#4.
済生会福岡総合病院 総合診療部 スタッフ募集中!
中洲に徒歩5分
#5.
Agenda 終末期における感染症治療はなぜ難しいのか?
終末期における感染症治療の考え方
(各段階別)
#6.
今回のGOAL 終末期の感染症に対して
“緩和ケアの顔”をもって診療できるようになる
#7.
ICT ラウンドでよく遭遇した悩み 終末期膵臓がん・繰り返す胆管炎の抗菌薬
終末期肺癌による閉塞性肺炎の抗菌薬
誤嚥を繰り返す認知症患者の抗菌薬
#8.
あなたならどうしますか? 80歳、男性
終末期肺癌患者、PS 4
癌による無気肺あり
推定予後は数日~週間
喀痰からはMRSA 2+
10日前より38℃の発熱出現
メロペネムを7日間投与し解熱。
しかし3日後に再度発熱出現、
メロペネムを再開したが
発熱が持続している。
#9.
A B C D 血液培養2セット 喀痰グラム染色 バンコマイシンに変更 お祈り
#10.
A B C D 血液培養2セット 喀痰グラム染色 バンコマイシンに変更 お祈り 今日はこのような話ではありません!
#11.
“感染症”といえば急性期の代表ですが・・ 終末期の場面ではどうしましょう?
感染症→ 急性期の顔
#12.
“感染症”といえば急性期の代表ですが・・ 終末期の場面ではどうしましょう?
感染症→ 急性期の顔
+
終末期→ 緩和ケアの顔
#13.
なぜ終末期感染症はモヤモヤするのか?
#14.
でも現実は:
感染症なのでとりあえず漫然と抗菌薬を使用 ギャップ こうありたい:
終末期にふさわしい感染症治療を行いたい なぜ終末期感染症はモヤモヤするのか?
① ギャップ
#15.
モヤモヤする
何が問題なのか・・ なぜ終末期感染症はモヤモヤするのか?
② うまく言語化できない
#16.
なぜ終末期感染症はモヤモヤするのか?
③ 指標 (ガイドライン) がない
#17.
(まとめ) なぜモヤモヤするのか? ① 理想と現実のギャップ
② 問題点がうまく言語化できていない
③ 参考にする指標がない
#18.
ではどうすればよいのか?
段階別に終末期感染症を考えてみましょう。
#19.
#20.
それぞれの段階での問題点を
自分なりに認識する
#21.
#22.
#23.
終末期の感染症診断が難しい要因 1 症状 ①
感染症なのに熱がないことがある
(NSAIDs、ステロイド)
2 症状 ②
感染症ではないのに熱がでることがある
3 検査値
感染症ではないのにWBC, CRP上昇がありえる
#24.
終末期の感染症はコモン 50% 尿路
39% 呼吸器
36% 皮膚
12% 【頻度: 感染症】 Pereria J, et al. J Pain Symptom Manage 1998.
#25.
本当に感染症か? 33% 【頻度:非感染症】 E Toussaint, et al. Support Care Cancer 2006. 不明熱
30% 腫瘍熱
27% 薬剤熱
18% 術後熱
17% 血栓
8%
#26.
感染症確定診断:抗菌薬使用例の15% Albrecht JS, et al. J Pain Symptom Manage 2012 抗菌薬使用
感染症
#27.
まとめ ① ・終末期の感染症はよくあるが、診断は難しい
・感染症以外で発熱を起こす場合もある
→ 常に診断力は鍛えておく必要がある
#28.
#29.
どこまで検査するのか? 血液培養2セット? 吸引して喀痰培養? PCR?
培養検体提出率: 30%
喀痰培養提出率: 10% 安田俊太郎、ほか. 日本緩和医療薬学雑誌 2010
#30.
終末期と耐性菌 MRSA:
ESBL産生菌:
Prentice W, et al. Palliat Med 1998. 4~8% (ホスピス)
5% (緩和ケア病棟)
Helde-Flankling M, et al. Cancer (Basel) 2016. 終末期の抗菌薬使用は耐性菌発生リスク (OR: 2.62) Levin PD, et al. Chest 2010. 多剤耐性緑膿菌、カルバペネム耐性腸内細菌:不明
#31.
Prentice W, et al. Palliat Med 1998. 緩和ケア病棟において
・多剤耐性菌は介護者の悲しみ・落胆と関連
・接触予防策は死別のプロセスを複雑化させる
#32.
まとめ ② ・培養検査は侵襲を伴うことを忘れない
・終末期は耐性菌が検出されることも多い
・耐性菌による感染対策は患者/家族の負担になり得る
#33.
#34.
Do not hasten death.
Do not prolong it needlessly. ~死期を早めてはならない、
不必要に死期を延ばしてはならない~ ドクターズルール 425 医師の心得集
#35.
何のために治療する?
#36.
何のために治療するのか?
(終末期) 予後延長?
症状緩和?
#37.
抗菌薬は予後改善につながる? Macedo F, et al. Supportive Care in Cancer 2018 報告者によって様々
#38.
抗菌薬は予後改善につながる? 報告者によって様々 不変 改善
#39.
抗菌薬の反応性と予後 Thai V, et al. J Pain Symptom Manage 2012 反応不良 部分反応 反応良好 【日】 治療なし
#40.
抗菌薬は症状緩和につながる? Rosenberg JH, et al. J Palliat Med 2013 を改変. 報告者によって様々
#41.
抗菌薬は症状緩和につながる? White PH, et al. J Pain Symptom Magage 2003 を改変. 終末期がん患者 255名
#42.
抗菌薬は症状緩和につながる? White PH, et al. J Pain Symptom Magage 2003 を改変. 尿路感染は症状緩和が得られやすい傾向
#43.
抗菌薬のデメリット ・副作用/有害事象
アレルギー、薬疹、CD腸炎
・投与経路の確保
静脈ルート確保による疼痛、静脈炎
血管外漏出
ルート保持の必要性
・薬物相互作用
特にオピオイド、ステロイド
#44.
まとめ ③ ・終末期抗菌薬投与の目的を考える (予後改善、症状緩和)
・抗菌薬による反応が予後に影響する可能性がある
・感染部位によって症状緩和の割合に差がある
・抗菌薬投与のデメリットも考える
#45.
#46.
“抗がん剤”は躊躇するけど
“抗菌薬”って躊躇しませんよね
#47.
亡くなる直前まで抗菌薬が
投与された割合は?
#48.
終末期の抗菌薬はやめにくい Vallard A, et al. Oncology 2019. 亡くなる直前まで抗菌薬が投与された割合 78%
#49.
終末期の抗菌薬はやめにくい Thompson AJ, et al. Am J Hosp Palliat Care 2012. 抗菌薬中止が検討されたのは 亡くなる1日前
#50.
抗菌薬ははじめやすく、やめにくい
やめることに医師も悩んでいる・・・ Stiel S, et al. Support Care Cancer 2012.
#51.
まとめ ④ ・抗菌薬ははじめやすいがやめにくい
・亡くなる直前まで投与されることが多い
・抗菌薬中止については医師も悩んでいる
#52.
ここまでのまとめ 終末期の感染症はコモンだが診断は難しい
耐性菌は患者家族の悲しみ・落胆と関連
抗菌薬が症状緩和につながるか不明
抗菌薬治療ははじめやすいが、やめにくい
と、自覚しておくことが大事
#53.
では結局どうすればよいのか?
#54.
Baghban A, et al. Infect Dis Clin N Am 2017.
#55.
治療ゴールの話し合い 生存期間延長 症状緩和 抗菌薬治療、評価 見込める 見込めない 抗菌薬治療 治療検査なし
#56.
Time Limited Trial: お試し期間 Quill E, et al. JAMA 2011. 例:
末期心不全に対する人工呼吸
重症COPDに対するBiPAP
身体機能低下・腎不全に対する透析
:3~7日
:4~7日
:1~3か月 終末期患者に対する抗菌薬 :3~7日?
#57.
Time Limited Trialに必要な要素
#58.
モヤモヤへの対応 ① 理想と現実のギャップ
→ 緩和ケアの顔を持つ
② 問題点がうまく言語化できていない
→ 段階別に問題点を認識しておく
③ 参考にする指標がない
→ ゴール設定、time limited trial
#59.
あなたならどうしますか? 80歳、男性
終末期肺癌患者、PS 4
癌による無気肺あり
推定予後は数日~週間
喀痰からはMRSA 2+
10日前より38℃の発熱出現
メロペネムを7日間投与し解熱。
しかし3日後に再度発熱出現、
メロペネムを再開したが
発熱が持続している。
#60.
肺炎による発熱と思われた。
喀痰からのMRSAに対しては
標準予防策を行った。
症状緩和を治療のゴールとした。
数日のtime limited trialを行ったが
解熱せず、抗菌薬による症状緩和は
困難であると判断した。
本人・家族と相談し抗生剤投与は
中止し、解熱剤投与の方針とした。
#61.
Take Home Message 終末期の感染症は診断に注意し
緩和ケアの顔を持ちながら、検査の侵襲・耐性菌に考慮し
治療のゴール・抗菌薬のメリットを考え治療を行いましょう
#62.
yoshisoph@gmail.com