テキスト全文
不眠症の理解と睡眠薬の投与
#1. 不眠理解して投与する睡眠薬 まずは“コレだけ”
#3. 参考:睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療ガイドライン 2 不眠症はcommon disease 不眠症は頻度の高い代表的な睡眠障害です. 不眠症
に罹患 6-10% 20% 成人 何らかの不眠症状
(入眠困難・中途覚醒・
早朝覚醒・熟眠困難など)
不眠症対策と診療の要点
#4. --- 翌 日 --- 不眠症対策 とはいえ疎かになりがちな不眠症対策,ちゃんとできていますか? 先生の入院患者さん,夜なかなか寝ないんですよ. とりあえず不眠時セット(マイスリー®)を入力っと. 誤嚥性肺炎 過鎮静 転倒 3
#5. 不眠症診療がデキる! 診療の要点を押さえて,不眠症状で適切に対応しましょう. 4 ①不眠診療の概観を理解している
②患者ごとに適切な睡眠薬を選択できる
#6. CONTENTS 5 睡眠と覚醒 不眠症診療の方針 睡眠薬 入院時の不眠 01 02 03 04
睡眠と覚醒のメカニズム
#8. 覚醒 睡眠 睡眠と覚醒 まずは,睡眠と覚醒がどのような因子で決定するかを知りましょう. 7 神経伝達物質のバランスにより決定 原動力
#9. 覚醒 覚醒状態には,色々な神経伝達物質が関わっています. 8 覚醒 睡眠 オレキシン
ヒスタミン
アセチルコリン
セロトニン
ノルエピネフリン
ドパミン
グルタミン
#10. 睡眠 睡眠状態は,主にGABA(抑制性の神経伝達物質)が司っています. 9 覚醒 睡眠 NREM:GABA
REMN:アセチルコリン
#11. 原動力 シーソーを動かす原動力として,以下のメカニズムがあります. 10 覚醒 睡眠 概日リズム -Process C- :時間が来たら眠くなる(目が覚める)
中枢;光刺激でメラトニン分泌を調節 / 末梢;すべての細胞に備わる転写・抑制ループ
恒常性 -Process S- :覚醒時間が長い(短い)と眠くなる(目が覚める)
覚醒(エネルギー放出)➔ アデノシンが増加して覚醒の神経伝達物質を抑制 ➔ 眠気
#12. 不眠症=バランスの崩れ 不眠症では,様々な理由からシーソーのどこかがバランスを崩しています. 11 バランスが崩れる➔不眠症 原動力
不眠症診療の方針と要因
#14. 不眠のタイプ 不眠症は急性/慢性不眠に分けられ,アプローチが異なります. 13
#15. 不眠症の経過:Spielmanの3Pモデル 不眠症(急性)を発症して慢性不眠へと移行する経過を,3つの因子で考えましょう. 図:睡眠専門医がまじめに考える睡眠薬の本 14
#16. 概日リズム 恒常性 睡眠環境 睡眠関連疾患 不眠症の要因 不眠症の要因は,シーソーの中心部・周辺部に分けて考えます. 図:睡眠専門医がまじめに考える睡眠薬の本 15 覚醒 睡眠 身体
疾患 精神
疾患
#17. 概日リズム 恒常性 睡眠環境 睡眠関連疾患 不眠症治療の方針 「不眠症と診断➔睡眠薬」ではなく,まずは周りの要因にアプローチしましょう. 図:睡眠専門医がまじめに考える睡眠薬の本 16 覚醒 睡眠 身体
疾患 精神
疾患
睡眠関連疾患とその対処法
#18. 概日リズム 恒常性 睡眠環境 睡眠関連疾患 身体疾患・精神疾患 不眠の原因となっている疾患や症状がないか確認します. 図:睡眠専門医がまじめに考える睡眠薬の本 17 覚醒 睡眠 身体
疾患 精神
疾患
#19. 概日リズム 恒常性 睡眠環境 睡眠関連疾患 睡眠環境・睡眠関連疾患 「睡眠時(前)習慣は適切か」「じつは睡眠関連疾患ではないか」も重要です. 図:睡眠専門医がまじめに考える睡眠薬の本 18 覚醒 睡眠 身体
疾患 精神
疾患
#20. 代表的な睡眠関連疾患 睡眠関連疾患の可能性について,必ず一度は考えましょう. 19
#21. 概日リズム 恒常性 睡眠環境 睡眠関連疾患 概日リズム・恒常性 Process C/Sが適切に働くような生活づくりが欠かせません. 図:睡眠専門医がまじめに考える睡眠薬の本 20 覚醒 睡眠 身体
疾患 精神
疾患
#22. 睡眠障害対処12の指針 患者さん対して,睡眠衛生(スリープヘルス)指導を行うことも重要です. 厚生労働省 精神・神経疾患研究委託費「睡眠障害の診断・治療ガイドライン作成とその実証的研究班」H.13研究報告書より 21
睡眠薬の種類と作用機序
#23. 睡眠障害対処12の指針 患者さん対して,睡眠衛生(スリープヘルス)指導を行うことも重要です. 厚生労働省 精神・神経疾患研究委託費「睡眠障害の診断・治療ガイドライン作成とその実証的研究班」H.13研究報告書より 22
#25. 概日リズム 恒常性 睡眠環境 睡眠関連疾患 不眠症治療の方針 周辺部へのアプローチを十分にした上で,中心部に介入(睡眠薬)します. 図:睡眠専門医がまじめに考える睡眠薬の本 24 覚醒 睡眠 身体
疾患 精神
疾患
#26. 概日リズム 恒常性 睡眠環境 睡眠関連疾患 睡眠薬の作用点 睡眠薬を使用するときは,どこに作用しているのかを考えて処方します. 図:睡眠専門医がまじめに考える睡眠薬の本 25 覚醒 睡眠 身体
疾患 精神
疾患 睡眠薬の分類
・作用点がシーソーの中心部/外側
・中心部の覚醒を抑制/睡眠を活性化
#27. 睡眠の活性化:ベンゾジアゼピン受容体作動薬 ベンゾジアゼピン受容体作動薬は,「睡眠の活性化」により睡眠を促します. 26 覚醒 睡眠 GABA
睡眠薬の効果と副作用
#28. ベンゾジアゼピン受容体作動薬
|
ベンゾジアゼピン受容体
⬇
結合
⬇
Cl-流入
⬇
神経活動の抑制
ベンゾジアゼピン受容体作動薬の作用機序 (BZ系・非BZ系ともに) GABAA受容体に働きかけることで,睡眠を活性化しています. 27 ┗ω1受容体;催眠・鎮静作用
┗ω2受容体;筋弛緩・抗不安・
抗てんかん作用 GABAA受容体 Cl- Cl- GABA
|
GABA受容体
⬇
結合
⬇
Cl-流入
⬇
神経活動の抑制
生理的睡眠 BZ受容体作動薬
#29. 覚醒の抑制:オレキシン受容体拮抗薬 オレキシン受容体拮抗薬は,「覚醒の抑制」により睡眠を促します. 28 覚醒 睡眠 オレキシン
#30. 概日リズム 恒常性 睡眠環境 睡眠関連疾患 概日リズム:メラトニン受容体作動薬 メラトニン受容体作動薬は,シーソーの周辺部に作用する睡眠薬です. 図:睡眠専門医がまじめに考える睡眠薬の本 29 身体
疾患 精神
疾患 覚醒 睡眠
#31. 覚醒の抑制:抗ヒスタミン作用 「覚醒抑制」による睡眠作用を期待して,抗ヒスタミン薬を使うことがあります. 30 覚醒 睡眠 ヒスタミン
入院時の不眠と薬剤選択
#34.
併用薬
相互作用により
副作用・効果減弱
腎・肝不全
代謝・排泄障害により
副作用・効果遷延
年齢
高齢者の睡眠薬は
認知症・転倒リスク↑ 入院時の不眠 睡眠薬を処方する前に,次のことを確認しましょう. 33
#35. 薬剤選択の基準 「副作用を最小限に抑えるにはどの薬か」という考えが最も重要です. 34 気をつけるべき副作用は何か? 高齢者 併存症
(前立腺肥大症,緑内障など) 併用薬
#36. 副作用:用量依存性 用量依存性の副作用は,すべての睡眠薬で起こる可能性があります. 35
ベンゾジアゼピン系薬剤の注意点
#37. 各睡眠薬の作用時間 できる限り作用時間の短い薬から始めるのが鉄則です. 36 持ち越し
リスク高
#38. 副作用:薬剤特異性 一部の薬剤では,特定の副作用が発生しやすいことがあります. 37 ? ? zzz
#39. ベンゾジアゼピン受容体
┗ω1受容体;催眠・鎮静作用
┗ω2受容体;筋弛緩・抗不安・抗てんかん作用 「ベンゾジアゼピン系薬剤」と「非ベンゾジアゼピン系薬剤」 ともにベンゾジアゼピン受容体作動薬ですが,非BZ系の方が多少安全とされています. 38 GABAA受容体 Cl- Cl- ※非BZでも高齢者の転倒リスクは増加
※ω1選択性は低用量のときのみ
※用量依存性がないわけではない ベンゾジアゼピン受容体作動薬 ┗ BZ系 :ω1,ω2両方に作用
┗ 非BZ系:ω1選択性あり
BZ ➔転倒リスクがBZ系より低い
#40. 離脱発作
(けいれんなど) ベンゾジアゼピン受容体作動薬の調整 副作用の多いBZ薬ですが,すでに常用していた場合の急な中止は危険です. 39 急な断薬はしない・量の増減に留めておく BZ薬 常用患者 精神疾患の悪化 長期内服していた 精神疾患の
治療として使っていた 急な断薬
大幅な内容変更