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初期研修医から専攻医向け急性上気道炎

投稿者プロフィール
関川喜之

武蔵野赤十字病院

13,644

96

投稿した先生からのメッセージ

風邪を風邪というにはどうすればよいでしょうか?わからない人はこのスライドをみてみましょう

概要

初期研修医~専攻医向け急性上気道炎のみかた

風邪を風邪と診断できる

風邪以外の疾患を鑑別できる

抗菌薬は必要な時のみ処方できる

本スライドの対象者

医学生/研修医/専攻医

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テキスト全文

急性上気道炎の基本知識

#1.

急性上気道炎 2026年 感染症科レクチャー 関川喜之

#2.

今日の目的 風邪を風邪と診断できる 風邪以外の疾患を鑑別できる 抗菌薬は必要な時のみ処方できる

#3.

感染症診療の原則 患者背景 重症度

風邪の診断と鑑別疾患

#4.

風邪を風邪と診断できますか?

#5.

風邪症候群とは 急性に、 鼻炎症状(くしゃみ・鼻汁・鼻閉) 咽頭炎症状(咽頭痛) 下気道炎(咳、痰)  が同時に存在する

#7.

風邪症候群の分類 ①典型的な“風邪”(鼻症状=咳=咽頭痛) →普通感冒型 ②鼻メイン(鼻症状>咳、咽頭痛)       →鼻炎・副鼻腔炎型 ③のどメイン(咽頭痛>咳、鼻症状)      →咽頭炎型 ④咳メイン(咳>鼻症状、咽頭痛)      →気管支炎型 上・下気道症状メイン

#8.

風邪症候群の分類のイメージ かぜ診療マニュアル第2版 日本医事新報社

#9.

風邪症候群以外 ①高熱のみ型 ②微熱・倦怠感型 ③下痢型 ④頭痛型 ⑤発疹型 ⑥関節痛型 上・下気道症状が目立たない!

#10.

風邪症候群の注意点 「かぜっぽい」で来院した患者を気道症状のあるなしで分類 気道症状のないものを、「上気道炎」としない 風邪診療で重要なことは  「風邪でないものを風邪ではない」と見極められること

風邪症候群の原因と治療

#11.

風邪症候群の原因ウイルス Lancet 2003; 361:51.  どのウイルスも似たような症状を呈するため、症状から区別することは難しい

#12.

風邪 咳、鼻、咽頭の症状が、同時期から同程度、存在する病態 小児6-8回/年、20‐39歳2-4回/年、40歳以降1-2回/年 罹患 風邪の自然経過 かぜ診療マニュアル第2版 日本医事新報社

#13.

風邪の治療 経過観察 患者さんの心配や訴えに合わせて  発熱や痛み:アセトアミノフェン  咳:デキストロメトルファン  咽頭痛:トローチ   漢方薬もいいかも  葛根湯、麻黄湯など

#14.

風邪症候群の診療のポイント ウイルス性疾患でありself-limited  ➡抗菌薬投与は不要な症候群 診療のmanagementで変わるものは  ・抗菌薬を投与する疾患があるかどうか  ・緊急疾患を見落としていないか ・咳、咽頭痛、鼻汁のない“風邪”は要注意!

急性鼻・副鼻腔炎の診断と治療

#15.

Delayed Antibiotic Prescription 少し様子を見てよくならなかったら抗菌薬を使うことを考慮 英国 2週間以内の成人の咽頭痛12829人 コホート研究 合併症(膿瘍、副鼻腔炎、中耳炎、蜂窩織炎・丹毒)ありは1.4% 合併症のリスクは、抗菌薬をすぐに処方と症状悪化時でほぼ差なし Lancet Infect Dis.2014;14:213-9

#16.

風邪と似た症状の抗菌薬が必要な気道疾患

#17.

鼻メイン型

#18.

急性鼻・副鼻腔炎型 くしゃみ、鼻汁、鼻閉が主症状。発熱の有無は問わない 内科では、発熱や頭痛が主訴 典型例:上気道炎の7-10日後に再び悪化(double sickening) 細菌性を示唆:上顎洞痛・顔や歯の痛み・膿性鼻汁が7日以上続く            症状7日未満は細菌性少ない かぜ診療マニュアル第2版 日本医事新報社

#19.

急性鼻・副鼻腔炎型 以下は抗菌薬治療を検討  症状が10日間以上、39度を超える発熱  上気道炎が5日間以上続き、いったん軽快後悪化 歯性上顎洞炎に注意 かぜ診療マニュアル第2版 日本医事新報社

#20.

急性鼻・副鼻腔炎 治療期間 5-10日間 JAID/JSC感染症治療ガイド2023

急性咽頭炎の診断と治療

#21.

のどメイン型

#22.

まずは 本当に“咽頭痛”なのかどうかを確認 「つばを飲み込んで痛い」=「嚥下時痛」=いわゆる“咽頭痛” →咽頭炎やkiller sore throatの鑑別を考える ※よくよく聴くと、“頚が痛い”、“顎が痛い”ということあり。

#23.

急性咽頭炎の起因微生物 NEJM 2001;344:205-211.

#24.

咽頭所見 咽頭・扁桃所見だけは起因菌は推察できない

#25.

A群溶連菌性咽頭炎 咽頭痛、扁桃の白苔、頸部リンパ節の圧痛、発熱 2~5日で自然に良くなる 咽頭痛が1週間以上続いたら、通常、GAS咽頭炎ではない 臨床上、抗菌薬が必要な唯一の咽頭炎 N Engl J Med. 2011;364(7):648.

#26.

GAS咽頭炎の治療の意義 急性リウマチ熱の予防  有症状期間の短縮:発症2~3日以内の投与で、約3日間の症状改善 化膿性合併症の予防:扁桃周囲膿瘍、咽後膿瘍、化膿性リンパ節炎、中耳炎・副鼻腔炎、乳突蜂巣炎 周囲への感染防止:特に家族内発症や医療機関内、軍隊 急性糸球体腎炎予防のevidenceはない

A群溶連菌性咽頭炎の管理

#28.

Centor’s criteria (Mclsaac modification) 2点以上で迅速検査を行う 1点以下なら迅速検査なし 4点以上なら抗菌薬治療開始 ただ、4点以上でも、実際にGAS咽頭炎のことは51%とされている JAMA 284(22): 2912-2918, 2000

#29.

A群溶連菌性咽頭炎の検査 迅速検査 培養検査

#31.

GAS咽頭炎の治療 AMPC 500mg 1日3回10日間  アレルギーなら・・・ CEX 500mg 1日3回 10日間 CLDM 300mg 1日3回 10日間 Clin Infect Dis, 55:e86-102, 2012

#32.

治療期間に関して リウマチ熱の予防 10日間必要 治療期間5-6日間でよい、という意見もあり 先進国でリウマチ熱は減少し  臨床治癒率は5日間 vs 10日間(89.6 vs 93.8%)で非劣勢 ただ、GAS根絶率は80vs90% 発症後のGAS保菌がリウマチ熱などの免疫疾患を引き起こす 5日間では、リウマチ熱の予防になるか不明 ⇒10日間、が依然推奨されている BMJ. 2019;367:l5337. Epub 2019 Oct 4. JAID/JSC感染症治療ガイド2023

#33.

急性咽頭炎 治療期間 10日間 JAID/JSC感染症治療ガイド2023

#34.

咽頭炎の鑑別診断

伝染性単核球症の症状と治療

#35.

 「のどが痛い」の鑑別診断

#37.

伝染性単核球症 発熱、咽頭痛、頸部リンパ節腫脹(とくに後頚部)   肝脾腫、皮疹を伴う場合もある 急性咽頭炎にしては発熱の経過が長い、 全身倦怠感が強い 検査は 血算(血球減少、末梢血異型リンパ球) LFTが上昇していることが多い EBV、CMVの抗体検査

#39.

抗体検査 ・VCA IgM抗体 ・VCA IgG抗体 ・EBNA抗体 誰も教えてくれなかった風邪の診かた:医学書院

#40.

伝染性単核球症の治療と対応 対症療法 コンタクトスポーツを一定期間  (少なくとも3週間)避ける  (脾破裂を防ぐため)

急性喉頭蓋炎とLemierre症候群

#43.

扁桃周囲膿瘍 口蓋垂が偏位していないか 耳鼻科でドレナージが必要 かぜ診療マニュアル第2版 日本医事新報社

#44.

急性喉頭蓋炎 喉が痛くて、つばも飲み込めない… N Engl J Med 2011; 365:447August 4, 2011

#45.

Lemierre 症候群 咽頭炎(口腔内感染症)ののち頸静脈に炎症が波及した感染性血栓性静脈炎 若年者に多い、咽頭痛、開口障害、内頚静脈に沿った圧痛 N Engl J Med 2004; 350:e14

#46.

Ludwig’s angina(submandibular space infection) 口底蜂窩織炎とも Submandibular spaceから広がる 両側性、リンパ節腫脹なし 発熱、咽頭痛、項部硬直、嚥下障害 気道閉塞することあり ※自験例、許可済

せきメインの急性気道感染症

#47.

せきメイン

#48.

せきメイン 発熱や痰はあってもなくてもよい 急性気道感染症による咳(感冒後咳嗽):平均17.8日間つづく 咳の分類  急性咳嗽 3週間未満  遷延性咳嗽 3~8週間  慢性咳嗽 8週間以上

#49.

せきの主な鑑別診断 痰Gram染色 ※気管支炎は   ウイルス多く   自然軽快 かぜ診療マニュアル第2版 日本医事新報社

#50.

細菌性気管支炎・肺炎 治療期間 5-7日間 JAID/JSC感染症治療ガイド2023

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