テキスト全文
外傷診療の目的とJATECの概要
#2. 外傷診療の目的 ●防ぎ得た外傷死(PTD)を回避する!
PTD:Preventable Trauma Death
適切な蘇生処置が実施されず生じる外傷死
●受傷1時間以内の蘇生処置が
予後を左右する!
●身体所見や検査を駆使して
迅速な診断と治療を! スライド画像)広島大学病院 演者作成 引用)日本外傷学会外傷初期診療(JATEC) 第6版.へるす出版 2021
#3. JATECに準じた診察手順 損傷の見逃しを回避するための再診察のこと(3次調査) 引用)日本外傷学会外傷初期診療(JATEC) 第6版.へるす出版 2021
Tertiary surveyのタイミングと特徴
#4. Tertiary surveyのタイミング ●Missed injury(delayed diagnosis injury)の定義は多様… Keijzers et al. Scandinavian Journal of Trauma, Resuscitation and Emergency Medicine 2012, 20 :77 初回は入院後24時間以内(次の勤務帯の申し送りまで)
が妥当か
#5. DDI(delayed diagnosed injuries)の特徴 ●最初の1-2W・退院後に多い ●手足が多い Ferree S, et al. Injury. 2016 47(4):792-6. リスク因子は 四肢外傷・高エネルギー・腹部外傷
#6. 入院後24時間以内だけでは見逃してしまう Ferree S, et al. Injury. 2016 47(4):792-6. (当論文の結論) 多発外傷患者では毎日TSを続けるべき
病歴と画像の再評価の重要性
#7. 身体診察の前に… スライド画像)広島大学病院 演者作成 病歴と
画像を
しっかりと再評価
#8. 病歴と画像の再評価 スライド画像)広島大学病院 演者作成 ●病歴
・AMPLEを中心に
・受傷機転と外傷部位が一致している?
●内科的問題
・(主に)失神の原因となるものは?
●画像再評価
・撮影した画像すべてに目を通す
・ヤマを張らずに系統的に 参考)日本外傷学会外傷初期診療(JATEC) 第6版.へるす出版 2021
身体診察のポイントと評価項目
#9. 参考:病歴聴取(AMPLE) スライド画像)広島大学病院 演者作成 A:アレルギー(Allergy)
M:薬剤(Medication)
P:既往歴(Past history )妊娠(Pregnancy)
L:最終経口摂取(Last meal)
E:発生状況(Event)
#10. 身体診察のポイント 来院時との
比較が
特に重要 スライド画像)広島大学病院 演者作成
評価項目のチェックリストと再評価
#11. 身体診察の評価項目は
Secondary surveyを参考に スライド画像)広島大学病院 演者作成 ●全身の身体検査と諸検査による解剖学的評価
頭部・顔面
頸部
胸部
腹部
骨盤・会陰
四肢
背面 引用)日本外傷学会外傷初期診療(JATEC) 第6版.へるす出版 2021
#12. 参考:評価項目のチェックリスト TSでは治療介入後のドレーン・処置の再評価も重要 参考)日本外傷学会外傷初期診療(JATEC) 第6版.へるす出版 2021
Tertiary surveyのピットフォールと重要なメッセージ
#13. 漏れなく検索したはずなのに… スライド画像)広島大学病院 演者作成 見逃しには
ワケがある
#14. Tertiary surveyのピットフォール ●患者が症状を訴えない状況
・頭部外傷, アルコール, 意識障害, 挿管下
●仰臥位で症状がわからない状況
・背部部の挫創, 変形のない頚部骨折
●早期には症候が出現しない損傷
・遅発性腸間膜損傷
●医師の注意をひく隣接臓器損傷
・骨折に合併する神経損傷など スライド画像)広島大学病院 演者作成 参考)日本外傷学会外傷初期診療(JATEC) 第6版.へるす出版 2021
#15. Take home message ●Tertiary survey(TS)とは損傷の
見逃しを回避するための再診察のこと
●多発外傷患者では入院直後だけでなく
定期的なTSを続けることが大切
●系統立てたTSの流れを理解し
見逃しやすい患者背景を意識しておく
医学の学びと情報発信について