テキスト全文
ER思考における鑑別力の進化
#1. 「鑑別力」を進化するER思考 かんぱち救急医
#2. ERでの鑑別診断法 OPQRSTから攻める AIUEOTIPSで攻める FATIGUEから攻める インプレッションから攻める 様々な診断法 様々なゴロあわせ 痛み 意識 倦怠感 思いつきで一気に!
#3. そんなときのER的攻め方! と意気込むはいいものの、結局漏れが生じてしまう… 漏れなく鑑別する!
解剖学的アプローチと感染症の鑑別
#4. 解剖学的アプローチ 痛みの鑑別に用いるとイメージがしやすい 皮膚 皮下 筋肉 血管 骨 神経 ・なんの臓器がどこの深さにあるのか
・疼痛がどのレベルにあるのか
(表面、ちょっと深い、届かない範囲、動かすと痛いなど)
上記2点を意識するだけで
鑑別を絞るポイントが定められる! わたし的利用頻度No. 1
#5. 感染性疾患 and 非感染性疾患 片方をイメージしたら、もう片方もイメージをする
鑑別を5つずつ挙げられるようにする 腹痛なら、 わたし的利用頻度No. 2
スタンダードな鑑別方法とパターン認識
#7. 仮説演繹法 よりスタンダードなの鑑別方法 胸痛がある高齢女性の受診 ・より可能性が高い鑑別:
急性心筋梗塞、大動脈解離、肺血栓塞栓症・・・など
・可能性のあるかと思われる鑑別:
胸膜炎、心膜炎、肋間神経痛、帯状疱疹・・・など これらに検査を組み合わせて、感度特異度等から事後確率を計算する
#8. パターン認識 臨床経験を積むとイメージしやすい トイレで排便後に急激な呼吸困難で救急要請 突然足が痛くなって冷たい感じがする 急に咽頭痛があってそれから息が苦しい → CS1急性心不全 → 急性下肢動脈閉塞 → AMIからの心不全
VINDICATE-Pとオッカム・ヒッカムの法則
#9. わからないときは、VINDICATE-P 網羅的鑑別をする Vascular(血管系)
Infection(感染症)
Neoplasm(新生物)
Degenerative(変性疾患)
Iatrogenic(医原性), Idiopathic(特発性), Intoxication(中毒), Inheritance(遺伝性)
Congenital(先天性)
Allergy & Autoimmune(アレルギー,自己免疫性疾患)
Trauma(外傷性)
Endocrinopathy/Metabolic(代謝内分泌疾患),Else(その他)
#10. ちなみに、オッカムとヒッカム 痛みの鑑別に用いるとイメージがしやすい 患者に認められる症状・徴候の全ての源は1 つとする
→オッカムの剃刀
一元論で説明ができる状況ということ
複数の疾患からなる仮説を立て るのか
→ヒッカムの格言
多元論での説明を考えること
高齢者ではこちらを考えるべき
語呂合わせを用いた鑑別法の紹介
#12. 例えば、FATIGUE 倦怠感の鑑別に用いるとイメージがしやすい Failure(臓器不全:心・呼吸・肝・腎)
ACS(急性冠症候群), Anemia(貧血)
Tumor(悪性腫瘍), Tablet(薬剤性) , Temperature(熱中症)
Infection(感染症), Inflammation(炎症・膠原病)
Glucose(低血糖・高血糖)
Upper head =brain(頭蓋内疾患・精神心理系疾患)
Electrolyte(電解質異常・脱水), Endocrine (内分泌)
#13. 他にもMEALS ON WHEELS 高齢者の食思不振の鑑別に用いるとイメージがしやすい MedicationEmotional 特にうつ病Alcoholism, Abuse, AnorexiaLate life paranoiaSwallowing problemsOral ProblemsNosocomial infections, No moneyWandering: 行動異常Hypothyroidism, HyperglycemiaEnteral problems: 吸収障害Eating problems : 自分で食べられないLow salt, Low cholesterol: カロリー不足Stones, Shopping problems, Social Problems
#14. 語呂合わせは様々ありますが、
その鑑別を「網羅する」という目的は一致しています
また、「must rule out」すべき疾患に主眼をおいていることも一致します 鑑別の上げ方をパターン化して、
自分の知っている鑑別方法に持ち込む!
まとめと今後の展望