Primary survey 呼吸(B)の異常【メカニズムの評価を中心に】
#看護師 #初期研修医向け #みんなの救命救急科 #急性呼吸不全 #ABCDアプローチ
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最終更新:2022年11月3日
【日本外傷学会外傷初期診療ガイドライン(JATEC)準拠】Tertiary survey のススメ
#レントゲン #JATEC #外傷 #CT #みんなの救命救急科
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最終更新:2022年6月18日
重症頭部外傷のまとめ【2017年米国・日本治療ガイドラインを中心に】
#プライマリケア #外傷初期診療 #外傷 #救急外来 #救急 #ICU #集中治療 #脳外科 #頭部外傷
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最終更新:2021年6月7日
COVID-19診断のための検査
#新型コロナウイルス感染症 #COVID-19 #PCR検査 #抗体検査 #抗原検査 #職場復帰
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最終更新:2020年8月18日
曳舟ER診断カンファレンス第4回〜Circling Back for the Diagnosis〜
#鑑別診断 #救急外来 #ER #診断推論 #総合診療 #診断 #救急科 #診断学 #NEJM #Clinical Problem Solving
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最終更新:2021年11月10日
【一生使える知識】ステロイド副作用と対処法 究極の覚え方伝授します
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最終更新:2022年4月10日
タコでもわかる静注抗菌薬の話(2022新訳)
#初期研修医向け #抗菌薬 #感染症 #抗生剤
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最終更新:2022年7月1日
【ここだけは押さえる】ICUポータブルX-pのまとめ
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最終更新:2022年1月28日
救急外来で活かせる!血液培養の知識
#感染症 #血液培養
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最終更新:2022年2月8日
低体温症による心停止に対する体外循環式心肺蘇生
#HOPEスコア #体外循環式心肺蘇生 #偶発性低体温症 #心停止
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最終更新:2023年3月27日
【原則を学ぶ!】ERでの整形外科診療のまとめ
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最終更新:2023年3月25日
【抄読会】重症患者における体液バランスコントロール【POINCARE-2 trial】
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災害時の外傷診療について
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最終更新:2023年3月22日
人工呼吸器管理についてPart 1:基礎編
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最終更新:2023年3月22日
「防ぎえた死」から救命せよ!ダメージコントロール戦略 誕生秘話〜外傷診療の歴史と変遷〜
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最終更新:2023年3月20日
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VA-ECMO のまとめ 適応・導入・管理を中心に
目次 1.ECMOとは?種類と比較 2.生理学 3.適応とカニュレーション 4.合併症を踏まえた管理
ECMO とは? ECMOの種類と比較
ECMO (Extracorporeal membrane oxygenation) ●体外式膜型人工肺のこと ●体外式生命維持装置の1つ ●治療ではなく、基礎疾患の 病態を修復するものではない
ECMOの種類 VV-ECMO 経皮的気管切開 VA-ECMO
VV-ECMO 外科的気管切開 経皮的気管切開 ●静脈から脱血・静脈に送血 ●呼吸機能を補助 ●自己心の機能を維持すること が重要 VV-ECMO
経皮的気管切開 経皮的気管切開 VA-ECMO ●静脈から脱血・動脈に送血 ●心機能と呼吸機能を補助 ●心機能がある程度維持 されていれば、生体への 酸素運搬は自己心とECMOの 双方で行われる VA-ECMO
VV vs VA ECMO 経皮的気管切開 VV-ECMO ●VVECMOでは、リサーキユレーションが起きる ●VAECMOは心臓の代行 前負荷↓ 後負荷↑ 左室仕事量↑ 冠血流↓
ECMOの生理学 カニューレ選択・DO2の概念
生理学から見た流量 ●通常は脱血量が送血量の規定因子に ●脱血管に影響を与える因子 患者側因子:循環血漿量、血液の粘性 装置側因子:脱血管カニューレ
Hagen-Poiseuilleの式 ●カニューレのサイズと流量の関係性を示す式 ●カニューレの太さ・長さが関与(特に太さ!)
Fr 数と流量の関係 ●脱血できる血液を増やすためには… 右房近傍にできるだけ近く 内筒の大きいカニューレを挿入
酸素運搬量(DO2) ●DO2は体外循環血漿量・Hb濃度・酸素飽和度 (溶存酸素)に依存
安静時 DO2とVO2の関係性 ●安静時のDO2は一般に酸素消費量(VO2)の4~5倍 ●DO2/VO2比が5:1の時 混合静脈血酸素飽和度(SvO2)が80%前後となる。
ECMO管理中 のDO2とVO2 ●DO2の低下(心拍出量低下や貧血) ⇒酸素摂取率が上昇(酸素解離曲線の右方偏移)し VO2は一定に保たれる。さらにDO2が低下し 臨界点に達するとVO2はDO2に依存して低下する。 DO2に依存してVO2が 低下する状況では 嫌気性代謝が行われる。 人工心肺での 臨界点
流量とDO2から見た臓器灌流 ●体外循環の流量低下に伴うDO2の変化 内臓血流と筋肉血流は急激に減少 脳血流や腎血流は緩やかに減少
VA-ECMO 適応とカニュレーション
VA-ECMOの適応 ●VA-ECMOはあくまで一時的なつなぎである! 次の改善策あるいは回復までのブリッジ 【適応疾患】 心肺停止・心原性ショック・心筋梗塞・肺塞栓 劇症型心筋炎・偶発性低体温・中毒
VA-ECMOの適応 IABPを入れて粘るか、ECMOを最初から挿入するかは 施設によって異なる これらの適応疾患や基準についても絶対的なものではなく、 現場の判断によって導入が決定されることもある
ECPRの有効性 ●ECPR:ECMOを用いた心肺蘇生 ●CPR時間(CPR開始からECMO開始までの時間)が 30分未満 ⇒生存退院のオッズ比は1.9 Use of Extracorporeal Membrane Oxygenation for Adults in Cardiac Arrest (E-CPR) A Meta-Analysis of Observational Studies ASAIO J . Nov-Dec 2009;55(6):581-6. Marcelo G Cardarelli
ECPRの有効性 ●心停止から60分を超えると予後不良 Chen YS, Chao A, Yu HY, Ko WJ, Wu IH, Chen RJ, et al. Analysis and results of prolonged resuscitation in cardiac arrest patients rescued by extracorporeal membrane oxygenation. J Am Coll Cardiol. 2003;41:197–203. ●40分以内の導入で神経予後良好 Yukawa et al. Scandinavian Journal of Trauma, Resuscitation and Emergency Medicine (2017) 25:95
ECPRの導入基準 日本が世界に向けて発信した、院外心停止のECPRの有効性を調べた導入基準で、世界でもECPRの導入基準として一定の評価を得ている
Full flowまでは45-60分以内を目指す 心停止からECMOの作動(Full flow)までの 時間(上図の1-3まで)が極めて大切
ECPRは有効ではあるものの… 院内でプロトコル化して状況を整えていなければ Chaos Laussen PC and Guerguerian A-M (2018) Establishing and Sustaining an ECPR Program. Front. Pediatr. 6:152. どれだけECMOの導入を急いでも、 BLSやACLSをおろそかにしない!
VA-ECMOの導入 ●ACS症例の場合IABPの使用を考慮 ●IABPの役割 ①冠動脈の灌流圧の維持 ②左室後負荷の軽減効果 ●PCPS導入中の目標血圧 IABP挿入時:Augmentation圧 90mmHg以上 通常時:MAP 60mmHg以上
カテーテルの選択は? ●可能な限り太いものを使う! ※大腿A遠位の阻血には注意が必要
カテーテルの選択は? ●当院ではテルモシリーズのカテーテル ラジフォーカスガイドワイヤーを使用している
カニュレーション手順 ●可能な限り手術室で透視下で行うのが好ましい 以下はやむ負えずブラインドで実施する場合の手順 ①患者の両側鼠径部から大腿まで露出させる ②エコーで大腿動静脈の位置を同定する ③両側鼠径部を中心に広範囲に消毒する ④右大腿静脈と左大腿動脈より4Fr or 5Frの ショートシースを挿入し血ガスをチェックする
カニュレーション時の注意点 ●穿刺はできる限りエコーガイドで ●エコーにて大動脈と下大静脈にガイドワイヤーが あることを確認 ●血管確保が困難な場合、カットダウンなど 別の方法を検討
カニュレーション手順 ⑤シースにガイドワイヤーを挿入し、エコーで大動脈と 下大静脈にガイドワイヤーがあることを確認して シースを抜去。 ダイレーションを行い、カニューレを挿入し ペアンでクランプする。 ※ダイレーションのたびに、ガイドワイヤーの 抵抗確認。抵抗がある場合は、径の細い ダイレーターに変更 ※カニューレの挿入は一人で行うのは難しいので、 助手を準備しておく
カニュレーション手順 ⑥ヘパリン加生食でカニューレ内を満たしながらPCPSの 回路と接続。三方活栓にロック付きシリンジをつけ、 ペアンをデクランプしair抜きを行う。 ⑦PCPSを作動させる。Flowが取れている事を確認。 ※接続の前に必ず脱血側と送血側を声出し しながら確認(周りのスタッフと一緒に)
YOUTUBE ECMO Implantation in Cardiogenic Shock https://youtu.be/ghsMqC9PF28 VA-ECMOのカニュレーション 百聞は一見に如かず…
VA-ECMO 合併症を踏まえた管理
VA-ECMOの合併症 これらを回避する管理が大切 血栓 経皮的気管切開 出血 感染
VA-ECMOの合併症 これらを回避する管理が大切 経皮的気管切開 感染 ●血栓形成による合併症発生率は16% ●圧モニターの急な変化は 血栓の存在を疑う ⇒緊急時用にプライミングされた 新しい回路を準備する ●人の目による回路内血栓の観察も 大切である ●APR・抗Xa値を参考にして ヘパリン投与量調整(ACTも参考に) Sklar MC, Sy E, Lequier L, et al. Anticoagulation Practices during Venovenous Extracorporeal Membrane Oxygenation for Respiratory Failure. A Systematic Review. Ann Am Thorac Soc 2016; 13:2242. 血栓
VA-ECMOの合併症 これらを回避する管理が大切 経皮的気管切開 出血 感染 ●30~50%の確率で発生 ●手術部位の出血(19.0%) カニュレーション部位の出血(17.1%) が多い ●抗凝固薬の使用や血小板機能の低下による 【管理】 ECMO使用中の血小板数は5万以上 ECMO作動中はHb12 g/dL以上 ※前述のCESARトライアルの管理プロトコールでは、 Hb>14g/dlとより高い基準が設定されており、 ELSOガイドラインでもそれに近い基準(Ht>40%)に Sklar MC, Sy E, Lequier L, et al. Anticoagulation Practices during Venovenous Extracorporeal Membrane Oxygenation for Respiratory Failure. A Systematic Review. Ann Am Thorac Soc 2016; 13:2242. Brodie D1, Bacchetta M. Extracorporeal membrane oxygenation for ARDS in adults. N Engl J Med. 2011 Nov 17;365(20):1905-14.
VA-ECMOの合併症 これらを回避する管理が大切 経皮的気管切開 感染 ●敗血症合併率は25%に達する ●監視培養や予防的抗菌薬投与を行う 有効性については現段階では不明 ●予防的抗菌薬投与はGPCを ターゲットとすることが多い。 ●ECMOにおいてはCRBSIの時の ような回路交換が困難 基本的には感染症に対しては 回路交換せず、抗菌薬投与継続 感染
VA-ECMOの回路 ●回路はできる限りシンプルに! ●カニューレ以外の構成要素 チューブ・血液ポンプ・人工肺・熱交換器
構成要素 チューブ ●ほかの構成要素に結合される 血液の色調や血栓の評価のためチューブは透明に ●プライミングボリュームを減らすよう可能な限り短く
構成要素 血液ポンプ ●近年は遠心ポンプが用いられる。 ●高速で回転する羽根車(インペラー)による 流体渦を発生させて駆動
構成要素 血液ポンプ ポンプ流量と回転数についての注意事項 ●前負荷に依存し後負荷に影響を受けやすい ●回転数のみが血流の決定因子ではない! ●回路内の閉塞、閉塞性ショックでポンプの前負荷↓
構成要素 人工肺 ●膜型人工肺で、安全で効率よくガス交換が行われる ●人工肺でのO2移動は以下の3つで規定される ①膜の表面積 ②スウィープガス中のO2の割合 ③血液が膜と接触している時間
※ガス交換膜の血漿リーク ●長期の使用により徐々に膜の疎水性は失われ、 血漿リークを起こす。 ⇒ガス交換能が著しく低下し、 人工肺の交換が必要に
構成要素 熱交換器 ●患者の体温管理に不可欠 ●ROSC後のTTM・高体温によるO2の消費低下 CO2の産生低下に寄与する
ECMO回路のモニタリング項目 圧モニタリング ●ポンプ前、人工肺前、人工肺後でモニタリング -60mmHgでの管理が理想的 陰圧が強すぎると溶血や遊離Hbの放出を増加 1 2 3
ECMO回路のモニタリング項目 動脈血液ガス分析(ABG)・採血所見(L/D) ●pO2・pCO2で人工肺の機能を経時的に評価 ●APTT等でヘパリンの調節、溶血が起きていないか
ABGの評価の際注意すべき点① mixing point ●大腿動脈からの逆行送血では、自己心の拍出量と ECMOの送血流量のバランスで、両者の混合する 位置(mixing point)が異なる 脳へ流れる血液を常に意識しておく!
ABGの評価の際注意すべき点② ABGは右橈骨動脈で評価 ●ABG右橈骨動脈の評価は、送血管から最も遠位 のから採取 ●自己心からの酸素化が不十分な血液が 脳や冠動脈に流れているかもしれない ●mixing pointを意識する 脳へ流れる血液を常に意識しておく!
ECMO回路のモニタリング項目 血流量 ●血流量は1.5L/min未満にはならないよう避ける ●血流の停滞や血栓の発生につながる
ECMO回路のモニタリング項目 血流量 ●血流量は1.5L/min未満にはならないよう避ける ●血流の停滞や血栓の発生につながる 低流量アラームの原因 ①ポンプ前負荷の低下 脱血不良。大量出血や炎症による血管漏出? ②ポンプ後負荷の上昇 患者の高血圧、送血ラインのキンク、人工肺での血栓? ③ポンプ機能不全 ポンプヘッドに混入した空気がそのまま トラップされている?
スタッフによる観察も大切です ●送血・脱血の血液の色 ●血栓形成はペンライトでのチューブや 人工肺を定期的にチェックすることで見つかることも ●全ての接続部を確実に評価
VA-ECMO 適切な離脱時期は?
VA-ECMOの離脱 ●一定の確立された基準は存在しない… ●SAVE-Jガイドライン 『流量を1.0L/minまで減量し、心機能、循環不全の 指標に問題がなければon-offテストで評価し離脱する』
ON-OFF Test ●一時的に血流量を止めて、循環状態を確認する行為 ●回路が凝固してしまう可能性あり。 抗凝固剤の追加投与によりAPRの延長を確認をしてから 血流量を止めると安全。 ●血流量は、送血側をクランプして流量を0L/minに ※回転数を0rpmにしただけでは、逆流することも
参考文献・資料 ●INTENSIVIST Vol.5 No.2 2013 (特集:ECMO) 2013/4/17 讃井將満 ●ECMO実践ハンドブック〜世界標準の成人ECMO管理 2020/2/10 Alain Vuylsteke ●SAVE-J ガイドライン ●ELSO Guideline ver1.3 ●東京医科大学八王子医療センター 救急救命センター HP ●こういうことだったのか!!ECMO・PCPS
医学の学び・医学書レビューを発信させていただいています 公式LINEアカウント(定期動画配信+限定情報!) https://line.me/R/ti/p/%40339dxpov ブログ(勉強ノート・医学書レビュー)は以下をタップ https://dancing-doctor.com/antaa/