医師・医学生のためのスライド共有

Antaa Slide
診療科
特集

お知らせ

ログイン
意識障害を主訴に救急搬送されたレジオネラ感染症の1例 L1.png

関連テーマから出会おう。

閲覧履歴からのおすすめ

Antaa Slide
症例から学ぼう!非定型肺炎

症例から学ぼう!非定型肺炎

ゆっくり救急医

続けて閲覧
【10分で学べる!】人工呼吸器のグラフィックを理解する

【10分で学べる!】人工呼吸器のグラフィックを理解する

三谷雄己

続けて閲覧

1/27

関連するスライド

2024.3.21更新 よくみる感染症のポイントをまとめました。

2024.3.21更新 よくみる感染症のポイントをまとめました。

新米ID

57293

601

意識障害を主訴に救急搬送されたレジオネラ感染症の1例

投稿者プロフィール
Lemon@感染症

急性期総合病院

27,252

60

概要

レジオネラ感染症の多彩な症状や画像所見を知り、レジオネラ感染症を疑うポイント・適切なアプローチ(診断・治療など)の学習をゴールとしたスライドです。救急・呼吸器・感染症診療に関わる全ての医療従事者を対象としています。

◎目次

・本スライドのゴール、本スライドの対象

・レジオネラ感染症の歴史

・レジオネラ感染症の疫学

・症例

・入院時血液検査・尿検査所見

・入院時の画像所見

・AIUEOTIPSを用いた意識障害の鑑別

・追加の問診事項

・追加の検査所見

・Problem List

・入院後経過

・レジオネラ感染症の病型

・微生物学的特徴

・リスク因子①:環境

・リスク因子②:宿主

・温泉水からのレジオネラ菌の分離

・レジオネラ肺炎の主な臨床症状

・レジオネラ肺炎の主な治療

・レジオネラ肺炎の予後

・Take Home Messages

本スライドの対象者

医学生/研修医/専攻医/専門医

参考文献

  • レジデントのための感染症診療マニュアル 第4版

  • Mandell,Douglas Bennett’s Principles and Practice of Infectious Disease, 9th ed.

  • 古畑勝則ら 温泉水からのレジオネラ属菌の分離状況 感染症学雑誌 2005年

  • Legionella Net

投稿された先生へ質問や勉強になったポイントをコメントしてみましょう!

0 件のコメント

コメントするにはログインしてください >

関連するスライド

2024.3.21更新 よくみる感染症のポイントをまとめました。

2024.3.21更新 よくみる感染症のポイントをまとめました。

新米ID

新米ID

57,293

601

地獄の内科系専門医試験を振り返よ!総合内科専門医試験向け〜感染症編〜

地獄の内科系専門医試験を振り返よ!総合内科専門医試験向け〜感染症編〜

チラ呼吸器内科医

チラ呼吸器内科医

49,417

157

ウィズコロナ時代の感染対策 2024年2月版

ウィズコロナ時代の感染対策 2024年2月版

黒田浩一

黒田浩一

833,233

853

【いざというときのために学ぶ】人工呼吸管理中のトラブルシューティング

【いざというときのために学ぶ】人工呼吸管理中のトラブルシューティング

三谷雄己

三谷雄己

24,809

126


Lemon@感染症さんの他の投稿スライド

すべて見る


テキスト全文

  • #1.

    意識障害を主訴に救急搬送された レジオネラ感染症の1例 Lemon@感染症 日本感染症学会専門医・指導医・評議員 twitter: @Dr_lemon_infect

  • #2.

    本スライドのゴール • レジオネラ感染症の多彩な症状や画像所見を知り、 レジオネラ感染症を疑うポイントを学ぶ • レジオネラ感染症の適切なアプローチ(診断・治療 など)を学ぶ 本スライドの対象 • 救急・呼吸器・感染症診療に関わる全ての医療従事者

  • #3.

    レジオネラ感染症の歴史  1976年、米国フィラデルフィアで発見 在郷軍人会でホテルの宿泊客・通行人221名に感染 し34名が死亡  名前は、‘在郷軍人(legion)’と ‘肺を好む (pneumophila)’に由来  本邦では1981年に初めて報告

  • #4.

    レジオネラ感染症の疫学  市中肺炎の原因の2~9% 市中肺炎の4大原因菌  年々報告件数が増加  第4類感染症 全数報告対象疾患(7日以内に届け出)

  • #5.

    症例 【患者】 58歳男性 【主訴】 意識障害 【現病歴】情報は娘、義理の息子、次男より聴取 医療機関通院歴がなく既往歴が不明な独居の患者 入院6日前に家族との電話で40度程度の発熱があった と話していた 入院5日前に『熱はさがったが、体が疲れていて食べ ると吐いてしまうため、体に何かにあたったのではな いか』との内容のメールが家族に届いた

  • #6.

    症例 入院2日前、義理の息子が連絡したが、連絡がとれなかっ た 入院前日18時頃、義理の息子が患者のマンションを訪れ たところ、部屋の中で荒い呼吸音がしているのを聞いた 布団からは離れたところで患者が寝ており、患者の周囲や トイレには吐物のような物があった 目を見開いている状態で会話が成立せず、呼吸も荒く救急 車要請し当院ER搬送となった。

  • #7.

    【既往歴】 医療機関通院歴なし(健康保険未取得) 繰り返す結膜炎(市販の点眼薬で加療) 【嗜好歴】 喫煙:40-60本/日 約35 年間(3年前に禁煙) 飲酒:焼酎2-3杯/日 【内服薬】なし【アレルギー】なし 【輸血歴】なし 【家族歴】 父 :心疾患で入院歴あり、老衰 母 :高血圧、脳出血 長男:糖尿病などで内服あり(詳細不明) 次男:高血圧、高尿酸血症 三男:34歳で突然死(心不全の診断)

  • #8.

    【バイタル】 血圧125/95 mmHg 脈拍127/分・整 呼吸数 42/分 体温 38.1 ℃ Sat 88%(Room Air) 【意識レベル】 GCS E4V1M1 【全身状態】不良 【頭頚部】両眼球結膜充血あり、眼瞼結膜黄染なし 右眼眼脂あり、点状出血なし 副鼻腔圧痛なし、項部硬直あり、口腔汚染著明 【胸部】 両側肺野にcoarse crackles聴取、wheeze聴取せず 心音 murmur聴取せず、異常心音聴取せず 【腹部】 緊満感あり、圧痛なし、筋性防御なし 【背部】 CVA叩打痛なし、脊柱叩打痛なし 【下肢】 浮腫なし 【皮膚】 殿部、第4・5胸椎周囲にⅠ度褥瘡

  • #9.

    入院時血液検査・尿検査所見 WBC Hb 14600 /μl 20.1 g/dl TP 8.9 g/dl Na 140 mEq/L Alb 3.6 g/dl K 6.1 mEq/L RBC 596×106 /μl AST 98 IU/l Cl 105 mEq/L Hct 14.8×106 % ALT 46 IU/l Ca 8.8 mg/dl Plt 148000 LDH 473 IU/l Glu 278 mg/dl T-Bil 0.9 mg/dl γGTP 81 IU/l U-SG 1.030> /μl PT INR 1.06 ALP 255 IU/l U-Glu 1+ APTT 32.8 Sec BUN 67.3 mg/dl U-Ket +/- FBG 1185 mg/dl Cr 1.12 mg/dl U-OB 3+ D-dimer 20.2 μg/ml CK 4943 IU/L U-pH 5.5 U-pro 2+ U-uro 0.1 U-WBC - U-Nit -

  • #10.

    入院時の画像所見  胸部単純レントゲン写真では、右肺底部含気不良を認め、左 中下肺野に気管支壁肥厚および周囲浸潤を認める  胸部単純CTでは、左肺下葉に気腫の抜けを伴うすりガラス陰 性の分布を認める

  • #11.

    AIUEOTIPSを用いた意識障害の鑑別 A I アルコール インスリン 低血糖 U E O T I 尿毒症 電解質異常 内分泌疾患 麻薬、低酸素血症 外傷 感染症 P 精神疾患、心因性 S 脳血管障害、痙攣

  • #12.

    追加の問診事項 【麻薬使用歴】なし 【職業歴】警備員アルバイト 空調整備(主にコンビニ) 【精神疾患】精神疾患・けいれん発作の既往はない 【鳥接触歴】なし 【温泉】スーパー銭湯に入湯 【海外渡航歴】なし 【周囲の類似症状】なし

  • #13.

    追加の検査所見 【髄液検査】 糖 139 mg/dl, 蛋白 46 mg/dl, 細胞数 5個以下 HSV-1 PCR 陰性、HSV-2 PCR 陰性 【血液ガス(FiO2 0.6)】 pH 7.441, PaCO2 34.9 mmHg,PaO2 72.5 mmHg HCO3- 23.4 mEq/L 【喀痰培養】 グラム染色陰性 チール・ニールセン染色陰性 【クラミジアニューモニア抗体】IgA 1.988 倍, IgG 1.935 倍 【マイコプラズマPA】 40倍未満 【HIV抗体】 陰性 【インフルエンザ抗原】A陰性、B陰性 【尿中抗原】肺炎球菌肺炎陰性

  • #14.

    Problem List #1 感染症 #1-1 意識障害 #1-2 発熱 #1-3 嘔吐 #2 #3 #4 #5 #6 #7 Ⅰ型呼吸不全 気腫性病変 血尿・蛋白尿 高CPK血症 肝酵素上昇 眼球結膜充血

  • #15.

    入院後経過 第1病日 救急外来で非侵襲的陽圧換気を装着 集中治療室に入出 敗血症、重症肺炎、細菌性髄膜炎、ヘルペス脳炎な どを考えて、以下の抗菌薬と抗ウイルス薬を開始 ・セフトリアキソン1回2gを12時間毎 ・バンコマイシン1回1gを12時間毎 ・アンピシリン1回2gを6時間毎 ・アシクロビル1回500mgを8時間毎 第2病日 意識障害を伴う重症肺炎の点から、レジオネラ肺炎 も疑われ、シプロフロキサシン1回300mg12時間毎 を追加

  • #16.

    入院後経過 第3病日 尿中レジオネラ抗原が陽性でレジオネラ肺炎 と診断 他の抗菌薬と抗ウイルス薬は中止し シプロフロキサシンのみに変更 酸素化も改善したので、ベンチュリーマスク に変更 第16病日 経過良好のためシプロフロキサシン(16日間 からレボフロキサシン1日1回500mg内服に 変更 第26病日 レボフロキサシン内服継続とし自宅退院 最終診断 レジオネラ肺炎

  • #17.

    レジオネラ感染症の病型 レジオネラ肺炎(在郷軍人病) ポンティアック熱 発熱や筋肉痛を認めるが軽症 通常は治療なしでも2~5日間で自然回復する  その他に肺外疾患として 心内膜炎、蜂窩織炎、副鼻腔炎 関節炎、膵炎、腎盂腎炎など

  • #18.

    微生物学的特徴  好気性ブドウ糖非発酵グラム陰性桿菌  水系、土壌などに存在  レジオネラ属には現在50種類以上の菌種  20菌種にヒトでの感染が確認  Legionella pneumophilaが最も一般的な菌種  15種類の血清型が発見されている  Legionella pneumophila 血清型1がレジオネラ感染症の70 ~80%を占める

  • #19.

    リスク因子①:環境  浴場施設、温泉(特に循環式)  冷却塔  院内感染の場合は給湯システム、加湿器、吸引水  加湿器  井戸水の使用  上水道の破損  気泡風呂  土壌 • 本症例では、温泉が該当

  • #20.

    リスク因子②:宿主  男性  喫煙  飲酒  糖尿病  免疫抑制状態(移植患者、ステロイドの使 用)  慢性肺疾患  慢性腎不全  旅行 • 本症例では、男性、喫煙、飲酒、糖尿病が該当

  • #21.

    温泉水からのレジオネラ菌の分離 調査した温泉施設の中でレジオネラが検出された施設の割合 北海道:14/56(25%) 東北 :31/101(30.7%) 関東 :47/153(30.7%) 中部 :45/154(29.2%) 近畿 :20/78(25.6%) 中国 :13/42(31%) 四国 :12/42(28.6%) 九州・沖縄: 22/84(26.2%) 合計 :204/720(28.7%) 内湯VS露天 :137/447(30.6%) VS 61/222(27.5%) 循環式VSかけ流し :38/100(38%) VS 68/249(27.3%) pH7.6以上 :24.8% pH3.1~7.5:34.8% pH3以下:4.9% 古畑 勝則ら 温泉水からのレジオネラ属菌の分離状況 感染症学雑誌 2005年

  • #22.

    レジオネラ肺炎の主な臨床症状  潜伏期:2-10日間(平均4-5日)  39℃以上の高熱(比較的徐脈)  呼吸器症状(乾性咳嗽、呼吸困難など)は軽度  中枢神経症状(意識障害、歩行困難):10~50%  消化器症状(吐気、嘔吐、下痢):10~30%

  • #23.

    レジオネラ肺炎の主な治療 レジオネラ菌は細胞内移行性菌のため、βラ クタム系やアミノグリコシドは無効 ニューキノロン系抗菌薬やマクロライド系 抗菌薬が有効 治療期間は2~3週間

  • #24.

    レジオネラ肺炎の予後 3日から5日間で症状の改善や解熱 適切な抗菌薬が投与されない場合の致命 率は60~70% 適切な治療でも10~20%が死亡 死亡例は発症7日以内が多い

  • #25.

    Take Home Messages 意識障害や消化器症状を伴う重症肺炎の場合 はレジオネラ肺炎を考える 初期治療として、シプロフロキサシンまたは アジスロマイシンを使用する

  • #26.

    参考文献  レジデントのための感染症診療マニュアル 第4版  Mandell,Douglas Bennett’s Principles and Practice of Infectious Disease, 9th ed.  古畑勝則ら 症学雑誌 温泉水からのレジオネラ属菌の分離状況 2005年  Legionella Net 感染

Antaa Slide

医師・医学生のためのスライド共有

投稿者インタビュー
Antaa QA

医師同士の質問解決プラットフォーム

App StoreからダウンロードGoogle Play Storeからダウンロード

会社概要

Antaa, Inc. All rights reserved.

Follow us on Facebook
Follow us on Twitter