痛患者でもFASTは有用である Ann Emerg Med. 2021 Mar;77(3):367-370.

  • #13.

    ◎妊娠検査の閾値は低く 救急外来を受診した女性の6%は自身の妊娠に気づいていない. 妊娠検査の実施の前に検査の必要性を説明し, 同意を得る 妊娠検査の適応は3つ 薬を処方する時 画像検査をする時 疾患(異所性妊娠, 流・早産)を疑う時 My perspective Ann Emerg Med. 1994 Oct;24(4):697-700.

  • #14.

    4. 最悪を想定する 生命, 四肢, 視覚を脅かす可能性のある診断を除外する事も救急診療の役割のひとつである 必ずしも正しい診断が必要なのではなく, 認識しなければ患者に害を及ぼす可能性のある危険な疾患を除外する事が重要である 生命を脅かす疾患の可能性が低くとも, 初期治療への効果が乏しければ, さらなる評価を行う必要がある Ann Emerg Med. 2021 Mar;77(3):367-370.

  • #15.

    ◎worst scenarioから考える RULE OUT WORST-CASE SCENARIOS (ROWS)のステップを診断の前に行う事を推奨する ROWS strategyは重大な診断エラーを回避するのに役立つ Ex) ERでの思考回路 中年男性の側腹部痛 腹部大動脈瘤切迫破裂→尿管結石症 若年女性の嘔吐, 下痢 異所性妊娠, 虫垂炎→ウイルス性腸炎 worst scenarioを考えて診療したことを文書化する My perspective Int J Emerg Med. 2020 Apr 16;13(1):17.

  • #16.

    5. 画像検査の前に患者を安定化させる 不安定な患者は診断に必要な画像検査のために救急外来を離れるべきではない ポータブルX線やPoint of care超音波検査が診断に有用である もし不安定な患者に画像検査が必要ならば, 治療を開始した後に施行し, 患者をひとりにしない Ann Emerg Med. 2021 Mar;77(3):367-370.

  • #17.

    ◎血液ガスとエコーを使いこなす 血液ガス, エコー検査はほぼリアルタイムで結果を入手することができる救急患者の診療には必須のツールである 乳酸値は循環不全に鋭敏に反応する ショック患者に対するエコー “Rapid Ultrasound in SHok protocol” はショックの分類に有効である いずれの検査も解釈, 評価には知識と経験を要す My perspective Bull Emerg Trauma. 2018 Oct;6(4):271-278.

  • #18.

    6. Red flagsを探す Red flagsを示唆する症状や徴候を認識することは救急外来で意思決定を行う上で重要である バイタルサインの異常に留意する事が最も重要である. 経時的な変化に注意する. 異常なバイタルサインのアセスメントは必ずカルテに記載しておく. 特に説明できない頻脈を伴う患者を帰宅させるには注意が必要である Ann Emerg Med. 2021 Mar;77(3):367-370.

  • #19.

    6. Red flagsを探す 腹痛, 背部痛を伴う高齢者では積極的に大動脈を評価する必要がある バイタルサインの異常や低血糖症, 鎮静が必要な場合は 急性アルコール中毒と安易に診断しない. 以下の3つの質問に否定的な答えがあればred flagsと捉える 以前にも同様の症状があったか? 経口で十分な栄養摂取が可能か? 普段と同様に歩行できるか? Ann Emerg Med. 2021 Mar;77(3):367-370.

  • #20.

    7. 誰も信用しない(カルテさえも) 初期蘇生はしばしば不正確で不完全な情報の中行う事となる 他施設からの診療情報提供書を盲目的に信じるべきではない 可能な限り患者, 家族に再度病歴聴取を行う 患者の話は時間と共に変化し, 全ての病歴を話すとは限らないことを理解しておく. Ann Emerg Med. 2021 Mar;77(3):367-370.

  • #21.

    8. ミスから学ぶ 我々は医療ミスを減らし, 安全性を向上させる努力を続けるべきである 特に患者に悪い結果が生じた場合は, 信頼できる同僚や指導者に報告を行い, 建設的に解決する必要がある Ann Emerg Med. 2021 Mar;77(3):367-370.

  • #22.

    ◎症例共有で次に繋げる My perspective Robert L. Rogers Practical Teaching in Emergency Medicine 救急部門は問題解決型の学習に適した場である 症例の振り返りや小グループでの議論は学習に有用である 研修医同士で経験した症例を振り返り共有する事は, 自身の知識を深め診療能力の向上につながる

  • #23.

    9. 患者を自分の家族と思う 患者がもし自分の家族であったとしたら, 何を望むか考え全ての患者に接する必要がある 特に診療の困難患者に直面した場合は, 通常よりも多くの評価を行い, 常に患者に対して共感を行う必要がある Ann Emerg Med. 2021 Mar;77(3):367-370.

  • #24.

    ◎Shared decision makingを行う Shared decision making(SDM)とは, 最良のエビデンスと患者の価値観を統合させ, 医師と患者が意思決定を行うプロセスのことである 検査または治療の選択肢が複数存在する場合, それぞれのベネフィットとリスクを説明し患者と意思決定を共有する事は救急外来においても有効である My perspective JAMA. 2016 May 17;315(19):2063-4. Acad Emerg Med. 2012 Aug;19(8):959-67.

  • #25.

    10. 常に患者に寄り添う 救急診療では不確実な情報の中, 意思決定を行うことが少なくない たとえ救急外来で患者の問題を全て解決できなかったとしても, 苦痛を軽減するために出来る事は常に行う必要がある 不確実な状態に直面した場合, 現在の状況と悪化した時にどの程度まで回復できるか患者に伝える必要がある Ann Emerg Med. 2021 Mar;77(3):367-370.

  • #26.

    ◎患者説明に時間をかける 救急外来の患者の3%は2-3日以内に再診し, その内の20-50%が初診時の説明が十分できていれば回避できた可能性がある 患者説明は以下の情報を時に紙に記載しながら丁寧に行う必要がある 現時点での暫定診断 その他に考えられる疾患 生活上の注意点 再診が必要な具体的な状況 帰宅指示書の使用も有用である 説明内容をカルテに記載する My perspective J Emerg Med. Sep-Oct 1987;5(5):359-62.

  • #27.

    救急診療の10箇条 1. 慎重にABCを安定化させる 2. ナロキソン, グルコース, チアミンを忘れない 3. 妊娠検査 (時々, エコー) を実施する 4. 最悪を想定する 5. 画像検査前に患者を安定化させる 6. Red flagsを探す 7. 誰も信用しない (カルテさえも) 8. ミスから学ぶ 9. 患者を自分の家族と思う 10. 常に患者に寄り添う Ann Emerg Med. 2021 Mar;77(3):367-370.

  • #28.

    おわりに 研修医にとって救急現場は学びの宝庫である. 一方で救急診療は難しい. 決して一朝一夕に診療能力が身につくわけではない. 救急現場において初学者が必要なのは, 高度な診断能力や手技の上手さではなく, 基本を怠らず, 毎症例ごとに振り返り, 次の症例に生かす姿勢である.今回紹介した古くから変わらない救急診療における基本を胸に診療に臨んでほしい.

救急診療の10箇条 初期研修医のあなたに

  • 救急科

  • 初期研修医

  • 初期研修医向け
  • 救急

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投稿者プロフィール
田邉綾

医療法人社団清和会笠岡第一病院

概要

研修医にとって救急現場は学びの宝庫である. 一方で救急診療は難しい. 決して一朝一夕に診療能力が身につくわけではない.

本スライドは, Ann Emerg Med. に2021年3月に掲載された"Revisiting the Ten Commandments of Emergency Medicine: A Resident's Perspective."を引用し, 救急診療において重要な10箇条を自身の視点も交えながら説明したものである.

今一度, 古くから存在する救急診療の基礎を胸に刻もう.

本スライドの対象者

研修医

テキスト全文

  • #1.

    救急診療の10箇条初期研修医のあなたに 岡山県 笠岡第一病院 救急科 専攻医 田邉 綾 外科 藤井 研介

  • #2.

    初期研修医にとって救急診療能力は必須 臨床研修の基本理念 (医師法) 臨床研修は, 医師が, 医師としての人格をかん養し, 将来専門とする分野に関わらず, 医学及び医療の果たすべき社会的役割を認識しつつ, 一般的な診療において頻繁に関わる負傷又は疾病に適切に対応できるよう, 基本的な診療能力を身につけることのできるものでなければならない →救急現場は初期研修の最適な場

  • #3.

    救急診療は難しい 分類できない症状 時間的制約 予測できない重症患者 →救急現場独自の視点が必要

  • #4.

    救急診療とは 急性疾患の認識 複雑な病態の解明と診断 蘇生や治療の開始 →診断や治療のエラーは患者のアウトカムに大きく影響する →研修医はよくあるエラーを認識する必要がある

  • #5.

    Annals of Emergency Medicine An International Journal March 01, 2021

  • #6.

    Revisiting the Ten Commandments of Emergency Medicine: A Resident’s persective WrennとSlovisによる ”The Ten Commandments of Emergency Medicine” が発表されて30年が経過する 著者と同じ施設で研修するレジデントの視点から, 救急診療において必要な10ヶ条を昔と今を比較しながら再提言している  →シンプルで我々の日常診療にも適応可能

  • #7.

    救急診療の10箇条 1. 慎重にABCを安定化させる 2. ナロキソン, グルコース, チアミンを忘れない 3. 妊娠検査 (時々, エコー) を実施する 4. 最悪を想定する 5. 画像検査前に患者を安定化させる 6. Red flagsを探す 7. 誰も信用しない (カルテさえも) 8. ミスから学ぶ 9. 患者を自分の家族と思う 10. 常に患者に寄り添う Ann Emerg Med. 2021 Mar;77(3):367-370.

  • #8.

    1. 慎重にABCを安定化させる 救急の全ての患者でAirway, Breathing, Circulationを迅速かつ徹底的に評価する必要がある 経時的に評価を行う ABCに異常があれば, 介入までの時間, 順序, 初期診断が誤っていた時の有害性を考慮する必要がある ex)すぐに挿管が必要か, Vfに対する速やかな除細動 蘇生中に必要な晶質液の量と速さには特に注意する必要がある Ann Emerg Med. 2021 Mar;77(3):367-370.

  • #9.

    ◎先ずはABCの異常の認知から モニターを眺めるのではなく, “見て”, ”聞いて”, ”触れて”, 患者を診る事から診療を開始する ABCの異常を認知できなければ介入できない モニターに異常がなくてもABCに異常をきたしていることがある Aの異常ーStridor Bの異常ー呼吸回数, 呼吸様式 Cの異常ー末梢の冷感・冷や汗, 橈骨動脈の触れ, 皮膚の色調(網状皮斑)  N Engl J Med. 2016 Dec 1;375(22):2187. ショックによる網状皮斑 My perspective

  • #10.

    2. ナロキソン, グルコース, チアミンを忘れない 全ての意識障害患者で血糖の測定, ナロキソン, チアミンの投与が推奨される オピオイド流行下では, オピオイド中毒とそれに伴う呼吸抑制の早期認識とナロキソンによるreverseが重要である 特に脳卒中を疑う患者では速やかに血糖を測定する必要がある 救急外来でチアミン欠乏症の頻度は多くはないが, 診断と治療の遅れが患者のアウトカムに大きな影響をもたらす チアミン投与適応は他に, 腫瘍, 胃バイパス術後, 妊娠悪阻, 摂食障害に伴う栄養不足がある Ann Emerg Med. 2021 Mar;77(3):367-370.

  • #11.

    ◎オピオイド中毒 米国でのオピオイドによる中毒死は増加の一途を辿っている 日本ではオピオイド中毒の頻度は低く, 意識障害患者にナロキソン投与する状況は少ない しかし, 日本でもオピオイド製剤の誤用や乱用による急性中毒の報告は存在する 中毒を呈す病歴(フェンタニル貼付製剤の誤用含む)や症状(徐呼吸や意識障害, 縮瞳)からオピオイド中毒を疑えば, 診断・治療目的にナロキソンを投与する My perspective N Engl J Med. 2015 Jan 15;372(3):241-8. J Forensic Sci. 2019 Nov;64(6):1936-1942.

  • #12.

    3. 妊娠検査 (時々, エコー)を実施する 妊娠可能年齢の女性には速やかに妊娠の有無を評価する必要がある 生殖技術の進歩に伴い, 40代後半まで妊娠の可能性を考慮する必要がある 外傷以外の若年女性の腹痛患者でもFASTは有用である Ann Emerg Med. 2021 Mar;77(3):367-370.

  • #13.

    ◎妊娠検査の閾値は低く 救急外来を受診した女性の6%は自身の妊娠に気づいていない. 妊娠検査の実施の前に検査の必要性を説明し, 同意を得る 妊娠検査の適応は3つ 薬を処方する時 画像検査をする時 疾患(異所性妊娠, 流・早産)を疑う時 My perspective Ann Emerg Med. 1994 Oct;24(4):697-700.

  • #14.

    4. 最悪を想定する 生命, 四肢, 視覚を脅かす可能性のある診断を除外する事も救急診療の役割のひとつである 必ずしも正しい診断が必要なのではなく, 認識しなければ患者に害を及ぼす可能性のある危険な疾患を除外する事が重要である 生命を脅かす疾患の可能性が低くとも, 初期治療への効果が乏しければ, さらなる評価を行う必要がある Ann Emerg Med. 2021 Mar;77(3):367-370.

  • #15.

    ◎worst scenarioから考える RULE OUT WORST-CASE SCENARIOS (ROWS)のステップを診断の前に行う事を推奨する ROWS strategyは重大な診断エラーを回避するのに役立つ Ex) ERでの思考回路 中年男性の側腹部痛 腹部大動脈瘤切迫破裂→尿管結石症 若年女性の嘔吐, 下痢 異所性妊娠, 虫垂炎→ウイルス性腸炎 worst scenarioを考えて診療したことを文書化する My perspective Int J Emerg Med. 2020 Apr 16;13(1):17.

  • #16.

    5. 画像検査の前に患者を安定化させる 不安定な患者は診断に必要な画像検査のために救急外来を離れるべきではない ポータブルX線やPoint of care超音波検査が診断に有用である もし不安定な患者に画像検査が必要ならば, 治療を開始した後に施行し, 患者をひとりにしない Ann Emerg Med. 2021 Mar;77(3):367-370.

  • #17.

    ◎血液ガスとエコーを使いこなす 血液ガス, エコー検査はほぼリアルタイムで結果を入手することができる救急患者の診療には必須のツールである 乳酸値は循環不全に鋭敏に反応する ショック患者に対するエコー “Rapid Ultrasound in SHok protocol” はショックの分類に有効である いずれの検査も解釈, 評価には知識と経験を要す My perspective Bull Emerg Trauma. 2018 Oct;6(4):271-278.

  • #18.

    6. Red flagsを探す Red flagsを示唆する症状や徴候を認識することは救急外来で意思決定を行う上で重要である バイタルサインの異常に留意する事が最も重要である. 経時的な変化に注意する. 異常なバイタルサインのアセスメントは必ずカルテに記載しておく. 特に説明できない頻脈を伴う患者を帰宅させるには注意が必要である Ann Emerg Med. 2021 Mar;77(3):367-370.

  • #19.

    6. Red flagsを探す 腹痛, 背部痛を伴う高齢者では積極的に大動脈を評価する必要がある バイタルサインの異常や低血糖症, 鎮静が必要な場合は 急性アルコール中毒と安易に診断しない. 以下の3つの質問に否定的な答えがあればred flagsと捉える 以前にも同様の症状があったか? 経口で十分な栄養摂取が可能か? 普段と同様に歩行できるか? Ann Emerg Med. 2021 Mar;77(3):367-370.

  • #20.

    7. 誰も信用しない(カルテさえも) 初期蘇生はしばしば不正確で不完全な情報の中行う事となる 他施設からの診療情報提供書を盲目的に信じるべきではない 可能な限り患者, 家族に再度病歴聴取を行う 患者の話は時間と共に変化し, 全ての病歴を話すとは限らないことを理解しておく. Ann Emerg Med. 2021 Mar;77(3):367-370.

  • #21.

    8. ミスから学ぶ 我々は医療ミスを減らし, 安全性を向上させる努力を続けるべきである 特に患者に悪い結果が生じた場合は, 信頼できる同僚や指導者に報告を行い, 建設的に解決する必要がある Ann Emerg Med. 2021 Mar;77(3):367-370.

  • #22.

    ◎症例共有で次に繋げる My perspective Robert L. Rogers Practical Teaching in Emergency Medicine 救急部門は問題解決型の学習に適した場である 症例の振り返りや小グループでの議論は学習に有用である 研修医同士で経験した症例を振り返り共有する事は, 自身の知識を深め診療能力の向上につながる

  • #23.

    9. 患者を自分の家族と思う 患者がもし自分の家族であったとしたら, 何を望むか考え全ての患者に接する必要がある 特に診療の困難患者に直面した場合は, 通常よりも多くの評価を行い, 常に患者に対して共感を行う必要がある Ann Emerg Med. 2021 Mar;77(3):367-370.

  • #24.

    ◎Shared decision makingを行う Shared decision making(SDM)とは, 最良のエビデンスと患者の価値観を統合させ, 医師と患者が意思決定を行うプロセスのことである 検査または治療の選択肢が複数存在する場合, それぞれのベネフィットとリスクを説明し患者と意思決定を共有する事は救急外来においても有効である My perspective JAMA. 2016 May 17;315(19):2063-4. Acad Emerg Med. 2012 Aug;19(8):959-67.

  • #25.

    10. 常に患者に寄り添う 救急診療では不確実な情報の中, 意思決定を行うことが少なくない たとえ救急外来で患者の問題を全て解決できなかったとしても, 苦痛を軽減するために出来る事は常に行う必要がある 不確実な状態に直面した場合, 現在の状況と悪化した時にどの程度まで回復できるか患者に伝える必要がある Ann Emerg Med. 2021 Mar;77(3):367-370.

  • #26.

    ◎患者説明に時間をかける 救急外来の患者の3%は2-3日以内に再診し, その内の20-50%が初診時の説明が十分できていれば回避できた可能性がある 患者説明は以下の情報を時に紙に記載しながら丁寧に行う必要がある 現時点での暫定診断 その他に考えられる疾患 生活上の注意点 再診が必要な具体的な状況 帰宅指示書の使用も有用である 説明内容をカルテに記載する My perspective J Emerg Med. Sep-Oct 1987;5(5):359-62.

  • #27.

    救急診療の10箇条 1. 慎重にABCを安定化させる 2. ナロキソン, グルコース, チアミンを忘れない 3. 妊娠検査 (時々, エコー) を実施する 4. 最悪を想定する 5. 画像検査前に患者を安定化させる 6. Red flagsを探す 7. 誰も信用しない (カルテさえも) 8. ミスから学ぶ 9. 患者を自分の家族と思う 10. 常に患者に寄り添う Ann Emerg Med. 2021 Mar;77(3):367-370.

  • #28.

    おわりに 研修医にとって救急現場は学びの宝庫である. 一方で救急診療は難しい. 決して一朝一夕に診療能力が身につくわけではない. 救急現場において初学者が必要なのは, 高度な診断能力や手技の上手さではなく, 基本を怠らず, 毎症例ごとに振り返り, 次の症例に生かす姿勢である.今回紹介した古くから変わらない救急診療における基本を胸に診療に臨んでほしい.

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