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薬剤感受性試験の読み方(ID-Gym2020~感染症治療のイロハ~ vol.2)

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萩谷 英大

2020/11/20
(2021/06/07 更新)

萩谷 英大

岡山大学病院 総合内科・総合診療科

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MIC(Minimum Inhibitory Concentration:最小発育阻止濃度)は、菌の発育を阻止する抗菌薬の最小濃度です。

本スライドでは“感染症治療のイロハ”シリーズ第2弾として、このMICの決め方から感受性(susceptible)と耐性(resistant)の線引き、MIC値を評価する例外的状況まで、「薬剤感受性試験」をテーマに解説しています。

<Take Home Message>
・MIC値において、“The lower the better”は間違い
・別々の抗菌薬で、MIC値を比較してはいけない
・S(Susceptible:感受性あり)の抗菌薬が使える可能性のある抗菌薬である
・SはSでも、例外的にMIC値を評価するケースもある

▶本スライドは、Antaaのオンライン配信企画「ID-Gym2020~感染症治療のイロハ~」(全6回シリーズ)のvol.2「薬剤感受性検査とアンチバイオグラムの読み方」の内容です。

【このスライドの解説動画はこちら】
https://qa.antaa.jp/stream/contents/89


▶各回のスライドはこちらから
第1回 βラクタム薬の使い方
https://slide.antaa.jp/article/view/48cb58e097fa48e5

第2回 薬剤感受性試験の読み方(本スライド)
https://slide.antaa.jp/article/view/7783af4fd1a04cea

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薬剤感受性試験の読み方(ID-Gym2020~感染症治療のイロハ~ vol.2)

1. 薬剤感受性試験の読み方
2. 【症例】65歳女性急性腎盂腎炎の診断で入院となった。入院時、セフェピム(マキシピーム)が投与されていたが、尿培養より感受性良好な大腸菌が検出された。治療経過が良好である場合の治療戦略を考えてください。 質問1.抗菌薬の変更は必要か? 質問2.抗菌薬変更が必要であれば、何を選択するか?(理由と共に) 質問
3. MICとは? Minimum Inhibitory Concentration 最小発育阻止濃度
4. MICの決め方 ①数段階の薬剤の希釈系列 (濃い濃度から2倍希釈)を作製し、菌を接種する ②菌がどの濃度まで発育したかをみて、 菌の発育を抑制する最小の抗菌薬濃度(MIC, μg/mL)を求める =微量液体希釈法 MIC = 16 μg/mL MIC = 0.5 μg/mL MIC = 2 μg/mL Q. この中で、最も臨床的な効果が高い抗菌薬はどれか? 質問
5. 答え 決められない
6. 「MICが低いほど有効な抗菌薬」 ・・・は、“間違い”です。
7. 96穴プレートで行われる実際の微量液体希釈法 直視 特殊ミラー
8. 96穴プレートの機械判定 白濁⇒発育あり 透明⇒発育なし 濃 薄
9. 何をもって感受性/耐性とするのか? 感受性あり 感受性なし どこで線引きするべき? 誰が、どうやって決めているの?
10. “MIC⇒BP”に読み替える 感受性 BP(ブレイクポイント)とは、測定されたMIC値で臨床的な治療効果が期待されるかどうかを判定するための基準 MICはBPを 耐性 S (Susceptible) R (Resistant)
11. MIC値から感受性の判定(SIR)が個別に決定される 菌種・抗菌薬のパターンによって、個別に決定されている (同一系統の抗菌薬でも異なる) ↓ そのパターンは無数・・・ しかも毎年改定される ↓ それを覚えることは不可能だし、無意味 ↓ 病院では微生物検査室の機械が自動判定した結果がカルテに上がってきます ブレイクポイントとは・・・ 臨床的に抗菌薬が有効/無効の判断をする際のMIC値のカットオフ
12. みんなが知っておくべきことは・・・ S or I or R
13. MIC/BPから算出される薬剤感受性の解釈
14. 32歳女性 単純性・急性腎盂腎炎 さぁ、どう治療しますか? 尿培養 質問
15. 65歳男性 発熱性好中球減少症(FN) 血液培養より 緑膿菌(P. aeruginosa) を検出 最適抗菌薬を選んでください! 質問
16. MICの問題 測定誤差・・・・・・・“1管差”の誤差は頻繁にあり得る 血中濃度に依存・・・・抗菌薬の投与量・スケジュールが肝心 殺菌性? 静菌性?・・・MICには反映されない 菌種による違い・・・・・菌種ごとにBPは異なる 宿主因子を無視・・・・・免疫正常者・不全者は勘案されない 感染巣(PK)を無視・・・・抗菌薬が移行しないと当然無効
17. 【症例】65歳女性急性腎盂腎炎の診断で入院となった。入院時、セフェピム(マキシピーム)が投与されていたが、尿培養より感受性良好な大腸菌が検出された。治療経過が良好である場合の治療戦略を考えてください。 質問1.抗菌薬の変更は必要か? 質問2.抗菌薬変更が必要であれば、何を選択するか?(理由と共に) 質問
18. アンケート結果 (N=119) (N=85) Proportion of misunderstanding Proportion of right understanding 51 (42.9%) 30 (25.2%) 12 (10.1%) 17 (14.3%) 6 (5.0%) 21 (24.7%) 7 (8.2%) 10 (11.8%) 47 (55.3%) Lack of De-escalation concept Lack of MIC Literacy Favorable answer 質問1.抗菌薬の変更は必要か? 質問2.抗菌薬変更が必要であれば、何を選択するか(理由と共に)?
19. ブレイクポイントの決定機関
20. 米国CLSIのブレイクポイント設定 【長所】 グローバル・スタンダード 毎年何回か会議が開催されアップデートされる 委員会の合議制で決定される 【短所】 基本的に米国の用法用量に準じて決定される ただしはっきりとした用法用量の記載はないことも 感染臓器別の判定基準はない(例外あり) 製薬企業色がかなり強い
21. 薬剤感受性検査のために自動機器 MicroScan WalkAway 96Plus (Beckman Coulter Inc.) VITEK 2 (BioMerieux Ind.,) BD Phoenix (Becton, Dickinson and Company) Eiken Chemical Co., Ltd. 実臨床では、これらの自動機器がMIC値を算出し、CLSIのBPに従ってはじき出されたS/I/Rと共に、カルテに反映される
22. ブレイクポイントは抗菌薬によって変化する ESBL産生菌であっても現行のBPであれば、S/R判定の結果を治療にそのまま応用してよい E.coli, Klebsiella, P. mirabillis (米国CLSI M100 30th edition)
23. ブレイクポイントは菌種によって変化する (米国CLSI M100 30th edition) ^尿中移行がよいため治療可能かも Susceptible Dose Dependent:SDD(用量依存的感性) CTRXのブレイクポイント (欧州EUCAST 2020 version)
24. ブレイクポイントは感染巣によって変化する MIC, minimum inhibitory concentration (最小発育阻止濃度) 肺炎球菌に対するペニシリンG (PCG)とセフトリアキソン(CTRX)の薬剤感受性の違い(米国CLSI M100 30th ed)
25. ブレイクポイントは感染巣によって変化する E.coli, Klebsiella, P. mirabillis (米国CLSI M100 30th edition) 同じ大腸菌でも、単純性UTIとそれ以外の感染症ではBPが大きく異なる
26. ブレイクポイントは年代によって変化する 腸内細菌科細菌(米国CLSI) 緑膿菌/アシネトバクター(米国CLSI) 腸内細菌科細菌と緑膿菌/アシネトバクターに対するカルバペネムのBPは歴史的に引き下げられてきた 👇 【利点】 ①耐性菌の検出感度が上がる ②“感受性あり”という結果が保証される 【欠点】 アンチバイオグラムが大きく変化
27. MIC値を評価する例外的状況
28. MIC値を評価する例外的状況①~肺炎球菌に対するPCG/CTRX~ 肺炎球菌に対するペニシリンG (PCG)とセフトリアキソン(CTRX)の薬剤感受性の違い(米国CLSI M100 30th ed)
29. MIC値を評価する例外的状況②~感染性心内膜炎におけるレンサ球菌のPCG~ Viridans streptococci, Streptococcus gallolyticus N Engl J Med 2020;383:567-76.
30. MIC値を評価する例外的状況③~MRSAに対するVCM~ 耐性菌 CLSI, 2006 感受性菌
31. Is It Time to Replace VCM in the Treatment of MRSA?VCMはもうMRSA感染症に使えない? Clin Infect Dis 2012;54:755–71. 30日死亡率の比較
32. ブレイクポイントは感染巣によって変化する E.coli, Klebsiella, P. mirabillis (米国CLSI M100 30th edition) 同じ大腸菌でも、単純性UTIとそれ以外の感染症ではBPが大きく異なる
33. MIC値を評価する例外的状況④~腸内細菌科細菌に対するCEZ~ E.coli, Klebsiella, P. mirabillis (米国CLSI M100 30th edition) 同じ大腸菌でも、単純性UTIとそれ以外の感染症ではBPが大きく異なる
34. MIC値を評価する例外的状況⑤~腸内細菌科細菌に対するCFPM~
35. その他の薬剤感受性検査:ディスク拡散法 LMOX BIPM MEPM CAZ 菌液を塗布した培地上に、薬剤含有ディスク(薬剤を滲みこませ乾燥させた丸い濾紙) を置く。ディスクを中心に抗菌薬が拡散する際の濃度勾配(ディスク周辺は濃く、ディスクから離れると薄くなる)を利用して、薬剤感受性を測定する。 形成された阻止円の直径を計測することで、判定する。 発育阻止円
36. その他の薬剤感受性検査:寒天平板希釈法 抗菌薬の希釈系列を固形培地に混ぜ込みながら作成する方法 煩雑であり、一般臨床検査には不向きであるため、医療機関では行われていない。 たくさんの対象菌を一気に扱いたい時には便利な方法
37. その他の薬剤感受性検査:E-test E-testとは・・・ 寒天培地を用いて簡易的にMICを測定する試薬 ストリップ状に抗菌薬が塗布されて、2倍希釈の連続した15段階の濃度勾配でMICを簡易的に測定出来る 1種類の菌に対して、複数のEtestを実施して、同時に複数の抗菌薬感受性を実施している
38. Take Home Message MIC値において、“The lower the better”は間違い 別々の抗菌薬で、MIC値を比較してはいけない S (Susceptible:感受性あり)の抗菌薬が使える可能性のある抗菌薬である SはSでも、例外的にMIC値を評価するケースもある