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初期研修医/後期研修医に知ってほしい サマリーの書き方
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アナフィラキシーに対応しよう
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病棟での輸液の組み方!
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慢性期外来入門
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研修医に知ってほしい~抗菌薬~ 2022年ver
目標(今回は点滴のみです) ・抗菌薬の種類が分かるようになろう。 ・抗菌薬を正しく選択できるようになろう。
感染症の5大原則は???
感染症の5大原則は??? ・背景 ・臓器 ・微生物 ・抗菌薬 ・フォロー 何回も唱えて 覚えましょう!
今日のテーマは! ・背景 ・臓器 ・微生物 ・抗菌薬 ・フォロー 他の項目については今度レクチャーがあるのでお楽しみに!
Question1この中で耐性グラム陰性桿菌に効く薬は? ABPC ABPC/SBT TAZ/PIPC CEZ CTM CMZ CAZ CTRX CFPM MEPM VCM AZT LVFX CPFX GM AMK CLDM TEIC LZD DAP METRO ST MINO AZM
耐性グラム陰性桿菌に効く抗菌薬 ペニシリン系 ・PIPC ・TAZ/PIPC セフェム系 ・CAZ ・CFPM カルバペネム系 ・MEPM モノバクタム系 ・AZT キノロン系 ・LVFX ・CPFX アミノグリコシド系 ・GM ・AMK
耐性グラム陰性桿菌に効く抗菌薬 ペニシリン系 ・PIPC ・TAZ/PIPC セフェム系 ・CAZ ・CFPM カルバペネム系 ・MEPM モノバクタム系 ・AZT キノロン系 ・LVFX ・CPFX アミノグリコシド系 ・GM ・AMK これらの抗菌薬は 耐性グラム陰性桿菌を狙ってるときしか 使わない!
ちなみに耐性グラム陽性球菌には
耐性グラム陽性球菌に効く抗菌薬 グリコペプチド系 ・VCM ・TEIC(テイコプラニン) オキサゾリジノン系 ・LZD(リネゾリド) リポペプチド系抗菌薬 ・DAP(ダプトマイシン)
耐性グラム陽性球菌に効く抗菌薬 グリコペプチド系 ・VCM ・TEIC(テイコプラニン) オキサゾリジノン系 ・LZD(リネゾリド) リポペプチド系抗菌薬 ・DAP(ダプトマイシン) 1にVCM 2にVCM 3も4もVCM 5もVCM VCMが効かない場合は感染症内科に相談を!
抗菌薬の話に入る前に・・・ ・背景 ・臓器 ・微生物 ➡ 耐性菌について少しだけ。 ・抗菌薬 ・フォロー
そもそも耐性菌ってなに??
耐性菌とは… ・薬剤耐性とは →本来有効であった抗菌薬が効かなくなること ・耐性菌についての明確な定義は存在しない。 WHOのサイトでは:第3世代セフェム以降の抗菌薬に耐性をもつ細菌 今回のレクチャーでは、 CTRXまたはABPC/SBTより狭域な抗菌薬が効かない GPC/GNRのことを“耐性菌”と定義する Antimicrobial resistance, WHO, 2020
耐性グラム陰性桿菌の代表は? 『SPACE』 S セラチア P 緑膿菌 A アシネトバクター C シトロバクター E エンテロバクター そして、 ESBL産生菌 AmpC産生菌 CRE などなど。 私、最初は微生物の 名前かと思ってました…。
耐性菌の機序 いくつか機序がありますが、 今回はそのうちの1つのβラクタマーゼについて少しだけ。
βラクタマーゼ(βラクタムを分解する) AMR Clinical Reference Center 抗菌薬のβラクタム環を 分解するので抗菌薬の 効果がなくなる。
βラクタマーゼ(βラクタムを分解する)
ESBLs(extended-spectrum β-lactamase) ・第三世代セフェム+CFPM+モノバクタムが効かない。 でも、CMZやβラクタマーゼ阻害薬(TAZ/PIPCを含む)が 効くこともある。 ・問題となるのは腸内細菌(大腸菌とクレブシエラとプロテウス) いわゆる”PEC” ・身体の中で変化することはなく、人からもらって感染する。
感受性結果でESBLと判断するポイント 感受性結果で… CTRX、CAZ、CFPM、AZT →”R” CMZ、PIPC/TAZ、MEPM →”S” ”R”のはずのものが”S”になっているのに『ESBL』と表示されていることがあります! そのときは必ず検査室に確認しましょう!
ESBLs(extended-spectrum β-lactamase) [治療] ・基本はカルバペネム系(MEPM) ・軽症例ではCMZやTAZ/PIPCを使うことを考慮しても良い。 ただし、上記2つはMEPMに対して非劣勢は示せていない。
ESBLs(extended-spectrum β-lactamase) [治療] ・基本はカルバペネム系(MEPM) ・軽症例ではCMZやTAZ/PIPCを使うことを考慮しても良い。 ただし、上記2つはMEPMに対して非劣勢は示せていない。 <個人的な見解> ・基本的にはMEPM。 ・軽症例や以前にESBLが出ていてCMZに感受性があるときは、 CMZでも良いかな? ・緑膿菌もESBLもカバーしたい(ex:院内発症UTI、以前の培養 で緑膿菌が検出、など)ときは、TAZ/PIPCでも良いかな?
AmpC ・CFPM+カルバペネム以外のβラクタム系が効かない。 ・問題となるのは”SCE”。(“PA”はあんまり問題にならない) ・身体の中に元々いる。ある日突然AmpC過剰産生になる。 そうなるとやばい。 ・AmpCの耐性があるかないかに加えて量が大事!
感受性結果でAmpCと判断するポイント 感受性結果で… CMZ、CTRX、CAZ、AZT、PIPC/TAZ →”R” CFPM、MEPM →”S”
AmpC [治療] ・基本はCFPM ・重症例やMICが高いケースはカルバペネム系(MEPM)
本題に入る前に・・・② PK/PDとかAUCとか覚えてますか? 思い出したくもない…(笑)
PK/PD ・PK→phaemacokinetics(薬物動態) 『抗菌薬がちゃんと感染部位に行き着くか?』 ・PD→pharmacodynamics(薬理作用) 『感染部位で抗菌薬が細菌をやっつけられるか?』 ・MIC→最小発育阻止濃度。 MICの値よりも抗菌薬の濃度が低ければ効かない。 ・PAE→MIC値より低い濃度になっても抗菌薬の作用が持続する。 一旦抗菌薬に触れたらMIC値以下になっても 抗菌作用が続くという特徴があるということ。
PK/PD 血中濃度 時間 Cmax MIC 時間依存性+長いPAE:AUC/MICが重要 ex) クラリスロマイシン、アジスロマイシン、 テトラサイクリン、バンコマイシン 濃度依存性+長いPAE:Cmaxが重要 ex) キノロン系、アミノグリコシド系 Time above MIC AUC 時間依存性+短いPAE: MICよりも高い血中濃度を維持した時間が重要 ex) ペニシリン系、セフェム系、カルバペネム系
やっと本題に入ります!
今回お話する抗菌薬は・・・ ・βラクタム系抗菌薬 - ペニシリン - セフェム - カルバペネム ・グリコペプチド系抗菌薬 -バンコマイシン
今回お話する抗菌薬は・・・ ・βラクタム系抗菌薬 - ペニシリン - セフェム - カルバペネム ・グリコペプチド系抗菌薬 -バンコマイシン 覚えるのはこれだけ! 今回は点滴のみ! ※5年間医者をやっていてこれ以外を使ったことは ほとんどありません…。まじです…。
ここから出てくる感受性などは あくまで教科書的な感受性です 実際は地域のアンチバイオグラムを 確認してください
普段は… 抗菌薬 微生物
今回は… 抗菌薬 微生物
抗菌薬 ・βラクタム系抗菌薬 - ペニシリン - セフェム - カルバペネム ・グリコペプチド系抗菌薬 -バンコマイシン
ペニシリン系 [特徴] ・安全域が広く、大量投与が可能 ・髄液移行性は良好◎ ・他の薬剤と比較してアレルギーの頻度が高い
ペニシリン系 血中濃度 時間 Cmax MIC Time above MIC AUC 時間依存性+短いPAE: MICよりも高い血中濃度を維持した時間が重要 ex) ペニシリン系、セフェム系、カルバペネム系 1日に何回も投与する!
ペニシリン系で覚えるのは4種類! ・PCG(ペニシリンG®) ・ABPC(ビクシリン®) ・ABPC/SBT(ユナシン®、スルバシリン®) ・TAZ/PIPC(ゾシン®)
PCG(ペニシリンG®)
PCG(ペニシリンG®) [特徴] ・人類初の抗菌薬 ・連鎖球菌、肺炎球菌などのグラム陽性球菌に効く ・梅毒にも効く ・頻回に投与する必要がある ・高K血症になることがある(K 1.53mEq/100万単位) ・血管痛(静脈炎)や痙攣が起こる 転院前の人にPCGを使って高K血症にして転院延期にした思い出があります…
ペニシリン系 ※ブドウ球菌にMRSAとCNS、腸球菌にE. faeciumは入れてない。 ペニシリナーゼ非産生株には効くけど 日本では基本効かないと覚える
PCG(ペニシリンG®) [Empiric & Definitive therapy] ・レンサ球菌感染症(皮膚軟部組織感染、感染性心内膜炎など) ・肺炎球菌肺炎 ・神経梅毒 ・髄膜炎菌感染症 ・ペニシリン感受性黄色ブドウ球菌感染症(特に髄膜炎)
PCG(ペニシリンG®) [使用方法] ・通常 40kg≦:PCG 200~400万単位 q4hr <40kg:PCG 5~10万単位/kg q4hr ※グラム単位表記の場合は、100万単位=0.6g ・腎機能障害があるとき CCr 10-50:PCG 200~400万単位 q8hr CCr<10 or HD or CAPD:PCG 200~400万単位 q12hr 看護師さんの点滴交換が大変なので、 持続で投与するときもあります
ABPC(ビクシリン®)
ABPC(ビクシリン®) [特徴] ・肺炎球菌や連鎖球菌(感受性あり)の1st choice ◎ ・腸球菌(E. faecalis)の良い適応◎(セフェムがほぼ効かない) ・グラム陰性桿菌にはほぼ効かない△ (感受性があるGNRにはDefinitive therapyで投与できる) ・最もスペクトラムの狭い抗菌薬の一つ 感受性結果をみてこれが”S”なら de-escalationで一番使う!
ペニシリン系 ※ブドウ球菌にMRSAとCNS、腸球菌にE. faeciumは入れてない。 感受性のある 腸内細菌 と インフルエンザ桿菌 に効く ペニシリナーゼ非産生株には効くけど 日本では基本効かないと覚える
ABPC(ビクシリン®) [Definitive therapy] ・腸球菌感染症(E. faecalisのみ) ・リステリア感染症(特に髄膜炎) ・A群溶連菌による感染症 ・肺炎球菌による感染症 ・連鎖球菌による感染性心内膜炎 ・梅毒 ・髄膜炎菌 ・感受性のある腸内細菌や インフルエンザ桿菌による感染症 [Empiric therapy]・連鎖球菌の扁桃腺炎 ・グラム染色でよく見える 肺炎球菌性肺炎 ・リスクのない市中肺炎
ABPC(ビクシリン®) [使用方法] ・通常 ABPC 2g q6hr (IE、髄膜炎、壊死性筋膜炎で使うときには ABPC 2g q4hr) ・腎機能障害があるとき CCr 10-50:ABPC 2g q8hr CCr<10 or HD(透析日は透析後投与):ABPC 1g q12hr CAPD:ABPC 500mg-1g q12hr
ABPC/SBT(ユナシン®)
ABPC/SBT(ユナシン®) [特徴] ・嫌気性菌にも効く ・βラクタマーゼ産生による耐性菌にも効く ・胆嚢炎、虫垂炎、大腸憩室炎などの腹腔内感染で良い適応 (E. coli、Proteus、Klebsiellaをカバー)
ペニシリン系 ※ブドウ球菌にMRSAとCNS、腸球菌にE. faeciumは入れてない。
ABPC/SBT(ユナシン®) [Empiric therapy] いずれも耐性菌リスクのない ・市中感染症(市中肺炎など) ・扁桃周囲膿瘍 ・胆嚢炎、虫垂炎、大腸憩室炎 ・咬傷による感染症
ABPC/SBT(ユナシン®) [使用方法] ・通常 ABPC/SBT 3g q6hr ・腎機能障害があるとき CCr 30-60:ABPC/SBT 3g q8hr CCr 10-30:ABPC/SBT 3g q12hr CCr<10 or HD(透析日は透析後投与):ABPC/SBT 3g q24hr CAPD:ABPC/SBT 3g q24hr
TAZ/PIPC(ゾシン®)
TAZ/PIPC(ゾシン®) [特徴] ・かなりスペクトラムは広い! ・耐性グラム陰性桿菌を想定していないときは使わないで! ・TAZ/PIPCで効かない菌を覚えよう! GPC MRSA, PRSP, E. faecium GNR (ESBL産生菌), AmpC産生菌, MDRA, MDRP S.Maltophillia 当然 ウイルス、真菌、抗酸菌、非定型菌、 非感染症には効かない
ペニシリン系 ※ブドウ球菌にMRSAとCNS、腸球菌にE. faeciumは入れてない。
TAZ/PIPC(ゾシン®) [Empiric therapy] ・耐性グラム陰性桿菌のリスクのある感染症 (カテ感染、術後感染、人エ関節感染など) ・緑膿菌感染(特に嫌気性菌感染との混合感染が疑われるとき) ・発熱性好中球減少症
TAZ/PIPC(ゾシン®) [使用方法]※主に緑膿菌に対して使うときのdose ・通常 TAZ/PIPC 4.5g q6hr(30分以上かけることを推奨) ・腎機能障害があるとき CCr 20-40:TAZ/PIPC 3.375g q6hr CCr <20 :TAZ/PIPC 2.25g q8hr HD(透析後に0.75g追加) or CAPD:TAZ/PIPC 2.25g q8hr
ペニシリン系まとめ ※ブドウ球菌にMRSAとCNS、腸球菌にE. faeciumは入れてない。
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Question 2耐性菌リスクはどんな人にありますか?
耐性菌リスクはどんな人にありますか? ・過去90日で2日以上の入院 ・過去90日以内の抗菌薬使用 ・免疫抑制状態 ・胃酸抑制薬の使用 ・経管栄養 ・寝たきり ・耐性菌保菌者/以前に耐性菌を検出された人 ・血液透析 Am J Respir Crit Care Med. 2013 Oct 15; 188(8): 985-95. Up to date; Risk factors for multidrug-resistant gram-negative urinary tract infections
耐性菌リスクはどんな人にありますか? ・過去90日で2日以上の入院 ・過去90日以内の抗菌薬使用 ・免疫抑制状態 ・胃酸抑制薬の使用 ・経管栄養 ・寝たきり ・耐性菌保菌者/以前に耐性菌を検出された人 ・血液透析 抗菌薬の使用歴がある人 病院・施設に入所中または頻回に通っている人
抗菌薬 ・βラクタム系抗菌薬 - ペニシリン - セフェム - カルバペネム ・グリコペプチド系抗菌薬 -バンコマイシン
セフェム系 [特徴] ・安全性が高い、時間依存性なところはペニシリン系と類似 ・第1-4世代まである ・ペニシリンは〇だけど、セフェムで×なのは →腸球菌(E. faecalis)とリステリア ・基本嫌気性菌には効かない(※CMZだけ効く!) ・髄液移行性があるのは第3世代以降 ・耐性グラム陰性桿菌をカバーできるのは、CAZとCFPMだけ
セフェム系 血中濃度 時間 Cmax MIC Time above MIC AUC 時間依存性+短いPAE: MICよりも高い血中濃度を維持した時間が重要 ex) ペニシリン系、セフェム系、カルバペネム系 1日に何回も投与する!
セフェム系で覚えてほしい抗菌薬 陽性菌 陰性菌 陽性菌 陰性菌 第一世代 CEZ(セファゾリン) 第二世代 CTM(セフォチアム)、CMZ(セフメタゾール) 第三世代 CTRX(セフトリアキソン)、CAZ(セフタジジム) 第四世代 CFPM(セフェピム)
第一世代セフェムCEZ(セファゾリン)
CEZ(セファゾリン) [特徴] ・MSSAの1st choice!MSSAのための薬! ・髄液移行性が悪いので中枢神経系感染症には使えない
セフェム系 ※ブドウ球菌にMRSAとCNS、腸球菌にE. faeciumは入れてない。
CEZ(セファゾリン) [Empiric & Definitive therapy] ・MSSA感染症(髄膜炎などの中枢神経感染症以外) ・蜂窩織炎などの軟部組織感染症 ・心臓血管外科、脳外科、整形外科などの清潔手術の術前の 予防投与
CEZ(セファゾリン) [使用方法] ・通常 CEZ 1-2g q8hr ・腎機能障害があるとき CCr 10-50:CEZ 1-2g q12hr CCr<10 or HD(透析後に0.5-1g追加):CEZ 1-2g q24-48hr CAPD:CEZ 0.5g q12hr
第二世代セフェムCTM(セフォチアム) ※日本にしかないよ!
CTM(セフォチアム、パンスポリン®) [特徴] 第一世代セフェムと比較して、 ・腸内細菌(大腸菌、クレブシエラ)、インフルエンザ菌、 モラキセラなどのグラム陰性菌に対して活性が強い ・黄色ブドウ球菌、連鎖球菌に対しては同等以下 同世代のCMZと比較して、 ・嫌気性菌カバーなし
セフェム系 ※ブドウ球菌にMRSAとCNS、腸球菌にE. faeciumは入れてない。
CTM(セフォチアム、パンスポリン®) [Empiric therapy] ・耐性菌リスクのない中等度の尿路感染症
CTM(セフォチアム、パンスポリン®) [使用方法] ・通常 CTM 1-2g q6-8hr(Max 4g/dayまで) ・腎機能障害があるとき CCr 10-50:CTM 1-2g q12hr CCr<10 or HD:CTM 1g q24hr
第二世代セフェムCMZ(セフメタゾール)
CMZ(セフメタゾール) [特徴] ・セフェム系の中で唯一嫌気性菌に効く! ・ESBLにも効く”ことが多い” ・CTM+嫌気性菌カバーってイメージ(投与方法も同じ) ・セファマイシン系→セフェム系とは構造がちょっと違う
セフェム系 ※ブドウ球菌にMRSAとCNS、腸球菌にE. faeciumは入れてない。 ESBLに効く!?
CMZ(セフメタゾール) [Empiric therapy] ・中等度までの腹腔内感染症、骨盤内感染症 ・感受性次第でESBL産生菌感染症のde-escalationに
CMZ(セフメタゾール) [使用方法] ・通常 CMZ 1g q6hr or 2g q8hr(保険適応は4g/dayまで) ・腎機能障害があるとき CCr 30-50:CMZ 2g q12hr CCr 10-30:CMZ 1g q24hr CCr<10 or HD or CAPD:CMZ 0.5-1g q24hr
第三世代セフェムCTRX(セフトリアキソン)
CTRX(セフトリアキソン) [特徴] ・半減期が長く、1日1回の投与でもいい。外来でも使いやすい ・腎機能での量の調節不要 ・髄液移行性◎ ・ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)にも効くことがある ・市中感染症のメロペン!的位置づけ ・無石性胆嚢炎に注意
セフェム系 ※ブドウ球菌にMRSAとCNS、腸球菌にE. faeciumは入れてない。 ESBLに効く!?
CTRX(セフトリアキソン) [Empiric therapy] ・耐性菌リスクのない肺炎・尿路感染・腹腔内感染 ・細菌性髄膜炎 (ただし、PRSPカバーのためにVCMも併用する) ・重症インフルエンザ菌感染症
CTRX(セフトリアキソン) [投与方法] 腎機能で調整不要! CTRX 2g q24hr or 1g q12hr (髄膜炎では 2g q12hr)
第三世代セフェムCAZ(セフタジジム)
CAZ(セフタジジム) [特徴] ・耐性菌を含むグラム陰性桿菌に対して効果がある! ・逆にグラム陽性球菌や嫌気性菌には効かない! 私の一押し!(笑)
セフェム系 ※ブドウ球菌にMRSAとCNS、腸球菌にE. faeciumは入れてない。 ESBLに効く!?
CAZ(セフタジジム) [Empiric therapy] ・耐性菌リスクのある尿路感染症(グラム染色でGNRがみえるとき) ・軽症のCRBSIにVCMと併用して ・感受性がある緑膿菌のde-escalationに
CAZ(セフタジジム) [投与方法] ・通常 CAZ 1-2g q8hr(保険適応は4g/dayまで) ・腎機能障害があるとき CCr 50-90:CAZ 1-2g q8-12hr CCr 10-50:CAZ 1-2g q12-24hr CCr<10 or HD(透析日は透析後):CAZ 2g q24-48hr
第四世代セフェムCFPM(セフェピム)
CFPM(セフェピム) [特徴] ・髄液移行性◎ ・CFPMで効かない菌を覚えよう GPC MRSA, (PRSP,) E. faecium GNR ESBL産生菌, MDRA, MDRP S.Maltophillia, Bacteroides 当然 ウイルス、真菌、抗酸菌、非定型菌、 非感染症には効かない
セフェム系 ※ブドウ球菌にMRSAとCNS、腸球菌にE. faeciumは入れてない。 ESBLに効く!?
CFPM(セフェピム) [Empiric therapy] ・耐性菌リスクのある感染症の初期治療 ・発熱性好中球減少症
CFPM(セフェピム) [投与方法] ・通常 CFPM 1-2g q8-12hr ※FNや緑膿菌感染では2g q8hr(保険適応は4g/dayまで) ・腎機能障害があるとき CCr 30-60:CFPM 1g q12hr CCr 11-29:CFPM 0.5g q24hr CCr<10 or HD(透析後に1g追加):CFPM 1g q24hr
セフェム系まとめ ESBLに効く!?
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Question 3 ・今回は点滴の抗菌薬を取り上げていますが、 どのタイミングで内服薬へスイッチしますか?
内服へ移行する際に確認すべきこと COMS criteria C:Clinical improvement observed『臨床症状が改善している』 O:Oral route is not compromised 『経口摂取可能、腸管からの吸収可能、bioavailabilityが良い』 M:Markers showing trend towards normal『臨床経過が良好』 S:Specific indication/deep seated infection requiring prolonged iv therapy 『静注抗菌薬治療が必要な感染症ではない』
抗菌薬 ・βラクタム系抗菌薬 - ペニシリン - セフェム - カルバペネム ・グリコペプチド系抗菌薬 -バンコマイシン 使ったことありますか??
MEPM(メロペン®) [特徴] ・最終兵器!!!! ・MEPMで効かない菌を覚えよう GPC MRSA, (PRSP,) E. faecium GNR MDRA, MDRP S. Maltophillia 当然 ウイルス、真菌、抗酸菌、非定型菌、 非感染症には効かない ・髄液移行性◎ 最強の薬と思ってた?? 効かない菌もあるんです! 考えて使いましょうね!
MEPM 血中濃度 時間 Cmax MIC Time above MIC AUC 時間依存性+短いPAE: MICよりも高い血中濃度を維持した時間が重要 ex) ペニシリン系、セフェム系、カルバペネム系 1日に何回も投与する!
MEPM(メロペン®) ※ブドウ球菌にMRSAとCNS、腸球菌にE. faeciumは入れてない。
MEPM(メロペン®) [Empiric therapy] ・耐性菌リスクのある感染症 ・免疫不全の敗血症 ・術後腹腔内感染 ・壊死性筋膜炎 ・発熱性好中球減少症 おまけ、 家族もしくは本人が医療従事者の場合 院内発症の重症の感染症
MEPM(メロペン®) [投与方法] ・通常 MEPM 1g q8hr (髄膜炎では2g q8hr) ・腎機能障害があるとき CCr 25-50:MEPM 1g q12hr CCr 10-25:MEPM 0.5g q12hr CCr<10 or HD(透析後投与) or CAPD:MEPM 0.5g q24hr
抗菌薬 ・βラクタム系抗菌薬 - ペニシリン - セフェム - カルバペネム ・グリコペプチド系抗菌薬 -バンコマイシン
VCM(バンコマイシン) [特徴] ・基本的に耐性グラム陽性球菌をターゲットとして使う 陰性菌にはまっっったく効かない ・髄液移行性〇 ・副作用: レッドマン症候群 →予防として、1時間以上かけて投与する。 1gを超える場合は500mgあたり30分以上かけて投与する 腎障害、耳障害、静脈炎
VCM 血中濃度 時間 Cmax MIC 時間依存性+長いPAE:AUC/MICが重要 ex) クラリスロマイシン、アジスロマイシン、 テトラサイクリン、バンコマイシン Time above MIC AUC
VCM(バンコマイシン) [ターゲットとする菌] ・MRSA ・MRSE(メチシリン耐性コアグラーゼ陰性ブドウ球菌) ・アンピシリン耐性腸球菌 ・PRSP(ぺニシリン耐性肺炎球菌) ・ペニシリン耐性連鎖球菌
VCM(バンコマイシン) [Empiric & Definitive therapy] ・耐性グラム陽性菌を想定するとき ・耐性グラム陽性球菌による血流感染を疑うとき ・PRSP(ペニシリン耐性肺炎球菌)による髄膜炎 ・壊死性筋膜炎(複合感染)の初期治療 ・βラクタムアレルギー患者でのグラム陽性菌カバー
VCM(バンコマイシン) [投与方法] ・通常 初回負荷投与量:20-30mg/kg(実測体重) 維持量:1回20mg/kg(実測体重)を12時間毎に投与 抗菌薬TDM臨床実践ガイドライン2022
VCM(バンコマイシン) [投与方法] ・腎機能障害があるとき 抗菌薬TDM臨床実践ガイドライン2022
VCM(バンコマイシン) 補足その1:腎機能評価時の注意 ・筋肉量低下を伴う高齢、るい痩、長期臥床の方 →血清シスタチンCでの評価を推奨する。 ・過体重、肥満の方 →補正体重などを用いたCCrでの腎機能評価を行う。 ex)肥満患者(>100kg)では、 初回20-25mg/kg(実測体重3gを上限) 腎機能正常(>100mL/min)の場合は、 以降は10-15mg/kg(4g/日を上限)を12時間毎 抗菌薬TDM臨床実践ガイドライン2022
VCM(バンコマイシン) 補足その2:VCMで良いかの判断 ・VCMのMICが2μg/mLの株 →AUC/MICに基づいた維持量の設計では腎障害のリスクを伴うため、 継続投与するか他剤へ変更するかの臨床的判断を行う。 ・MIC=4の株では他の抗MRSA薬を選択する 抗菌薬TDM臨床実践ガイドライン2022
VCM(バンコマイシン) VCMの血中濃度測定 ・VCMは中毒域と治療域が近いため、使用するときは血中濃度を 測定する必要がある。 ・従来は、トラフ値15-20μg/mLを目標としていた。 ・トラフ値15μg/mL以上で高い臨床効果が期待されるが、 トラフ値15~20μg/mLでの管理は、腎障害のリスクとなり得る。 ・VCMでの治療開始前から腎機能低下、TAZ・PIPC併用、 利尿薬使用、ICU入院、トラフ>20μg/mLである場合は、 AKIのリスク因子となる可能性がある。 Am J Health-Syst Pharm. 2020;77:835-864
VCM(バンコマイシン) VCMの血中濃度測定 ・VCMは中毒域と治療域が近いため、使用するときは血中濃度を 測定する必要がある。 ・従来は、トラフ値15-20μg/mLを目標としていた。 ・トラフ値15μg/mL以上で高い臨床効果が期待されるが、 トラフ値15~20μg/mLでの管理は、腎障害のリスクとなり得る。 ・VCMでの治療開始前から腎機能低下、TAZ・PIPC併用、 利尿薬使用、ICU入院、トラフ>20μg/mLである場合は、 AKIのリスク因子となる可能性がある。 Am J Health-Syst Pharm. 2020;77:835-864 これまでは”トラフ値”で投与量を調整していたが、 臨床効果と安全性から、”AUC/MIC”で調整することを推奨。 目標AUC/MICは400~600μg・時/mL(MIC=1μg/mL)を推奨。 (腎機能障害例では500を超えないように調整)
VCM(バンコマイシン) 血中濃度測定のやり方 ・重症例や複雑性感染症例、腎機能障害、AKI高リスク例 治療開始早期のPK評価を行うために、 定常状態前の3回投与前後(トラフ値、ピーク値)に 初回のTDMを考慮する。(1日2回投与→翌日、1日1回投与→3日目) ・軽症/中等症例かつ腎機能正常例 4~5回投与直前(3日目)にTDMをする。 ・トラフ値→投与前30分以内で採血 ピーク値→点滴終了1-2時間で採血 抗菌薬TDM臨床実践ガイドライン2022
VCM(バンコマイシン) 血中濃度測定のやり方 ・重症例や複雑性感染症例、腎機能障害、AKI高リスク例 治療開始早期のPK評価を行うために、 定常状態前の3回投与前後(トラフ値、ピーク値)に 初回のTDMを考慮する。(1日2回投与→翌日、1日1回投与→3日目) ・軽症/中等症例かつ腎機能正常例 4~5回投与直前(3日目)にTDMをする。 ・トラフ値→投与前30分以内で採血 ピーク値→点滴終了1-2時間で採血 抗菌薬TDM臨床実践ガイドライン2022 実臨床的には、看護師側の負担も考えて、 トラフ値だけ採血してAUC/MICを推定することが多い。 ただし、重症例や複雑性感染症例、腎機能障害例では、 トラフとピークを両方取るかを一度検討しましょう! ※まだトラフ値でやっている施設も多いようです。 ※いずれにしても薬剤師さんの力が必要です。 分からなければ薬剤部へ電話をしましょう!
βラクタム系抗菌薬のまとめ ※ブドウ球菌にMRSAとCNS、腸球菌にE. faeciumは入れてない。 ESBLに効く!?
広域抗菌薬のまとめ 何にでも効くわけじゃないよ!
おまけ
腸球菌(E. faecium)に効く抗菌薬 グリコペプチド系 ・VCM ・TEIC(テイコプラニン、MRSAに使う薬) オキサゾリジノン系 ・LZD(リネゾリド、MRSAに使う薬) リポペプチド系抗菌薬 ・DAP(ダプトマイシン、MRSAに使う薬) First choice!
嫌気性菌に効く抗菌薬 βラクタマーゼ阻害薬 ・ABPC/SBT ・TAZ/PIPC ・CMZ カルバペネム系 ・MEPM リンコマイシン系 ・CLDM(半分くらい感受性) ニトロイミダゾール系 ・METRO(100%感受性あり)
髄液移行性がある抗菌薬 ペニシリン系すべて セフェム系 ・CTRX ・CAZ ・CFPM カルバペネム系 ・MEPM
補足 ・これまで示した抗菌薬投与量は、 日本語版サンフォード感染症治療ガイドアップデート版 に従っています。(2021最終更新版) ・投与量は書いてある本によって少しずつ違うので、 研修中に自分が信じられる本を見つけてみてください。 ・抗菌薬を初回投与する際は、腎機能に関係なくfull doseで 投与しましょう。
Take home message ・しっかり復習して抗菌薬を適切に使えるようになろう!! これであなたも抗菌薬マスター!