テキスト全文
脳梗塞の診断とMRIの重要性
#1. 脳梗塞 梗塞部位を予測する方法 デキレジは“こう動く”
#3. 診断はMRI撮れば分かるじゃん 脳梗塞の診断 脳梗塞を見つけることは難しくなく,「つまらない」と思われがちです. 入院後は何もすることないよなー 2 「つまらない」と思われがち
梗塞巣予測の基本とコツ
#4. 3 梗塞巣の予測 梗塞巣を予測する方法を知ると,脳梗塞診断が面白くなります. ? ココらへんかな? 結果待つのみ
#5. 梗塞巣予測をマスターしよう コツさえ覚えれば,比較的簡単にできるのでオススメです. 4 ①非専門医でも正しい初期診療ができる
②脳梗塞診断が面白くなる
#6. CONTENTS 5 Introduction 臨床像から予測 機能局在から予測 ケーススタディ 01 02 03 04
臨床像からの梗塞巣予測の流れ
#8. 臨床像からの梗塞巣予測 梗塞巣は「臨床像」と「機能局在」から予測することができます. 7 臨床像
機能局在
&
#9. 予測は以下の流れです.まずは臨床像を「発症様式」と「皮質症状」に分解して考えましょう. 8 予測の流れ
#10. 臨床像:発症様式 脳梗塞の主な発症機序は,病歴(発症様式)から予測が可能です. 9 血栓性
-細くなって閉塞- 塞栓性
-飛んできて詰まる- or 病歴(発症様式)から予測が可能
#11. 発症機序×病歴の特徴 それぞれの違いをまとめると以下のようになります. 10
#12. 臨床像:皮質症状 次に皮質症状について,診察から症状の有無を判断します. 11 大脳皮質 大脳白質 主な皮質症状
失語:言葉を適切に話せない
失行:生活動作がうまくできない
失認:対象を正確に認識できない
半側空間無視:片側を認知できない 皮質症状
-大脳皮質が障害された時に出る症状-
臨床病型の理解と梗塞巣の絞り込み
#13. 皮質症状の有無 皮質症状の有無から,閉塞血管を大まかに予測することができます. 12 主幹動脈 穿通枝 皮質枝 頸部から連続する太い血管 脳深部を栄養する細い血管 大脳皮質を栄養する中〜太血管 皮質症状
あり 皮質症状
なし
#14. 臨床病型 ここで,臨床病型についてざっくりと確認しましょう. 13
#15. 発症機序が分かると,臨床病型を少し絞り込むことができます. 14 発症機序➜臨床病型 臨床像 臨床病型 梗塞巣 昨日の起床時から右手が動かしにくい.
様子を見ていたが今朝から増悪,右足も動かなくなった. 症状が進行性に増悪,血栓性の脳梗塞が疑わしいな.
#16. 皮質症状の有無からも,臨床病型を少し絞り込むことができます. 15 皮質症状➜臨床病型 臨床像 臨床病型 梗塞巣 物音がして駆けつけたら倒れていた.
右半身が全く動かず,言葉がうまく出てこない様子. 突発発症+皮質症状(失語)あり,心原性orアテロームかな.
#17. 臨床病型がわかる(予測できる)と,梗塞巣も絞ることができます. 16 臨床病型➜梗塞巣 臨床像 臨床病型 梗塞巣 塞栓性を疑う病歴で皮質症状あり.
心原性脳塞栓症で主幹動脈閉塞を
きたしたのかな? 血栓性を疑う病歴で皮質症状なし.
ラクナで放線冠 or 橋腹側あたりが
梗塞巣かな?
機能局在からの梗塞巣予測の方法
#18. 臨床像(発症様式×皮質症状)から予測される臨床病型をもとに,梗塞巣を予測してみましょう. 17 まとめ
#20. 機能局在からの梗塞巣予測 つぎに「機能局在」から梗塞巣を予測してみましょう. 19 臨床像
機能局在
&
麻痺と感覚障害に基づく梗塞巣の特定
#21. 機能局在 すべてを網羅することは難しいですが,以下の症状をざっくりと押さえましょう. 20 麻痺 感覚障害 小脳失調 意識障害 皮質症状
#22. 麻痺 21 錐体路障害があると,運動症状(麻痺・構音障害など)が出ます. 内包後脚 放線冠 中脳
大脳脚 画像:Dr.増井の神経救急セミナー第2版から引用 大脳皮質
運動野 麻痺がある
➜錐体路のどこかに梗塞巣
#23. 麻痺 錐体路障害があると,運動症状(麻痺・構音障害など)が出ます. 22 大脳皮質
運動野 放線冠 内包後脚 橋腹側
#24. 感覚障害 しびれ症状メインの脳梗塞(疑い)の場合,視床・脳幹・大脳皮質感覚野の梗塞を疑います. 23 大脳皮質
感覚野 視床 脳幹
#25. 皮質症状 皮質症状にも,おおまかな棲み分けがあります. ※各症状は,上記部位以外でも生じうる 24 運動性 感覚性 失語 同名半盲
視覚性失認 失行 左半側空間無視 おもな皮質症状
#26. その他 その他の症状として,意識障害と小脳失調(めまい・ふらつき)は覚えておきましょう. 25 視床内側
脳幹
広範な皮質障害 小脳失調 小脳半球
小脳虫部 意識障害
ケーススタディによる実践的予測
#27. 脳機能局在の知識をもとに,梗塞巣を予測してみましょう. 26 まとめ
具体的な症例から学ぶ脳梗塞の診断
#29. 臨床像×機能局在 2つのヒントを元にして,実際に梗塞巣を予測してみましょう. 28 臨床像
機能局在
&
#30. case① 29 昨日起床時に左手の動かしにくさを自覚した.
しばらく様子をみていたら症状は改善.
しかし昨夕〜本日に再増悪し,左足も動かなくなってきた
Barre・Mingazzini testは左で下垂.他の症状はなし. 安静時に発症し,その後変動&進行性増悪か.
血栓性の機序,ラクナorアテロームが疑われるな.
皮質症状がないし,穿通枝領域の梗塞かな? 患者 デキレジ 診断:ラクナ梗塞(右内包後脚)
#31. case② 30 外出中に突然崩れ落ち,右半身が動かなくなった.
周囲からの問いかけに反応はあるが,意思疎通はできない.
病着時,右上下肢は弛緩性麻痺.
軽度の左共同偏視があり,運動性失語も認められる. 突発完成型の病歴で,結構重症そう.
塞栓性梗塞で,ある程度太い血管が詰まっていそうだ.
運動性失語症状があるし,左MCA閉塞・前頭葉梗塞かな? 患者 デキレジ 診断:心原性脳塞栓症(左M1閉塞)
#32. case③ 31 入浴後・安静中に右手のしびれ感を自覚.
様子をみていたが改善しないため受診.
とくに手足の動かしづらさは感じず,他の随伴症状もなし.
追加聴取すると,右口唇付近にも軽度のしびれ感を認める. 安静時に発症,しびれ感のみで比較的軽症だな.
脳梗塞だとしたら血栓性梗塞で,穿通枝領域が疑わしい.
症状の分布からは,頻度的に視床梗塞の可能性が高いかな? 患者 デキレジ 診断:ラクナ梗塞(左視床)
#33. case④ 32 起床時からめまい症状を発症.過去にめまいはない.
臥位安静でもあまり改善せず,嘔吐を続けており救急搬送.
粗大な麻痺はないが,軽度の構音障害あり.
指鼻指試験は右で陽性,注視方向性眼振あり. 頭位に関係しない,初発の強いめまい症状か.
中枢性めまいが十分に考えられる状況だな.
右優位の四肢失調所見があるし,右小脳半球の梗塞かな? 患者 デキレジ 診断:アテローム血栓性脳梗塞(右小脳半球)
#34. case⑤ 33 物音がして様子を見に行くと部屋で倒れていた.
呼びかけに対して返事をするが,呂律が回っていなかった.
はじめのうちは傾眠程度だったが,徐々に意識レベルが悪化.
病着時はJCSⅢ200にまで悪化,四肢に不全麻痺を認める. 急性発症の意識障害・左右差のはっきりしない不全麻痺.
病歴からは,発症機序はどちらとも言えないな.
片麻痺を伴わない重度の意識障害から,脳幹の梗塞かな? 患者 デキレジ 診断:脳底動脈閉塞
まとめと今後の展望