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抗菌薬+αのコントロバシー

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  • βラクタム系抗菌薬
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  • ゲンタマイシン

37,609

57

2021/8/24
2021/8/27 更新

本スライドの対象者

研修医/専攻医

内容

抗菌薬併用療法を中心として、抗菌薬+αについてまとめました。

ガイドラインを紐解いていくと、RCTでガッチリとエビデンスがある部分と、Expert opinionで経験的に使用が推奨されているものが混在しています。特に1980年代に抗菌薬併用療法について研究されていたようです。

抗菌薬併用療法は基本的に腎機能障害など合併症が増えるため、慎重に適応を吟味する必要があります。

東京曳舟病院救急科では、都内トップクラスの救急搬送数を受けながら、院内・院外の教育的な発信も行っています。特に診断学について力を入れていきますので、興味のある方、他施設とのコラボを考えている方などいらっしゃいましたら、お気軽にご連絡下さい。

東京曳舟病院 救急科医長

藤原 翔

mail: fujiwarackn@gmail.com

藤原翔

東京曳舟病院


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抗菌薬+αのコントロバシー

  1. 抗菌薬+α のコントロバシー 東京曳舟病院 救急科 藤原 翔

  2. その抗菌薬の併用は正しい? 患者への害はないのか?

  3. CombinationTherapy IEにおけるアミノグリコシド Take Home Message 壊死性筋膜炎のクリンダマイシン MRSA菌血症のβラクタム系併用 人工関節感染のリファンピシン 抗菌薬入りセメント 3

  4. IEにおけるアミノグリコシド Take Home Message 壊死性筋膜炎のクリンダマイシン MRSA菌血症のβラクタム系併用 人工関節感染のリファンピシン 抗菌薬入りセメント 4 CombinationTherapy

  5. 今回使用する略語 5 Abbreviations GM : Gentamicin  CLDM:Clindamycin ゲンタマイシン     クリンダマイシン RFP : Rifampicin  MEPM:Meropenem リファンピシン     メロペネム SM : Streptomycin  PIPC/TAZ:Piperacillin-tazobactam  ストレプトマイシン   ピペラシリン・タゾバクタム

  6. IEにおけるアミノグリコシド 6 Aminoglycoside for Infective Endocarditis    考慮する場面は4つ  ・α溶血連鎖球菌  ・腸球菌  ・黄色ブドウ球菌  ・人工弁のIE 自然弁の話

  7. α溶血連鎖球菌(S.bovis group) 7 S.bovis group ・PCGに対するMIC≦0.12μg/mL  PCG単剤 4週間で治療可能, CTRX or VCM単剤でも可  2週間のレジメンではGM併用 (自然弁, 合併症なし, 疣贅≦1cm etc...) ・ PCG MIC>0.12,<0.5μg/mL  PCG+初期2週間のGM併用推奨, VCM or CTRXは単剤 ・PCG MIC≧0.5μg/mL  腸球菌に準じた治療として, PCG or CTRX+初期2週間GM併用, VCM単剤  European Society of CardiologyはVCMにも併用を推奨だが腎障害リスク高 ・GMは分割投与が基本. 腎機能考慮し1日1回も検討可 Circulation. 13;132(15):1435-86.

  8. 腸球菌(E.faecalis, E.faecium) 8 Enterococcus spp. ・ペニシリン系に対して連鎖球菌と比較し耐性があることから  アミノグリコシド系の併用が推奨されている.   ・アミノグリコシドは腸球菌に対して不透過性だが, 細胞膜活性剤を  使用することで有効な細胞内濃度を達成できる. ・腸球菌のゲンタマイシン高度耐性も問題となっている ・ゲンタマイシンの長期使用は腎機能障害を生じるリスクが高い Circulation. 13;132(15):1435-86.

  9. 腸球菌(E.faecalis, E.faecium) 9 Enterococcus spp. ・AMPC+CTRXはAMPC単独より, in vitro, in vivoで菌量が減少   ・動物モデルのE.faecalisのIEにおける併用療法の研究  AMPC+CTRXはAMPC+GMと同等に菌量が減少 ・E.faecalisのIEにおける多施設非ランダム化比較試験  AMPC+CTRX vs AMPC+GM  CTRX併用群の背景は癌など全身状態は不良であったが死亡率は同等 Clin Infect Dis. 2013;56(9):1261-8. J Antimicrob Chemother. 2003;52(3):514-7. Antimicrob Agents Chemother. 1999;43(3):639-46.

  10. 腸球菌(E.faecalis, E.faecium) 10 Enterococcus spp. ・腸球菌のIEでは, GMの併用が推奨される ・GMは分割投与, 腎機能障害があれば単回 ・可能な限り全治療期間併用 (AKIあれば中止, できれば2週間確保) ・GMのMIC>500μg/mL(高濃度耐性)は, 治療成績は単剤と同等. SMを使用. ・E.faecalisの場合  PCG+GM 4-6週間, 高齢やCKDあればAMPC+CTRX ・E.faeciumの場合  VCM+GM 6週間 Circulation. 13;132(15):1435-86.

  11. 黄色ブドウ球菌 (MSSA, MRSA) 11 S.aureus ・過去には低用量GM併用療法が行われていた ・MSSAのIEに対するナフシリン単剤vsナフシリン+GMの比較試験  右心系IEでは菌血症の期間短縮したが, 死亡率は変わらず     ・S.aureusのIEにおけるダプトマイシンの非劣勢を示したRCT  ダプトマイシン vs 抗黄色ブドウ球菌ペニシリン or VCM+GM  治療終了から42日後の治癒率は同等, GM併用群で腎機能障害多い Ann Intern Med. 1982;97(4):496-503. N Engl J Med. 2006;355(7):653-65.

  12. 黄色ブドウ球菌 (MSSA, MRSA) 12 S.aureus ・自然弁のIE場合は, GM併用は推奨されない ・治療効果は変わらず, 腎機能障害が増える ・ただし, CEZと併用の研究は少ない

  13. 人工弁のIE 13 endocarditis of prosthetic valve ・ブドウ球菌 (S.aureus, CNSいずれも)  CEZ or VCMにGM+RFPを併用 (初期2週間GM, 6週間RFP)  アミノグリコシドに耐性があればLVFX, それも耐性ならLZD or ST  RFPは治療開始3-5日目に追加 (選択圧によりRFP耐性が誘導される)  RFP耐性なら使用しない ・α溶血連鎖球菌(S.bovis group)  PCG MIC≦0.12μg/mL:PCG+GM 初期2週併用  PCG MIC>0.12,<0.5μg/mL:PCG+GM 6週併用 or VCM単独  PCG MIC≧0.5μg/mL:VCM+GM 6週

  14. 人工弁のIE 14 endocarditis of prosthetic valve ・その他の連鎖球菌 (A,B,C,F,G group, 肺炎球菌)  PCG or CTRX+GM 初期2週間(A群連鎖球菌はPCG感受性良好のためGM不要) ・腸球菌(E.faecalis, E.faecium)  自然弁のIEと同様に治療  アミノグリコシド耐性E.faecalis:CTRX+AMPC (βラクタム併用療法) ・HACEK  ESCではGM or CPFX併用推奨 (AHAでは推奨なし) ・その他のグラム陰性桿菌  GM or フルオロキノロン併用 (耐性獲得のリスクを下げるため)

  15. IEにおけるアミノグリコシド 15 Aminoglycoside for Infective Endocarditis まとめ ・α溶血連鎖球菌:2週間の治療かPCG耐性ありなら使用 ・腸球菌:基本ゲンタマイシン併用 ・黄色ブドウ球菌:自然弁なら不要 ・人工弁のIE:基本ゲンタマイシン併用        ブドウ球菌ならリファンピシン併用

  16. IEにおけるアミノグリコシド Take Home Message 壊死性筋膜炎のクリンダマイシン MRSA菌血症のβラクタム系併用 人工関節感染のリファンピシン 抗菌薬入りセメント 16 CombinationTherapy

  17. 17 壊死性筋膜炎のクリンダマイシン Clindamycin for Necrotizing soft tissue infections ・クリンダマイシンによる外毒素とM蛋白の産生抑制, PBP産生抑制, postantibiotic effectが長いこと, Eagle効果が示されている ・有効性が示されているのは, A群連鎖球菌の場合のみ (≠混合感染) ・侵襲性GAS感染症患者1079名を対象とした観察研究で  CLDM併用群は死亡率低下(2.6対6.1%, aOR 0.40 [95%CI 0.15-0.91]) Lancet Infect Dis. 2021;21(5):697. Epub 2020 Dec 14. 

  18. 18 壊死性筋膜炎のクリンダマイシン Clindamycin for Necrotizing soft tissue infections ・Empirical therapy  MEPM or PIPC/TAZ+VCM+CLDM ・A群連鎖球菌単独感染と判明後  PCG+CLDM ・CLDMの投与期間  48-72時間以上, 血行動態・臨床的に安定後に終了検討

  19. IEにおけるアミノグリコシド Take Home Message 壊死性筋膜炎のクリンダマイシン MRSA菌血症のβラクタム系併用 人工関節感染のリファンピシン 抗菌薬入りセメント 19 CombinationTherapy

  20. 20 Combination Therapy for MRSA bacteremia ・In vitroで併用により殺菌までの期間が短かった ・動物モデルのIn vivoで, 併用により生存率改善 ・VCM or DPT+β-ラクタム系薬併用のRCT (CAMERA2試験, n=345)  併用群で5日目の菌血症は減少も, AKIの発症率が高い  死亡・持続菌血症・再発・治療失敗の有意な改善は得られなかった  抗ブドウ球菌性ペニシリンが中心, CEZは27例のみ MRSA菌血症のβラクタム系併用 JAMA. 2020 Feb 11;323(6):527-537.

  21. 21 Combination Therapy for MRSA bacteremia ・現時点で最も大きなRCTで有意差は出なかった  菌血症消失までは早まるが, 死亡率は改善しない  腎機能障害は生じるがCEZ併用のデータは乏しい ・現時点では, MRSA菌血症へのβラクタム系薬の併用は推奨されない MRSA菌血症のβラクタム系併用

  22. IEにおけるアミノグリコシド Take Home Message 壊死性筋膜炎のクリンダマイシン MRSA菌血症のβラクタム系併用 人工関節感染のリファンピシン 抗菌薬入りセメント 22 CombinationTherapy

  23. 人工関節のリファンピシン 23 rifampicin combination therapy in prosthetic joint infection ・人工関節周囲にバイオフィルムが形成されると, 様々な機序により  薬剤感受性が低下(深部で代謝低下, マトリックスによる輸送制限etc)   ・骨髄炎のラットモデルでRFP, CPFX+RFPは骨内の菌量を低下させた ・人工関節, 創内固定器を保存的に加療した33例を対象としたRCT   CPFX or VCMにRFP併用群, 非併用群で比較 (全てブドウ球菌)  RFP併用群で治癒率が高かった (100% vs 58%) Science. 1999;284(5418):1318.  Am J Med. 1987;82(4A):73.  JAMA. 1998;279(19):1537-1541.

  24. 人工関節のリファンピシン 24 rifampicin combination therapy in prosthetic joint infection ・黄色ブドウ球菌用ペニシリン(本邦では入手不能)はRFPに拮抗  オキサシリン+RFP, オキサシリン単剤の比較試験で有意差なし   ・セファゾリンとの併用のRCTは報告がない ・キノロン系との併用のエビデンスが多いが, 耐性菌リスク高 ・薬剤相互作用が多いため, 使用には注意が必要 Antimicrob Agents Chemother. 1985 Oct;28(4):467-72.

  25. 人工関節のリファンピシン 25 rifampicin combination therapy in prosthetic joint infection ・起炎菌がブドウ球菌の場合にのみ検討 ・ルーチンで併用は行わない ・慢性感染や保存的加療の場合の長期抑制に使用されることが多い ・治療開始から数日後にRFPを開始 (人工弁IEに順じ3-5日目?) ・投与期間は全治療期間だが, 副作用による中断は多い ・本邦ではCEZ+RFP, ST合剤+RFPの併用が多い ・エビデンスが豊富なのはキノロン系との併用

  26. IEにおけるアミノグリコシド Take Home Message 壊死性筋膜炎のクリンダマイシン MRSA菌血症のβラクタム系併用 人工関節感染のリファンピシン 抗菌薬入りセメント 26 CombinationTherapy

  27. 抗菌薬入りセメント 27 Antibiotic bone cement ・非感染の初回人工関節置換術(股関節, 膝関節)のメタアナリシス  抗菌薬含有セメント(GM or CXM)使用で深部感染は減少 (RR=0.41)  抗菌薬含有セメント(GM)使用で創部感染は減少(1.2% vs 2.3%)     ・感染した人工関節の2期手術の抗菌薬含有セメントに関する観察研究  GM vs GM+VCM, VCM併用群で再置換時の培養陽性率低下  全体では失敗率は低下せず, CNSによる失敗率は低下(2.5% vs13.3%) PLoS ONE 2013;8(12): e82745. Acta Orthop. 2008 Jun;79(3):335-41. Clin Infect Dis. 2019 May 30;68(12):2087-2093.

  28. 抗菌薬入りセメント 28 Antibiotic bone cement ・人工関節置換術の初回, 再置換術  深部創部感染予防に抗菌薬含有セメントを使用 ・人工関節感染のセメントスペーサー, 再置換術  治療目的に抗菌薬含有セメントを使用    ゲンタマイシン含有セメントが一般的  人工関節感染における質の高い研究は少ない

  29. Take home message 29 ・ 抗菌薬併用療法が推奨される状況は限られている ・ 併用療法は一般的に合併症のリスクを高める ・ 感染性心内膜炎と壊死性筋膜炎の治療について押さえよう

  30. Thank You for Watching! Any Questions?

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