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「Q&A付き」 " やってみよう!戦略的抗菌薬選択 "

投稿者プロフィール
山口裕崇

株式会社麻生 飯塚病院

982

3

投稿した先生からのメッセージ

このスライドで知識をインストールしてもらったら、さっそく現場でアウトプットしてみましょう! 基本を重んじ、繰り返し経験していけば、きっと誰でも素敵な抗菌薬選択ができるようになります。

概要

末尾にウェビナーでいただいたQ&Aを加えました! 

メジカルビュー社『ここから始める抗菌薬』の出版に際してウェビナーでお話しした内容です。

戦略的であるは、どういうことか? また抗菌薬選択の広い狭いに善・悪はありませんが、適切・不適切はあります。戦略と合わせて、何が適切な抗菌薬選択へ繋がるのか...を紐解きます。

本スライドの対象者

研修医/専攻医

参考文献

  • 脱・丸暗記!ここから始める抗菌薬

投稿された先生へ質問や勉強になったポイントをコメントしてみましょう!

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テキスト全文

戦略的抗菌薬選択の概要と基本概念

#1.

\やってみよう!/ 戦略的抗菌薬選択 Tuesday, June 9, 2026 Hirotaka Yamaguchi

#3.

抗菌薬 Antibiotics

抗菌薬選択における戦略的アプローチ

#4.

戦略的 Strategy

#5.

選択 Choice

#6.

Micro 細菌学 的知識 Biology

#7.

戦 Strategy 略 的 抗 菌 Antibiotics Micro 薬 Biology 選 Choice 択

#8.

Chapter 1 戦略的 Strategy

#9.

ほとんどの場面で 「超」広域抗菌薬は不要 重症だからといって、メロペネムは要らない。 さらに、ピペラシリン/タゾバクタムは使わない。 そして、キノロン系抗菌薬を使わずとも戦える。 ひとつの抗菌薬でスペクトラムが足りなければ 異なるカテゴリーを併用する。 (あるいは、原因菌が判明してから追加する)

#10.

ほとんどの場面で 「超」広域抗菌薬は不要 「メロペンバンコ」は「デフォ」じゃない。 タゾピペが「最適解」であることは、まれ。 キノロンは「気軽に」使う薬ではない。

想定菌に基づく抗菌薬選択の重要性

#11.

戦略的ってどういうこと? ①患者背景の把握 ②感染臓器の特定 ③原因菌の想定 ④想定菌に鑑みた抗菌薬選択

#12.

戦略的ってどういうこと? ①患者背景の把握 ②感染臓器の特定 ③原因菌の想定 ④想定菌に鑑みた抗菌薬選択

#13.

戦略的ってどういうこと? ①患者背景の把握 ②感染臓器の特定 ③原因菌の想定 ④想定菌に鑑みた抗菌薬選択

#14.

想定菌に鑑みた抗菌薬選択 ①懸念される耐性機構 ②抗菌薬のスペクトラム ③カバーを外す菌種

#15.

想定菌に鑑みた抗菌薬選択 ①懸念される耐性機構 菌種のカテゴリーによって取りうる耐性機構が異なる。 ②抗菌薬のスペクトラム ③カバーを外す菌種

#16.

想定菌に鑑みた抗菌薬選択 ①懸念される耐性機構 ②抗菌薬のスペクトラム 強弱ではなく、細菌マップに照らして範囲を考える。 ③カバーを外す菌種

#17.

想定菌に鑑みた抗菌薬選択 ①懸念される耐性機構 ②抗菌薬のスペクトラム ③カバーを外す菌種 すべての菌種を漏れなく駆逐したがることをやめる。

#18.

(Chapter 1) 抗菌薬のプロファイル を掴めれば、選べる! ①懸念される耐性機構 ②抗菌薬のスペクトラム ③カバーを外す菌種

グラム陰性桿菌の耐性機構と選択肢

#19.

Chapter 2 Micro 細菌学 的知識 Biology

#20.

抗菌薬の「選び方」 に基づく細菌マップ

#21.

抗菌薬の「選び方」 に基づく細菌マップ

#22.

抗菌薬の「選び方」 に基づく細菌マップ

#23.

グラム陰性桿菌 ESBLやAmpC型BLなど耐性機構が多彩、もっとも抗菌薬を選ぶのが難しいカテゴリー

#24.

グラム陰性桿菌 耐性機構はプラスミドで伝播するESBLが多く、内因耐性のあるプロテウス属は要注意

#25.

グラム陰性桿菌 特にエンテロバクターではAmpC型BLを考慮すべき、シトロバクター属の感受性は多彩

#26.

グラム陰性桿菌 カルバペネムは必ずしも安全ではなく、アミノグリコシド系抗菌薬の併用も選択肢

#27.

グラム陰性桿菌 市中発症の多くは抗菌薬を使わずとも軽快するが、ときにトリッキーに振る舞うヤツら

#28.

グラム陰性桿菌 COPDを背景に原因菌となりやすく、βラクタム系抗菌薬の耐性機序とその程度が様々

グラム陽性球菌の特性と治療戦略

#29.

グラム陰性桿菌 咬傷を受けずとも、肝硬変など免疫不全があると重症化して致命的になりうるカテゴリー

#30.

グラム陰性桿菌 腹腔内感染の他、歯性感染や頭頚〜胸部縦隔の膿瘍性病変で原因となる偏性嫌気性菌たち

#31.

グラム陰性桿菌 シデロフォアを産生し、肝硬変患者など鉄が多い環境で増殖して高病原性を暴発

#32.

グラム陽性球菌 黄色ブドウ球菌と溶連菌が代表格で、抗MRSA薬(VCMなど)を使うか否かで迷う…かも?

#33.

グラム陽性球菌 細菌性肺炎のメジャーな原因菌で、肺炎の初期治療薬は肺炎球菌+αを考えて選択

#34.

グラム陽性球菌 丹毒/蜂窩織炎や壊死性皮膚軟部組織感染症、トキシックショック症候群の原因に想定

#35.

グラム陽性球菌 心内膜炎や膿瘍の原因で、頻度は少ないがβラクタム系抗菌薬に耐性となっている懸念

#36.

グラム陽性球菌 胆管炎や腹腔内感染症など、初期治療から必ずしもカバーしなくても良いのが腸球菌

#37.

グラム陽性球菌 サブ 経皮的侵入やCRBSIの頻度が高く、黄色ブドウ球菌ではSAB bundle に照らした対応

#38.

グラム陽性球菌 ほとんどの場合で意図せずカバーされてしまうので、抗菌薬選択で迷うことは無い(たぶん)

抗菌薬の選び方に基づく細菌マップ

#39.

グラム陽性桿菌 真の原因菌となる頻度は少ないが、背景次第でリステリアやクロストリジウムに要注意

#40.

グラム陽性桿菌 メトロニダゾールで治療できることが多いが、診断が遅れると致死的となる病態の原因

#41.

グラム陽性桿菌 高齢者や細胞性免疫不全の患者では、細菌性髄膜炎(市中発症)の原因菌として考慮必須

#42.

グラム陽性桿菌 コンタミネーションのことが多いが、稀ながらCRBSIや肺炎の原因

#43.

グラム陰性球菌 遭遇する頻度は多くなく、グラム染色像のみならず病態と感染臓器から菌種を想定

#44.

グラム陰性球菌 アンピシリンに内因耐性をもち、気管支炎や肺炎の原因菌だが稀に菌血症を来すと致命的

#45.

グラム陰性球菌 ほとんどの場合でセフトリアキソンが第一選択、接触者対応やSTI/STDの検索にも留意

#46.

カンジダ 初手はミカファンギンが無難だが、菌種と感染臓器によってはフルコナゾールも考慮

#47.

ちょっと特殊なカテゴリー 診断と想起が重要で、マクロライドやテトラサイクリンを使うべくして使う菌種たち

#48.

再掲 抗菌薬の「選び方」 に基づく細菌マップ (Chapter 2)

セフトリアキソンとその関連薬の特性

#49.

Chapter 3 抗菌薬 Antibiotics

#50.

この抗菌薬、なんでしょう? (スペクトラムから抗菌薬を思い浮かべれば、最適解が見つかる)

#51.

① セフトリアキソン ② セフォタキシム ③ セフォチアム ④ セフメタゾール

#52.

① セフトリアキソン ② セフォタキシム ③ セフォチアム ④ セフメタゾール

#53.

CMZ セフメタゾール ESBL産生菌の他、まぁまぁ偏性嫌気性菌をカバーできるセファマイシン系(側鎖にメトキシ基)

#54.

① セファゾリン ② セフォタキシム ③ クリンダマイシン ④ ミノサイクリン

#55.

① セファゾリン ② セフォタキシム ③ クリンダマイシン ④ ミノサイクリン

#56.

CTX セフォタキシム 中枢移行性も良いオールラウンダーで、セフトリアキソンとの使い分けも◎

アジスロマイシンとその使用法

#57.

CTRX セフトリアキソン 中枢移行性も良く髄膜炎の治療ではお馴染み、Caイオン含有のリンゲル液との配合には要注意

#58.

① アジスロマイシン ② ドキシサイクリン ③ シプロフロキサシン ④ セフェピム

#59.

① アジスロマイシン ② ドキシサイクリン ③ シプロフロキサシン ④ セフェピム

#60.

AZM アジスロマイシン 電解質異常や、向精神薬の副次作用などと相まってQTc延長や致死的不整脈のリスク

#61.

① セフトリアキソン ② セフォタキシム ③ セフォチアム ④ セフメタゾール

#62.

① セフトリアキソン ② セフォタキシム ③ セフォチアム ④ セフメタゾール

#63.

CTM セフォチアム バッグ製剤を使えば簡便で、薬剤耐性の無いグラム陰性菌を狙い撃つなら、これ

#64.

① セフォチアム ② アンピシリン ③ ペニシリンG ④ セファゾリン

メロペネムとその併用療法の考察

#65.

① セフォチアム ② アンピシリン ③ ペニシリンG ④ セファゾリン

#66.

ABPC アンピシリン 市中肺炎の治療にも使えて、ここぞという場面で重宝する古き良き広域ペニシリン

#67.

① メロペネム ② ゲンタマイシン ③ トブラマイシン ④ ピペラシリン

#68.

① メロペネム ② ゲンタマイシン ③ トブラマイシン ④ ピペラシリン

#69.

GM ゲンタマイシン シナジーを狙う他、βラクタム系との併用でスペクトラムを補完し得るアミノグリコシド系

#70.

① メロペネム ② ゲンタマイシン ③ トブラマイシン ④ ピペラシリン

#71.

① メロペネム ② ゲンタマイシン ③ トブラマイシン ④ ピペラシリン

#72.

TOB トブラマイシン 耐性傾向が強いグラム陰性桿菌の他、緑膿菌を狙って使うなら、これ

ピペラシリンの使用とその効果

#73.

① セフトリアキソン ② リネゾリド ③ アンピシリン/スルバクタム ④ バンコマイシン

#74.

① セフトリアキソン ② リネゾリド ③ アンピシリン/スルバクタム ④ バンコマイシン

#75.

VCM バンコマイシン 確立された抗MRSA薬で、血中濃度モニタリング下にAUC/MICを管理して用量調整

#76.

① ピペラシリン ② アンピシリン/スルバクタム ③ セフェピム ④ セフメタゾール

#77.

① ピペラシリン ② アンピシリン/スルバクタム ③ セフェピム ④ セフメタゾール

#78.

PIPC ピペラシリン 院内肺炎でも使い勝手が良く、偏性嫌気性菌もカバーできてしまうペニシリン系

#79.

① アンピシリン ② アンピシリン/スルバクタム ③ セフェピム ④ セファゾリン

#80.

① アンピシリン ② アンピシリン/スルバクタム ③ セフェピム ④ セファゾリン

セフェピムの特性と使用場面

#81.

CEZ セファゾリン 蜂窩織炎の他、黄色ブドウ球菌の治療に欠かせない初代セファロスポリン系

#82.

① セフタジジム ② セフェピム ③ レボフロキサシン ④ セフォタキシム

#83.

① セフタジジム ② セフェピム ③ レボフロキサシン ④ セフォタキシム

#84.

CFPM セフェピム 「超」広域スペクトラムかつAmpC型BLにも安定、抗がん化学療法や血液内科の領域で重宝

#85.

① セフタジジム ② セフトリアキソン ③ レボフロキサシン ④ セフェピム

#86.

① セフタジジム ② セフトリアキソン ③ レボフロキサシン ④ セフェピム

#87.

CAZ セフタジジム 薬剤耐性を誘導しにくく、感染巣を問わず緑膿菌と戦うなら、これ

#88.

① セフタジジム ② アミカシン ③ トブラマイシン ④ ピペラシリン/タゾバクタム

アミカシンとその適応症

#89.

① セフタジジム ② アミカシン ③ トブラマイシン ④ ピペラシリン/タゾバクタム

#90.

AMK アミカシン 多剤耐性菌や抗酸菌も治療でき、アミノグリコシド系の最終兵器的な存在

#91.

① シプロフロキサシン ② メロペネム ③ レボフロキサシン ④ ミノサイクリン

#92.

① シプロフロキサシン ② メロペネム ③ レボフロキサシン ④ ミノサイクリン

#93.

MINO ミノサイクリン リケッチア感染症で頻用されるが、黄色ブドウ球菌もカバーできて(こっそり)広域

#94.

① メロペネム ② アンピシリン/スルバクタム ③ ピペラシリン ④ セフメタゾール

#95.

① メロペネム ② アンピシリン/スルバクタム ③ ピペラシリン ④ セフメタゾール

#96.

ABPC/SBT (Chapter 3) アンピシリン/スルバクタム 頻用されがちだが腹腔内感染や膿瘍治療で活躍、BLBLICsの代表格でステップダウンも簡便

抗菌薬の併用療法とその利点

#97.

Chapter 4 選択 Choice

#98.

これにマクロライド系抗菌薬を併用すると… セフォタキシム 中枢移行性も良いオールラウンダーで、セフトリアキソンとの使い分けも◎

#99.

CTX + AZM 2剤を併用すると、ここまでスペクトラムが拡がる!! (レジオネラまでカバーでき、市中発症の重症肺炎では定番の組み合わせ)

#100.

CTRX + AZM 2剤を併用すると、ここまでスペクトラムが拡がる!! (セフトリアキソンにアジスロマイシンを併用しても同様)

#101.

これにアミノグリコシド系抗菌薬を併用すると… セフォタキシム 中枢移行性も良いオールラウンダーで、セフトリアキソンとの使い分けも◎

#102.

CTX + GM 2剤を併用すると、ここまでスペクトラムが拡がる!! (耐性傾向が強い腸内細菌目細菌までカバーが手厚くなり、オススメの組み合わせ)

#103.

これにアミノグリコシド系抗菌薬を併用すると… アンピシリン/スルバクタム 頻用されがちだが腹腔内感染や膿瘍治療で活躍、BLBLICsの代表格でステップダウンも簡便

#104.

ABPC/SBT + GM 2剤を併用すると、ここまでスペクトラムが拡がる!! (メロペネムやピペラシリン/タゾバクタムとも肩を並べる広域スペクトラム)

抗菌薬選択における文化的要因

#105.

これにセファマイシン系抗菌薬を併用すると… トブラマイシン 耐性傾向が強いグラム陰性桿菌の他、緑膿菌を狙って使うなら、これ

#106.

CMZ + TOB 2剤を併用すると、ここまでスペクトラムが拡がる!! (ESBLやAmpC型BLに加えて緑膿菌までカバーでき、院内発症の尿路敗血症で頼れる組み合わせ)

#107.

これにグリコペプチド系抗菌薬を併用すると… ピペラシリン 院内肺炎でも使い勝手が良く、偏性嫌気性菌もカバーできてしまうペニシリン系

#108.

PIPC + VCM 2剤を併用すると、ここまでスペクトラムが拡がる!! (グラム染色が活用できなかったり原因菌不確定のとき、肺炎の初期治療でも重宝する組み合わせ)

#109.

これにグリコペプチド系抗菌薬を併用すると… セフタジジム 薬剤耐性を誘導しにくく、感染巣を問わず緑膿菌と戦うなら、これ

#110.

CAZ + VCM 2剤を併用すると、ここまでスペクトラムが拡がる!! (透析患者や院内発症の血流感染で活躍する組み合わせで、広域にカバー可能)

#111.

これにペニシリン系抗菌薬を併用すると… ミノサイクリン リケッチア感染症で頻用されるが、黄色ブドウ球菌もカバーできて(こっそり)広域

#112.

ABPC + MINO (Chapter 4) 2剤を併用すると、ここまでスペクトラムが拡がる!! (無駄に嫌気性菌を駆逐することなく、市中肺炎の原因菌をバランスよく網羅)

Q&Aセッションからの重要なポイント

#113.

Summary 戦 Strategy 略 的 抗 菌 Antibiotics Micro 薬 Biology 選 Choice 択

#114.

ほとんどの場面で 「超」広域抗菌薬は不要 重症だからといって、メロペネムは要らない。 さらに、ピペラシリン/タゾバクタムは使わない。 そして、キノロン系抗菌薬を使わずとも戦える。 ひとつの抗菌薬でスペクトラムが足りなければ 異なるカテゴリーを併用する。 (あるいは、原因菌が判明してから追加する)

#115.

戦略的抗菌薬選択 || 想定菌に鑑みた抗菌薬選択 ①懸念される耐性機構 ②抗菌薬のスペクトラム ③カバーを外す菌種 Fin.

#116.

Q&A ウェビナーで寄せられた質問にお答えします Q. A. この細菌マップは、実際の診療で先生の頭の中にある地図に近いものなのでしょう か?例えば、発熱患者を見たとき、感染臓器からこのマップに戻る感じなのか、培養 やグラム染色から戻る感じなのか、思考の順番を聞いてみたいです。 まさに頭の中そのものですね。 頭の中にあるものを見える化したのが、このマップと言ってもいいかもしれません。 もちろん感染症診療を主に手がける人には、それぞれ自分なりのマップがあると思い ます。僕の場合は、この形で考えています。 このマップも、僕一人で作ったというより、研修医や専攻医の先生たちと話しなが ら、「ここがわかりにくいよね」「ここでつまずきやすいよね」というところを積み 重ねてできたものです。感染症診療や抗菌薬選択で迷ってきた人たちの、知識と知識 を紡ぐシナプスのような道筋がこのマップになっているようなイメージです。 考える順番というものは特になくて、常に現場とマップを行ったり来たり(繰り返し 往復)しながら考え続ける…という表現になるでしょうか。

#117.

Q&A ウェビナーで寄せられた質問にお答えします Q. A. 強い・弱いではなくスペクトラムで考えるというのは理解できるのですが、実際には 広い薬ほど安心に見えてしまいます。若手に説明するとしたら、どのように伝えると 腹落ちしやすいでしょうか。先生は普段どのように説明されていますか? たとえば食事に例えると、わかりやすいかも知れませんね。 ふと美味しいパスタを食べたい、あるいは誰かにごちそうしたいとなったときに、 ファミレスに行けばいろいろなメニューはありますよね。ただ、本当にパスタを食べ たいなら、パスタ屋さん(それを専門に扱う店)に行った方がいいと思うんです。 抗菌薬もそれに近くて、スペクトラムが広い薬は、いろいろな菌をまんべんなくカ バーできます。一方で、限られた菌に特化した狭い薬の方が、その菌に対してはキレ がよい場面があります。 なので、「広い薬=強い薬」というより、「何を狙っているのか?」に合わせて選ぶ、 と説明することが多いです。

#118.

Q&A ウェビナーで寄せられた質問にお答えします Q. A. どの菌のカテゴリーまで考えるかが難しさだと思います。感染臓器から原因菌を考え るとき、まずどの粒度で菌を想定していますか? 迷う場合は、まずグラム陰性菌、例えば大腸菌やエンテロバクターのような菌を中心 に考えるのがよいと思います。 ただ、感染臓器によって、ありがちな原因菌はほぼ相場が決まっています。 肺炎でいきなり大腸菌を原因菌として考えることは多くないですし、逆に尿路感染症 でいきなり肺炎球菌を考えることもないですよね。 なので、感染臓器側から考えることも大事ですし、そこでよく出てくる菌種から考え ることも大事です。その上でもしも迷ってしまったら、まずはグラム陰性菌に重きを 置いて抗菌薬を選ぶのがリーズナブルだと思います。

#119.

Q&A ウェビナーで寄せられた質問にお答えします Q. 抗菌薬が効いていないように見える時、感染臓器の見立て違い、ドレナージ不足、非 感染症の可能性など、何から疑うべきでしょうか? 細菌感染症では、古典的には「良くなるか、悪くなるか」の2パターンだと言われて A. います。 良くなっていない(横ばいの経過)というより、明らかに悪くなっているのであれば、 診断が間違っている可能性を考えます。 一方で、CRPなど炎症反応が高いままでも患者さんは元気で、全体として横ばいとい う経過であれば、実は良くなっている途中かもしれません。 ありがちなのは、良くなっていないかも…と心配になって、抗菌薬を追加したり変更 したりすることですが、それが一番よくないと思います。 心配になったときは、抗菌薬を変えるのではなく、診断を見直す。必要なら血液培養 を取り直す、CTを撮り直す、そして何より病歴を取り直すことが大事だと思います。

#120.

Q&A ウェビナーで寄せられた質問にお答えします Q. 当院は600床程度の病院ですが、以前にセフェピム脳症が問題になったという理由か ら、なんでもTAZ/PIPCを選択する癖があるようなのですが、このセフェピム脳症を 極端に恐れるような文化をどのように取り除けばよいでしょうか? これはすごく話しがいのあるテーマだと思います。 A. 抗菌薬の選択は、正義か悪か、何が正しくて何が間違いか、というだけでは決まらな いんですよね。その組織の文化や、病院の診療に携わってきた先生方、スタッフの文 脈なしには成り立たないので、すごく難しいテーマです。 少し例えるなら、認知行動療法に近いかもしれません。 「意外と大丈夫じゃないか」という経験を少しずつ積み重ねることで、その考え方が 文化として染み渡っていけば、再びセフェピムが使われるような環境に戻っていくの ではないかと思います。

抗菌薬選択に関する実践的なアドバイス

#121.

Q&A ウェビナーで寄せられた質問にお答えします Q. A. 先生の抗菌薬選択クイズで、ニューキノロンが答えとして全く選ばれてなくて笑いま した。キノロンは人類が作った至高の玉だと思っています。あえてキノロンを使う場 面があるか、先生のお考えを聞かせてください。特に研修医の先生に向けてメッセー ジをお願いします。 キノロンを使う場面は、ないですね。 ないです。というのは、本当に「無い」という意味です。 理由は、ミノサイクリンやテトラサイクリンなど、ほかにいい薬があるからです。 なので、少なくとも気軽に使う薬ではないですし、研修医の先生には「キノロンでな くても戦える場面は多い」と考えてもらうのがよいと思います。 (すごく厳密に言えば、キノロンでなければ治療が難しいことは起こり得ます。です が、それは研修医の先生たちがひとりで対峙しないといけないような問題ではないで しょうね)

#122.

Q&A ウェビナーで寄せられた質問にお答えします Q. 2剤併用により有害事象のリスクは高まるように思いますが、リスクベネフィットは どうでしょうか?また、アミノグリコシドはキレが悪いという話を聞いたことがあり ますが、タゾピペやメロペネムより優先されますでしょうか? 答えとしては2つの視点があります。 A. まず、2剤併用は確定治療(definitive therapy)ではありません。あくまで初期治療で、 原因菌やフォーカス、薬剤感受性が定まるまでの、せいぜい2〜3日間の戦略です。で すので、腎障害のような有害事象は、そこまで大きく考えなくてよいと思います。 もうひとつの視点は、「スペクトラムが同じならメロペネム1剤でよいのでは?」と いう反論です。極端に言えば、それで今は(その場に限っては)よいかもしれません。 ただ、その使い方を続けると、5年後、10年後に使える抗菌薬がなくなっていく可能 性があります。 抗菌薬を適切に選ぶことは、診断を見直し続ける姿勢を保つことでもあります。メロ ペネムを入れて安心してしまい診断はないがしろ…というのでは本末転倒です。2剤 を併用してでも、なるべくピンポイントに攻めようとする姿勢が、診断を担保し、そ して患者さんや診療する側を守ることにつながると思います。

#123.

Q&A ウェビナーで寄せられた質問にお答えします Q. A. 組織移行性の問題があると思うのですが。 もちろん、組織移行性はすごく大事な観点です。 ただ、それがすべての臓器に対して同じように問題になるわけではありません。 たとえばアミノグリコシドは、髄液移行性は悪いですし、肺への移行もよくないで す。胆道系への移行も悪いところがあります。 2剤併用はあくまで、致命的な状況の初日を乗り切るための戦略です。 理想は、最終的にはβラクタム系単剤で確定治療に持っていくことです。 想定菌が見積もりにくい、診断が不確定という段階で、補助的・保険的に使う位置づ けだと思います。最初の2〜3日を乗り越えたあとは、確定治療としてβラクタム系抗 菌薬に切り替えるのが一般的です。 致命的な場合には菌血症の合併率も高いので、菌血症に対してはアミノグリコシドも 十分使えると思います。

#124.

Q&A ウェビナーで寄せられた質問にお答えします Q. サンフォードなどをみながら抗菌薬を探すのですがなかなか難しいです。ああいった 書籍はどう活用すればいいですか。 A. サンフォードは歴史もありますし、毎年アップデートもされるので、すごく良い書籍 だと思います。 ただ、現場で困ったときにすぐ答えを知りたい、という使い方であれば、少し調べに くい部類に入るかもしれません。 その場合は、たとえばプラチナマニュアルのようなものや、僕自身はJohns Hopkins ABX Guideのアプリを使うことがあります。 もちろん好みはあると思いますが、すぐ確認したい場面では、そうしたアプリの方が 使い勝手はよいと思います。

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