テキスト全文
救急医のためのてんかん診療の概要
#1. Daisuke Yamamoto
Department of Neurology, Shonan Kamakura General Hospital 救急医のための
ケースでわかる、
超実践的てんかん診療
#2. Introduction 網羅的知識は伝わりにくいもので、結局現場ではどうするんだ、というのが最も知りたいことであったりします。
ER診療から外来診療までの流れを、
ケースごとに学び、それを通じて実践的診療知識を学んでいくプレゼンテーションです。
高齢患者の難治てんかん重積状態のケース
#4. 90代の男性例。
けいれん発作でERを受診した。
脳梗塞後で寝たきりのADL。
経口摂取はなんとかできていた。
施設入所中。元々疎通性は乏しい。 ケース
高齢患者さん×難治てんかん重積状態 1
#5. ABCの確認。採血、ルート確保。生理学的モニタリング開始。
1st line:ジアゼパム5mg IV 、5分後 追加で5mg IV
2nd line:レベチラセタム2000mg drip => ホスフェニトイン Drip
ここまで投与しても、反復性に発作を認めた。
勘案し、ミダゾラム持続静注を開始 1mg/hr、1.5mg/hrまで増量した。
呼吸抑制なく、発作を抑制することができた。 ERでの対応
#6. 入院後対応 発作予防として、レベチラセタム静注 2000mg/dayで継続した。ミダゾラムは漸減中止した。
レベチラセタムはEDチューブから内服投与に変更。
経鼻経管栄養の状態で、転院対応となった。
けいれん発作時の初期対応と治療法
#8. まず、けいれん発作を
見たときの
行動はどうするか? 基本に忠実にprimary surveyを行うことから始める。
すなわち、ABC(A:気道、 B:呼吸、C:循環)の確認と安定化である。
心停止によるけいれんを見逃さないように、気道確保と酸素投与とともに、 脈拍の確認をする。
「循環動態破綻による低酸素脳症の結果としてのけいれん」をまずは除外する。 みんなの救命救急科(三谷雄己), 中外医学社, 2022
#9. けいれん発作をみたら、まずはやること 応援要請をおこないながら、primary surveyを行う。
A:気道確保をする。必要に応じてair wayを挿入する。
B:酸素10L投与開始する。
C:血圧、脈拍の確認をする。呼吸循環モニタリングを開始する。
また末梢静脈路を確保する。
#10. テーマ:
1st line と 2nd line治療
#11. ABCの確認。採血、ルート確保。生理学的モニタリング開始。
1st line:ジアゼパム5mg IV 、5分後 追加で5mg IV
2nd line:レベチラセタム2000mg drip => ホスフェニトイン Drip
ここまで投与しても、反復性に発作を認めた。
勘案し、ミダゾラム持続投与を開始 1mg/hr、1.5mg/hrまで増量し、
呼吸抑制なく発作を抑制することができた。 ERでの対応
#12. 改めて、SEについて
理解する てんかん重積状態 = status epilepticus: SE
てんかん発作が持続的に生じる状況である。
SEに関わる覚えるべき時間は二つで、5分と30分。
てんかん重積状態の2つの特徴
①自然に終息しそうにない発作 5分続くと自然終息しなくなる。
②神経後遺症を来す可能性のある発作 30分続くと神経後遺症をきたすリスクがある。
#13. SEの
5分と30分 5分:5分発作が続くなら、自然とん挫は困難なので、点滴薬での発作抑制を行う必要がある。「SE」では救急対応が必要である。
30分:脳機能障害が生じないよう、発作抑制をなるべく早期に達成する必要がある。
#14. てんかん重積状態の治療:
第一段階治療から第三段階治療について理解する。 てんかん重積状態の治療は、第一段階から第三段階治療まで、フェーズが分かれている。
第一段階治療は、発作をまず止めるための治療である。
ここで使用される薬剤はベンゾジアゼピン(ジアゼパム、ロラゼパム)である。
第一段階治療で押さえておくべき事実:頻用されるジアゼパムの発作抑制持続時間は長くは ないことである。ジアゼパムのけいれん抑制効果の持続は20分程度とされる。
発作持続する場合にベンゾジアゼピンは初回投与後5-10分程度で追加反復投与を検討する。 Lancet 1998;352:1007-1011. てんかん診療ガイドライン2018 .
てんかん重積状態の治療段階と薬剤
#15. 第一段階治療 ジアゼパムとロラゼパム ①ジアゼパム (セルシン®) 5-10mg 静注、
5分以上間隔をあけて 追加投与可
②ロラゼパム (ロラピタ®) 4mg 静注、
5分以上間隔をあけて 合計8mgまで追加投与可
#16. ABCの確認。採血、ルート確保。生理学的モニタリング開始。
1st line:ジアゼパム5mg IV 、5分後 追加で5mg IV
2nd line:レベチラセタム2000mg drip => ホスフェニトイン Drip
ここまで投与しても、反復性に発作を認めた。
勘案し、ミダゾラム持続投与を開始 1mg/hr、1.5mg/hrまで増量し、
呼吸抑制なく発作を抑制することができた。 ERでの対応
#17. 第二段階治療:
第一段階に合わせて使用 第一段階治療に次いで行う第二段階治療は、長時間作用し再発作を予防する というニュアンスである。
ここで使用される薬剤は抗てんかん薬の静注薬である。
先述の如く第一段階治療のみでは途中で薬効が切れ、再発作を防ぐには治療が足りない可能性がある。
ジアゼパム静注のみで対応した場合の2時間以内の発作再発率は、50%程度とされる。第二段階治療はそこを補うものである。 BMJ 2005; 331: 673.
#18. 第二段階治療について 第二段階治療薬は、ホスフェニトインとレベチラセタムの使用が推奨される。
フェノバルビタール、ミダゾラムも選択肢にはなるが、呼吸抑制などの副作用が問題になりうる。
原則的な考え方は、第一段階治療によっても発作が持続する場合には第二段階治療を行う、である。
一方で、再発作を防ぐという観点から第一段階治療後、連続して第二段階治療を行うという考え方でもよい。 Lancet 1998;352:1007-1011. Epilepsy Curr 2016; 16: 48 .
#19. 第二段階治療 ホスフェニトインとレベチラセタム A:ホスフェニトイン (ホストイン®)
22.5mg/kg + 生食100ml 15分で投与
B:レベチラセタム (イーケプラ®)
1000-3000mg + 生食100ml 15分で投与
#20. ABCの確認。採血、ルート確保。生理学的モニタリング開始。
1st line:ジアゼパム5mg IV 、5分後 追加で5mg IV
2nd line:レベチラセタム2000mg drip => ホスフェニトイン Drip
ここまで投与しても、反復性に発作を認めた。
勘案し、ミダゾラム持続投与を開始 1mg/hr、1.5mg/hrまで増量し、
呼吸抑制なく発作を抑制することができた。 ERでの対応
#21. 第二段階治療の
追加投与について 第二段階治療も、発作持続がある場合には追加投与を検討する。
例えば、初めにジアゼパム静注を行い、連続してレベチラセタム投与を行ったとする。その後の追加治療としては、先述の如く二回目のジアゼパム静注を行う。
それでも発作持続する場合には、他の抗てんかん薬(例えばホスフェニトイン静注)追加投与を検討する。 Epilepsy Curr 2016; 16: 48 .
#22. ABCの確認。採血、ルート確保。モニタリング開始。
1st line:ジアゼパム5mg IV 、5分後 追加で5mg IV
2nd line:レベチラセタム2000mg drip => ホスフェニトイン Drip
ここまで投与しても、反復性に発作を認めた。
勘案し、ミダゾラム持続投与を開始 1mg/hr、1.5mg/hrまで増量し、
呼吸抑制なく発作を抑制することができた。 ERでの対応
高齢者におけるてんかん重積状態の特徴
#23. ベンゾ
ジアゼピン 静注
抗てんかん薬 静脈麻酔薬 第1段階治療 第2段階治療 第3段階治療 5分発作が持続したら、てんかん重積状態と評価する。
すぐに、①ベンゾジアゼピンを静注する。また、②静注抗てんかん薬も投与する。発作持続で、③ベンゾジアゼピン、④抗てんかん薬は追加投与する。 第1+2段階治療で発作抑制困難であり、
発作開始から60分経過するなら
難治てんかん重積状態と評価とする。
⑤第3段階治療へ移行する。 ルート1
ロラゼパム
OR
ジアゼパム ルート2
レベチラセタム
OR
ホスフェニトイン ミダゾラム
OR
プロポフォール
OR
ペントバルビタール 発作持続で、
5分後追加投与可 1 5 3 2 発作持続で、使用していない
抗てんかん薬を追加投与可 4 まずやること てんかん重積状態への治療的対応 Epilepsy Curr 2016;16:48
#24. ABCの確認。採血、ルート確保。生理学的モニタリング開始。
1st line:ジアゼパム5mg IV 、5分後 追加で5mg IV
2nd line:レベチラセタム2000mg drip => ホスフェニトイン Drip
ここまで投与しても、反復性に発作を認めた。
勘案し、ミダゾラム持続投与を開始 1mg/hr、1.5mg/hrまで増量し、
呼吸抑制なく発作を抑制することができた。 ERでの対応
#26. 高齢者SEの難しさ Cleve Clin J Med. 2005;72:26-37.
老年精神医学雑誌 2018;29:1041-1044.
Crit Care Med. 2020;48:1779-1789. 高齢者てんかんの特徴:高齢になるとてんかんを発症することはまれではない。また、てんかん重積状態を来しやすいことも知られている。
てんかん発作時、てんかん重積状態に至る頻度は30%。
また、てんかん重積状態に至った症例の死亡率は20-40%とされる。
てんかん重積状態では様々な合併症を来し、不可逆的なADL低下や 入院期間延長にもつながる。
より高齢でRSEに至った場合には、より厳しい予後が推定されるだろう。
#27. 3rd line治療を
迷わず選べるか? 挿管せずにうまく発作抑制を試みたい、という思考はある。第3段階治療介入したとして、悩みとしては、抜管可能性についてである。抜管困難である場合には、気管切開状態への移行の懸念がある。また、人工呼吸器離脱そのものが困難な場合もありうる。
RSEでは大脳機能障害を来し得る。背景に認知機能障害があれば、治療後ベースラインまで機能回復できる可能性は低い。
#28. RSEの保守的な治療の選択肢もある。本例は挿管なしで、ミダゾラムの少量持続投与による発作抑制を試みている。
発作前状況(病前ADLなど)も鑑みて、方針決定していくしかなかろう。 3rd line治療を
迷わず選べるか?
#29. 入院後対応 発作予防として、レベチラセタム静注 2000mg/dayで継続した。ミダゾラムは漸減中止した。
レベチラセタムはEDチューブから内服投与に変更。
経鼻経管栄養の状態で、転院対応となった。
レベチラセタムの使用と副作用
#31. レベチラセタムについて知る。
LEVとは:汎用性の高いASM レベチラセタムは頻用されるASMです。
今一度、LEVとはどんな抗てんかん薬かを理解しましょう。
LEVの特徴は使いやすさにつきます。
#32. レベチラセタム ①
急性期使用に長じている。 長所
注射製剤もあり、かつ、最初からてんかん発作抑制に十分な有効用量を投与できる。
ERはじめ、急性期病院の現場での使い勝手のよさがある。
短所
眠気や易怒性の誘発は、時に認める。
=>成人てんかん診療において、第1選択薬として選びやすい。 ※LEV副作用:国内第Ⅲ相試験(長期投与含み)において、傾眠32.4%、浮動性めまい4.2%、疲労感4.2%(承認時評価資料)
#33. レベチラセタム ②
どの場面でも使いやすい。 レベチラセタムの強み:てんかん発作が焦点性てんかん であっても、全般性てんかんであっても有効である※。
焦点性てんかんか全般性てんかんか、てんかん発作分類に ついて診断に悩む場合にも、選択してよい薬剤。 (私見)
イーケプラ 効能・効果 ○ てんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)
○ 他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の強直間代発作に対する抗てんかん薬との併用療法
#34. 入院後対応 発作予防として、レベチラセタム静注 2000mg/dayで継続した。ミダゾラムは漸減中止した。
レベチラセタムはEDチューブから内服投与に変更。
経鼻経管栄養の状態で、転院対応となった。
#36. 高齢者てんかんのAEDの推奨。
LTG・LEV・VPA・GBPが有効性・忍容性あり。
CBZは忍容性悪い。 Epilepsia. 2019;60:1325.
#38. 精神症状に悪いAED 気分に悪影響を与える可能性のある抗てんかん薬は知られている。
LEV・GBP
TPN・PRM・CLB
ZNS・FB Continuum . 2016;22:191.
難治性てんかん重積状態の治療アプローチ
#39. 認知機能への悪影響もありうる。 どのAEDも認知機能を損なう可能性がある。
認知機能障害を引き起こすリスクが高い:
FB、Bz、TPN、ZNS
認知機能障害の副作用リスクは低い:
LTG、GBP、LEV Epilepsia. 2011;52:2133
#40. 高齢患者のLEVについて 精神症状・認知機能への影響にも留意 LEV:精神症状×、認知機能〇
#41. CASE1のTIPS! 「てんかん重積状態:SE」対応のおさらい。基本を理詰めで説明できるよう。
SEの第一選択・第二選択のアクションについて。
頻用するLEVについて:良し/悪しを理解する。
高齢者てんかんについて・RSEの対応について考えておくこと
#43. 50歳の中年男性例。
けいれん発作で救急搬送。
ERでジアゼパム2回、レベチラセタムDRIP、ホストインDRIPでも発作抑制できず。難治てんかん重積状態と判断し、プロポフォールで鎮静し、挿管した。 ケース
Refractory status epilepticus :RSEの
通常対応 2
#44. 1st line ジアゼパム 10mg IV
2nd line レベチラセタム 3000mg drip
1st line 二回目 ジアゼパム 10mg IV
2nd line 二回目 ホスフェニトイン drip
プロポフォールIV =>持続静注
挿管・人工呼吸器管理 ERでの対応
#45. 24時間の持続鎮静継続
LEV + LCM DIVの併用
脳波所見の確認
プロポフォール漸減中止
抜管
LEV中止、LCM単剤とした。
安定を確認し、自宅退院。 入院後対応
RSEのマネジメントと予後
#47. SE・RSE
治療整理
5分-30分-60分 1st, 2nd, 3rd で使う薬剤は、それぞれのSEステージで異なる。
SEの5分、30分に加えて、RSEの60分も覚える。
60分以降にはRSEとして3rd line治療に移る必要がある。 神経治療 2019;36:457-460
#48. ベンゾ
ジアゼピン 静注
抗てんかん薬 静脈麻酔薬 第1段階治療 第2段階治療 第3段階治療 5分発作が持続したら、てんかん重積状態と評価する。
すぐに、①ベンゾジアゼピンを静注する。また、②静注抗てんかん薬も投与する。発作持続で、③ベンゾジアゼピン、④抗てんかん薬は追加投与する。 第1+2段階治療で発作抑制困難であり、
発作開始から60分経過するなら
難治てんかん重積状態と評価とする。
⑤第3段階治療へ移行する。 ルート1
ロラゼパム
OR
ジアゼパム ルート2
レベチラセタム
OR
ホスフェニトイン ミダゾラム
OR
プロポフォール
OR
ペントバルビタール 発作持続で、
5分後追加投与可 1 5 3 2 発作持続で、使用していない
抗てんかん薬を追加投与可 4 まずやること てんかん重積状態への治療的対応 Epilepsy Curr 2016;16:48
#50. RSEの治療アプローチ 持続脳波モニタリング
挿管・人工呼吸器管理
静脈麻酔薬の開始、発作抑制が得られるまで増量
静脈麻酔薬① ミダゾラム持続
静脈麻酔薬② プロポフォール持続
けいれん発作抑制得られるまで増量、必要に応じて①+②
脳波でも、電気的な発作抑制を確認。
血圧低下あれば、昇圧剤の投与。
静注薬に加えて、長期的な発作予防のためのASM併用
●LEV ●LCM ●FB ●PRM
24時間の発作抑制の継続、以後の静脈麻酔の漸減中止。 Frank W Drislane.Refractory status epilepticus in adults. In: UpToDate,
#52. 改めて、RSEについて
理解する 難治てんかん重積状態 = Refractory status epilepticus: RSE
1st line, 2nd line治療を行っても発作抑制できない状態がRSEである。
言葉として、SEとRSEを今一度区別しましょう。
RSEでは発作開始から60分程度で3rd line 治療が必要なこと、を押さえる。
#53. RSEについて重要な知識 「発作が続けば続くほど、不利になる。」
発作を発症すると、シナプス膜上の抑制系GABA A受容体の減少、興奮系NMDA受容体、AMPA受容体の増加を来す。このため、時間経過とともに、GABA A受容体に作用するベンゾジアゼピンに対して、急速に抵抗性を生じる。
薬効は時間と共に急速に失われる。
発作抑制について、後手に回るのは悪手である。
#54. RSEのマネジメント
中途半端な判断は控える。 発作抑制が達成できていないが、もう少しこのまま様子をみてみるか・・・・という判断は悪手になることが多い。
発作が続けば続くほど、発作抑制が困難になる。
ERにいるうちに、アクションを決めないと入院後困る。
入院してからRSE治療方針について考えよう、というのは不適である。
てんかん発作の合併症と管理
#56. RSEの予後 RSEの原因
原因不明 26%
>急性脳炎・中枢神経感染症 19%
>脳卒中 14%
>低酸素脳症 11%
>ASMの減量・中止 7%
>脳腫瘍 6%
>外傷 5%
RSEは転機不良:死亡率は19-60%。
もちろん、背景疾患や患者状態に依存するとは思われる。 Epilepsia. 2018;59:100.
Epilepsia. 2013;54:502-11.
#57. 24時間の持続鎮静継続
LEV + LCM DIVの併用
脳波所見の確認
プロポフォール漸減中止
抜管
LEV中止、LCM単剤とした。
安定を確認し、自宅退院。 入院後対応
#59. LCMは、成人てんかん
診療で役に立つ 成人てんかん診療では、焦点性てんかんを主にターゲットにすればいいです。
ということは、Narrow spectrumのAEDでよいわけです。
Broad spectrumのLEVでなくても良い訳です。
LEVは便利ですが、LEV以外の選択肢として、LCMは知っておく必要があります。
#60. メリット :焦点性てんかんについて、有効性が高い薬剤。
デメリット:高価。心筋伝導障害の可能性もある。
有効性はカルバマゼピンと同等。一方副作用は目立たない。
成人てんかん診療では、基本的に焦点性てんかんが対応できればよい、という考えからは、ラコサミドは成人てんかん診療での今後の第1選択薬にしてもよい。 ラコサミド
焦点性てんかんに有効な新規抗てんかん薬。 副作用もあまり目立たず、非専門医でも使用しやすい薬剤。
#61. ラコサミド
眠気少なく、効果もよい。 1週間での有効用量までの増量が可能であり、レベチラセタム同様急性期病院で使用しやすい薬剤。
眠気が問題になりにくい薬剤でもあり、第1選択薬で眠気が問題になり、継続できなかった症例で変更薬剤の選択肢になる。
高齢者でも比較的使いやすい薬剤。
副作用の心筋電導障害の報告はある。
あまり弱点がなく、焦点性てんかんでは頼りになる薬剤。 主な副作用:国内第 相試験において 浮動性めまい 7.9 %、疲労 5.6% 、傾眠 4.5 %
部分発作単剤療法にて6 ヵ月間発作消失患者割合 73.6%
#62. CASE 2のTIPS! 「難治てんかん重積状態:RSE」対応のおさらい。
RSE対応の留意点について。
LEVともう一つ。LCMも使えるようになる。
選択肢はとにかく、多い方がよい。LEVとLCMをカードとして用意しておく。
急性症候性発作としてのHSV脳炎
#64. 60歳の男性。特に既往なし。
けいれん発作でERを受診した。発熱を伴っていた。ERでもけいれん発作持続した。ジアゼパムを2回IVするも発作抑制なし。2nd line治療を追加して発作抑制した。MRIで信号変化があり、HSV脳炎の可能性も考慮した。 ケース
急性症候性発作としての
HSV脳炎 3
#65. ERでの対応 1st line ジアゼパム 10mg IV
1st line 5分後、ジアゼパム 10mg IV
2nd line レベチラセタム 3000mg drip
2nd line ホスフェニトイン drip
ルンバール施行+HSV PCR提出
MRI施行
ACV静注 700mg+ NS 250ml
#66. ACV 2100mg/day継続
DAY4 CSF HSV PCR陽性
合計14日間のACV投与
LEVは入院時から継続、入院後も発作予防のためLEVは継続とした。 入院後対応
#67. テーマ:
ルンバールを
やるのかやらないのか
#68. 何を見たくて髄液検査? 中枢神経感染症(細菌性髄膜炎、ヘルペス脳炎など)
自己免疫性脳炎
が鑑別になる場合には髄液検査を行う。
よって、免疫不全状態の患者では積極的に検査する。
#69. 中枢神経系感染症を
心配する場合は?
二つの代表疾患のキーワードは以下のごとく。
細菌性髄膜炎のコモンな症状:多い順(UPTODATE)
強い頭痛、発熱、項部硬直、意識障害(GCS<14)、悪心、けいれん発作
単純ヘルペス脳炎のコモンな症状:(UPTODATE)
発熱+意識障害、新規発症けいれん発作、脳神経障害、片麻痺、失語、構音障害
少なくとも、発熱があるけいれん発作の場合には注意する必要があると思う。
#70. 何はなくとも
ER的には、HSV脳炎。 HSV脳炎は成人において急性ウイルス脳炎の中で最も頻度が高く、起因ウイルスが判明したウイルス性脳炎の60%、脳炎全体の20%を占める。
治療介入の遅延が、シビアな神経後遺症につながる。
「脳炎」による急性症候性発作においては、HSV脳炎の可能性を追求すること。 Internal med 2000;39:894-900
MRI評価とてんかん重積状態の所見
#71. テーマ:
Provoked seizure
としてのHSV脳炎
#72. HSV脳炎×てんかん発作 HSV は主にてんかん誘発性の高い脳領域である内側側頭葉に影響を及ぼす。
HSV脳炎によるてんかん発作が多い原因の一つと言える。
HSV脳炎の40-60%が感染の急性期にてんかん発作を起こす。
HSV脳炎の40~65%が慢性期にてんかん発作を認めうる。
HSE患者の29%がSEを認め、難治性でもある。 epilepsia 2008;49:13-18.
#73. 単純ヘルペス脳炎のみ、最低限カバーできれば及第点としてよい。
ヘルペス脳炎は早期治療介入が必要である。 脳炎→最低限は単純ヘルペス脳炎のカバー
自己免疫性脳炎の評価については、
ERではわからない。
#74. 単純ヘルペス脳炎を
疑うポイント 易感染性背景の場合。
基礎疾患あり。また、
アルコール多飲、高齢者など 特徴的なMRI所見、髄液異常 新規発症の
比較的難治性けいれんのとき 発熱、意識障害、
高次脳機能障害の合併
#75. HSV脳炎の対応
→ガイドラインも参照。 疑った場合は、
髄液検査を施行する。
髄液一般+髄液HSV-DNA PCR
提出する。
アシクロビル 10mg/kg*3回/dayを投与する。
ヘルペス脳炎でなくても、
アシクロビルを投与することに問題はない。迷った場合、疑う場合は迷わず投与、というポリシーになっている。 処方例)アシクロビル500-750mg + NS 250ml
1回2時間で投与、1日3回
※腎障害・脱水時には注意。
#76. テーマ
MRIの確認事項
SEの画像変化
#77. てんかん重積状態のMRI所見について てんかん重積状態でMRIでの信号変化を認める。
画像評価でてんかんを診断できるので役に立つ。
画像変化を来しやすい部位
大脳皮質
視床枕
小脳
そして、発作に関連して過還流と
なる。MRAに注目すると、
発作側が血管描出が強調されている。 脳卒中 2017;39:446-450 大脳皮質のHIGH 視床枕のHIGH 右側MCAの過還流
#78. てんかん重積状態のMRI所見 脳卒中 2014;36:247-254 DWIでの大脳皮質の信号変化に注目する。
対側の小脳に信号変化も来し得る。
しかし、ここでもpit fallがあり・・・・
てんかん重積状態のみがこの信号変化を来すわけではない。
てんかん発作の合併症とその管理
#79. てんかん重積状態
VS 脳炎
VS 脳梗塞 大脳皮質の高信号変化の鑑別。
悩むところだが、臨床症状と髄液所見と合わせて評価するしかないだろう。
大脳皮質の高信号変化の鑑別の可能性は、SE・脳炎・脳梗塞である。
#80. DWIで大脳皮質病変をみたら① CASE 80代 左上下肢けいれん、左共同偏視。 考え方:てんかん重積状態の可能性。ただし、HSV脳炎も鑑別に。MRAは?
#81. DWIで大脳皮質病変をみたら① CASE 80代 左上下肢けいれん、左共同偏視。 評価:てんかん重積状態の可能性。右側MCA過還流。一応ACV投与は妥当。
#82. DWIで大脳皮質病変をみたら② CASE 90代 左上下肢けいれん、左共同偏視。 考え方:てんかん重積状態の可能性。ただし、HSV脳炎も鑑別に。MRAは?
#83. DWIで大脳皮質病変をみたら② CASE 90代 左上下肢けいれん、左共同偏視。 評価:てんかん重積状態の可能性。右側MRAの過還流。一応ACV投与は妥当。
#84. DWIで大脳皮質病変をみたら③ CASE 70代 左上下肢けいれん、みぎ共同偏視。 考え方:てんかん重積状態の可能性。純粋なてんかん発作ではなさそう。
HSV脳炎も鑑別に。MRAは?
#85. DWIで大脳皮質病変をみたら③ CASE 70代 左上下肢けいれん、みぎ共同偏視。 評価:てんかん重積状態の可能性もある。ただし、HSV脳炎も鑑別に。MRAは左右差なし。
#86. DWIで大脳皮質病変をみたら③ 最終診断:HSV脳炎。
入院後、CSF HSV PCRの陽性が判明した。
入院時からACVは投与開始、その後も継続されていた。
入院時からLEV静注で対応した。
てんかん発作の合併症:たこつぼ型心筋症
#88. 何を見たくてMRIを撮る?
検査の条件は? 初発けいれん発作であれば、いずれかのタイミングでMRI評価は行われる必要がある。
比較的高齢者であれば、脳卒中による急性症候性発作の鑑別目的で、ERでの頭部MRI施行は検討される。
発作後神経症状の残存があるならMRIは施行する。
#89. MRI評価。現実的には
脳梗塞>器質的病変>脳炎 繰り返しになるが、脳梗塞があるのかどうか?が第一の論点。
脳梗塞以外には、脳腫瘍/陳旧性病変など器質的病変の評価。
頻度は少ないが、脳炎を評価する目的。
SEによる画像変化の評価も加えてみる。
#90. CASE 3のTIPS! 脳炎+てんかん発作、の考え方。
HSV脳炎への配慮。
髄液検査・MRI検査のindicationと考え方。
Perfusion画像にも注目すると診療に役に立つ。
#92. 80歳の女性。
けいれん発作でERを受診した。採血ではCPK上昇あり。ECG変化もあったので、 トロポニンを追加すると上昇あり。循環器 内科へコンサルト。心エコーでは壁運動低下所見であり、たこつぼ型心筋症評価とした。 ケース4
てんかん発作の合併症 4
#93. ERでの対応 1st line ジアゼパム 5mg IV
2nd line レベチラセタム 2000mg drip
心不全病態であり、あえてホスフェニトインは使用しなかった。
循環器科コンサルトした。ACSは否定的でたこつぼ型心筋症評価。
ヘパリン持続静注開始とした。
#94. ヘパリン静注は一週間継続で終了。
心エコーはフォローした。
LEVは入院後継続、静注から内服に途中で変更した。
幸い、脳梗塞の発症はなし。 入院後対応
てんかん発作の合併症:骨折と肺水腫
#95. テーマ:
てんかん発作の合併症 たこつぼ型心筋症
#96. てんかん発作×たこつぼ型心筋症 時に経験するので覚えておく。発作後のありふれた、CK上昇でも想起したい。
たこつぼ型心筋症:心筋梗塞に類似した、胸痛・呼吸困難・ACS様のECG変化・壁運動異常を呈し、冠動脈病変に原因のない、一過性の壁運動異常を特徴とする。 ストレス性心筋症として理解される。リスク:高齢・女性 に多い。
たこつぼを想起するキーワード
てんかん発作 × ECG ST変化
てんかん発作 × 心不全/ショック
てんかん発作 × BNP 上昇/トロポニン 上昇
てんかん発作 × 突然死(SUDEP) BMJ Case Rep. 2019; 12(1): e225924.
N Engl J Med. 2015;373(10):929.
N Engl J Med. 2015;373(10):929.
#97. ERでの対応 1st line ジアゼパム 5mg IV
2nd line レベチラセタム2000mg drip
ホスフェニトインは使用しなかった。
循環器科コンサルトした。
ヘパリン持続静注とした。
#98. たこつぼ+心原性脳塞栓症の予防 心機能の改善は1~4週間程度が想定される。最も血栓ができやすい、発症早期においてはヘパリン静注で対応しておくのが無難。
たこつぼ型心筋症で推奨される抗凝固療法の指針はない。
#100. てんかん発作×外傷 骨折部位と頻度:
両側性肩関節後方脱臼骨折 33%
>胸腰椎圧迫骨折 29%
>頭蓋骨・顎骨折 8%
>両側大腿骨頸部骨折 6% Epilepsia. 2019 May;60(5):996-1004.
#101. てんかん発作×外傷のスクリーニング まず、患者に発作後の筋骨格系の痛み (特に関節、背中、四肢)があるかどうかを尋ねる。
障害リスクのある特定の場所を触診し、変形、 関節可動域制限、および打撲をチェックすることにより、 骨折の有無を評価する。
第三に、疑わしい領域の X 線または CT 検査を行う。 Epilepsia. 2019 May;60(5):996-1004.
#102. テーマ:
てんかん発作の合併症
肺水腫
てんかん発作の合併症:SUDEPと血圧低下
#103. けいれん×胸部画像異常
=神経原性肺水腫 中枢神経系への急性損傷後、数時間以内に発症する急性肺水腫。まれだが見落としは多い。
頭蓋内圧の上昇が、カテコールアミン放出を介して肺水腫の発症に関与していると考えられている。
けいれんの後に報告されるのは 2%。
発作後に予期せず死亡したてんかん患者のほぼ 80% が 神経原性肺水腫を患っていることが指摘されている。 Case Rep Neurol Med. 2019; 2019: 6867042.
#104. テーマ:
てんかん発作の合併症
sudden death
#105. てんかんにおける予期せぬ突然死 sudden unexpected death in epilepsy (SUDEP)
てんかん発作の有無の関わらず、検死で他の死因が明らかにならない、突然の、予期せぬ、目撃者の有無に関わらない、外傷や溺死が原因ではない死であると定義される。
てんかん患者の全死亡の 2 ~ 18% の原因。
SUDEPの報告例のほとんどは 18 ~ 40 歳の若年成人。 SUDEP は 45 歳以上の人では比較的まれ。
SUDEP による死亡の多くは、患者がベッドで眠っている夜間に発生する。
全般性強直間代発作とコントロール不良のてんかんは、SUDEP の主な危険因子。
SUDEP の発生率はてんかんの重症度に応じて増加する。 Neurology. 2001;56(4):519.
#106. テーマ:
ホスフェニトイン
による血圧低下
#107. ERでの対応 1st line ジアゼパム 5mg IV
2nd line レベチラセタム 2000mg drip
心不全病態であり、あえてホスフェニトインは使用しなかった。
循環器科コンサルトした。ACSは否定的でたこつぼ型心筋症評価。
ヘパリン持続静注開始とした。
#108. ホスフェニトインでは時に血圧低下がある。 血圧低下リスク:低血圧は、高齢 (60 歳以上) および全身感染症の存在の可能性。
ホストイン VS レベチラセタムで血圧低下は、レベチラセタムでは認めなかった。
状態不安定では、2nd lineはLEV優先が安心。
J Clin Pharm Ther. 2017 Oct;42(5):561-566.
Epilepsy Res. 2009 Dec;87(2-3):268-71.
#109. CASE 4のTIPS! てんかんの合併症:たこつぼ、肺水腫、骨折、SUDEP。
まれだが、知っているとよいマネジメントになるはず。
ホスフェニトインの血圧低下の注意。
ティーンエイジャーのてんかん発作の管理
#111. 15歳の女子、高校一年生。
けいれん発作でERを受診した。
発作は自然とん挫した。
ERでは軽度の意識障害のみ。
今回が初回発作である。 ケース
Teenagerのてんかん発作 5
#112. ERでの対応 採血施行。
頭部CT施行。ECG施行。
入院経過観察も提案したが、外来フォロー希望となった。
EEGは翌日予約した。
患者指導を行った。
#113. 脳波は、全般発作として評価。
ミオクローヌスの存在を確認。
若年性ミオクロニーてんかん評価とした。
LEVで治療介入した。 外来対応
#115. 焦点発作 VS 全般発作 焦点性てんかん:脳の一部分が起始の発作。
全般性てんかん:脳全体が一気に発火する発作。
狭義には:焦点性てんかん =>成人のてんかん
狭義には:全般てんかん =>小児のてんかん
投薬のアプローチが、発作分類で異なる。
焦点性・全般、それぞれに有効なASMを選択することになる。
#117. JMEを知る① JMEの診断は、10 歳代後半から始まる欠神発作や全身けいれん発作のある、 正常発達例すべてで検討される。
特に朝の起床時に発作が起こった場合に考慮される。
ミオクローヌスの病歴は、本人自らは教えてくれない。closed questionで尋ねる必要がある。
JMEは特発性全般てんかんの25~30%を占め、てんかん全体の最大10%を占める。
平均発症年齢は 15 歳。患者の大部分は 12 ~ 18 歳の間で診断される。
JME の特徴的な発作はミオクロニー発作で、朝起きてから 1 時間以内に最も頻繁に起こる。
ミオクロニー発作は、意識減損はなし。 Epilepsia. 1994;35 Suppl 2:S1.
Acta Neurol Scand. 2010;122:115-23.
#118. JMEを知る② 全般強直間代発作(GTCS) は、ほとんどすべての JME 患者に発生する。
ミオクロニー発作と GTCS は午前中に最も一般的で、睡眠不足、アルコール摂取、 および場合によっては光刺激によって悪化する。
バルプロ酸は、第一選択治療として推奨される 。
バルプロ酸が使用できない場合:レベチラセタム、ラモトリギンを選択する。 J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2004;75:75-9.
全般性てんかんのAED選択と患者指導
#120. 全般てんかんのAED選択 第一選択 VPA 第二選択 LEV, LTG, ZNS, TPM
バルプロ酸が禁忌もしくは、忍容性が問題で使用できない場合: レベチラセタム、ラモトリギン、またはトピラメートによる治療が推奨。 てんかん診療ガイドライン2018
Acta Neurol Scand. 2011;124:22-7.
#121. テーマ:
ASM開始の2 out 理論
#122. 2アウト理論 初めて非誘発性発作を起こした患者を対象とした前向き無作為化試験では、 未治療の患者の推定 2 年再発リスクは 40 ~ 50%。
再発のリスクは、発作後 1 年が最も高く、時間の経過とともに減少する。 発作を繰り返す患者の 80 ~ 90% は 2 年以内に再発する。
2回の非誘発性発作後に、別の発作が起こるリスクは4年時点で73%。 Lancet. 2005;365:2007.
N Engl J Med. 1998;338:429.
#123. 1アウトでもASM開始を考慮する条件。 最初の非誘発性発作後の発作再発リスク増加に関連する因子は以下。
脳波でのてんかん性突発活動がある。
画像検査で指摘される症候性原因(例、脳腫瘍、脳奇形、中枢神経系感染症の既往、または以前の脳損傷または脳手術による瘢痕)
局所所見や知的障害などの異常な神経学的検査
睡眠中に起こる発作(夜間発作)
これらのリスクについて説明する。その前提で、他の条件も考慮してASM導入について議論する。 Lancet. 2005;365(9476):2007.
N Engl J Med. 1998;338(7):429.
#125. 患者さんへの説明 発作に関する注意事項 :初めて発作を起こした患者は、以下について言及する。発作の誘因になりうる因子について説明する。
●睡眠不足
●アルコール
●特定の薬剤摂取 トラマドール、抗精神病薬、テオフィリン
●感染症
●全身性に影響を及ぼす病態
など、一般的な発作の引き金や誘発要因に注意する。
#126. 患者さんへの説明 患者さんには、一通り以下の内容について言及する。
一人での水泳は避ける。
高所での作業は避ける。
重機の操作など、発作による危険の可能性のある、監督なしの活動を避ける。
浴槽は発作による溺死の最も一般的な場所であり、風呂の代わりにシャワーを浴びるよう指示する。
運転も控えるよう指導。
治療を行わない場合のリスク:SUDEPにも必要に応じて言及する。
難治性てんかんの治療戦略
#127. CASE 5のTIPS! 全般てんかんへの理解。
JMEは押さえておく。
全般てんんかんに有効なASM:VPA・LEV・LTG。
2アウト理論。
発作後帰宅時に、患者さんへの一通りの説明をできるようになる。
#129. 50歳男性。
てんかん発作で受診。
LEV+LCM+PRM 内服中。
ERでジアゼパムIV+ホストインDRIPして対応した。 ケース
3剤ASM内服しているPT 5
#130. ERでの対応 1st line ジアゼパム 10mg IV
2nd line ホスフェニトイン ローディング量投与
常用薬のすべて継続
#131. LEV+LCM+PRM
内服コンプライアンスの確認
発作頻度の確認
発作の誘因がないかを確認
てんかんセンターへ紹介、処方変更なし 入院後対応
#133. LEV LCM LTG ZNS CBZ VPA CLB PRM TPN 1st line 新規 従来薬 Add on 抗てんかん薬の立ち位置(私見)
#134. 処方の解釈 ①LEVで始めて=>LCMかLTG追加して=>Add on系追加
②CBZで始めて=>LEV追加して =>Add on系追加
救急医に必要なてんかん発作の知識
#136. 3剤内服者は難しい。 治療抵抗性のてんかん患者は、薬剤耐性てんかん (drug resistant epilepsy: DRE) という。
従来、3 つの抗てんかん薬の治療失敗は難治性 (薬剤耐性) と定義された 。
一方で、抗てんかん薬が失敗する度に他の薬による治療が成功する可能性が減少するため、2剤の治療が失敗した時点でも、薬剤耐性の可能性が高いと考えられる。
薬剤追加の意義:3剤まで追加での発作抑制の割合について検討がある。
1剤目で発作抑制可能:49%。2剤目追加+13%。3剤目追加+4%のみ発作抑制可能。 N Engl J Med. 1999;340(20):1565.
N Engl J Med. 2000;342(5):314.
Neurology. 2012;78(20):1548
#138. 真のDREではない、見せかけのDREの検討は必要。 発作についての評価は間違っていない?(焦点性?全般性?)
PNESの可能性はないか?
アドヒアランスの問題はないか?
ライフスタイルの問題?(アルコール、薬剤、不眠)
=>てんかんセンターでの外科的治療の検討、PNESの検討、治療の見直しの検討
#139. CASE 6のTIPS! 3剤内服はRed flagである。
薬剤抵抗性てんかんを知る。
ASMの組み立てについて理解する。
見せかけの難治性てんかんについて知る。
てんかんセンターへの紹介について検討する。
#140. 救急×てんかん発作で役に立つ話題でした。
やはり知識は重要で、知っているから起こせるアクションがあります。
基本的な投薬行動とともに、
ERでみるてんかんの合併症についても理解して下さい! THANK YOU!