#4.
本日の論文1) 雑誌 Frontier in Immunology Impact Factor: 5.9 (2025)
#5.
研究背景1: 既知の事実 • 骨壊死 (ON: osteonecrosis)は全身性エリテマトーデス (SLE)の重篤な合併 症の一つである. • 大腿骨頭壊死 (ONFH: ON of the femoral head)は最も頻繁に障害される 部位である. • GC使用が主要な危険因子である.
#6.
研究背景1: 既知の事実 • SLEは特に妊娠可能年齢の女性により多く発症. • 月経異常もSLE患者ではよく見られる合併症である (著者ら). SLE女性の妊孕性: 系統的文献レビュー2) 背景・問題 • SLE自体は生殖能力に直接影響しないが, 疾患関連要因や薬物曝露が生殖機 能を損なう可能性がある. • 慢性疾患であることや, 心理社会的影響も妊孕性に影響する. • 出産適齢期女性における妊孕性転帰の系統的評価は不足している. 研究概要 • 期間: 1972-2021 • 対象: 46研究, 患者数4704名 • 平均年齢: 31.5±3.7歳 • 罹病期間: 83.3±38.3か月 主要な知見 • CYが最大のリスク因子 • GnRHa併用で早期卵巣不全リスク軽減 • ホルモン・血清学的因子は影響なし • 疾患活動性の影響は議論が分かれる
#7.
研究背景2: 未解明の課題 • 現在のONFHにおけるリスクファクターを扱った研究には限界がある. • 小さなサンプルサイズ ホプキンスループスコホートの結果 • 一過性のない結果 • 包括的信頼性の高い予測モデルの欠如 (以前の抄読会の論文では扱っていない) • 女性SLE患者に特化した研究が不足. • 筆者らは月経異常との関係に着目. • 月経異常とONFHの関連性について報告がない • 臨床現場でのONFHの予防指針がない. AI 人成 生 のレ コ ント テ ゲ ン ン ツ 写 は真 誤りを含む可能性があり ます。
#8.
研究背景3:研究の目的 主要研究目的 • 女性SLE患者におけるONFHの独立危険因子を同定. • 月経異常がONFHの危険因子の一つか予備的に検討. • 信頼性の高いリスク予測ノモグラムモデルの構築・検証. 期待される成果 • 臨床医がONFH高リスク群を早期同定可能となる. • 早期介入によるONFH進行予防・遅延が見込まれる. • 女性SLE患者の生活の質向上も見込まれる.
#9.
プログラム §1 Introduction §2 Methods § §3 Results §4 Discussion
#10.
★対象と方法1:研究デザイン★ 研究デザイン 単施設後ろ向きコホート研究 研究期間と施設 • 期間: 2013年1月~2022年12月 (10年間の診療記録を解析) • 施設: 河南中医薬大学附属第一医院 (中国) 診断基準 • SLE: ACR 1997年分類基準 • ONFH: 臨床症状+画像診断 (X線, CT, MRI)→実臨床診断
#11.
対象と方法2: 包含/除外基準 Inclusion Criteria • 女性かつACR 1997年基準でSLEと分類可能. • 電子カルテデータ利用可能. Exclusion Criteria • SLE診断前にONFH既往あり. • アルコール, 外傷, 経口避妊薬によるONFH (どうやって区別する??) • 担癌患者, 妊婦. • 他の免疫性疾患合併. • 重要な初期データ欠損. 倫理的配慮 • オプトアウト方式 (臨床歴データを用いた後ろ向き研究であるため) • 河南中医薬大学附属第一病院の医療倫理委員会(承認番号:2023HL-285)の承認 最終解析対象 • 初期対象: 1,034例→除外: 241例→最終: 793例 (ONFH群87例 vs 非ONFH群706例) • 有病率 10.9% • 両側例も1例として解析.
#12.
対象と方法3:変数と評価方法 主要評価項目: ONFH発症 収集データ • 人口統計学的データ: 発症年齢, 疾患持続期間, 併存疾患 • 臨床症状: 発熱, 皮疹, 脱毛, 粘膜疹, Raynaud現象, 関節炎, 漿膜炎, 腎症, NPSLE, 呼吸器症状, 血液疾患, SjD (除外基準の例外??), 月経異常など • 検査データ: 血算, 補体, 自己抗体プロファイル, 脂質プロファイル • 疾患活動性: SLEDAI-2Kスコア • 治療歴: GC, 免疫抑制剤, 生物学的製剤, HCQ使用状況 • GC曝露歴: • IVMP(125-1000mg/日を3-5日間投与) • mPSL: PSL = 4:5で換算したGCの最大1日投与量
#13.
月経異常症の定義 • 本研究は中国での定義となっており, 本邦 (産婦人科診療ガイドライン-婦人科外来編2023)の定義 と異なる. 異常の種類 中国の定義 本邦の定義 頻発月経 21日未満 23日以内 希発月経/稀少月経 35日超 39日以上 7日以上(の変動) (記載なし) 過長月経 延長(具体的日数なし) 8日以上 過短月経 短縮(具体的日数なし) 2日以内 月経周期頻度の異常 無月経 月経周期の規則性 不規則月経 月経持続期間の異常 出血量の異常 過多月経 多い 過少月経 少ない その他の症状 血液うっ滞 あり 月経困難症 あり
#14.
対象と方法4: 統計手法 記述統計 • 正規分布: 平均±標準偏差, t検定 • 非正規分布: 中央値 (IQR), Mann-Whitney U検定 • 名義変数: 頻度 (%), χ2検定・Fisher正確検定 多変量解析 • LASSO回帰: 変数選択 (λ=0.0260, 10分割交差検証) • 多変量ロジスティック回帰: 独立危険因子同定 モデル評価 • ROC曲線・AUC: 識別能評価 • Hosmer-Lemeshow検定・較正曲線: 適合度評価 • Decision Curve Analysis (DCA): 臨床有用性評価
#15.
対象と方法4: 統計手法-LASSO回帰とは?• ペナルティ付き回帰による変数選択手法. • 重要ではない変数の係数を0に縮小. →多数の候補変数から本当に重要な変数だけを選び出す. 普通な回帰分析だと, 関係のない変数まで含めて不安定なモデルになる. • 多変量・多重共線性の問題に強い. library(glmnet) # LASSO実行cv_fit <- cv.glmnet(x, y, alpha = 1, nfolds = 10) # 2つのλ値を確認 cv_fit$lambda.min # 最小CVエラーのλ cv_fit$lambda.1se # 1SE ruleのλ # 対応する係数 coef(cv_fit, s = "lambda.min")coef(cv_fit, s = "lambda.1se") スパース推定を用いた強皮症腎クリーゼ患者における腎予後不良因子の検討 第67回日本リウマチ学会
#16.
対象と方法4: 統計手法-LASSO回帰とは?• LASSOの本質: • 変数選択のための手法 • 推定量は縮小され, バイアスを含む. • LASSO係数は • ORの解釈ができない. • 信頼区間が意味を持たない. →「独立した関連因子か?」は言えない. • つまり: LASSOの係数=予測に使うのはよいが, 解釈には不向き. • 臨床論文では”独立因子”が求められる. • 他の因子も調整しても, この因子は有意として扱えるか, ORはいくつかと いう回答にはLASSO単独では答えられない. • LASSO≠因果調整 • LASSOは共線性対策・予測最適化が目的であり, 交絡調整は目的外. →因果・独立性の議論には多変量回帰が必要となる.
#17.
対象と方法4:正則化手法の比較 • 正則化とは • 過学習を防ぎ, 汎化性能を向上させる. • 損失関数にペナルティ項を追加してモデルの複雑さを制御 • 特徴選択, 多重共線性の対処, ノイズへの頑健性向上 • 3つの手法
#18.
対象と方法4: 統計手法-本研究のワークフロー- 候補多数 ↓ LASSO(次元削減・共線性処理) ↓ 多変量ロジスティック回帰 ↓ OR・95%CI・p値. ↓ モデル性能(AUC / calibration / DCA)
#19.
対象と方法4: 統計手法-本研究のワークフロー- 候補多数 ↓ LASSO(次元削減・共線性処理) ↓ 多変量ロジスティック回帰 ↓ OR・95%CI・p値. ↓ モデル性能(AUC / calibration / DCA)
#20.
対象と方法4: 統計手法-モデル性能• 予測モデルの評価は大きく二つに分けられる. ①判別能 (Discrimination) ②較正能 (Calibration) →どちらか一方だけでは不十分. これらに追加して最近では臨床的有用性 (Clinical Utility)も重要とされる. ①判別能 (Discrimination): • 誰がよりリスクが高いかを正しく区別できる能力. • 確率の”正確さ”そのものは評価していない. • 代表的指標: AUC (C統計). ②較性能 (Calibration): • 予測した確率が現実と一致しているか. • 予測が70%の場合に実際に約70%でイベントが発生しているか • 代表的な評価方法: Hosmer-Lemeshow検定 • Calibration Plotを作成した上で適合度検定を行う. ③臨床的有用性: • モデルの予測が, 患者のケアや意思決定にどれほど貢献するかを示す能力. • 代表的な評価方法: Decision Curve Analysis (DCA) • 異なる閾値確率において、モデルを使用することで得られる純粋な利益(Net Benefit)を評価する手法
#21.
対象と方法4: 統計手法-モデル性能-
#22.
プログラム §1 Introduction §2 Methods § §3 Results §4 Discussion
#23.
結果1: コホート特性 (Table1) 対象患者 • 総数: 793例 • ONFH群: 87例 (10.9%) • 非ONFH群: 706例 (89.1%) ONFH特徴 • 平均発症年齢: 35.46±13.08歳 • 症状あり: 78例 (89.7%) • 無症状: 9例 (10.3%) 部位・診断 • 両側性: 64例 (73.6%) • 一側性: 24例 (27.4%) • 膝関節合併: 11例 (12.6%) 診断方法 • MRI: 39例 (44.8%) • MRI+X線: 17例 (19.5%) • X線: 21例 (24.2%) • CT: 10例 (11.5%)
#24.
結果1: コホート特性 (Table2抜粋) 項目 全体(N=793) ONFH群(N=87) 非ONFH群(N=706) P値 3.00 (0.50, 7.00) 6.00 (2.00, 13.00) 2.00 (0.50, 7.00) <0.01 31.42 ± 12.76 30.11 ± 11.60 31.58 ± 12.89 0.314 56 (7.1%) 15 (17.2%) 41 (5.8%) <0.01 関節炎* 454 (57.3%) 59 (67.8%) 395 (55.9%) 0.034 呼吸器症状* 254 (32.0%) 45 (51.7%) 209 (29.6%) <0.01 消化器症状* 201 (25.3%) 33 (37.9%) 168 (23.8%) 0.004 腎炎* 354 (44.6%) 52 (59.8%) 302 (42.8%) 0.003 48 (6.1%) 17 (19.5%) 31 (4.4%) <0.01 月経異常* 284 (35.8%) 56 (64.4%) 228 (32.3%) <0.01 SLEDAI-2K* 11.66 ± 4.95 14.10 ± 0.53 11.36 ± 0.18 <0.01 222 (28.0%) 36 (41.4%) 186 (26.3%) 0.003 50.00 (30.00, 60.00) 60.00 (40.00, 75.00) 50.00 (30.00, 60.00) <0.01 パルスMP* 115 (14.5%) 19 (21.8%) 96 (13.6%) 0.039 シクロホスファミド* 172 (21.7%) 36 (41.4%) 136 (19.3%) <0.01 ミコフェノール酸* 282 (35.6%) 44 (50.6%) 238 (33.7%) 0.002 55 (6.9%) 12 (13.8%) 43 (6.1%) 0.008 人口統計学的特徴 疾患持続期間(年)* SLE発症年齢(年) 骨粗鬆症* 臨床症状 シェーグレン症候群* 検査所見 抗RNP抗体陽性* 治療 最大GC投与量(mg)*
#25.
結果1: コホート特性 (Table2抜粋) 人口統計学的特徴 •疾患持続期間: ONFH群で有意に長い(6.00年 vs 2.00年, P<0.01) •骨粗鬆症: ONFH群で有意に高率(17.2% vs 5.8%, P<0.01) 臨床症状(有意差あり) •月経異常: 64.4% vs 32.3% (P<0.01) ← 最重要な新規発見 •関節炎: 67.8% vs 55.9% (P=0.034) •呼吸器症状: 51.7% vs 29.6% (P<0.01) •消化器症状: 37.9% vs 23.8% (P<0.01) •腎炎: 59.8% vs 42.8% (P<0.01) •シェーグレン症候群: 19.5% vs 4.4% (P<0.01) 疾患活動性 •SLEDAI-2K: ONFH群で有意に高値(14.10 vs 11.36, P<0.01) 検査所見 •抗RNP抗体陽性: ONFH群で有意に高率(41.4% vs 26.3%, P<0.01) 治療歴 •最大GC投与量: ONFH群で有意に高用量(60mg vs 50mg, P<0.01) •パルスMP: 21.8% vs 13.6% (P=0.039) •シクロホスファミド: 41.4% vs 19.3% (P<0.01) •ミコフェノール酸: 50.6% vs 33.7% (P=0.002) •生物学的製剤: 13.8% vs 6.1% (P=0.008)
#26.
結果2: 予測ノモグラムの開発 (Figure1) λ1se λmin 10分割交差検証で最適λ 0.0260 λ=0.0260の意味: • λ(ラムダ)は「どれくらい厳しく変数を選ぶか」のパラメータ • λが大きい→より厳しく選別(残る変数が少ない) • λが小さい→緩く選別(残る変数が多い) • 0.0260は10分割交差検証で「最も予測性能が良い」値として選 ばれた. 10分割交差検証 (10-fold Cross Validation) • データを10個のグループに分割 • 9個で学習→1個で検証を10回繰り返し • 最も安定して良い成績を出すλを選択 50個→11個変数の絞り込みに成功. (係数が0になったものを削除)
#27.
結果2: LASSOによる変数選択(Figure1) LASSOによって選ばれた変数 ①SLE発症からの経過期間 (連続変数, 原値) ②呼吸器病変 (名義変数) ③月経異常 (名義変数) ④シェーグレン病 (名義変数) ⑤骨粗鬆症 (名義変数) ⑥抗RNP抗体 (名義変数) ⑦シクロフォスファミド使用歴 (名義変数) ⑧MMF使用歴 (名義変数) ⑨生物学的製剤使用歴 (名義変数) ⑩SLEDAI-2K (連続変数, 原値) ⑪最大GC投与量 (mg/日) (連続変数,原値) ※パルス療法は選択されなかった. 従属変数としてSLE患者におけるONFH併発の有無 (なし=0, あり=1)として①~⑪の 変数を独立変数としてモデルを作成した. 次にSLE-ONFHに関連する独立した危険因子を特定するためにStep wise法を用い た多変量ロジスティック回帰を施行.
#28.
【参考】ステップワイズ法 結果を見ながら変数を選択するため, バイアスが生まれやすい.
#29.
結果3:独立因子の評価 (Table3) LASSOで選択された11変数のうち, SLEDAI-2Kは独立し た因子として不適とされた (詳細記載なし). β: 回帰係数 (log oddsの増加量) その因子が1単位増えた時にONFHのlog oddsがどれだ け増えるか SE: βの不確かさ 小さい程推定が安定している. SEが大きい→症例数が少ない/ばらつきが多い ノモグラムに使うにはSEが過度に大きくないことが重要. Wald: 有意性検定の統計量 βが0 (=効果なし)とどれだけ離れているか
#30.
結果4:ノモグラム作成 (Figure2) ノモグラム:複数の関連する変数(パラメータ)を用いて、ある特定の関数計算(リスク、予後、生存率など)を視覚的かつ簡便に行うための「計算図表」
#31.
結果4:ノモグラム作成 (Figure2) ノモグラム:複数の関連する変数(パラメータ)を用いて、ある特定の関数計算(リスク、予後、生存率など)を視覚的かつ簡便に行うための「計算図表」
#32.
結果5: モデル性能評価①: 識別能 (ROC曲線) (Figure3) AUC 0.826 (95%CI 0.780-0.872) 最適な閾値 0.147 →感度 0.844 特異度 0.655 月経異常を除いたモデルと今回のモデ ルを比較してどうだったかは検討されて いない 精度の目安 AUC≧0.80:精度が高い
#33.
結果⑥: モデル性能評価②: 較正能(HL検定) (Figure4) χ2 = 5.589, P = 0.693 →観察された結果と実際の結果の 間に強い相関がある 実際の確率 予測された確率 有意確率が5%以上であれば適合度は良好と判断する.
#34.
真陽性の便益・偽陽性のコスト 結果⑦: モデルの臨床的有効性: DCA (Figure5) 開発したノモグラムモデル 全患者に介入する戦略 誰にも介入しない戦略 0.95 0.05 高リスクと判定する閾値確率 閾値確率が0.05から0.95の範囲にある場合、 ノモグラムモデルは全ての介入および介入なしよりも高い純便益を示した
#35.
結果⑧: サブグループ分析(Table4) GC投与量と様々な治療法がONFHに及ぼす影響を評価 GCの最大1日投与量が50mg以上の患者、GCと免疫抑制剤の併用患者、GCと免疫抑制剤および生物学的製剤の併用患者の割合が 有意に高かった. GCの最大1日投与量が50mg未満の患者の割合は低かった.
#36.
結果9: サブグループ分析(Table5) 月経異常とONFHリスクの関連(特に高リスク群) 年齢別 • • • ≤18歳: OR 13.924 (95%CI: 2.281-85.114, P=0.004) • 18-49歳: OR 2.789 (95%CI: 1.496-5.197, P=0.01) 疾患持続期間別 • • • <3年: OR 5.316 (95%CI: 1.980-14.277, P=0.001) • ≥3年: OR 3.954 (95%CI: 2.043-7.651, P<0.01) 治療別 • • • GC≥50mg: OR 4.512 (95%CI: 2.287-8.904, P<0.01) • GC+免疫抑制剤併用: OR 3.414 (95%CI: 1.782-6.542, P<0.01)
#37.
プログラム §1 Introduction §2 Methods § §3 Results §4 Discussion
#38.
考察1: 主要な発見 重要な発見1: 月経異常が初めて女性SLE患者のONFH危険因子として同定. • • OR 3.189 (95%CI 1.903-5.347) 特に若年者 (≦18歳), 短期間 (<3年), 高用量GC使用群で高リスク. 重要な発見2: 優秀な予測性能を持つノモグラムモデルの開発に成功 • • • AUC 0.826という高い識別能 良好な較正能 (Hosmer-Lemeshow p=0.693) 臨床的応用価値が確認された (DCA). 重要な発見3: 既知の危険因子の確認と新知見 • • • GC投与量, 免疫抑制剤の重要性を再確認. 生物学的製剤の予期しない危険因子としての同定. パルス, 疾患活動性の危険因子としての除外 (既報との相違点)
#39.
考察2: 重要な発見1 (月経異常とONFHの関連)の裏付け 本研究の新規性 • 月経異常とONFHの直接的関連を初めて報告-新たな予防標的の可能性 病態生理学的機序 • • • • • SLEでは慢性炎症とサイトカイン異常放出により視床下部-下垂体-卵巣 軸が破綻. (サブグループ解析では)18歳未満の若年の月経異常を伴うSLE患者でONFHのリスクが増加したが,凝血促 進効果を高めるエストロゲン変化や、思春期の虚血性障害に対する感受性を高める可能性のある赤色骨髄か ら黄色骨髄への変換が関与している可能性があると考察された. しかし…. 高用量GC療法は卵巣機能不全, 無月経を引き起こす. 免疫抑制剤 (特にCY療法)は性腺機能障害, 卵巣不全のリスクを増加. • →(自分の考え)SLE疾患自体、免疫抑制剤、GCは、ONFHのリスクであり, 月経異常とも関連がある • 本研究: CY、MMF、生物学的製剤、最大GC用量が多変量ロジスティック解析に組み込まれており, 交絡調整していることにはなるが, そもそも月経異常は交絡因子ではないため, 調整のしようがな いのではないか. 月経異常はONFHの予後因子である. SLE+治療とONFHの中間因子である. 月経異常 SLE+治療 ONFH
#40.
考察2: 重要な発見1 (月経異常とONFHの関連)の裏付け 福原 俊一臨床研究の道標 •第3の因子の4つのパターン: o ①: Oの予後因子 (Oを予測する因子) o ②: 中間因子 (EとOの中間に位置づけられる因子) o ③: 交絡因子 (Oの予後因子であり, かつEと関連する因子) o ④: 効果修飾因子 (EとOへの関連性に影響を与える因子)
#41.
考察2: 重要な発見1 (月経異常とONFHの関連)の裏付け 病態生理学的機序 月経異常はONFHの予後因子である. SLE+治療とONFHの中間因子である. 月経異常 SLE+治療 ONFH 月経異常を起こしている変数そのものが、 ONFHのリスク因子でもある可能性 • 多変量モデルでGC用量やCY・MMFを調整していても、その効果を完全に分離するのは難しい
#42.
考察3: 重要な発見2 (モデル) ⚫ 今回の研究では全てのサンプルを用いて解析した. 全体のnは793例と多い が, アウトカムが非常に稀なため, 本研究では87例しか集まらなかった. ⚫ 本来であればデル作成に使うデータと、モデルを検証する用のデータを 別々に分けるべき. ⚫ 「同じデータで作って、同じデータで試す」という構造になっているため モデルの実際の予測力が過大評価されている可能性がある. ⚫ Cross validationすれば? ⚫ この87例を用いて訓練用データと検証用データに分けても ,特に検証用の ONFHイベント数が非常に少なくなり、検証の信頼性が低下するためとのこ と...
#43.
考察4 重要な発見3 (生物学的製剤) 予期しない新知見 • 生物学的製剤 • 予期せぬリスクファクターとして同定 • 症例数が限定的 • 既存報告なし • 可能な説明 • 重症例での使用バイアス • B細胞機能への影響 • 骨代謝への未知の作用 • 今後の課題 • 大規模前向き研究での検証が必要 生物学的製剤を使用するSLEは疾患活動性が高く, GCの使用量が多いのでは?
#44.
結論 本研究から得られた知見 • 1. 月経異常が女性SLE患者のONFH独立危険因子として初めて同定 • 2. 優秀な予測性能(AUC 0.826)を持つノモグラムモデルの開発 臨床的意義 • • • 月経異常を有する女性SLE患者の早期同定・介入が可能になる可能性 個別化されたONFH予防戦略の構築に貢献 患者QOL向上と医療コスト削減への期待 今後の課題: 外部検証と機序解明、前向き介入研究の実施
#45.
参考文献 1. 2. 3. Xu W, Wang L, Shi P, et al. Risk factors and prediction model for osteonecrosis of the femoral head in female systemic lupus erythematosus. Front Immunol. 2024 Aug 21;15:1381035. PMID: 39234255. Giambalvo S, Garaffoni C, Silvagni E, et al. Factors associated with fertility abnormalities in women with systemic lupus erythematosus: a systematic review and meta-analysis. Autoimmun Rev. 2022 Apr;21(4):103038. PMID: 34995765. Tibshirani R. Journal of the Royal Statistical Society. Series B (Methodological), Vol. 58, No. 1. (1996), pp. 267-288.