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リウマトイド因子(RF)の陽性と関節リウマチ(RA)の関係
#1. 検診でリウマトイド因⼦(RF)陽性でした。 関節リウマチ(RA)ですか︖ MajorTY@膠原病内科 ⽇本リウマチ学会専⾨医・指導医
#2. Take Home Message • RFは健常⼈でも陽性あり(若年者 <5%, ⾼齢者 <25%) RF陽性 = 関節リウマチ持ってる じゃありません • RAの診断には、関節炎(腫れてる)の確認が必須 触ってわからなければ、関節エコーやMRIを使おう
RFの定義と陽性率の年齢別分布
#3. まず、RFってなに︖ • ⾃分のIgGのFc部分に対するIgM型の⾃⼰抗体のこと Fc部分 • 関節リウマチ症例の⾎清が、ウサギIgGで感作したヒツジ の⾚⾎球を凝集させることから発⾒された • RA症例の80%に検出され、リウマトイド因⼦(RF)と命名 された
#4. RFってどんな時陽性なの︖① RF陽性率(%) RFは健常⼈でも陽性あり 若年者 <5% ⾼齢者 <25% 30 25 20 15 10 年齢とともに上昇率はあがる 5 0 20-39歳代 40-59歳代 60-69歳代 70-79歳代 80-89歳代 [今福裕司ら. リウマチ科 2002;27:825-829.]
RF陽性の疾患群とその頻度
#5. RFってどんな時陽性なの︖② RFは⾊々な疾患でも 陽性はありうる︕ 各種疾患におけるRF陽性頻度 疾患群 疾患 RF陽性率 健常⼈ 5-25% 膠原病 20% SLE 30-50% SSc 炎症性筋炎 20-40% 結節性多発動脈炎 20% 関節疾患 変形性関節症 1-% その他関節炎 10% 肝疾患 肝炎 30% 肝硬変 50% 肝細胞癌 30% 感染症 細菌感染 10-50% ウイルス感染 10-50% 悪性腫瘍 20% [今福裕司ら. 総合臨床 1998;47:1641-1643.]
#6. RFの感度・特異度は︖ 関節リウマチでのRFの感度・特異度は以下のとおり 感度 特異度 70-80% 60-70% ⇨LR+ 1.75 – 2.67 LR+は3以下でRFでどうこう⾔える検査ではない その他所⾒と複合して使⽤するものだといえますね [⾦⽉ 勇. 成⼈病と⽣活習慣 2011;41:118-122.]
関節リウマチの診断基準と検査方法
#7. 関節リウマチってどう診断するの︖ 罹患関節 スコア ⼤関節 1ヶ所 0 ⼤関節 2-10ヶ所 1 ⼩関節 1-3ヶ所 2 ⼩関節 4-10ヶ所 3 11ヶ所以上 (1ヶ所以上の⼩関節) 5 ⾎清学的検査 RF陰性かつ抗CCP抗体陰性 0 いずれかが低値陽性 2 いずれかが⾼値陽性 3 急性期反応物質 CRP正常かつ⾚沈正常 0 CRP、⾚沈のいずれかが異常 1 症状の持続 6週間未満 0 6週間以上 1 【前提】 1関節以上で臨床的に関節の腫れ(滑膜炎)がある 【除外】 関節リウマチの関節炎は滑膜で炎症が起こる 滑膜炎の原因が他の疾患では説明できない 【改訂リウマチ分類基準2010】 前提・除外疾患後、 スコアが6点以上ならば関節リウマチと考える 関節炎がなければ、関節リウマチはありえない [Aletaha D et al. Arthritis Rheum. 2010;62:2569-81.]
#8. 関節の腫れがわかりません 関節リウマチの診断には、関節腫脹(滑膜炎)の同定が必須 基本は、触診による関節腫脹の確認です でも、その判断には経験を積むことが必要です 触診でわからない場合は、他のモダリティを使おう︕ ①関節超⾳波検査︓滑膜炎は滑膜の肥厚・滑膜内⾎流増加あり ②造影MRI検査︓滑膜の増加と造影効果を認める
関節炎の確認と今後の治療方針
#9. 関節炎(滑膜炎)ありました。 他の疾患もなさそう、でもスコア6点ないです 今後、関節リウマチとして進展していく可能性は⾼いです Bernard Combeらは、 そのような持続的もしくは⾻びらんをきたす関節炎の可能性 が⾼い症例は、抗リウマチ薬の開始することを推奨しています [Bernard Combe et al. Ann Rheum Dis . 2017;76:948-959.] ですが、そういう場合は可能な限りリウマチ専⾨医で評価し てもらうのが望ましいでしょう
#10. Take Home Message • RFは健常⼈でも陽性あり(若年者 <5%, ⾼齢者 <25%) RF陽性 = 関節リウマチ持ってる じゃありません • RAの診断には、関節炎(腫れてる)の確認が必須 触ってわからなければ、関節エコーやMRIを使おう