テキスト全文
癌患者の感染症の基本概念と構造異常
#1. Infectious Diseases In Cancer Patients 一宮西病院 総合内科リウマチ膠原病内科 若山 裕人
#2. がん患者の感染症 構造異常 バリア破綻 免疫不全 デバイス
#3. 癌患者の感染症 1 2 3 4 構造異常 バリア破綻 免疫不全 デバイス
癌患者におけるバリア破綻と免疫不全
#4. 癌患者の感染症 1 2 3 4 構造異常 バリア破綻 免疫不全 デバイス
#5. 解剖学的変化 原発巣と転移巣 管腔の狭窄 瘻孔形成 手術操作
#6. 癌患者の感染症 気管
閉塞性肺炎/膿胸 胆管
胆管炎/肝膿瘍/胆嚢炎 腸管
腸閉塞/穿孔/腹膜炎 尿路
腎盂腎炎/前立腺炎
閉塞性肺炎の診断と臨床的特徴
#7. Ann Transl Med. 2019 Aug; 7(15): 357. 閉塞性肺炎
#8. 閉塞性肺炎 Ann Transl Med. 2019 Aug; 7(15): 357.
#9. 閉塞性肺炎 Ann Transl Med. 2019 Aug; 7(15): 357.
#10. 閉塞性肺炎 臨床症状と特徴 難治性、再発性の肺炎の際に想起する。 小細胞癌や扁平上皮癌等の中枢側の癌に多い。 診断と検査 感染は閉塞の遠位にあり、微生物の入手が困難。 造影CTは閉塞の特定に有用。 最終的には気管支鏡が必要となる。 Ann Transl Med. 2019 Aug; 7(15): 357.
手術部位感染症の種類と発生率
#11. 気管食道瘻 気管支胸膜瘻 膀胱膣瘻 膀胱直腸瘻 瘻孔形成しやすい悪性腫瘍
#12. 術後の感染症 ☞手術により大きく解剖が変化。 ☞術中の様子や術後の解剖学的に流れが滞り
細菌の増殖がないか。 ☞手術により再建方法が多岐にわたる。 ☞時期によって鑑別が大きく変化。
#13. 手術部位感染 皮膚表層SSI 切開部深層SSI 臓器/体腔のSSI 術後30日以内に発生した手術部位の感染症 切開部の皮膚、皮下組織に限局 感染は筋膜、筋層に達する 感染は臓器に達する
#14. 日本における手術部位感染症の割合 院内感染対策サーベイランス(JANIS 2022) 膵頭部切除 胃手術 大腸手術 冠動脈バイパス 股関節手術 膝関節手術 脊椎手術 4.2% 22% 7% 8% 1% 1% 3% 3%
消化器外科術後感染症の合併症と対策
#15. 予防投与に使用される抗菌薬の一覧 術後感染予防抗菌薬適正使用のための実践ガイドライン
#17. 消化器外科術後感染症 〜食道〜 ☞縫合不全と肺炎が二大合併症である。 ☞リンパ節郭清による反回神経麻痺で誤嚥を
きたすことがある。 ☞縫合不全から縦隔炎をきたしうる。 ☞ 12.6%が縫合不全、14.8%が術後肺炎をきたす。 臨外77(13):1446~1451 2022/Ann Surg. 2017 Mar;265(3):527-533.
#18. 臨外77(13):1446~1451 2022 a 縫合部位周囲の液体貯留 b 吻合部から漏出した造影剤 消化器外科術後感染症 〜食道〜
#19. 消化器外科術後感染症 〜胃〜 ☞縫合不全と膵液漏が問題となる。 ☞縫合不全があると断端のドレーンから胆汁
や食物が出てくる。 ☞縫合不全は術後5-7日後に好発する。 ☞縫合不全は1.1-2.5%にみられる。 臨外77(13):1446~1451 2022/Ann Surg. 2017 Mar;265(3):527-533.
婦人科術後感染症のリスクと予防
#21. 消化器外科術後感染症 Infection volume 37, pages 522–527 (2009)
#22. 消化器外科術後感染症 〜大腸〜 ☞大腸手術は他の部位に比較してSSIの
発生率が高く10-30%と報告されている。 ☞腹腔内膿瘍は術後1ヶ月までいづれの
時期に発生しうる。 Colorectal Dis. 2022 Feb;24(2):239./外科感染症診療マニュアル ☞腹膜炎や腹腔内膿瘍をきたす。 ☞腸球菌、カンジダのルーチンのカバー
はしない。
#23. 婦人科術後感染症 ☞微生物が皮膚からと膣からの上行性に侵入。 ☞複数菌感染が多く、GNR・腸球菌・B群連
鎖球菌のカバーが必要。 ☞子宮手術では1.4-6.3%、卵巣手術では0.6
-4.2%で術後感染をきたす。 Infect Dis Obstet Gynecol. 2015 Feb 18.
#24. 婦人科術後感染症 Infect Dis Obstet Gynecol. 2015 Feb 18.
呼吸器外科術後感染症の特徴と診療
#25. 呼吸器外科術後感染症 ☞閉塞性肺炎、膿胸、縦隔炎をきたす。 ☞インフルエンザ桿菌、肺炎球菌、緑膿菌、肺炎桿
菌、黄色ブドウ球菌、GNR全般と微生物が多彩。 ☞経気道的侵入か経皮的侵入かを意識して診
療する。 ☞気管瘻の有無を確認する。
#26. 呼吸器外科術後感染症 COPDの合併 気道の狭窄 人工呼吸器 ケモ/放射線
#27. 呼吸器外科術後感染症 外科感染症診療マニュアル
#28. 呼吸器外科術後感染症 外科感染症診療マニュアル
#29. 脳外科術後感染症 ☞髄液培養が最も重要であり抗菌薬投与前に採取する。 ☞複数の培養で1つのみコンタミの起きやすい
菌が出た際にはコンタミネーションを示唆。 ☞黄色ブドウ球菌・GNR・真菌は真の感染。 ☞症状のない患者の検体はコンタミネーションも多
い。 Clinical infectious disease Volume 64, Issue 6, 15 March 2017
#30. 髄膜炎 シャント感染 脳外科術後感染症 ・いづれも症状が乏しいことが多い。 ・髄液検査が正常でも否定ができない。 ・化学性髄膜炎との鑑別が難しい。 Clinical infectious disease Volume 64, Issue 6, 15 March 2017
脳外科術後感染症の診断と微生物
#31. 脳外科術後感染症 外科感染症診療マニュアル
#32. 脳外科術後感染の微生物 外科感染症診療マニュアル
#33. 癌患者の感染症 1 2 3 4 構造異常 バリア破綻 免疫不全 デバイス
#34. バリア破綻 皮膚バリア バリア破綻⇨常在菌が侵入 癌患者の感染症 粘膜バリア
#35. 癌患者の感染症 Infect Dis Ther. 2017 Mar; 6(1): 69–83.
液性免疫不全のメカニズムと病原体
#36. ☞本来皮膚や粘膜(口/気道/消化管/尿路)は微生物から体を守っている。 ☞放射線、外科処置、医療機器により粘膜バリアは破綻する。 ☞バリア破綻している部位がないか意識して診療にあたる。 癌患者の感染症 Infect Dis Ther. 2017 Mar; 6(1): 69–83.
#37. 癌患者の感染症 1 2 3 4 構造異常 バリア破綻 免疫不全 デバイス
#38. 液性免疫不全 ☞ B細胞系による抗体を介した免疫機構。 ☞莢膜を持つ微生物の感染時に重症化する。 ☞ B細胞系の血液腫瘍、脾摘、リツキシマ
ブ等によって液性免疫不全が見られる。
#39. ☞白血病・リンパ腫・サルコイドーシス 等では脾機能低下が見られる。 ☞ハウエルジョリー小体や有核赤血球は脾機能の低下を示唆。 ☞稀に細菌が末梢血中に見られる。 液性免疫不全
細胞性免疫不全と関連する微生物
#41. 脾摘の適応 悪性腫瘍(卵巣癌播種・膵癌・結腸癌・胃癌・腎癌) 遺伝性球状赤血球症・ITP・AIHA 脾静脈血栓・脾膿瘍・脾腫瘍・脾膿瘍 不適合腎移植・CLL・HCL・骨髄線維症 脾梗塞・TTP・シックルセル病 ◯絶対的な適応 寒冷凝集症・ALPS・代謝疾患・肝硬変の血小板減少 △稀に適応 ×禁忌
#42. 細胞性免疫不全 CD4陽性T細胞(ヘルパーT細胞) CD8陽性T細胞(キラーT細胞) 細胞内寄生菌、S. aureus、真菌の免疫担当 ウイルス全般への免疫を担当
#43. 細胞性免疫不全 ☞プレドニン700mg以上がリスク。 ☞リンパ球系腫瘍、HIV、薬剤等で細胞性免疫の低下をきたす。 ☞多様な微生物による感染症をきたす。 症例から学ぶがん患者の感染症
#44. Listeria Legionella Mycobacterium Nocardia Salmonella S. aureus LLMNSS 代表的な細胞性免疫不全時の微生物
#45. 細胞性免疫不全時の微生物 多様な病原体が原因となりうる。
#46. 特徴的な抗癌剤と抗体薬 液性免疫不全 細胞性免疫不全 粘膜障害 リツキシマブ ベンダムスチン テモゾロミド フルダラビン フルオロウラシル シクロフォスファミド イホスファミド カペシタビン タキサン系 プラチナ系 造血幹細胞移植 Infect Dis Ther. 2017 Mar; 6(1): 69–83.
化学療法による免疫抑制と感染症リスク
#48. 特徴的な抗癌剤と抗体薬 Clin Cancer Res. 2011 Aug 15; 17(16): 5473–5480. デモゾリミド+放射線 高悪性度脳腫瘍でCD4リンパ球低下をきたす (アルキル化薬)
#49. 化学療法とナディア① 白血球 赤血球 血小板 骨髄抑制期(ナディア) 一般的には7-14日 7日目 14日目 DLBCL (約21日サイクル) 抗癌剤 出血・感染症に注意が必要 R-CHOP A-CHP
#50. 化学療法とナディア② 7日目 14日目 ホジキンリンパ腫 (28日サイクル) 抗癌剤 28日目 21日目 A-AVD ABVD 好中球低下はそれほどひどくない
#51. ナディアが深く長い 抗癌剤 21日目 急性骨髄性白血病 4-7日目 (約30日前後) 白血球 赤血球 血小板 化学療法とナディア③
#52. 好中球減少患者の注意点 ②通常見られない部位の感染症 ③重症感染症と急速な進行 ①症状や所見が乏しい 皮膚所見のない蜂窩織炎・膿尿のない腎盂腎炎・レントゲン陰性の肺炎 好中球減少性腸炎・肛門周囲膿瘍・粘膜傷害による菌血症 免疫正常者より進行が早く致死率が高い
#53. 好中球減少患者の菌血症時の死亡率 5% グラム陽性菌 グラム陰性桿菌 複数菌菌血症 緑膿菌菌血症 18% 13% 31%
癌を模倣する感染症の事例と注意点
#55. irAE 重篤合併症が起こりやすい 腸炎・下垂体炎・皮疹 肺炎・筋痛・甲状腺↓・関節痛 Ann Oncol. 2016 Apr;27(4):559-74
#56. 56 イピリムマブ 二ボルマブ irAEが出現するまでの時期
#57. irAE CMV腸炎 CD腸炎 腸結核 PCP その他の真菌 肺結核 ウイルス性肝炎 (CMV・HBV) ステロイド抵抗性のirAEを見たら・・ 腸炎 肺炎 肝炎
#58. 癌患者の感染症 1 2 3 4 構造異常 バリア破綻 免疫不全 デバイス
#59. 癌患者の感染症 CVポート 腎瘻・尿管ステント 胆管ステント VPシャント 乳腺インプラント 人工関節・人工骨
#60. 癌患者の感染症 ☞手術、医療処置、放射線、カテーテルが感染症に関連している。 ☞尿管、膀胱の病変は回腸での尿路変更や腎瘻が必要となる ☞中枢神経腫瘍は頭蓋内圧軽減のためのシャントが必要となる。 ☞頭頸部癌ではPEGチューブが必要となる。 Infect Dis Ther. 2017 Mar; 6(1): 69–83.
#61. 癌患者の感染症 1 2 3 4 構造異常 バリア破綻 免疫不全 デバイス ア ア
#63. 腫瘍熱 ☞リンパ腫・肉腫・血液腫瘍・腎細胞癌で多い。 ☞発汗・紅潮が多く悪寒を伴うことは少ない。 ☞ナプロキセンは腫瘍熱が疑われる患者では
79.8%で有効であった。 ☞発熱は午前9時と午後5時に多く見られる。 Cancer Control. 2017 Apr;24(2):193-197.
#64. 薬剤熱 ☞薬剤の中止とともに解熱することで定義。 ☞発疹・好酸球増加・赤沈増加を伴う事がある。 ☞抗菌薬と抗癌剤は投与から発熱までが短い。 ☞投与してから抗癌剤は平均6.0日、抗菌薬は7.8日で発熱が起こるとされている。 Cancer Control. 2017 Apr;24(2):193-197.
#65. 癌を模倣する感染症 Supportive Care in Cancer volume 5, pages90–93 (1997)
#66. 癌を模倣する感染症 56歳男性の1年前からの咳嗽・体重減少 肺がん疑いの気管支鏡で結核PCR陽性 Respir Med Case Rep. 2015; 16: 45–47.