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森本 将矢

森本 将矢

聖路加国際病院

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2018年2月24日に関東若手医師フェデレーション・関西若手医師フェデレーション合同でプレゼン大会を行った際のスライドです。HIV感染症について非専門医だからこそ知っておきたいことをまとめました。

HIV感染症

1.     僕たちが知っておきたい HIV感染症
2.
3.   いつHIV感染症を疑いますか?
4. HIVスクリーニングを行いたい状況はどれ ? 伝染性単核球症様の症状 結核・悪性リンパ腫 帯状疱疹・口腔カンジダ症 梅毒・淋病・クラミジア症・陰部ヘルペス A型肝炎・B型肝炎・C型肝炎 赤痢(アメーバ性・細菌性) 原因不明の発熱・体重減少・血球減少 治りの悪い皮膚掻痒症・湿疹・伝染性軟属腫 両肘に謎の注射痕多数
5.   30代男性 A型肝炎,B型肝炎,アメーバ赤痢,梅毒, 淋菌性尿道炎,肛門コンジローマの既往あり 疼痛を伴う右腰部の水疱病変を主訴に受診 口腔カンジダ症を疑わせる白苔あり 男性同性間性交渉歴は本人が否定 HIVスクリーニングを勧めたが本人が強く拒否 どうしますか?
6. Table of Contents HIV検査と診断 日和見感染 治療(ART)の基本 非専門医としての心構え
7. Table of Contents HIV検査と診断 日和見感染 治療(ART)の基本 非専門医としての心構え
8. HIVスクリーニング検査
9. Fiebigの分類とHIVマーカーの推移 N Engl J Med. 2011 May 19;364(20):1943-54.
10. HIV確認検査 ウェスタンブロット法(WB法) HIVの複数の抗原に対する抗体を見つける検査 WB法で陽性となるには 感染から約30日必要なので, 急性期には「陰性」になったり「判定保留」になったりする. HIV-1 PCR法は感染後早期 (10日程度)に陽性になる
11.  
12. CD4 通常, CD4/CD8比は 1.5-2.0 程度. → HIV感染症ではCD4/CD8<1となる. CD4の正常値は 1000±200 程度. ・CD4 <200 で様々な日和見感染症を起こす ・CD4 200 はCD4割合 14% に相当する.
13. Table of Contents HIV検査と診断 日和見感染 治療(ART)の基本 非専門医としての心構え
14.   「HIV」と「AIDS」って 何が違うの?
15. 「HIV感染症」と「AIDS」 HIV感染症による高度の細胞性免疫不全に 伴い、免疫健常者が発症しないような  合併症(日和見疾患など)を来した状態 日本では、HIV感染者が「エイズ指標疾患」を発症した状態を「後天性免疫不全症候群(AIDS)」と定義している
16. AIDS指標23疾患 真菌症    1. カンジダ症(食道、気管、気管支、肺)         2. クリプトコッカス症(肺以外)        3. コクシジオイデス症         4. ヒストプラズマ症         5. ニューモシスチス肺炎 原虫感染症     6. トキソプラズマ脳症(生後1カ月以後) 7. クリプトスポリジウム症(1カ月以上続く下痢) 8. イソスポラ症(1カ月以上続く下痢) 細菌感染症    9. 化膿性細菌感染症 10. サルモネラ菌血症(再発を繰り返すもので、 チフス菌によるものを除く) 11. 活動性結核(肺結核又は肺外結核)      12. 非結核性抗酸菌症 ウィルス感染症 13. サイトメガロウィルス感染症 (生後1カ月以後で、肝、脾、リンパ節以外) 14. 単純ヘルペスウィルス感染症 15. 進行性多巣性白質脳症 腫瘍      16. カポジ肉腫 17. 原発性脳リンパ腫 18. 非ホジキンリンパ腫 (a. 大細胞型・免疫芽球型、b. Burkitt型) 19. 浸潤性子宮頸癌 その他     20. 反復性肺炎 21. リンパ性間質性肺炎/肺リンパ過形成:LIP/PLH complex(13歳未満) 22. HIV脳症(痴呆又は亜急性脳炎) 23. HIV消耗性症候群(全身衰弱又はスリム病)
17. 大切なのは・・・ ・HIVウイルスの量 ・その時点の免疫状態 ・日和見感染の「固有名詞」 ウイルスRNA定量 CD4数 「PCP」「結核」など
18. 服アド手帖 診療 虎の巻 第7版(2017年11月)鳥居薬品
19. CD4数と予防内服 CD4 < 200/μl  PCP予防: ST合剤 1錠/日 CD4 < 50/μl  MAC症予防:アジスロマイシン1200mg/週
20. HIVに関連する呼吸器疾患 ニューモシスチス肺炎(PCP) 細菌性肺炎 結核 非結核性抗酸菌症(特にMAC) 真菌感染(Cryptococcus, Aspergillus) 肺カポジ肉腫 悪性リンパ腫
21. HIVに関連する呼吸器疾患 ニューモシスチス肺炎(PCP) 細菌性肺炎 結核 非結核性抗酸菌症(特にMAC) 真菌感染(Cryptococcus, Aspergillus) 肺カポジ肉腫 悪性リンパ腫
22.   PCPはAIDS指標疾患の中で最も多い PCPの診断 気管支鏡によるBALで病理(グロコット染色)
23. PCPの治療 ST合剤 15-20mg/kg/day(trimethoprim量) PaO2≦70mmHg もしくは AaDO2≧35mmHgの時は ステロイドを併用する※ Day1~5:PSL40mg×2回/日 Day6~10:PSL40mg×1回/日 Day11~21:PSL20mg/日 <代替治療> ・アトバコン(サムチレール®) 750mg×2包/日 ・ペンタミジン(ベナンバックス®) 4mg/kg IV ※ N Engl J Med. 1990 Nov 22;323(21):1500-4.
24. Table of Contents HIV検査と診断 日和見感染 治療(ART)の基本 非専門医としての心構え
25.   国立国際医療研究センター エイズ治療開発センター 塚田訓久先生
26.   抗HIV療法の簡便化
27. ウイルス 第63巻 第2号,pp.199-208,2013 東京大学医科学研究所 感染免疫内科 NRTI NNRTI PI INSTI
28. 「BACKBORN DRUG」と「KEY DRUG」 を組み合わせて使用する BACKBORN DRUG KEY DRUG 核酸系逆転写酵素阻害薬(NRTIs) ・Tenofovir/emtricitabine(TDF/FTC):ツルバダ® ・Tenofovir alafenamide/emtricitabine(TAF/FTC):デシコビ® ・Abacavir/lamivudine(ABC/3TC):エプジコム® TDF/FTC:HBVに対して効果あり、高ウイルス量(10万copy以上)に効果あり       腎障害・骨代謝に影響あり TAF/FTC:上記の副作用を軽減している ABC/3TC:心血管障害や心筋梗塞リスク上がることもある
29. 「BACKBORN DRUG」と「KEY DRUG」 を組み合わせて使用する BACKBORN DRUG KEY DRUG 非核酸系逆転写酵素阻害薬(NNRTIs) Efavirenz(EFV), Rilpivirine(RPV) プロテアーゼ阻害薬(PIs) Darunavir+ritonavir(DRVrtv) インテグラーゼ阻害薬(INSTIs) Raltegravir(RAL) Doltegravir(DTG) Elvitegravir/cobicistat(EVG/cobi)
30. 抗HIV診療ガイドライン 2018年3月版
31. 治療開始時期は”As soon as possible” でも抗HIV治療は一生涯続くので 「身体」「心」「お金」の準備が必要 自立支援医療制度の活用で経済的負担が減少   CD4数に関係なく
32. Table of Contents HIV検査と診断 日和見感染 治療(ART)の基本 非専門医としての心構え
33. 早期に診断されたコントロール良好なHIV感染症は生命予後に影響しない 良好にコントロールされればHIV感染症は感染性を失う
34. HIV陽性告知の際に伝えたいこと HIV感染症には有効な治療法が存在し、合併症がなければ長期生存も期待できる疾患である 早期に一度は専門家の診察を受けるのが望ましい 日常生活では他者に感染させることはない 電話相談窓口やカウンセリング体制が存在する 治療費用についても様々な支援制度が存在する 衝動的に大きな決断をすべきでない
35.   30代男性 A型肝炎,B型肝炎,アメーバ赤痢,梅毒, 淋菌性尿道炎,肛門コンジローマの既往あり 疼痛を伴う右腰部の水疱病変を主訴に受診 口腔カンジダ症を疑わせる白苔あり 男性同性間性交渉歴は本人が否定 HIVスクリーニングを勧めたが本人が強く拒否 どうしますか?
36.    
37. Take Home Messages HIV感染症は必ずコントロールできる時代。 診療面でも金銭面でもサポートしてくれる方はいるので早めに専門科に紹介しましょう。 疑わしい患者には検査を勧めましょう。  ただしすぐに検査できない状況もあるので 柔軟に対応しましょう。 HIV感染者も非感染者と「同じ」です。  HIVだけにとらわれず冷静に対応しましょう。
38. Appendix HIVとがんについて
39.   AIDS-defining cancers(ADCs) カポジ肉腫 非ホジキンリンパ腫 浸潤性子宮頸癌 Non-AIDS-defining cancers(NADCs) 肛門癌 ホジキンリンパ腫 肝臓癌 皮膚癌 大腸癌 肺癌
40.   Clin Infect Dis. 2012 Nov;55(9):1228-35.
41. HIV-associated lymphoma ①免疫正常者でもみられるリンパ腫  - Burkittリンパ腫, DLBCL, ホジキンリンパ腫 ②HIV感染者に特異的なリンパ腫  - 原発性滲出性リンパ腫(PEL)  - 形質芽細胞性リンパ腫  - HHV8関連多中心性キャッスルマン病(MCD) ③他の免疫不全状態でもみられるリンパ腫  - Polymorphic B-cell lymphoma (PTLD-like)
42.   Blood. 2012 Apr 5;119(14):3245-55.
43. HIV-associated lymphomaの治療 化学療法による「抗腫瘍効果」と「感染症増加」のバランスを考える必要がある. Blood. 2005 Sep 1;106(5):1538-43. CHOP療法にRituximabを加えても 治療効果が感染症増加による毒性で 打ち消されてしまう. CD4≦100/μlでは化学免疫療法を行っても成績が悪い.
44.   最近の前向き臨床研究を総合的に判断すると、 Rituximabの有用性は証明されてきている。 併用化学療法の詳細に関してはまだエビデンスが乏しい。 Blood. 2013 Nov 7;122(19):3251-62.
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