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病棟での輸液の組み方!

投稿者プロフィール
永井友基
Award 2022 受賞者

長崎医療センター

3,706,663

6,201

概要

「維持輸液は3A 1500mLで!」を卒業しませんか?

研修医やNsのみなさんに知ってほしい輸液の組み方をご紹介しています。

それぞれの輸液の成分の意味、投与量の決め方などなど

これを読めば輸液がくめるようになるはず!

動画レクチャーもYoutubeに公開してますので是非!

https://youtube.com/playlist?list=PL6BaFFfTjtrc_McyKYkeWCbMVaIlmMfcC

良ければチャンネル登録もお願いします!

本スライドの対象者

医学生/研修医/専攻医/専門医

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テキスト全文

輸液の基本とその重要性

#1.

みんほす! Lecture for junior residents ~輸液~

#2.

オンライン勉強会(毎週火曜日21時〜開催) 毎回150名以上の若手医師やコメディカルスタッフが全国から参加しています。 毎回1つのテーマ(失神、呼吸困難、敗血症、輸液・抗菌薬など)を取り上げ、 実際によくある症例をもとに「どう考えて、どう動くか」を ステップごとに整理していきます。 4月から初期研修医向けレクチャー始まります! ホームページから 参加できますよ ➤➤

#3.

今回のテーマは! 輸液

輸液オーダーの考え方と注意点

#4.

では、質問です。 輸液をオーダーするときに 色々考えながらオーダーしてるよー。 って人ー?

#5.

では、質問です。 3号液つないどけば どうにかなるやろーって思って オーダーしてる人ー?

#6.

ちょっと待ったー!!!

#7.

目標 ・輸液の基本を理解しよう。 ・適切に輸液を選択できるようになろう。

#8.

メニュー ①輸液の基本 〜細胞外液/細胞内液について〜 ②輸液の考え方 ③浸透圧比について

#9.

メニュー ①輸液の基本 〜細胞外液/細胞内液について〜 ②輸液の考え方 ③浸透圧比について

#10.

輸液ってたくさんありすぎる!! 日腎会誌 2008;50(2):100-109

細胞外液と細胞内液の理解

#11.

輸液の基本を理解するためには… 自由水ともいう 細胞外液(生食や乳酸リンゲル液)と細胞内液(5%ブドウ糖液) 他の輸液は この2つの輸液の 組み合わせです!

#12.

例えば… Na K Ca Cl 0.9%生理食塩水 154 154 乳酸リンゲル 130 4 3 109 5%ブドウ糖液 1号液 90 70 3号液 35 20 35 P 乳酸 Glu(g) 28 20 20 5.0% 2.6% 4.3%

#13.

例えば… Na K Ca Cl 0.9%生理食塩水 154 154 乳酸リンゲル 130 4 3 109 5%ブドウ糖液 1号液 90 70 3号液 35 20 35 P 乳酸 Glu(g) 28 20 20 5.0% 2.6% 4.3%

#14.

つまり! 1号液 1 : 1 3号液 1 : 3 K入り だいたいこんな感じ!

#15.

輸液についてお話する前に… 体液の組成を覚えていますか?

#16.

輸液についてお話する前に… 体液の組成を覚えていますか?

#17.

では、質問です。 ・細胞外液(生食や乳酸リンゲル液)は、輸液すると どこに分布するでしょうか?

#18.

では、質問です。 ・細胞外液(生食や乳酸リンゲル液)は、輸液すると どこに分布するでしょうか? 細胞外液の補充に有用

#19.

では、もう一つ質問です。 ・細胞内液(5%ブドウ糖液)は、輸液するとどこに分布する でしょうか?

#20.

では、もう一つ質問です。 ・細胞内液(5%ブドウ糖液)は、輸液するとどこに分布する でしょうか? 細胞内液の補充に有用

脱水の種類とその評価

#21.

では、応用編です。 3号液 1000mlを投与すると、 どこにどういう風に分布しますか?

#22.

3号液は、細胞外液:細胞内液=1:3の組成でしたね。 つまり、ラクテック 250mlとブドウ糖 750mlですね。

#23.

つまり、3号液を1000ml投与すると… こういう風に 分布しますよ〜 細胞内液 750ml(細胞内に500ml+細胞外に250ml) 細胞外液 250ml

#24.

細胞外液/細胞内液って何で気にしなきゃ? 体液量を考慮した輸液を考えるときにとっても大事! メジャーなものとして、脱水を例に挙げると…

#25.

脱水は2種類ある! 細胞外脱水(Hypovolemia) 細胞内脱水(Dehydration)

#26.

細胞外脱水(Hypovolemia) ・みなさんが『脱水』という言葉でよく表現するもの。 身体の中から塩水が喪失されている状態。 例) 熱中症、出血性ショック

#27.

細胞外脱水(Hypovolemia) ・みなさんが『脱水』という言葉でよく表現するもの。 身体の中から塩水が喪失されている状態。 例) 熱中症、出血性ショック

#28.

細胞外脱水(Hypovolemia) 体重減少 血圧 脈拍 尿量 意識 軽症 3% 正常 正常〜上昇 減少 中等度 6% 起立性低血圧〜低下 上昇 乏尿 重症度 9-10% 低下 上昇 無尿 低下 より理解を深める体液電解質異常と輸液 改訂3版 p35

#29.

細胞内脱水(Dehydration) ・塩分は減っていないが自由水だけが喪失されている状態 例) 飲水行動ができない高齢者 ※大抵の場合はdehydrationの人はhypovolemiaを伴っている。

#30.

細胞内脱水(Dehydration) ・塩分は減っていないが自由水だけが喪失されている状態 例) 飲水行動ができない高齢者 ※大抵の場合はdehydrationの人はhypovolemiaを伴っている。

脱水の所見とその診断

#31.

脱水を示唆する所見 細 胞 外 脱 水 立位による脈拍の上昇(>30/min) 立位による血圧低下(<20mmHg) 感度 43% 29% 特異度 75% 81% LR+ 1.7 1.5 LR0.8 0.9 毛細血管再充満時間(CRT>2秒) 液窩乾燥 口腔粘膜乾燥 34% 50% 85% 95% 82% 58% 6.9 2.8 2.0 0.7 0.6 0.3 舌乾燥 眼球陥没 上下肢脱力 59% 62% 43% 73% 82% 82% 2.1 3.4 2.3 0.6 0.5 0.7 意識混濁 言語不明瞭 57% 56% 73% 82% 2.1 3.1 0.6 0.5 JAMA. 1999 ; 281 : 1022.

#32.

脱水を示唆する所見 細 胞 内 脱 水 立位による脈拍の上昇(>30/min) 立位による血圧低下(<20mmHg) 感度 43% 29% 特異度 75% 81% LR+ 1.7 1.5 LR0.8 0.9 毛細血管再充満時間(CRT>2秒) 液窩乾燥 口腔粘膜乾燥 34% 50% 85% 95% 82% 58% 6.9 2.8 2.0 0.7 0.6 0.3 舌乾燥 眼球陥没 上下肢脱力 59% 62% 43% 73% 82% 82% 2.1 3.4 2.3 0.6 0.5 0.7 意識混濁 言語不明瞭 57% 56% 73% 82% 2.1 3.1 0.6 0.5 JAMA. 1999 ; 281 : 1022.

#33.

脱水を示唆する所見 両 方 立位による脈拍の上昇(>30/min) 立位による血圧低下(<20mmHg) 感度 43% 29% 特異度 75% 81% LR+ 1.7 1.5 LR0.8 0.9 毛細血管再充満時間(CRT>2秒) 液窩乾燥 口腔粘膜乾燥 34% 50% 85% 95% 82% 58% 6.9 2.8 2.0 0.7 0.6 0.3 舌乾燥 眼球陥没 上下肢脱力 59% 62% 43% 73% 82% 82% 2.1 3.4 2.3 0.6 0.5 0.7 意識混濁 言語不明瞭 57% 56% 73% 82% 2.1 3.1 0.6 0.5 JAMA. 1999 ; 281 : 1022.

#34.

脱水を示唆する所見 LR+ 1.7 1.5 LR0.8 0.9 毛細血管再充満時間(CRT>2秒) 34% 95% 6.9 脱水の身体所見に特異的なものはない! 液窩乾燥 50% 82% 2.8 Hypovolemiaとdehydrationを見分けるのは 口腔粘膜乾燥 85% 58% 2.0 0.7 0.6 0.3 舌乾燥 眼球陥没 上下肢脱力 立位による脈拍の上昇(>30/min) 立位による血圧低下(<20mmHg) 意識混濁 言語不明瞭 感度 43% 29% 特異度 75% 81% なかなか難しい! 59% 62% 43% 73% 82% 82% 2.1 3.4 2.3 0.6 0.5 0.7 57% 56% 73% 82% 2.1 3.1 0.6 0.5 JAMA. 1999 ; 281 : 1022.

#35.

じゃあ実際どうやって 決めればいいの?

#36.

救急外来でよくある場面… 熱中症じゃね? このおじいちゃん 発熱して具合い悪そう…。 何の検査だそうかなー。 血圧低くてやばい! 吐血/下血してる! やばい!

#37.

この人達は体液のどこが足りてませんか?

#38.

この人達は体液のどこが足りてませんか?

#39.

救急外来でよくある場面… 熱中症じゃね? ABCやばい! 血管内が足りてない!!!! このおじいちゃん 発熱して具合い悪そう…。 何の検査だそうかなー。 吐血/下血してる! やばい!

#40.

つまり! 救急外来セッティングではほとんどの場合、 細胞外液を使う! ※アルブミンとHESが1stになることはほぼない

輸液の速度とその管理

#41.

ただし、 浮腫性疾患(心不全、ネフローゼ、肝硬変、腎不全)が 明らかにある場合には、 細胞外液の低下があっても輸液は少なめに! 早めに昇圧薬の使用の検討を!

#42.

輸液の速度 救急外来では、細胞外液を 使えばいいってのは分かったけど、 じゃあ、実際どのくらいの 速度で点滴つなげばいいの?

#43.

細胞外脱水(Hypovolemia) 軽症 中等度 体重減少 3% 6% 血圧 正常 起立性低血圧〜低下 脈拍 正常〜上昇 上昇 尿量 減少 乏尿 意識 重症度 9-10% 低下 上昇 無尿 低下

#44.

輸液の速度 軽症 中等度 体重減少 3% 6% 血圧 正常 起立性低血圧〜低下 脈拍 正常〜上昇 上昇 尿量 減少 乏尿 意識 不足分を50~100ml/hrで 重症度 9-10% 低下 上昇 無尿 低下 バイタルが安定する まで1-2Lは全開で! Maintenance and replacement fluid therapy in adults, up to date Treatment of severe hypovolemia or hypovolemic shock in adults, up to date Evaluation and management of suspected sepsis and septic shock in adults, up to date

#45.

0.9%生理食塩水? or 乳酸リンゲル液? ・重症細胞外脱水の患者において、 0.9%生理食塩水 or 乳酸リンゲル液の大量輸液をしたときに 死亡率や急性腎障害が起こる確率は0.9%生理食塩水の方が わずかに高いと報告している文献もある。 ・しかし! メタ解析では明らかな有意差はなかった。 Treatment of severe hypovolemia or hypovolemic shock in adults, up to date

#46.

0.9%生理食塩水? or 乳酸リンゲル液? ・つまり、 基本的にはどっちでも良い。 ・ただ、生理食塩水を大量投与すると 高Cl性代謝性アシドーシスを起こす可能性があることに注意。 Treatment of severe hypovolemia or hypovolemic shock in adults, up to date

#47.

オンライン勉強会(毎週火曜日21時〜開催) 毎回150名以上の若手医師やコメディカルスタッフが全国から参加しています。 毎回1つのテーマ(失神、呼吸困難、敗血症、輸液・抗菌薬など)を取り上げ、 実際によくある症例をもとに「どう考えて、どう動くか」を ステップごとに整理していきます。 4月から初期研修医向けレクチャー始まります! ホームページから 参加できますよ ➤➤

#48.

メニュー ①輸液の基本 〜細胞外液/細胞内液について〜 ②輸液の考え方 ③浸透圧比について

#49.

輸液を考えるときの3step Step1:1日に必要な維持液を考える Step2:過去の不足分を考える Step3:今後の喪失分を考える

#50.

輸液を考えるときの3step Step1:1日に必要な維持液を考える Step2:過去の不足分を考える Step3:今後の喪失分を考える

細胞外脱水と細胞内脱水の補正

#51.

Step1:1日に必要な維持液を考える ①1日に必要な水分量を考える。 ②1日に必要な電解質量(Na、K)を考える。 これ以外の電解質は 基本的に考えなくて良いです。

#52.

Step1:1日に必要な維持液を考える① 1日の水分のOUTの量は、 不感蒸泄:10mL/kg/日 (不感蒸泄 15mL/kg/日-代謝水 5mL/kg/日) 尿量維持:20mL/kg/日 (最低でも10mL/kg/日は必要) より理解を深める体液電解質異常と輸液 改訂3版

#53.

Step1:1日に必要な維持液を考える① 1日の水分のOUTの量は、 不感蒸泄:10mL/kg/日 つまり、 (不感蒸泄15mL/kg/日-代謝水5mL/kg/日) 体重×20~30mL/日 の水分量が必要! 尿量維持:20mL/kg/日 (最低でも10mL/kg/日は必要)

#54.

Step1:1日に必要な維持液を考える② 目安として、 Na:食塩 6g(60-100mEq/日) K :KCl 3g(40-60mEq/日)

#55.

輸液を考えるときの3step Step1:1日に必要な維持液を考える Step2:過去の不足分を考える Step3:今後の喪失分を考える

#56.

Step2:過去の不足分を考える ①不足している細胞外液量/細胞内液量を考える。 ②不足している電解質量(K)を考える。

#57.

Step2:過去の不足分を考える① ・嘔吐や下痢、発熱による細胞外脱水、細胞内脱水が あったら、その分を維持液に加えて投与する。 ・何をどのくらい加えれば良いの?

#58.

細胞外脱水の補正は? ・細胞外液で補正を行う。 ・細胞外脱水を疑う所見: ??? 血圧低下、頻脈、腎前性腎不全、尿量低下など ・不足している外液量を測定する目安はなく、 バイタルや尿量、腎機能をみながら外液の補正を行う。

#59.

細胞外脱水の補正は? ・細胞外液で補正を行う。 ・細胞外脱水を疑う所見: 血圧低下、頻脈、腎前性腎不全、尿量低下など ・不足している外液量を測定する目安はなく、 バイタルや尿量、腎機能をみながら外液の補正を行う。

#60.

細胞内脱水の補正は? ・5%ブドウ糖液で補正を行う。 ・細胞内脱水を疑う所見: ??? 口喝、腋窩乾燥、皮膚ツルゴール低下、高Na血症、体重減少 ・不足している細胞内液の量の目安 細胞内液欠乏量(L)=(血清Na濃度-140)÷140×体重×0.6 ・上記を3〜5日間で補正する。 より理解を深める体液電解質異常と輸液 改訂3版

Kの投与方法と注意点

#61.

細胞内脱水の補正は? ・5%ブドウ糖液で補正を行う。 ・細胞内脱水を疑う所見: 口喝、腋窩乾燥、皮膚ツルゴール低下、高Na血症、体重減少 ・不足している細胞内液の量の目安 細胞内液欠乏量(L)=(血清Na濃度-140)÷140×体重×0.6 ・上記を3〜5日間で補正する。 より理解を深める体液電解質異常と輸液 改訂3版

#62.

Step2:過去の不足分を考える② ・低K血症を合併している場合には補正を行う。

#63.

ここで、Kの投与の仕方について少し。 ・末梢から使用できるK製剤には色んな制限がある。 中心静脈だったら MAX 40mEq/時 100〜200mEq/L ・必ず覚えておきましょう! 末梢での投与速度 末梢での最大濃度 1日の投与量 20mEq/時以下 40mEq/L 120mEq/日以下 ※濃度が濃すぎると血管炎が起こるため@末梢 ・ちなみに、K 1mEq上げるためには100~200mEq必要。 重症患者管理マニュアル 第1版

#64.

具体的には… 低K血症があるから、 できるだけたくさんKを 補充したいな〜。 何をどれだけ入れれば いいんだっけ…。

#65.

乳酸リンゲル液にKを混ぜるとしたら… KCL 20mEqを 1キット これを1時間以上かけて投与。 1日に×6セットまで投与可。

#66.

乳酸リンゲル液にKを混ぜるとしたら… アスパラギン酸カリウム 10mEqを2A これを1時間以上かけて投与。 1日に×6セットまで投与可。

#67.

3号液にKを混ぜるとしたら…

#68.

3号液にKを混ぜるとしたら… 元々 K 10mEq/500ml 入ってるよ〜

#69.

3号液にKを混ぜるとしたら… KCL 20mEqを 0.5キット これを1時間以上かけて投与。 1日に×6セットまで投与可。

#70.

3号液にKを混ぜるとしたら… アスパラギン酸カリウム 10mEqを1A これを1時間以上かけて投与。 1日に×6セットまで投与可。

輸液を考える3つのステップ

#71.

意外と末梢点滴からKの補充できない… ・本気でKの補充をしたい場合は、 中心静脈ルートを取ったり、内服で追加補充したり、 Mgの補充を検討したりしましょう! 1包 4mEq 1錠 8mEq

#72.

輸液を考えるときの3step Step1:1日に必要な維持液を考える Step2:過去の不足分を考える Step3:今後の喪失分を考える

#73.

Step3:今後の喪失分を考える ・今後も発熱、嘔吐や下痢、多尿、ドレーンからの排液が続くか を検討し、続く可能性がある場合には、 予測して補うか、追っかけで補うかを検討する。 ・基本的には、喪失する体液と同等の成分の輸液(水分量、電解質量) で補いたい。 ・ただし、補正量が適切かは分からないため、 バイタルや、尿量、血液検査でフォローしながら 適切かを日々判断する必要がある。

#74.

Step3:今後の喪失分を考える ①今後喪失し得る細胞外液量/細胞内液量を考える。 ②今後喪失し得る電解質量(K)を考える。

#75.

Step3:今後の喪失分を考える① ・発熱: 体温1℃上昇で不感蒸散量(12〜15mL/kg)が15%上昇 ・下痢や多尿の病態、ドレーンからの排液が続く場合: 喪失量を予測してあらかじめ輸液負荷 or 喪失量を次の日に追っかけて補正する

#76.

Step3:今後の喪失分を考える② NGチューブやイレウス管も ・嘔吐や下痢、ドレーンからの排液の場合、 電解質も一緒に喪失するため、 あらかじめ喪失分を予測して補正する必要がある。

#77.

体液の電解質組成 胃液 胆汁 膵液 小腸液 大腸液 発汗 不感蒸散 Na 60 150 140 110 130 20〜40 0 K 10 5 4.5 5 10 0 0 Cl 80 100 80 100 120 20〜40 0 HCO3 0 45 90 50 30 0 0 単位はmEq/L より理解を深める体液電解質異常と輸液 改訂3版

#78.

輸液を考えるときの3step Step1:1日に必要な維持液を考える Step2:過去の不足分を考える Step3:今後の喪失分を考える

#79.

輸液を考えるときの3step Step1:1日に必要な維持液を考える ただし! Step2:過去の不足分を考える Step3:今後の喪失分を考える

#80.

輸液を考えるときの3step Step1:1日に必要な維持液を考える この考え方だと輸液が多めに… Step2:過去の不足分を考える 実際は×0.8くらいの量を Step3:今後の喪失分を考える 投与することが多い。

症例に基づく輸液管理の実際

#81.

輸液を考えるときの3stepのまとめ Step1:1日に必要な維持液を考える 水分量→体重×20〜30mL/日 Na→60〜100 mEq/日 K →40〜60 mEq/日 Step2:過去の不足分を考える 細胞外脱水:外液で補正 細胞内脱水:5%Gluで補正 低K血症があれば補正を Step3:今後の喪失分を考える 発熱、下痢、嘔吐、低K血症があれば補正を 水分量は ×0.8くらいを目安に!

#82.

オンライン勉強会(毎週火曜日21時〜開催) 毎回150名以上の若手医師やコメディカルスタッフが全国から参加しています。 毎回1つのテーマ(失神、呼吸困難、敗血症、輸液・抗菌薬など)を取り上げ、 実際によくある症例をもとに「どう考えて、どう動くか」を ステップごとに整理していきます。 4月から初期研修医向けレクチャー始まります! ホームページから 参加できますよ ➤➤

#83.

メニュー ①輸液の基本 〜細胞外液/細胞内液について〜 ②輸液の考え方 ③浸透圧比について

#84.

浸透圧比とは ・定義: 0.9%生理食塩水の浸透圧 285mOsmを『浸透圧比1』とする。 ※血液の浸透圧≒0.9%生理食塩水の浸透圧 ・末梢から投与できる輸液は浸透圧比3(約900mOsm)まで。 浸透圧比3以上だと、静脈炎のリスクが! 自分で輸液を作るときには浸透圧比も計算してみよう!

#85.

例えば、 ・3%生理食塩水の浸透圧比は? 0.9%食塩水(1) 400ml + 10%塩化ナトリウム(10) 120ml =(400ml×1+120ml×10) / (400+120) =3.07 →ぎりぎり末梢からの投与OK!

#86.

輸液、組めそうですか?

#87.

練習問題①

#88.

症例:80歳女性 【主訴】 発熱 【現病歴】 認知症がある施設入所中、ADLほぼ全介助の高齢女性。 来院2日前に38℃の発熱を認めた。 来院当日に発熱持続していたため前医を受診した。 尿検査で膿尿、細菌尿を認めたため尿路感染症と診断され、 入院加療目的に当院へ搬送された。

#89.

入院後経過 尿路感染症の診断でCTRX 2g+生食 100ml q24hrで加療を 開始した。 発熱によって意識レベルがあまり良くなかったため、 絶食輸液管理として入院とした。 入院後から翌日の朝までラクテック 80ml/hrを投与した。

#90.

入院翌日のデータ 【現症】 身長:150cm、体重:40kg 意識:E3V3M5(普段通り) 体温:38.0℃、血圧:121/76mmHg(普段通り)、 脈拍数:120回/分、SpO2:99%(RA) 尿量:15ml/hr(直近) 口腔内軽度乾燥、CRT>2sec 下痢や嘔吐はなし

輸液の調整とその実践

#91.

血液検査 前日 生化学 BUN Cr Na K Cl 血ガス Lac 52 1.73 144 4.4 118 mg/dL mg/dL mEq/L mEq/L mEq/L 48 mg/dL 今日 生化学 BUN Cr Na K Cl 血ガス Lac 48 1.47 143 4.3 119 mg/dL mg/dL mEq/L mEq/L mEq/L 30 mg/dL

#92.

今後の予定 ・これまでむせがあったようで、明日嚥下機能評価を行う予定。 それまでは絶食輸液管理で。 ・抗菌薬は継続。 ・既往は認知症だけとします。

#93.

輸液一覧 Na K Ca Cl 0.9%生理食塩水 154 154 乳酸リンゲル 130 4 3 109 5%ブドウ糖液 1号液 90 70 3号液 35 20 35 P 乳酸 Glu(g) 28 20 20 5.0% 2.6% 4.3%

#94.

さあ! 今日の輸液はどうしましょう? Let’s Discuss!

#95.

輸液を考えるときの3step Step1:1日に必要な維持液を考える Step2:過去の不足分を考える Step3:今後の喪失分を考える

#96.

輸液を考えるときの3step Step1:1日に必要な維持液を考える Step2:過去の不足分を考える Step3:今後の喪失分を考える

#97.

Step1:1日に必要な維持液を考える ①水分量 体重×20〜30mL/日→800〜1200mL/日 ②電解質 Na→60〜100mEq/日 K →40〜60mEq/日

#98.

輸液を考えるときの3step Step1:1日に必要な維持液を考える Step2:過去の不足分を考える Step3:今後の喪失分を考える

#99.

Step2:過去の不足分を考える ①水分量 頻脈傾向、CRT延長、腎前性腎不全、尿量低下、Lac上昇 →細胞外脱水がありそう ②電解質 低Kはない

#100.

輸液を考えるときの3step Step1:1日に必要な維持液を考える Step2:過去の不足分を考える Step3:今後の喪失分を考える

浸透圧比の計算とその重要性

#101.

Step3:今後の喪失分を考える ①水分量 発熱が持続しているので不感蒸泄が増えているはず。 治療開始24時間くらいなので、解熱までもう少し時間が かかりそう。 体温1℃上昇で不感蒸散量(12〜15mL/kg)が15%上昇するので、 120〜200ml程度が今後喪失され得ると予想される。 困るのは細胞外液が喪失されているときなので、細胞外液で補正する。 ②電解質 不感蒸泄が亢進しているのみなので、電解質の喪失は考えない。

#102.

今回の症例をまとめると… Step1:1日に必要な維持液を考える ①800〜1200ml/日 ②Na→60〜100mEq/日、K→40〜60mEq/日 Step2:過去の不足分を考える ①細胞外脱水がありそう、②なし Step3:今後の喪失分を考える ①120〜200ml/日の喪失、②なし

#103.

主な輸液 Na K Ca Cl 0.9%生理食塩水 154 154 乳酸リンゲル 130 4 3 109 5%ブドウ糖液 1号液 90 70 3号液 35 20 35 P 乳酸 Glu(g) 28 20 20 5.0% 2.6% 4.3%

#104.

主な輸液 Na K Ca Cl 0.9%生理食塩水 154 154 乳酸リンゲル 130 4 3 109 5%ブドウ糖液 1号液 90 70 3号液 35 20 35 P 乳酸 Glu(g) 28 20 20 維持液として3号液を使ってみよう。 5.0% 2.6% 4.3%

#105.

維持液+喪失分 不足分

#106.

維持液+喪失分 水分量:1100ml Na:50.4mEq K:20mEq 不足分

#107.

維持液+喪失分 水分量:1100ml Na:50.4mEq K:20mEq 不足分

#108.

維持液+喪失分 不足分

#109.

維持液+喪失分 水分量:1140ml Na:85.9mEq K:40mEq 不足分

#110.

維持液+喪失分 水分量:1140ml Na:85.9mEq K:40mEq 不足分

輸液管理のフォローアップと注意点

#111.

最後に必ずKの投与の仕方をチェック! 末梢での投与速度 末梢での最大濃度 1日の投与量 20mEq/時以下 40mEq/L 120mEq/日以下

#112.

ちなみに浸透圧比は、 ソルデム3A(1) 500ml+10%NaCl(10) 20ml+アスパラK(6) 10ml =(500×1+20×10+10×6)/(500+20+10) =1.433 <3なのでOK!

#113.

めっちゃ頑張って輸液考えた…。

#114.

あれ???っていうか… 水分量も電解質量も 結構幅あったよね? 50mlとかまで 細かく輸液の調整 しなきゃなの?

#115.

すごい細かい調整は不要です! ただし、 高度腎不全、重症心不全、肝硬変、 重症病態などでで代償機構が働きにくい人は、 厳密に管理をするかを検討しましょう。

#116.

しかし!!! 残念ながらこれで終わりでは ありません。

#117.

明日確認したい所見は? (現症、血液検査など) ちょっとだけ考えてみてください。

#118.

確認する所見 過去に喪失していた分の細胞外脱水は 改善しているかな? ・バイタル 頻脈、血圧、尿量、体重 ・身体所見 口腔内乾燥、浮腫 ・血液検査 腎機能、電解質 細胞外脱水の補正量は多すぎないかな?

#119.

輸液を考えるときに大切なのは! ・日々、所見をフォローすること。 ・カルテの前で計算だけしていても患者さんは 助けられません。

#120.

練習問題② ちょっと考えてみましょう

実際の症例を通じた輸液の考察

#121.

症例:40歳男性 【主訴】 嘔吐 【現病歴】 腹部手術歴があるが、それ以外の既往がないADL自立した男性。 来院前日から嘔吐を繰り返し、飲食ができない状態が持続した。 そのため、来院当日に救急外来を受診した。

#122.

来院時のデータ 【現症】 身長:170cm、体重:60kg 意識:E4V5M6 体温:36.0℃、血圧:121/76mmHg、脈拍数:120回/分、 SpO2:100%(RA) 口腔内軽度乾燥あり、CRT>2sec

#123.

血液検査 生化学 BUN Cr Na K Cl 血ガス Lac 52 1.50 140 3.3 118 mg/dL mg/dL mEq/L mEq/L mEq/L 20 mg/dL

#124.

経過 ・癒着性腸閉塞の診断で胃管挿入を行った。 ・保存的加療として絶飲食、輸液管理を行う方針となった。 ・胃管からは勢いよく排液が出ている。

#125.

さあ! 今日の輸液はどうしましょう? 少し考えてみましょう。

#126.

輸液を考えるときの3step Step1:1日に必要な維持液を考える Step2:過去の不足分を考える Step3:今後の喪失分を考える

#127.

輸液を考えるときの3step Step1:1日に必要な維持液を考える Step2:過去の不足分を考える Step3:今後の喪失分を考える

#128.

Step1:1日に必要な維持液を考える ①水分量 体重×20〜30mL/日→1200〜1800mL/日 ②電解質 Na→60〜100mEq/日 K →40〜60mEq/日

#129.

Step1:1日に必要な維持液を考える ①水分量 体重×20〜30mL/日→1510mL/日 ②電解質 Na→60〜100mEq/日 K →40〜60mEq/日

#130.

輸液を考えるときの3step Step1:1日に必要な維持液を考える Step2:過去の不足分を考える Step3:今後の喪失分を考える

輸液の最終確認と実施方法

#131.

Step2:過去の不足分を考える ①水分量 頻脈傾向、CRT延長、腎前性腎不全 →嘔吐による細胞外脱水がありそう ②電解質 K 3.3とやや低め

#132.

Step2:過去の不足分を考える ①水分量 頻脈傾向、CRT延長、腎前性腎不全 →嘔吐による細胞外脱水がありそう ②電解質 K 3.3とやや低め 細胞外液+K 20mEq

#133.

輸液を考えるときの3step Step1:1日に必要な維持液を考える Step2:過去の不足分を考える Step3:今後の喪失分を考える

#134.

Step3:今後の喪失分を考える ①水分量 入院後すぐなので、胃管排液が持続しそう。 ②電解質 胃液の中にはKも含まれているため、Kが喪失される。

#135.

体液の電解質組成 胃液 胆汁 膵液 小腸液 大腸液 発汗 不感蒸散 Na 60 150 140 110 130 20〜40 0 K 10 5 4.5 5 10 0 0 Cl 80 100 80 100 120 20〜40 0 HCO3 0 45 90 50 30 0 0 単位はmEq/L より理解を深める体液電解質異常と輸液 改訂3版

#136.

体液の電解質組成 胃液 胆汁 膵液 小腸液 大腸液 発汗 不感蒸散 Na 60 150 140 110 130 20〜40 0 K 10 5 4.5 5 10 0 0 Cl 80 100 80 100 120 20〜40 0 HCO3 0 45 90 50 30 0 0 単位はmEq/L より理解を深める体液電解質異常と輸液 改訂3版

#137.

体液の電解質組成 胃液 1号液 胆汁 とか 膵液 3号液に 近い 小腸液 大腸液 発汗 不感蒸散 Na 60 150 140 110 130 20〜40 0 K 10 5 4.5 5 10 0 0 Cl 80 100 80 100 120 20〜40 0 HCO3 0 45 90 50 30 0 0 単位はmEq/L より理解を深める体液電解質異常と輸液 改訂3版

#138.

今回は追っかけで考えると、 ・尿量や排液を8時間毎にカウントし、前の8時間に出た排液量を 次の8時間で追っかける。 指示の例: これをやるときは 病棟看護師さんと一緒に 排液量が 指示を確認しましょう! 0-500ml/8hrのとき→負荷なし 501ml-1000ml/8hrのとき →ソルデム3A 500mlを8時間かけて側管から負荷 1001-1500ml/8hrのとき →ソルデム3A 1000mlを8時間かけて側管から負荷

#139.

輸液を3stepで組んだら、 必ず最後に Kと浸透圧比を チェック!

#140.

実際の処方は、 維持液 不足分 喪失分 8時間毎におっかけ

輸液管理のまとめと今後の展望

#141.

実際のイメージ 60ml/hrで 20ml/hrで

#142.

Take home message ・これからは考えながら輸液をオーダーしてみよう! ・経過をフォローすることを忘れずに。

#143.

オンライン勉強会(毎週火曜日21時〜開催) 毎回150名以上の若手医師やコメディカルスタッフが全国から参加しています。 毎回1つのテーマ(失神、呼吸困難、敗血症、輸液・抗菌薬など)を取り上げ、 実際によくある症例をもとに「どう考えて、どう動くか」を ステップごとに整理していきます。 4月から初期研修医向けレクチャー始まります! ホームページから 参加できますよ ➤➤


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