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飛び込みで一般/救急外来に来るかもしれない“変な動き”.苦手意識を持っている医師が多い不随意運動について,ざっくりとまとめました.
不眠のみかた
#睡眠薬 #神経内科 #せん妄 #精神科 #不穏 #不眠 #抗精神病薬 #睡眠時無呼吸症候群 #むずむず脚症候群 #ベルソムラ
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しびれのみかた
#救急外来 #神経内科 #研修医 #プライマリ・ケア #しびれ #振戦 #末梢神経 #痺れ #神経根障害 #脊髄症
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デキレジは”こう動く” ーParkinson病ー
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【デキレジは“こう動く”】超急性期脳梗塞ーt-PA/血栓回収の適応ー【改訂版】
#救急外来 #ER #神経内科 #研修医 #脳梗塞 #DWI #脳神経内科 #デキレジ #t-PA #血管内治療 #FLAIR
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健康診断で要精査 肝機能障害の対応方法
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#3 感染性心内膜炎【基礎から不明熱の原因まで】
#医学生 #研修医 #循環器内科 #循環器疾患解説シリーズ #感染性心内膜炎
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キズの呼び方
#救急外来 #カルテ #外科 #創傷
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関節痛へのアプローチ
#関節液 #関節リウマチ #関節痛 #研修医 #関節炎 #膠原病内科 #変形性関節症
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免疫不全の感染症 入門編
#研修医 #感染症 #免疫不全 #総合内科
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【公式】Antaa Slideの投稿方法
#お知らせ
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【デキレジは“こう動く”】けいれんーepilepsy/seizure/convulsionー
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救急診療の10箇条 初期研修医のあなたに
#初期研修医向け #救急
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胆嚢炎と胆管炎のみかた ~診断と治療の原則を知っておこう~
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鮫咬傷:サメに襲われた時の対処法
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【ここだけは押さえる】周術期予防的抗菌薬のまとめ
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皮膚科に頼れない人に贈る ステロイド外用剤の選び方、使い方
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小児科頻用薬について〜救急外来はこれで十分?〜救急担当 研修医必見!
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不随意運動
1 Contents ▶不随意運動とは ▶診療のながれ ▶代表的な疾患
「運動異常症」と「不随意運動」 2 運動異常症(movement disorder) 運動過多症(hyperkinesia) 運動過少症(hypokinesia) 麻痺や錐体路障害がないにも関わらず,意図しない運動過剰or随意運動欠乏がある状態 筋線維束攣縮 アカシジア 小脳失調 運動失調 協調運動障害 測定障害 など 不随意運動(involuntary movement) 主に錐体外路が原因の運動過多症をいう 舞踏運動 バリズム アテトーゼ ミオクローヌス チック 振戦 ジストニア パーキンソニズム 無動/寡動 動作緩慢 筋強剛 すくみ足 カタレプシー カタトニア など
3 Contents ▶不随意運動とは ▶診療のながれ ▶代表的な疾患
4 観察 診断 治療 診療のながれ ▶
観察のポイント どの不随意運動かを判断するためだけでなく,病巣・診断の上でも観察は重要です. 5 1)どんなときに 安静時振戦:パーキンソン病 , 姿勢時振戦:本態性振戦 特定の動作:ジストニア , 精神的負荷:チック 2)どこに 四肢近位部:バリズム 四肢遠位部:アテトーゼ 3)パターン 律動的 :振戦,ミオクローヌス 非律動的 :舞踏運動,ジストニア,アテトーゼ,バリズムなど 4)速さ 速い:ミオクローヌス,チック , 遅い:アテトーゼ
おもな不随意運動 6 不随意運動 律動的 非律動的 遅い 速い 遅い 速い 振戦 ミオクローヌス チック ジストニア アテトーゼ ジスキネジア 舞踏運動 バリズム 複雑 捻転 単純
代表的な不随意運動 主な不随意運動について,その特徴を順に解説します. 7 1 舞踏運動 (chorea) 2 バリズム (ballism) 3 アテトーゼ (athetosis)
代表的な不随意運動 8 1.舞踏運動(chorea) ■特徴 不規則,やや速い ランダムだが真似できる動き(⇔アテトーゼ) 患者ごとに運動のレパートリーは限定的 随意筋収縮を持続できない陰性障害(持っているものを落とす) ■病巣 線条体 ■疾患 Huntington病(遺伝性),Sydenham舞踏病(小児) 脳血管障害・高血糖(高齢者),妊娠舞踏病(妊婦)
代表的な不随意運動 9 2.バリズム(ballism) ■特徴 不規則,数秒に1回,投げ出すような大きな動き choreaよりも激しく,四肢近位部を巻き込む 多くの場合は片側性(hemiballism) ■病巣 視床下核 ■疾患 ほとんどが血管障害
代表的な不随意運動 10 3.アテトーゼ(athetosis) ■特徴 不規則,絶えずゆっくり動く,よじるような 真似できないような複雑な肢位 舞踏運動と同時に出現することも(choreathetosis) ■病巣 両側大脳基底核広範な障害 ■疾患 脳性麻痺 三脚型の手
代表的な不随意運動 11 4 ミオクローヌス (myoclonus) 5 チック (tic) 6 振戦 (tremor)
代表的な不随意運動 12 4.ミオクローヌス(myoclonus) ■特徴 短時間,すばやい不随意筋収縮 または筋収縮の停止(negative myoclonus=羽ばたき振戦) 静止時に起こることが多い ■疾患 てんかん,クロイツフェルト・ヤコブ病 Lance-Adams 症候群(低酸素血症後)など negative myoclonusは肝・腎不全,呼吸不全など 健康な人でも入眠時に出現(ジャーキング)
代表的な不随意運動 13 5.チック(tic) ■特徴 異常な運動(motor tic):瞬き,顔面ぴくつきなど 音声(phonic tic):喉を鳴らす,汚言 反復する,真似できる程度の速さ ■疾患 Tourette 症候群
代表的な不随意運動 14 6.振戦(tremor) ■特徴 主働筋と拮抗筋が交代性に筋収縮 反復性・周期性の動き ■疾患 安静時:パーキンソン病 姿勢時:本態性振戦,甲状腺機能亢進症 動作時:小脳疾患,アルコール中毒 決闘者徴候:姿勢時振戦
代表的な不随意運動 15 7 ジストニア (dystonia) 8 ジスキネジア (dyskinesia) 9 アカシジア (akathisia)
代表的な不随意運動 16 7.ジストニア(dystonia) ■特徴 ①パターンは患者ごとに一定(頸部回旋の向きは変わらない) ②特定の動作で出現 ③感覚刺激に反応して軽快(顔に手を当てるなど) ④主動筋と拮抗筋が同時収縮(共収縮) ⑤起床時に症状が軽い(morning effect) ⑥動作に不要な筋が収縮(オーバーフロー) ⑦何らかのきっかけで増悪/軽快(フリップフロップ) ■疾患 頸部ジストニア(最も一般的),書痙 遺伝性ジストニア,薬剤性
代表的な不随意運動 17 8.ジスキネジア(dyskinesia) ■特徴 唇をすぼめる,舌を動かす,歯を食いしばるなど 舞踏症,ジストニア,チック,振戦を含む総称 一般的に薬剤性のものをジスキネジアと呼ぶ ■疾患 遅発性ジスキネジア(Tardive dyskinesia) :慢性的な抗精神病薬投与が原因 レボドパ誘発性ジスキネジア(Levodopa-induced dyskinesia) :抗パーキンソン病薬の副作用
代表的な不随意運動 18 9.アカシジア(akathisia) ■特徴 厳密には不随意運動ではない 主観:じっとしていられない,身の置き所がない 客観:ウロウロ,足の組み換え,足踏み ■疾患 薬原性アカシジア(抗精神病薬の開始/増量/中止) ↑狭義のアカシジア むずむず脚症候群
19 観察 診断 治療 診療のながれ ▶
診断 おもに二次性の不随意運動をスクリーニングします 20 薬剤歴(とくに抗精神病薬)・家族歴 他の神経徴候 ●問診・診察 血糖値 酸素・腎・肝機能 感染症(HIV,HHV-6,パルボB19など) 甲状腺機能 自己抗体(SLE) セルロプラスミン(Wilson病) ●採血 CT/MRI 筋電図(不随意運動の証明) ●その他
21 観察 診断 治療 診療のながれ ▶
治療 治療の基本は原疾患治療がです.対症療法として以下の選択肢もあります. 22 内服薬 注射薬 外科治療 抗精神病薬 抗コリン薬など ボツリヌストキシン 深部脳刺激(DBS) バクロフェン髄注
治療 ここでは,非専門医でも処方しうる内服薬について概説します. 23 トリヘキシフェニジル(アーテン®),ジアゼパム(セルシン®) ※第一選択はボツリヌストキシン注射薬 舞踏運動 ミオクローヌス 振戦 ジストニア ジスキネジア バリズム アカシジア ハロペリドール(セレネース®),テトラベナジン(コレアジン®) クロナゼパム(リボトリール®) パーキンソン病:抗パ薬(マドパー®など) 本態性振戦 :プロプラノロール(インデラル®) ハロペリドール(セレネース®),プロプラノロール(インデラル®) トリヘキシフェニジル(アーテン®)など
24 Contents ▶不随意運動とは ▶診療のながれ ▶代表的な疾患
代表的な疾患 ここでは,臨床的によく遭遇する二次性不随意運動について解説します. 25 脳血管障害 高血糖 本態性振戦 遅発性 ジスキネジア
脳血管障害 26 【疫学】 脳卒中患者の1-4%に発症 二次性movement disordersの22%を占める 発症平均年齢は60-70歳代 大脳基底核を含む深部脳梗塞で多い (心原性,アテローム性,脳出血,くも膜下出血でも起こる) 【特徴】 hemichorea/hemiballismが最多,次いでdystonia 脳損傷〜不随意運動発症までの期間はさまざま 傾向)若年で損傷;慢性期にdystonia 高齢脳卒中;急性期にchorea 【治療】 通常は自然軽快,重症例では対症療法
糖尿病性/高血糖性舞踏病 – Diabetic Chorea – 27 【特徴】 高齢の2型糖尿病患者における 非ケトーシス性高血糖(non-ketotic hyperglycemia;NKH)の 急性期に発症 多くがhemichorea(hemiballism) 【画像】 T1WIで対側基底核にHIA T2WIはHIA〜LIAまで何でもあり ※画像は正常のことも 【治療】 血糖降下療法のみで数日以内に軽快 重症例・持続例では対症療法 (ほとんどは最終的に中止可能,再発しない)
本態性振戦 – Essential Tremor:ET – 28 【疫学】 全世界の人口の約1%が罹患 性差なし,発症年齢は二峰性ピーク(20歳代,60歳代) 家族歴があることが多い 【症状】 左右対称性,上肢に多い 緩徐に増悪し他部位(頸,喉頭など)にも進展 神経症状をともなうことも(ET plus) 【診断】 病歴と診察だけでも可能 電解質,甲状腺機能異常の除外は有用 【治療】 プロプラノロール,プリミドン 難治例ではDBS, MRI誘導焦点式超音波視床切除
遅発性ジスキネジア – Tardive Dyskinesia;TD – 29 【疫学】 抗精神病薬を長期内服している患者の20-50%に発症 定型(32.4%)>非定型(13.1%),他の薬剤とも関連 リスク:高齢,女性,脳損傷,認知症 【治療】 薬剤中止(可能なら) or 他剤変更(定型➜非定型) ※突然の中止は離脱誘発性ジスキネジアのリスク 症状が強い場合は対症療法 クロザピン,オランザピン ←原因薬かつ治療薬 ジアゼパム,クロナゼパム,プロプラノロールなど 【予後】 多くの場合は不可逆的 ※中止後≧1ヶ月間は持続することが診断に必要
END