テキスト全文
ルンバール手技の重要性と経験
#1. ルンバール確実にキメるための7step まずは“コレだけ”
#3. 3 こんな経験ありませんか? 手技に自信がないという(隠れた)理由で,髄液検査を見送っていませんか? ヤバレジ 細菌性髄膜炎は時間との勝負ですよ 専門医 え!?痙攣し始めた!? --- し ば ら く し て --- --- 診 療 後 --- 発熱・意識障害か.何だろう(髄膜炎だったりして).
でもこの時間に一人でルンバールするのちょっとな…
腰椎穿刺の成功要素と手順
#4. 手技手順があいまい 久しぶり過ぎで不安 ルンバールに自信がない 手技に自信がないと,どうしても検査ハードルが高くなってしまいます. 神経内科に毎回依頼 できなくはないけど 4
#5. 5 「慣れたらできる」 アドバイスが感覚的で,困ったことはありませんか? そう言われても…
具体的な指針・説明が欲しい 抜ける感覚があるから 慣れたらできるよ 体位さえ取れたらOK 入らない患者は入らない
#6. デキレジになるには? 腰椎穿刺の成功に必要な要素を解説します. 6 ①適応・禁忌・合併症を把握している
②適切な手順・トラブルシューティングをマスターしている
腰椎穿刺の適応・合併症・禁忌
#7. 適応・合併症・禁忌 腰椎の解剖 穿刺の7step トラブルシューティング 01 02 03 04 CONTENTS 7
#9. 参考:Lancet Neurol 2018; 17: 268–78. 9 ルンバールの適応 腰椎穿刺は,以下のような状況で行われます.
#10. 10 髄膜炎疑い:腰椎穿刺のタイミング(参考) 非専門医が腰椎穿刺をするのは,おもに髄膜炎を疑ったときでしょう. 細菌性髄膜炎の四徴
発熱・項部硬直・意識障害・頭痛 ≧3 ≦2 腰椎穿刺 いくつ当てはまる? No Yes 髄膜刺激徴候がある? 腰椎穿刺 当てはまる? 腰椎穿刺 他を検索 原因不明 Yes No
腰椎穿刺前の確認事項とリスク
#11. 11 ルンバールの合併症 侵襲的処置である以上,一定の合併症リスクがあります. 参考:Lancet Neurol 2018; 17: 268–78.
#12. 出典:細菌性髄膜炎診療ガイドライン2014 12 腰椎穿刺前の頭部CT 頭蓋内亢進の可能性が考えられる場合は,穿刺前に頭部CTを確認します.
#13. 13 ルンバールの禁忌 合併症リスクが高い場合,腰椎穿刺を行うことはできません. 参考:Lancet Neurol 2018; 17: 268–78.
#14. 14 チェック項目 腰椎穿刺を行う前に,禁忌事項がないかをしっかり確認しましょう.
腰椎の解剖と穿刺の注意点
#15. 参考:抗血栓療法中の区域麻酔・神経ブロック ガイドライン 15 抗血栓薬の休薬期間(参考) 腰椎穿刺の抗血栓薬中止・継続について,休薬期間の目安を以下に示します.
#17. 17 穿刺に必要な解剖① 神経損傷をきたさないように,馬尾となっている脊椎高位で穿刺をします. 脊髄はL1-L2付近で終末
その先は馬尾(神経根の束)となる L2-3以下の棘間から穿刺すれば
神経損傷のリスクは低くなる 画像:JAMA. 2006 Oct 25;296(16):2012-22. ※脊柱管狭窄症では注意(よけるスペース少ない) ここで刺すと
神経損傷 馬尾だから
よけてくれる
#18. 18 穿刺に必要な解剖② 穿刺の際は,ヤコビー線をメルクマールにします. 腸骨稜を結んだ線(ヤコビー線)は
およそL4高位に一致 画像:JAMA. 2006 Oct 25;296(16):2012-22. ヤコビ−線
L4に相当 ヤコビ−線をメルクマールにして
L4/5,L5/S1,L3/4を穿刺
#19. 19 穿刺に必要な解剖③ どの角度で,どの程度深く穿刺したらいいのかを把握しておくことは重要です. 画像:N Engl J Med 2006;355:e12. 約60mm 皮膚〜くも膜下は
約60mm(個人差あり) 棘突起は下(尾側)に凸 背中を丸めることで
穿刺スペースが広がる
腰椎穿刺の7ステップ詳細
#21. 21 穿刺の7step 1つ1つのステップをきちんと確認しながら穿刺ましょう.
#22. 22 step①:CT確認 すでにCTが撮られているなら,確認しない手はありません. 1
#23. 23 step②:体位調整 めんどくさがらずに,毎回しっかりと環境を整えて臨みます. 2
#24. 24 step③:穿刺部決定 マーキングは,しっかりと体位を作ってから行いましょう. 3
#25. 25 step④:局所麻酔 十分に麻酔することで,本穿刺の成功確率が上がります. 4
#26. 26 step⑤:本穿刺 「ド真ん中を穿刺できているか?」を念入りに確認します. 5
#27. 27 step⑤:本穿刺 「ド真ん中を穿刺できているか?」を念入りに確認します. 5
髄液採取と抜針の注意点
#28. 28 step⑥:髄液採取 髄液流出を確認できたら,あとは採取の作業です. 6
#29. 29 step⑥:髄液採取 髄液流出を確認できたら,あとは採取の作業です. 6
#30. 30 step⑦:抜針 内筒を収納しきってから抜針するように気をつけましょう. 7
トラブルシューティングの基本
#31. 31 穿刺の7step 1 2 3 4 5 6 7
#33. 33 よくあるトラブル 穿刺が上手くいかないケースとして,以下の3つが考えられます. 対応策を事前に準備
#34. 34 骨に当たる 「今,どこに当たっているのか?」を考えて,穿刺の方向・部位を修正しましょう.
#35. 35 骨に当たる 「今,どこに当たっているのか?」を考えて,穿刺の方向・部位を修正しましょう. 浅い部位で当たる
=棘突起に当たっている
(上下方向のズレ) 深い部位で当たる
=椎弓に当たっている
(左右方向のズレ)
髄液流出の問題と対策
#36. ✕ ✕ ①1cm外側から穿刺 ②頭側へ10°ずらす ③内側へ10°ずらす 36 傍正中穿刺 上手くいかない場合の選択肢として,傍正中アプローチも習得しておくと良いでしょう.
#37. 37 髄液が出てこない 髄液流出がない(悪い)場合,「穿刺が正確か」の確認と+αの小技があります.
#38. 38 血性髄液 腰椎穿刺の約16%で,traumatic tapを合併すると言われています.
#39. 39 トラブルシューティング 各対処法に習熟しておくことで,成功率がぐんと上がります.
まとめと今後の展望