テキスト全文
頭痛×ERの重要性と経験談
#1. 頭痛×ER二次性頭痛のみかた デキレジは“こう動く”
#3. こんな経験ありませんか?① 頭痛持ちの患者さんでも,新規に二次性頭痛を起こしている可能性があります. 2 頭痛患者のwalk-inか.もともと頭痛持ちらしい.
こんな夜中にわざわざ来なくても・・・ (眠) ヤバレジ 大丈夫?普段の頭痛とは違うみたいだけど. デキレジ …くも膜下出血だった(汗). --- C T 撮 像 後 ---
くも膜下出血の診断と注意点
#4. こんな経験ありませんか?② CTでは拾い上げることができないくも膜下出血もあります. 3 突然発症の頭痛!くも膜下出血要注意!
…あれ,CTでは出血がないぞ?違ったのかー. ヤバレジ 疑わしい時はMRIまで確認した方がいいよ! デキレジ …くも膜下出血だった(汗). --- M R I 撮 像 後 ---
#5. ER診療×頭痛 救急外来には,さまざまな頭痛の患者さんが来院します. 出典:頭痛の診療ガイドライン2021 4 頭痛急患
3.2% 二次性
頭痛 58. 6% 一次性
頭痛 頭痛患者は多い/原因疾患はさまざま
#6. 頭痛診療は簡単!? 非典型的な臨床像を呈する緊急疾患も多く,頭痛診療は難しいです. 5 もともと頭痛持ち患者の二次性頭痛
walk-inで受診する軽症SAH など
頭痛診療の鉄則と鑑別診断
#7. デキレジになるには? 安全な頭痛診療ができるようになりましょう. 6 ①頭痛診療の手順・pit fallを把握している
②頭部画像を適切に読影できる
#8. CONTENTS 7 Introduction 頭痛診療の鉄則 まず除外する頭痛 その他の二次性頭痛 01 02 03 04
#10. 頭痛診療の鉄則:鑑別の順番 ERにおける頭痛診療では,危険の疾患から順に考えましょう. 9
緊急疾患
細菌性髄膜炎
くも膜下出血
その他の
二次性頭痛
脳動脈解離
脳腫瘍・膿瘍
緑内障 など
一次性頭痛
片頭痛
緊張型頭痛
群発頭痛
二次性頭痛のレッドフラッグと除外疾患
#11. 頭痛診療の鉄則:問診力 頭痛の性状については,詳細な聴取が重要です. 10 危険な頭痛
①強い ②増悪する ③突然 ④新しい △頭痛は突然でしたか?
○頭痛が起こった瞬間,何をしていましたか? △もともと頭痛持ちですか?
○これまでと同じ頭痛ですか?
#12. 二次性頭痛のレッドフラッグ:SNNOOP SNNOOPに1つでも当てはまる場合,二次性頭痛を疑う必要があります. 出典:頭痛の診療ガイドライン2021 11
#14. まず除外する頭痛 頭痛患者を診るときは,まずこの2疾患の可能性を考えましょう. 13
細菌性髄膜炎
- 内科エマージェンシー -
くも膜下出血
- 頭痛界のACS -
細菌性髄膜炎の診断と治療の重要性
#15. まず除外する疾患:細菌性髄膜炎 細菌性髄膜炎は内科エマージェンシーであり,早急に診断・治療しないといけません. 出典:細菌性髄膜炎診療ガイドライン2014 14 三徴が揃うのは44-51%
(95%の症例で2つ以上の症状を認める)
#16. 細菌性髄膜炎:髄膜刺激徴候 有名な診察所見として,髄膜刺激徴候があります. 15
#17. 細菌性髄膜炎:腰椎穿刺 少しでも疑う場合は,積極的に腰椎穿刺を行いましょう. 16 細菌性髄膜炎の四徴
発熱・項部硬直・意識障害・頭痛 ≧3 ≦2 腰椎穿刺 いくつ当てはまる? No Yes 髄膜刺激徴候がある? 腰椎穿刺 当てはまる? 腰椎穿刺 他を検索 原因不明 Yes No
#18. まず除外する疾患:くも膜下出血 SAHは予後不良な疾患であり,確実に診断しないといけません. 17 頭痛患者で絶対に除外するべき疾患
(胸痛でいうACS的存在) SAHの予後
1/3:死亡
1/3:後遺症
1/3:後遺症なく回復
くも膜下出血の非典型的な臨床像
#19. くも膜下出血:診断 SAH診断の難しさは,「非典型的な臨床像・CT画像」をどう拾い上げるかにあります. 18 「雷鳴様頭痛×典型画像(ヒトデ)」なら苦労しない
#20. くも膜下出血:診断 SAH診断の難しさは,「非典型的な臨床像・CT画像」をどう拾い上げるかにあります. 19 ①非典型的な臨床像:CTを撮ることができるか
②CTで出血がない:偽陰性を疑い次に進めるか
#21. ①非典型的な臨床像 SAH除外のために,オタワルールというものあります. 出典:JAMA. 2013 Sep 25;310(12):1248-55. 20 とはいえ受診者の多くは40歳以上…
#22. ①非典型的な臨床像 絶対的な基準はなく,結局はCTを撮るハードルを下げるしかありません. 21 少しでも“違和感”があればCT
(すぐ撮れる病院に頭痛患者≒可能な限りCT検討)
CT検査の偽陰性と読影のポイント
#23. ②CTで出血がない SAHがCTで検出されない場合,以下の2つの状況が考えられます. 22
読影力不足
CT偽陰性
#24. ②CTで出血がない:読影力 正しく読影するには,まず出血が溜まりやすい部位を理解します. 23 脳底槽 大脳縦裂 シルビウス裂 左右差はないか? 典型的なSAH部位
#25. ②CTで出血がない:読影力 正しく読影するには,まず出血が溜まりやすい部位を理解します. 24 ここにもSAHは起こる 出血貯留は?水頭症は? 円蓋部脳溝 側脳室
#26. ②CTで出血がない:読影力 見つけにくい部位/非典型的な部位のSAHも念頭に入れて読影しましょう. 25 円蓋部脳溝 大脳鎌などに発症することも
二次性頭痛の鑑別とまとめ
#27. ②CTで出血がない:偽陰性 発症から時間が経過するごとに,頭部CTでは偽陰性が増えると言われています. 出典:J.Neurosurg. 1990 Jul ; 73(1):18-36. 26 CT所見あり(%) day 1日ごとに約7%低下
#28. ②CTで出血がない:偽陰性 CT偽陰性だったSAHが,MRIで検出されることがあります. 27 FLAIR-HIA T2*-LIA
#29. ②CTで出血がない:偽陰性 もう1つの選択肢として腰椎穿刺がありますが,MRIとの違いを知っておきましょう. 28
#30. まず除外する頭痛:まとめ 29 二次性頭痛
の鑑別 まず除外する
頭痛 その他の
二次性頭痛 ②くも膜下出血
1/3が死亡
・非典型でも気になればCT
・CT読影能力をup
(正常解剖/好発部位把握)
・CT陰性でも疑えばMRI
①細菌性髄膜炎
内科エマージェンシー
・四徴候は必ずしも揃わない
・髄膜刺激徴候を正しく解釈
・フローチャートを参考に
疑ったら積極的に腰椎穿刺
その他の二次性頭痛の考察
#32. その他の二次性頭痛 細菌性髄膜炎・SAHについて検討したら,他の二次性頭痛の可能性を考えます. 参考:頭痛の診療ガイドライン2021 31
#33. その他の二次性頭痛:病歴のキーワード 患者背景/疼痛部位・性状/増悪因子などから,疾患を推定することができます. 32
#34. その他の二次性頭痛:身体診察のキーワード 全身状態/随伴症状などからも,鑑別疾患を推測しましょう. 33
脳動脈解離や脳膿瘍などの症例
#35. その他の二次性頭痛:脳動脈解離 脳動脈解離の臨床像は,脳梗塞合併/くも膜下出血合併/頭痛のみと多様です. 34 若〜中年・突然発症の頭痛+α
症状:頭痛,頚部痛,麻痺,
Wallenberg症候群(延髄外側の梗塞)
頭痛・頚部痛だけのことも
※神経症状が続く場合も,頭痛先行が多い
特徴:若〜中年発症
特発性 or 頸部外傷・回旋後発症
検査:eCT(doubule lumen,intimal flap)
MRI(BPASで血管外径拡張)
(WWIでT1WI-HIA)
#36. その他の二次性頭痛:脳静脈洞血栓症 静脈洞血栓症は,出血をきたすと致死的となるため見逃せません. 参考・画像: N Engl J Med 2021;385:59-64. 35 若年・急性発症の頭痛(発熱なし)
症状:頭痛,嘔気,意識変容(頭蓋内圧亢進)
けいれん,脳神経症状(Ⅲ,Ⅳ,Ⅵ)
特徴:血栓性素因(妊娠,経口避妊薬など)
近傍の炎症(副鼻腔炎,中耳炎など)
※COVID19ワクチンで発症報告あり
検査:D-dimer(感度高い)
CT(脳浮腫,急性期血栓がHDA)
MRI(血栓がHIA)
※最終的にはCTV/MRVや血管造影 CT-sagital
#37. その他の二次性頭痛:脳膿瘍 脳膿瘍は,症状が前面に出ないことがあり注意が必要です. 36 重篤感の低い・亜急性の感染徴候+頭痛
症状:頭痛,発熱(ないことも)
意識障害,痙攣,嘔吐,局所神経症状
↑呈している症例はあまり多くない
特徴:感染症リスク因子(免疫不全など)
血行性感染(IE,口腔内,皮膚など)
近傍の炎症(副鼻腔炎,中耳炎など)
診断:軽微な意識変容(大事!)
CT/MRI(ring enhancement)
#38. その他の二次性頭痛:緑内障発作 緑内障発作は,治療の遅れが失明を招く危険性があります. 37 急〜亜急性の頭痛(眼痛)
症状:視力低下,眼痛,頭痛,嘔吐
※頭痛を主訴に受診することもある
診察:瞳孔散大,対光反射低下・消失
充血,角膜混濁など
診断:眼圧測定
触診でも弾力の左右差を確認できる
#39. その他の二次性頭痛:帯状疱疹 痛みが先行する場合や無疹性帯状疱疹では,診断に難渋することが多いです. 38 三叉神経領域の痛み
症状:三叉神経領域の痛み,発疹,視力低下
※頭痛と訴えることもある
※水疱がないこともある
(無疹性帯状疱疹;Zoster Sine Herpete)
特徴:免疫力低下患者に多い
髄膜炎・脳血管障害を続発することも
診断:痛みの分布
三叉神経領域に限局していれば,
発疹がなくても治療開始
#40. その他の二次性頭痛:まとめ 39 二次性頭痛
の鑑別 まず除外する
頭痛 その他の
二次性頭痛 VINDICATE×解剖学的部位×病歴×身体診察
などを活用して推測・検査