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その他の抗菌薬 -フルオロキノロン,テトラサイクリン,マクロライド-

投稿者プロフィール
高野哲史
Award 2020 受賞者

社会福祉法人恩賜財団済生会支部神奈川県済生会横浜市東部病院

14,334

65

概要

X(元Twitter)から"(元Twitter)”が外れる日は来るのでしょうか。

 

 

今回はβ-ラクタム以外のカテゴリで臨床上重要な薬剤のまとめ(前半)です。副作用,薬物相互作用,その他ユニークな特徴のある薬剤ですが、要点と使い方をザックリまとめておきましょう。

 

スライドの中で更なる解説が必要な点やご不明な点については、お気軽にコメント欄よりお寄せ下さい。

 

(本作は2023年度公立昭和病院 感染症ランチオンセミナーで使用したスライドを一部改変したものです)

 

**************************************

Twitter: https://twitter.com/metl63_ (@metl63_)

mail: meinl2511(アットマーク)gmail.com

日経メディカル(2023/1- 連載中): 感染症診療のマテリアル(https://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/cadetto/column/takano/)

**************************************

本スライドの対象者

医学生/研修医/専攻医

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テキスト全文

フルオロキノロン系抗菌薬の概要と特徴

#1.

ミニマム抗菌薬シリーズ その他の抗菌薬 1/2 - フルオロキノロン,テトラサイクリン,マクロライド -

#2.

executive summery / これらのクラスの薬剤の用途は少々特殊である // 副作用や薬物相互作用に注意を要する /// フルオロキノロンの抗結核作用に注意 //// マクロライドの普段使いはもはや無理

#3.

おしながき / フルオロキノロン(FQ)系抗菌薬 - 総論と薬剤各論(1種類) // テトラサイクリン(TC)系抗菌薬 - 総論と薬剤各論(1種類) /// マクロライド(ML)系抗菌薬 - 総論と薬剤各論(2種類)

フルオロキノロン系抗菌薬の作用機序と副作用

#4.

おしながき / フルオロキノロン(FQ)系抗菌薬 - 総論と薬剤各論(1種類) // テトラサイクリン(TC)系抗菌薬 - 総論と薬剤各論(1種類) /// マクロライド(ML)系抗菌薬 - 総論と薬剤各論(2種類)

#5.

フルオロキノロン系抗菌薬 総論 / キノロン = 核酸合成阻害薬 - トポイソメラーゼⅡ(特にDNA gyrase)およびⅣが作⽤点 → トポイソメラーゼⅡ: グラム陰性桿菌に対するターゲット → トポイソメラーゼⅣ: グラム陽性球菌 〃 - 多くの細菌に対して殺菌的に働く - もともとはグラム陰性桿菌がメインターゲットだったが 世代が上がるにつれグラム陽性菌へスペクトラムが伸⻑した → 特にレボフロキサシン以降は肺炎球菌への抗菌活性が⾼い = “respiratory quinolone”

#6.

フルオロキノロン系抗菌薬 [細胞壁合成阻害] / β-ラクタム系抗菌薬 細胞膜 総論 [タンパク合成阻害] 細胞壁 / テトラサイクリン系 - ペニシリン系 // マクロライド系 - セフェム系 /// リンコマイシン系 → セファロスポリン系 //// アミノグリコシド系 → セファマイシン系 - カルバペネム系 - モノバクタム系 リボソーム // グリコペプチド系 核酸 [核酸合成阻害] / キノロン系

#7.

フルオロキノロン系抗菌薬 総論 / 極めて優れた薬物動態 - 中枢神経も問題なし,前⽴腺もお⼿のもの - 内服すればほとんど吸収され(⼀部除く),組織へ満遍なく分布する - 濃度依存性抗菌薬: ほとんどが1⽇1回投与でOK → アドヒアランスが遵守されやすい // ただし豊富な副作⽤,薬物相互作⽤ - 上市後しばらくして判明したものも多数(各論で扱う) - β-ラクタム系抗菌薬以外は全般に問題になりやすく,意識すべき

#8.

フルオロキノロン系抗菌薬 総論 / 尋常ならざる広域抗菌スペクトル - 多くは緑膿菌,モノによって嫌気性菌,そして結核菌をカバー → 経⼝抗菌薬で緑膿菌を⼗分カバーするのは実質キノロンのみ - 濫⽤の結果,薬剤耐性菌が著しいスピードで増加している事実 → 特に⼤腸菌をはじめとした腸内細菌⽬細菌 → 耐性機序も複数ある(トポイソメラーゼの変化,排出ポンプの獲得,外膜チャネルの変化など) // 複数の薬剤が上市されているが,使い分け不要 - 使い慣れた1剤の詳細(投与設計・抗菌スペクトラム・副作⽤)の理解が重要

レボフロキサシンの詳細と使用上の注意

#9.

フルオロキノロン各論 1/1 レボフロキサシン / フルオロキノロンの代表格 // 中枢神経系への移⾏性: 有 /// 腎機能障害時の⽤量調節: 要 //// 肝機能障害時の⽤量調節: 不要 ///// 妊婦への投与: 不可 ⼩児への投与: 不可

#10.

フルオロキノロン各論 1/1 レボフロキサシン / 抗菌スペクトラムを把握する - 獲得耐性がなければ⽇常出会う細菌の殆どをカバー - 第⼀選択となるケースをまず把握する 症例・疾患 適当な薬剤と投与量・期間 備考 レジオネラ肺炎 LVFX 500mg 1日1回(内服または静注), 7-10日間 重症者・免疫不全者では21日間まで延長 急性前立腺炎 LVFX 500mg 1日1回(内服または静注), 10-14日間 Salmonella 感染症 LVFX 500mg 1日1回(内服), 3日間 細菌性赤痢 LVFX 500mg 1日1回(内服), 3日間 免疫不全者では7-10日投与 BLにアレルギーのある患者 LVFX 500mg 1日1回(内服または静注) 投与期間は疾患毎に異なる BL: ベータラクタム系抗菌薬, LVFX: レボフロキサシン 上記の投与量は腎機能正常かつ体重50kg以上の成人に対する量であり,実際の投与量は腎機能や体格により適宜調節する レボフロキサシンでなければならないケースは少ない

#11.

フルオロキノロン各論 1/1 レボフロキサシン / 抗菌スペクトラムを把握する - 次に意識すべき抗菌スペクトラムを把握する / Pseudomonas aeruginosa // Mycobacterium tuberculosis /// Stenotrophomonas maltophilia //// カルバペネマーゼ産⽣腸内細菌⽬細菌(CRE)などの薬剤耐性菌 ///// Aeromonas spp.

#12.

フルオロキノロン各論 1/1 レボフロキサシン /「キノロン安全神話」は今や過去の話 ⼤動脈瘤・解離1, 2),腱断裂・腱障害のリスク増(2019/9追加) (OR 2.79; 95%CI 2.31-3.37 / OR 2.25; 95%CI 2.03-2.491)) ⼼電図異常(QTc延⻑),低⾎糖,光線過敏,末梢神経障害,痙攣など2) // 薬物相互作⽤も豊富 → 実際の添付文書 Mg,Al,Fe,Zn製剤でキノロンの吸収率減2) → 内服時間を2時間ずらす ステロイドとの併⽤で腱障害の頻度増2, 3) NSAIDとの併⽤でけいれん惹起の可能性2) 1) Sonal S, et al., Aortic Dissection and Aortic Aneurysms Associated with Fluoroquinolones: A Systematic Review and Meta-Analysis, Am J Med. 2017 Dec;130(12):1449-1457 2) レボフロキサシン錠250mg「明治」添付文書: https://www.info.pmda.go.jp/go/pdf/780009̲6241013F2306̲1̲07, 2023年10月17日閲覧. 3) 医薬品インタビューフォーム「レボフロキサシン」: https://www.info.pmda.go.jp/go/interview/1/430773̲6241013C2032̲1̲1F.pdf, 2023年10月17日閲覧.

レボフロキサシンの投与指針と耐性菌のリスク

#13.

フルオロキノロン各論 1/1 レボフロキサシン 2019年1月改訂 2019年9月改訂 (第一三共エスファ株式会社より許諾の上掲載) 本来はその都度「指導」が必要

#14.

フルオロキノロン各論 1/1 レボフロキサシン Al3+ : AUC 44%低下 Mg2+ : AUC 22%低下 Fe2+ : AUC 19%低下 (クラビット細粒10%のデータ,インタビューフォームをもとに作成) 内服時間を 2時間ずらすこと (第一三共エスファ株式会社より許諾の上掲載)

#15.

フルオロキノロン各論 1/1 レボフロキサシン / このクラスの殆どが⼤なり⼩なり抗結核作⽤あり(トスフロキサシンにはなし 1), 2)) - ⽇常診療において本菌をカバーする必要は皆無 - 結核菌は最短1週間の投与でキノロン耐性を獲得し得る3), 4), 5), 6) - 投与により⼀時症状改善7),喀痰抗酸菌塗抹陽性率も73%低下する6) = 診断が遅れる → 結核診断前のキノロン投与で結核関連死亡リスクが増加(1.8-6.9倍) 3), 8) // ⼀般臨床において第⼀選択薬となるケースは極めて少ない - レジオネラ症,急性前⽴腺炎(,感受性があればサルモネラ症)へのfirst choice - 基本的にはβ-ラクタム系薬剤へアレルギーのある患者へのalternative choice 「温存」が基本姿勢であることを忘れない 1) Alexandra A, et al., Mycobacterium tuberculosis DNA gyrase: interaction with quinolones and correlation with antimycobacterial drug activity, Antimicrob Agents Chemother. 2004 Apr;48(4):1281-8. 2) ⽇本呼吸器学会成⼈肺炎診療ガイドライン2017作成委員会著, 『成⼈肺炎診療ガイドライン2017』,pp. 123, 株式会社メディカルレビュー社, 2017 3) Wang JY, Hsueh PR, Jan IS, et al: Empirical treatment with a fluoroquinolone delays the treatment for tuberculosis and is associated with a poor prognosis in endemic areas. Thorax. 2006 Oct; 61(10): 903-8. 4) Dooley KE, Golub J, Goes FS, et al: Empiric treatment of community-acquired pneumonia with fluoroquinolones, and delays in the tre

テトラサイクリン系抗菌薬の概要と作用

#16.

おしながき / フルオロキノロン(FQ)系抗菌薬 - 総論と薬剤各論(1種類) // テトラサイクリン(TC)系抗菌薬 - 総論と薬剤各論(1種類) /// マクロライド(ML)系抗菌薬 - 総論と薬剤各論(2種類)

#17.

テトラサイクリン系抗菌薬 総論 / テトラサイクリン = タンパク合成阻害薬 - リボソーム30Sサブユニットに結合し作⽤ - 静菌的に働く: タンパク合成阻害薬全般に⾔える // 優れた薬物動態 - 内服すればほぼ全量吸収され,組織へ満遍なく分布 → この⽤途で使うことはほぼないが中枢神経系へもある程度は移⾏ - 肝・腎機能で容量調節が不要,1⽇2回投与でOK(⼀応,時間依存性)

#18.

テトラサイクリン系抗菌薬 [細胞壁合成阻害] / β-ラクタム系抗菌薬 細胞膜 総論 [タンパク合成阻害] 細胞壁 / テトラサイクリン系 - ペニシリン系 // マクロライド系 - セフェム系 /// リンコマイシン系 → セファロスポリン系 //// アミノグリコシド系 → セファマイシン系 - カルバペネム系 - モノバクタム系 リボソーム // グリコペプチド系 核酸 [核酸合成阻害] / キノロン系

ドキシサイクリンの適応と使用上の注意

#19.

テトラサイクリン各論 1/1 ドキシサイクリン / 中枢神経系への移⾏性: 有(この⽤途で使うことはほぼない) // 肝・腎機能障害時の⽤量調節: 不要 /// 妊婦への投与: 禁忌 (cf. FDA妊娠時危険区分D: TC, アミノグリコシド) - 胎児⻭⽛⻩染・⼀過性⾻形成不全のリスク //// ⼩児への投与: 原則不可 - ⽶国⼩児学会はドキシサイクリンの短期投与(<21d)は安全と声明1) - ⼩児領域で今後利⽤範囲が広がるかもしれない 1) R Todd, et al, No visible dental staining in children treated with doxycycline for suspected Rocky Mountain Spotted Fever: J Pediatr. 2015 May;166(5):1246-51.

#20.

テトラサイクリン各論 1/1 ドキシサイクリン / ⼀般細菌だけに留まらない超・広域スペクトラム - ⾮定型細菌,スピロヘータ,Rickettsia,マラリア原⾍(予防)など - もはやまとめるのも困難.第⼀選択となるケースを押さえておく // 第⼀選択薬として⽤いる代表的ケース - 基本は,β-ラクタム系抗菌薬にアレルギーのある患者における… / ⽪膚・軟部組織感染症(セファレキシンの代替薬) // 中⽿炎・咽頭炎・⿐副⿐腔炎(アモキシシリンの代替薬) /// 下気道感染症(アモキシシリン,アモキシシリン・クラブラン酸の代替薬) ◎ 肺炎球菌,肺炎マイコプラズマの耐性率の低さから近年注⽬されている

#21.

テトラサイクリン各論 1/1 ドキシサイクリン / 第⼀選択薬として⽤いる代表的ケース - Mycoplasma pneumoniae → 適応があればML,FQより優先する - Chlamydophila pneumoniae 気道感染症 - Chlamydia trachomatis → ⾻盤内炎症症候群(pelvic inflammatory disease; PID)に他剤と併⽤ - Ureaplasma urealyticum 性感染症 - Mycoplasma genitalium → 通常はsequential two-step therapy ◎ ドキシサイクリン100mg/回 1⽇2回*7d → モキシフロキサシン400mg/回 1⽇1回*7d

#22.

テトラサイクリン各論 1/1 ドキシサイクリン / 第⼀選択薬として⽤いる代表的ケース - Rickettsia全般: リケッチア症(紅斑熱・発疹熱・ツツガムシ病)の原因菌 - Francisella tularensis: 野兎病の原因菌 - Borrelia Burgdorferiなど: ライム病の原因菌 ダニ媒介 - Borrelia miyamotoi: 回帰熱の原因菌 - Brucella spp.: ゲンタマイシンやリファンピシンを併⽤ - Leptospira spp.: ワイル病を含むレプトスピラ症の原因菌 - Coxiella burnetii: Q熱の原因菌,時に感染性⼼内膜炎 動物媒介

#23.

テトラサイクリン各論 1/1 ドキシサイクリン / そのほか重要なもの - Treponema pallidum: ペニシリンアレルギーがある場合 → ⼀般にアモキシシリンよりも厳格な内服管理が必要(治療失敗が多い) - Plasmodium spp.: マラリアの⼀次予防,ただし第⼀選択ではない 動物媒介・渡航・その他馴染みのない感染症の治療薬になりがち

#24.

テトラサイクリン各論 1/1 ドキシサイクリン / 万能感溢れるドキシサイクリン,その⽋点 - 副作⽤: 消化器症状 – どうしようもない 前庭症状(めまい・ふらつき) – 他のTCより低頻度 ⾷道炎 - 必ず⼗分量の⽔(コップ1杯程度)で服⽤を指導 ⽪膚 – 光線過敏,⽖甲離床症,⽖下の⻘変 - 薬物相互作⽤: 多価⾦属イオン(Mg 2+, とキレート形成 Fe2+, Zn2+, Al3+) → 投与時はこれらの薬剤と投与時間を2時間以上ずらす → キノロンと同様

テトラサイクリン系抗菌薬の運用と選択基準

#25.

テトラサイクリン各論 1/1 ドキシサイクリン / シンプルで実際的な運⽤案 - ドキシサイクリンは経⼝,ミノサイクリンは静注 → 残念ながら本邦には静注⽤ドキシサイクリンが販売されてない - ミノサイクリンは市中型MRSAの治療 → ドキシサイクリンより好まれる(MRSAに対する活性が⾼いためと思われる) // ただ,厳密な使い分けは不要と思われる - 施設で採⽤されている⽅で良い - ドキシサイクリンがあれば優先する

#26.

おしながき / フルオロキノロン(FQ)系抗菌薬 - 総論と薬剤各論(1種類) // テトラサイクリン(TC)系抗菌薬 - 総論と薬剤各論(1種類) /// マクロライド(ML)系抗菌薬 - 総論と薬剤各論(2種類)

マクロライド系抗菌薬の概要と耐性問題

#27.

マクロライド系抗菌薬 総論 / マクロライド = タンパク合成阻害薬 - リボソーム50Sサブユニットに結合し作⽤ - 静菌的: タンパク合成阻害薬全般に⾔える - タクロリムス(23員環),イベルメクチン(16員環)も広義のマクロライド // 全般に免疫調節(修飾)作⽤を持つ - タクロリムスが好例.マクロライドの中でも強い免疫抑制作⽤ - MAC(Mycobacterium avium complex)に対しこの効果を狙い耐性でも投与することがある

#28.

マクロライド系抗菌薬 [細胞壁合成阻害] / β-ラクタム系抗菌薬 細胞膜 総論 [タンパク合成阻害] 細胞壁 / テトラサイクリン系 - ペニシリン系 // マクロライド系 - セフェム系 /// リンコマイシン系 → セファロスポリン系 //// アミノグリコシド系 → セファマイシン系 - カルバペネム系 - モノバクタム系 リボソーム // グリコペプチド系 核酸 [核酸合成阻害] / キノロン系

#29.

マクロライド系抗菌薬 総論 / 薬剤耐性が深刻 - ⽇本と他国で格差あり.海外ガイドラインを援⽤できない可能性 - ML同⼠で交差耐性あり(ex. エリスロマイシン耐性ならばクラリスロマイシン耐性) - 他のクラスの薬剤とも交差耐性のことあり: 作⽤部位が共通する3系統 → MLSB耐性が有名: 主にリボソームの標的部位をメチル化/変異させ結合阻害 (リボソーム50sサブユニットの23S rRNAをジメチル化させるerm(A), (B)遺伝⼦) → マクロライド耐性の場合,クリンダマイシンは原則耐性と考える (厳密ではないので迷ったら相談する)

#30.

マクロライド各論 1/2 アジスロマイシン / 中枢神経系への移⾏性: なし // 肝・腎機能障害時の⽤量調節: 不要 /// 妊婦への投与: 可 //// ⼩児への投与: 可 ///// 半減期: 40時間 - 1⽇1回どころか,3⽇間内服すると1週間ほどは有効薬物濃度を形成

アジスロマイシンの適応と副作用

#31.

マクロライド各論 1/2 アジスロマイシン / 基本はグラム陽性球菌へ指向性あり - 元来β-ラクタム系抗菌薬にアレルギーのある患者へのalternative - ただし,先述の通り薬剤耐性が深刻すぎてこの⽤途はかなり厳しい // 優れた薬物動態 - 経⼝薬のバイオアベイラビリティは低い(40%ほど)が特筆すべき分布容積 → ⻑期に細胞中で⾼い薬物濃度を維持: アドヒアランスが保たれやすい

#32.

マクロライド各論 1/2 アジスロマイシン / やや特殊な⽅⾯に活路 – ⾮定型肺炎と性感染症+α - Legionella pneumophila - Bordetella pertussis - Chlamydia trachomatis - Mycobacterium genitalium: sequential two-step therapy(先述) - Ureaplasma urealyticum - Haemophilus ducreyi: 軟性下疳(有痛性陰部潰瘍+リンパ節腫脹) - Campylobacter jejuni

#33.

マクロライド各論 1/2 アジスロマイシン / やや特殊な⽅⾯に活路 – そして,ピロリ - Helicobacter pylori → これに限り,クラリスロマイシン>アジスロマイシン → アモキシシリン+クラリスロマイシン+PPI が⼀般的 ◎ ほか,クラリスロマイシンを優先するケース - 一部の非結核性抗酸菌(non-tuberculous Mycobacteria): “rapid growers”のうち, Mycobacterium chelonae (M. abscessus, M. fortuitumはアジスロマイシン優先) - 治療レジメンはかなり特殊.都度成書を参照するか専門家へ相談すること

#34.

マクロライド各論 1/2 アジスロマイシン / アジスロマイシンの⽋点 - 副作⽤: 消化器症状 – エリスロマイシンより少ない QT延⻑ – 特に点滴投与時はマメに12chECGを - 薬物相互作⽤: 豊富かつ時に重⼤.必ずDI室へ確認すること - 静注⽤は調剤が⾯倒 - 薬剤耐性: 普段使いはかなり難しくなっている

フィダキソマイシンの使用と総評

#35.

マクロライド各論 2/2 フィダキソマイシン / マクロライドだが,CDI専⽤(2023年10⽉現在) - 難治・再発・重症CDIの治療に⽤いる // 有効だが誰が⾒ても⾼価な薬剤,いつ使うか︖ - 2023年版IDSAガイドライン上は重症度に関わらず全症例への推奨 - 1コースおよそ80,000円,欧⽶とは疫学(薬剤耐性)も異なる → メトロニダゾールで初期治療を試み, フィダキソマイシンは上記治療難渋例に温存が妥当(私⾒)

#36.

総評 / レボフロキサシン: ★★★★☆ - 汎用性高いが薬剤耐性多し.温存すべし. // ドキシサイクリン: ★★★★☆ - 何となく敬遠されがちだがニッチは確立している. ワケの分からん渡航・動物媒介感染症を見たら思い浮かべる. /// アジスロマイシン: ★★☆☆☆ - 日本では立場が悪い,が,性感染症領域などではまだ重要. //// フィダキソマイシン: ★★★☆☆ - 治療難渋CDI専用.高価.日本では今後どうなるのか・・・

#37.

終 ミニマム抗菌薬シリーズ その他の抗菌薬 1/2 - フルオロキノロン,テトラサイクリン,マクロライド -


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