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抗菌薬+αのコントロバシー

投稿者プロフィール
藤原翔

医療法人伯鳳会東京曳舟病院

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概要

抗菌薬併用療法を中心として、抗菌薬+αについてまとめました。

ガイドラインを紐解いていくと、RCTでガッチリとエビデンスがある部分と、Expert opinionで経験的に使用が推奨されているものが混在しています。特に1980年代に抗菌薬併用療法について研究されていたようです。

抗菌薬併用療法は基本的に腎機能障害など合併症が増えるため、慎重に適応を吟味する必要があります。

東京曳舟病院救急科では、都内トップクラスの救急搬送数を受けながら、院内・院外の教育的な発信も行っています。特に診断学について力を入れていきますので、興味のある方、他施設とのコラボを考えている方などいらっしゃいましたら、お気軽にご連絡下さい。

東京曳舟病院 救急科医長

藤原 翔

mail: fujiwarackn@gmail.com

本スライドの対象者

研修医/専攻医

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テキスト全文

抗菌薬+αのコントロバシーと併用の正当性

#1.

抗菌薬+α のコントロバシー 東京曳舟病院 救急科 藤原 翔

#2.

その抗菌薬の併用は正しい? 患者への害はないのか?

#3.

CombinationTherapy IEにおけるアミノグリコシド Take Home Message 壊死性筋膜炎のクリンダマイシン MRSA菌血症のβラクタム系併用 人工関節感染のリファンピシン 抗菌薬入りセメント 3

アミノグリコシドの使用と考慮すべき場面

#4.

IEにおけるアミノグリコシド Take Home Message 壊死性筋膜炎のクリンダマイシン MRSA菌血症のβラクタム系併用 人工関節感染のリファンピシン 抗菌薬入りセメント 4 CombinationTherapy

#5.

今回使用する略語 5 Abbreviations GM : Gentamicin  CLDM:Clindamycin ゲンタマイシン     クリンダマイシン RFP : Rifampicin  MEPM:Meropenem リファンピシン     メロペネム SM : Streptomycin  PIPC/TAZ:Piperacillin-tazobactam  ストレプトマイシン   ピペラシリン・タゾバクタム

#6.

IEにおけるアミノグリコシド 6 Aminoglycoside for Infective Endocarditis    考慮する場面は4つ  ・α溶血連鎖球菌  ・腸球菌  ・黄色ブドウ球菌  ・人工弁のIE 自然弁の話

α溶血連鎖球菌と腸球菌の治療法

#7.

α溶血連鎖球菌(S.bovis group) 7 S.bovis group ・PCGに対するMIC≦0.12μg/mL  PCG単剤 4週間で治療可能, CTRX or VCM単剤でも可  2週間のレジメンではGM併用 (自然弁, 合併症なし, 疣贅≦1cm etc...) ・ PCG MIC>0.12,<0.5μg/mL  PCG+初期2週間のGM併用推奨, VCM or CTRXは単剤 ・PCG MIC≧0.5μg/mL  腸球菌に準じた治療として, PCG or CTRX+初期2週間GM併用, VCM単剤  European Society of CardiologyはVCMにも併用を推奨だが腎障害リスク高 ・GMは分割投与が基本. 腎機能考慮し1日1回も検討可 Circulation. 13;132(15):1435-86.

#8.

腸球菌(E.faecalis, E.faecium) 8 Enterococcus spp. ・ペニシリン系に対して連鎖球菌と比較し耐性があることから  アミノグリコシド系の併用が推奨されている.   ・アミノグリコシドは腸球菌に対して不透過性だが, 細胞膜活性剤を  使用することで有効な細胞内濃度を達成できる. ・腸球菌のゲンタマイシン高度耐性も問題となっている ・ゲンタマイシンの長期使用は腎機能障害を生じるリスクが高い Circulation. 13;132(15):1435-86.

#9.

腸球菌(E.faecalis, E.faecium) 9 Enterococcus spp. ・AMPC+CTRXはAMPC単独より, in vitro, in vivoで菌量が減少   ・動物モデルのE.faecalisのIEにおける併用療法の研究  AMPC+CTRXはAMPC+GMと同等に菌量が減少 ・E.faecalisのIEにおける多施設非ランダム化比較試験  AMPC+CTRX vs AMPC+GM  CTRX併用群の背景は癌など全身状態は不良であったが死亡率は同等 Clin Infect Dis. 2013;56(9):1261-8. J Antimicrob Chemother. 2003;52(3):514-7. Antimicrob Agents Chemother. 1999;43(3):639-46.

#10.

腸球菌(E.faecalis, E.faecium) 10 Enterococcus spp. ・腸球菌のIEでは, GMの併用が推奨される ・GMは分割投与, 腎機能障害があれば単回 ・可能な限り全治療期間併用 (AKIあれば中止, できれば2週間確保) ・GMのMIC>500μg/mL(高濃度耐性)は, 治療成績は単剤と同等. SMを使用. ・E.faecalisの場合  PCG+GM 4-6週間, 高齢やCKDあればAMPC+CTRX ・E.faeciumの場合  VCM+GM 6週間 Circulation. 13;132(15):1435-86.

黄色ブドウ球菌の感染症における治療戦略

#11.

黄色ブドウ球菌 (MSSA, MRSA) 11 S.aureus ・過去には低用量GM併用療法が行われていた ・MSSAのIEに対するナフシリン単剤vsナフシリン+GMの比較試験  右心系IEでは菌血症の期間短縮したが, 死亡率は変わらず     ・S.aureusのIEにおけるダプトマイシンの非劣勢を示したRCT  ダプトマイシン vs 抗黄色ブドウ球菌ペニシリン or VCM+GM  治療終了から42日後の治癒率は同等, GM併用群で腎機能障害多い Ann Intern Med. 1982;97(4):496-503. N Engl J Med. 2006;355(7):653-65.

#12.

黄色ブドウ球菌 (MSSA, MRSA) 12 S.aureus ・自然弁のIE場合は, GM併用は推奨されない ・治療効果は変わらず, 腎機能障害が増える ・ただし, CEZと併用の研究は少ない

人工弁の感染症に対する治療法

#13.

人工弁のIE 13 endocarditis of prosthetic valve ・ブドウ球菌 (S.aureus, CNSいずれも)  CEZ or VCMにGM+RFPを併用 (初期2週間GM, 6週間RFP)  アミノグリコシドに耐性があればLVFX, それも耐性ならLZD or ST  RFPは治療開始3-5日目に追加 (選択圧によりRFP耐性が誘導される)  RFP耐性なら使用しない ・α溶血連鎖球菌(S.bovis group)  PCG MIC≦0.12μg/mL:PCG+GM 初期2週併用  PCG MIC>0.12,<0.5μg/mL:PCG+GM 6週併用 or VCM単独  PCG MIC≧0.5μg/mL:VCM+GM 6週

#14.

人工弁のIE 14 endocarditis of prosthetic valve ・その他の連鎖球菌 (A,B,C,F,G group, 肺炎球菌)  PCG or CTRX+GM 初期2週間(A群連鎖球菌はPCG感受性良好のためGM不要) ・腸球菌(E.faecalis, E.faecium)  自然弁のIEと同様に治療  アミノグリコシド耐性E.faecalis:CTRX+AMPC (βラクタム併用療法) ・HACEK  ESCではGM or CPFX併用推奨 (AHAでは推奨なし) ・その他のグラム陰性桿菌  GM or フルオロキノロン併用 (耐性獲得のリスクを下げるため)

#15.

IEにおけるアミノグリコシド 15 Aminoglycoside for Infective Endocarditis まとめ ・α溶血連鎖球菌:2週間の治療かPCG耐性ありなら使用 ・腸球菌:基本ゲンタマイシン併用 ・黄色ブドウ球菌:自然弁なら不要 ・人工弁のIE:基本ゲンタマイシン併用        ブドウ球菌ならリファンピシン併用

壊死性筋膜炎におけるクリンダマイシンの効果

#16.

IEにおけるアミノグリコシド Take Home Message 壊死性筋膜炎のクリンダマイシン MRSA菌血症のβラクタム系併用 人工関節感染のリファンピシン 抗菌薬入りセメント 16 CombinationTherapy

#17.

17 壊死性筋膜炎のクリンダマイシン Clindamycin for Necrotizing soft tissue infections ・クリンダマイシンによる外毒素とM蛋白の産生抑制, PBP産生抑制, postantibiotic effectが長いこと, Eagle効果が示されている ・有効性が示されているのは, A群連鎖球菌の場合のみ (≠混合感染) ・侵襲性GAS感染症患者1079名を対象とした観察研究で  CLDM併用群は死亡率低下(2.6対6.1%, aOR 0.40 [95%CI 0.15-0.91]) Lancet Infect Dis. 2021;21(5):697. Epub 2020 Dec 14. 

#18.

18 壊死性筋膜炎のクリンダマイシン Clindamycin for Necrotizing soft tissue infections ・Empirical therapy  MEPM or PIPC/TAZ+VCM+CLDM ・A群連鎖球菌単独感染と判明後  PCG+CLDM ・CLDMの投与期間  48-72時間以上, 血行動態・臨床的に安定後に終了検討

#19.

IEにおけるアミノグリコシド Take Home Message 壊死性筋膜炎のクリンダマイシン MRSA菌血症のβラクタム系併用 人工関節感染のリファンピシン 抗菌薬入りセメント 19 CombinationTherapy

MRSA菌血症に対する併用療法の現状

#20.

20 Combination Therapy for MRSA bacteremia ・In vitroで併用により殺菌までの期間が短かった ・動物モデルのIn vivoで, 併用により生存率改善 ・VCM or DPT+β-ラクタム系薬併用のRCT (CAMERA2試験, n=345)  併用群で5日目の菌血症は減少も, AKIの発症率が高い  死亡・持続菌血症・再発・治療失敗の有意な改善は得られなかった  抗ブドウ球菌性ペニシリンが中心, CEZは27例のみ MRSA菌血症のβラクタム系併用 JAMA. 2020 Feb 11;323(6):527-537.

#21.

21 Combination Therapy for MRSA bacteremia ・現時点で最も大きなRCTで有意差は出なかった  菌血症消失までは早まるが, 死亡率は改善しない  腎機能障害は生じるがCEZ併用のデータは乏しい ・現時点では, MRSA菌血症へのβラクタム系薬の併用は推奨されない MRSA菌血症のβラクタム系併用

#22.

IEにおけるアミノグリコシド Take Home Message 壊死性筋膜炎のクリンダマイシン MRSA菌血症のβラクタム系併用 人工関節感染のリファンピシン 抗菌薬入りセメント 22 CombinationTherapy

人工関節感染におけるリファンピシンの役割

#23.

人工関節のリファンピシン 23 rifampicin combination therapy in prosthetic joint infection ・人工関節周囲にバイオフィルムが形成されると, 様々な機序により  薬剤感受性が低下(深部で代謝低下, マトリックスによる輸送制限etc)   ・骨髄炎のラットモデルでRFP, CPFX+RFPは骨内の菌量を低下させた ・人工関節, 創内固定器を保存的に加療した33例を対象としたRCT   CPFX or VCMにRFP併用群, 非併用群で比較 (全てブドウ球菌)  RFP併用群で治癒率が高かった (100% vs 58%) Science. 1999;284(5418):1318.  Am J Med. 1987;82(4A):73.  JAMA. 1998;279(19):1537-1541.

#24.

人工関節のリファンピシン 24 rifampicin combination therapy in prosthetic joint infection ・黄色ブドウ球菌用ペニシリン(本邦では入手不能)はRFPに拮抗  オキサシリン+RFP, オキサシリン単剤の比較試験で有意差なし   ・セファゾリンとの併用のRCTは報告がない ・キノロン系との併用のエビデンスが多いが, 耐性菌リスク高 ・薬剤相互作用が多いため, 使用には注意が必要 Antimicrob Agents Chemother. 1985 Oct;28(4):467-72.

#25.

人工関節のリファンピシン 25 rifampicin combination therapy in prosthetic joint infection ・起炎菌がブドウ球菌の場合にのみ検討 ・ルーチンで併用は行わない ・慢性感染や保存的加療の場合の長期抑制に使用されることが多い ・治療開始から数日後にRFPを開始 (人工弁IEに順じ3-5日目?) ・投与期間は全治療期間だが, 副作用による中断は多い ・本邦ではCEZ+RFP, ST合剤+RFPの併用が多い ・エビデンスが豊富なのはキノロン系との併用

抗菌薬入りセメントの使用とその効果

#26.

IEにおけるアミノグリコシド Take Home Message 壊死性筋膜炎のクリンダマイシン MRSA菌血症のβラクタム系併用 人工関節感染のリファンピシン 抗菌薬入りセメント 26 CombinationTherapy

#27.

抗菌薬入りセメント 27 Antibiotic bone cement ・非感染の初回人工関節置換術(股関節, 膝関節)のメタアナリシス  抗菌薬含有セメント(GM or CXM)使用で深部感染は減少 (RR=0.41)  抗菌薬含有セメント(GM)使用で創部感染は減少(1.2% vs 2.3%)     ・感染した人工関節の2期手術の抗菌薬含有セメントに関する観察研究  GM vs GM+VCM, VCM併用群で再置換時の培養陽性率低下  全体では失敗率は低下せず, CNSによる失敗率は低下(2.5% vs13.3%) PLoS ONE 2013;8(12): e82745. Acta Orthop. 2008 Jun;79(3):335-41. Clin Infect Dis. 2019 May 30;68(12):2087-2093.

#28.

抗菌薬入りセメント 28 Antibiotic bone cement ・人工関節置換術の初回, 再置換術  深部創部感染予防に抗菌薬含有セメントを使用 ・人工関節感染のセメントスペーサー, 再置換術  治療目的に抗菌薬含有セメントを使用    ゲンタマイシン含有セメントが一般的  人工関節感染における質の高い研究は少ない

抗菌薬併用療法の推奨状況とまとめ

#29.

Take home message 29 ・ 抗菌薬併用療法が推奨される状況は限られている ・ 併用療法は一般的に合併症のリスクを高める ・ 感染性心内膜炎と壊死性筋膜炎の治療について押さえよう

#30.

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