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破傷風へのアプローチと目次
#1. 破傷風へのアプローチ -診断と治療をメインに- Dr.さいころのメモ帳 Noteやってます @saikoro_memo dr.saikoro.memo
#2. ハイライト:ここを押さえておく 年間100例と稀だが、致死率は10%ほど 開口障害が特徴的な症状 治療は①抗菌薬 ②筋けいれんへの緩和 ③自律神経症状への治療
#3. 目次 破傷風の疫学/特徴 ‐稀だけど死に至る‐ 破傷風の症状/診断 ‐初診での診断が難しい‐ 破傷風の治療 ‐3つの軸で考える‐ 破傷風の予防 ‐具体的なワクチンの適応‐
破傷風の疫学と症状
#4. 破傷風の疫学 世界では年間100万件発生し、20万人以上亡くなっている Lancet Infect Dis.2016 Jun;16(6):746-752. PMID: 27301930 日本ではワクチンの普及により、年間100例ほど しかし年間5-10例ほど死亡している 国立感染症研究所,“破傷風とは”.2021-01-12 発症すると死に至ることもある甚大な疾患
#5. 破傷風菌の特徴 破傷風菌:Clostridium tetani 土壌に生息 農業や菜園 毒素を産生
#6. 破傷風菌の症状 開口障害や筋緊張(筋肉痛と表現される)が多い Lancet . 2019 Apr 20;393(10181):1657-1668. PMID: 30935736
破傷風の診断と潜伏期間
#7. 破傷風菌の症状 破傷風は以下の経過をたどっていく Ⅰ期:開口障害が出現 落ち着きがない、発汗、頻脈も見られる Ⅱ期:開口障害が悪化 発語や嚥下が障害される Ⅲ期:筋肉の硬直、疼痛が見られる 後弓反張もこの時期に見られる けいれんが持続し呼吸にも影響 人工呼吸器管理が必要になる Ⅳ期:時間経過とともに軽快 後弓反張のイメージ
#8. 破傷風の診断 初診での診断率は20%ほどと低い 多くは顎関節症や片頭痛などと診断されている Cureus. 2023 Jan 3;15(1):e33287. PMID: 36741638 破傷風の症例のうち1/4は原因が特定されないともいわれる 破傷風を想起するのは大変
#9. 破傷風菌の診断 潜伏期間は3-21日 平均10日と言われる →2週間はさかのぼって病歴を確認 創部の培養検査は30%ほどでしか検出されない 傷口がわからないことも多い 臨床症状から判断する必要がある
破傷風の治療法と管理
#10. 破傷風菌の治療 以下の3つの軸で考える 抗菌薬・抗毒素 筋痙攣への緩和 自律神経調節障害の 管理
#11. ①抗菌薬・抗毒素 破傷風菌に対して抗菌薬、くわえて毒素への中和療法を併用 メトロニダゾール 500mg 6-8時間点滴静注 7-10日間が基本 テタノブリン CDCでは500IU筋注 単回投与 強固なエビデンスはまだない ほかの文献では3000-6000IUという記載も
#12. ②筋けいれんへの緩和療法 ジアゼパム 10-30mg 静注 多くの症例でジアゼパムが使用される 鎮痛薬や漢方(芍薬甘草湯、葛根湯)の併用も有効 日東医誌 Kampo Med 2009;60:471-476.
#13. ③自律神経調節障害の管理 硫酸マグネシウム 2g/h 持続静注 Lancet. 2006 Oct 21;368(9545):1436-43. PMID: 17055945. 毒素が交感・副交感神経いずれにも作用 重症例では、頻脈・高血圧⇔徐脈・低血圧の乱高下を繰りかえす 暗室にして光を避ける、循環作動薬を併用することもある
破傷風の予防とワクチン接種
#14. 破傷風の予防 以下の特徴がある場合にハイリスクな創傷と考える
#16. 予防するか迷ったら ワクチン接種によるアナフィラキシー発生率は0.001%ほど Allergol Immunopathol (Madr). 2003 May-Jun;31(3):125-38. Spanish. PMID: 12783762. 発症すると10%ほどの致死率 ワクチンで高い確率で予防できる 迷ったら、トキソイド接種を
#17. ほかワクチンとの間隔 以下の3つのルールを守れば問題ない 生ワクチン接種後、次の生ワクチン接種は27日以上あける 同じ種類のワクチン接種は決められた期間をあける 発熱や接種部の腫脹、体調不良がないことを確認し接種
厚生労働省のガイドラインと宣伝
#19. もう一度、ハイライトを 年間100例と稀だが、致死率は10%ほど 開口障害が特徴的な症状 治療は①抗菌薬 ②筋けいれんへの緩和 ③自律神経症状への治療