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しびれの非専門医対応と評価方法
#1. しびれ非専門医としての対応 まずは“コレだけ”
#3. 「しびれ感」を訴える人は多く,日常診療におけるcommonな症状です. 2 しびれのみかた 「しびれの患者」は多い
#4. しびれのみかた 「しびれ感」と表現されうる病態はさまざまで,鑑別は多岐にわたります. 3 しびれ感があります
#5. デキレジになるには? 患者の訴える「しびれ感」を正しく捉え,診断できるようになりましょう. 4 ①患者の訴える「しびれ感」の正体を正しく評価できる
②「しびれ感」の鑑別疾患を絞ることができる
しびれの分布と鑑別疾患の基本
#6. CONTENTS 5 「しびれ感」の評価 しびれの分布 診断の流れ おもな鑑別疾患 01 02 03 04
#8. しびれの正体 患者の「しびれ」をそのまま受け取ると,解釈がすれ違うことがあります. 7 しびれ感があります 詳細な病歴聴取・診察で
「しびれ」の正体を突き止める
#9. しびれの原因 しびれ=感覚障害と分かった後も,鑑別疾患は非常に多いです. 8 どこ(解剖)が原因なのか?
なに(病態)が原因なのか?
#10. 分布
しびれの分布パターン 発症様式
VINDICATEなど しびれのアプローチ 鑑別の立て方はいくつかありますが,しびれ診療の基本は「分布」に着目します. 9 ×
しびれの分布パターンと解剖学的部位
#12. 分布のパターン しびれ診療では,分布のパターンをもとに病変の解剖学的部位を推測します. 11
#13. 分布①:顔面を含む半身 12 しびれの分布:顔面を含む半身
解剖学的部位:大脳
鑑別疾患 :脳血管障害,脱髄疾患など
例)pure sensory stroke・手口症候群
多発性硬化症など
※微小梗塞では,麻痺・構音障害をきたさないことも 顔面を含む半身のしびれでは,大脳病変を考えます.
#14. 分布②:交代性 13 顔面・体部が交代性のしびれでは,脳幹病変を考えます. しびれの分布:交代性(顔面・体部)
解剖学的部位:脳幹
鑑別疾患 :脳血管障害,脱髄疾患など
例)ワレンベルグ症候群など
(交代性しびれ+嚥下障害+小脳失調+ホルネル症候群)
※脳幹障害では,他の神経症状を伴うことが多い.
#15. 分布③:障害レベル以下 14 特定の脊髄高位以下のしびれでは,脊髄病変を考えます. しびれの分布:障害レベル以下
解剖学的部位:脊髄
鑑別疾患 :頚椎症,脊髄炎,血管障害,腫瘍など
※適切な高位の脊髄MRIをオーダーできるかが鍵
※脊髄横断面における病変分布も,鑑別に有効
#16. 分布④:一肢 15 一肢しびれの鑑別の1つに,神経根障害があります. しびれの分布:一肢
解剖学的部位:神経根
鑑別疾患 :神経圧迫疾患
例)頚椎症性神経根症,腰椎ヘルニアなど
分布がデルマトームに沿っている➜神経根障害
脊髄高位の知識・丁寧な診察・画像検査が必須
#17. 分布④:一肢 16 同じ一肢しびれでも,末梢神経障害(単神経障害)の可能性もあります. しびれの分布:一肢
解剖学的部位:単神経(正中/橈骨/尺骨/腓骨神経など)
鑑別疾患 :絞扼性障害
例)手根管症候群,橈骨神経麻痺,肘部管症候群など
※多発単神経障害の初期である可能性もある
#18. 分布⑤:複数肢 17 複数肢(四肢)のしびれでは,多発神経障害を考えます. しびれの分布:複数肢
解剖学的部位:多発神経
鑑別疾患 :代謝性疾患・免疫性疾患・薬剤など
例)糖尿病,ビタミン欠乏,アルコール性,GBSなど
※鑑別が多く,病歴がより重要になる
(大酒家;アルコール,先行感冒・急速進行;GBSなど)
#19. 分布⑤:複数肢 18 四肢でもなく,頭蓋内・脊髄で説明がつかない複数肢しびれでは,多発単神経障害を考えます. しびれの分布:複数肢(頭蓋内や脊髄疾患で説明がつかない)
解剖学的部位:多発単神経
鑑別疾患 :血管炎
例)ANCA関連血管炎,二次性血管炎(膠原病/感染)
※出現時期のズレで,初期は単神経障害と見誤ることも
※進行すると,多発神経障害と区別できなくなる
#20. しびれの分布:まとめ① しびれの分布から,病変の解剖学的部位を推測しましょう. 19
しびれの診断の流れと検査方法
#21. しびれの分布:まとめ② 解剖学的部位ごとにみたしびれの分布は,以下のようになります. 20 しびれ 脳 脊髄 末梢神経 大脳 脳幹 脊髄症 神経根症 多発 単 多発単
#23. 診断の流れ 診察・検査(血液・画像・神経伝導速度)を駆使して,原因を検索します. 22 しびれの精査
#24. 診断の流れ:診察 分布の詳細な評価に加えて,反射などの確認も病巣検索に役立ちます. 23 診察
#25. 診断の流れ:血液検査 血液検査は,おもに末梢神経障害・神経系以外の原因検索に有用です. 24 血液 臨床像やしびれの分布などをもとに必要な検査を実施
#26. 診断の流れ:画像検査 頭蓋内・脊髄疾患診断のゴールドスタンダードは画像検査です. 25 画像
#27. 診断の流れ:神経伝導検査 専門医診療の範疇ですが,神経伝導検査についても簡単に把握しておきましょう. 26 NCS
おもな鑑別疾患の詳細と特徴
#30. おもな鑑別疾患 最後に,数ある鑑別の中から主な疾患を紹介します. 29
#31. おもな鑑別疾患①:手口症候群 感覚情報の中継地である視床は,感覚障害の好発部位です. 図:視床のホムンクルス 30 視床の小梗塞
⬇
手先・口唇に限局したしびれ 感覚情報 感覚情報 ※橋などでも起こる
#32. おもな鑑別疾患②:ワレンベルグ症候群(延髄外側症候群) 交代性の感覚障害(しびれ)で代表的なものとして,延髄外側症候群が挙げられます. 31 病側の顔面感覚障害:三叉神経
対側の体幹感覚障害:外側視床脊髄路
球麻痺症状 :舌咽・迷走神経
失調 :小脳
ホルネル症候群 :交感神経 延髄(脳幹)は多くの神経路が密集
➜複数の神経障害が起こりやすい 小脳脚 交感神経幹 三叉神経脊髄路 外側視床脊髄路 内側毛帯 錐体路 舌咽(迷走)神経 舌下神経
#33. おもな鑑別疾患③:頚椎症 頚椎症は「上肢しびれ」の原因となる代表格です. 32 椎体 頚椎症性神経根症
(神経根の機械的圧迫)
しびれの部位をもとに
病変の高位を予測
#34. おもな鑑別疾患③:頚椎症 高位診断はもちろん,脊髄症/神経根症の鑑別が非常に重要です. 33
#35. おもな鑑別疾患④:手根管症候群/肘部管症候群 「上肢(手)しびれ」では,末梢の絞扼性疾患も鑑別に挙げる必要があります. 34 手根管症候群:正中神経
肘部管症候群:尺骨神経 好発絞扼部位
ハンマーで叩打(Tinel徴候) 手関節〜前腕は通常≦6cm
>6cmならC8神経根症考慮 ring-finger splitting
⇔神経根症
#36. おもな鑑別疾患⑤:腰椎症 下肢しびれでは,腰部脊柱管疾患の可能性を考えましょう. 35 しびれ・筋力低下部位や反射をもとに
病変の高位を予測
代謝性神経障害と対症療法の考察
#37. おもな鑑別疾患⑤:腰椎症 円錐上部/円錐部/馬尾症候群を理解できると,「下肢しびれ」に強くなります. 36 円錐部 円錐上部 馬尾 腰椎神経根
#38. おもな鑑別疾患⑥:アルコール性/ビタミンB欠乏性ニューロパチー ポリニューロパチーの1つ,代謝性神経障害(アルコール/ビタミン)について概説します. 37
#39. +α:しびれの対症療法 原疾患の治療が大前提ですが,対症療法は神経障害性疼痛に準じて行います. 38