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初期研修医/後期研修医に知ってほしい サマリーの書き方
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最終更新:2022年5月3日
アナフィラキシーに対応しよう
#ステロイド #蕁麻疹 #研修医 #アナフィラキシー #食物依存性運動誘発アナフィラキシー #IgE #血圧低下 #アドレナリン #筋注 #グルカゴン #抗ヒスタミン薬
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最終更新:2022年5月3日
免疫不全の感染症 入門編
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【新研修医向け】医学書の選び方・学び方【2022最新おすすめの医学書10選もご紹介】
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【デキレジ】脳梗塞①ファーストタッチを極める
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心エコー 前壁・下壁・側壁・中隔の見分け方
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健康診断で要精査 尿潜血の対応方法
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ショックのまとめ【定義・分類・鑑別を中心に】
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聴診のシカタ!~聴診器を当てるまで~
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最終更新:2022年10月25日
研修医/Nsに知ってほしい~病棟での輸液~ レクチャー動画 あります
Lecture for junior residentsの目標 ・内科病棟管理の「基本」を症例ベースで学ぶ。 ・全体を通しての目標 PGY1: 病棟急変などを状況を正確に解釈し、理解できるようになる PGY2: 病棟急変などを自分でマネジメントできるようになる
今回のテーマは! 輸液
では、質問です。 輸液をオーダーするときに 色々考えながらオーダーしてるよー。 って人ー?
では、質問です。 3号液つないどけば どうにかなるやろーって思って オーダーしてる人ー?
ちょっと待ったー!!!
目標 ・輸液の基本を理解しよう。 ・適切に輸液を選択できるようになろう。
メニュー ①輸液の基本 ~細胞外液/細胞内液について~ ②病棟での輸液の考え方 ③浸透圧比について
メニュー ①輸液の基本 ~細胞外液/細胞内液について~ ②病棟での輸液の考え方 ③浸透圧比について
輸液ってたくさんありすぎる!! 日腎会誌 2008;50(2):100-109
輸液の基本を理解するためには… 細胞外液(生食や乳酸リンゲル液)と細胞内液(5%ブドウ糖液) 他の輸液は この2つの輸液の 組み合わせです! 自由水ともいう
例えば…
例えば…
つまり! 1号液 3号液 1 : 1 1 : 3 K入り
輸液についてお話する前に… 体液の組成を覚えていますか?
輸液についてお話する前に… 体液の組成を覚えていますか?
では、質問です。 ・細胞外液(生食や乳酸リンゲル液)は、輸液すると どこに分布するでしょうか?
では、質問です。 ・細胞外液(生食や乳酸リンゲル液)は、輸液すると どこに分布するでしょうか? 細胞外液の補充に有用
では、もう一つ質問です。 ・細胞内液(5%ブドウ糖液)は、輸液するとどこに分布する でしょうか?
では、もう一つ質問です。 ・細胞内液(5%ブドウ糖液)は、輸液するとどこに分布する でしょうか? 細胞内液の補充に有用
では、応用編です。 3号液 1000mlを投与すると、 どこにどういう風に分布しますか?
3号液は、細胞外液:細胞内液=1:3の組成でしたね。 つまり、ラクテック 250mlとブドウ糖 750mlですね。
つまり、3号液を1000ml投与すると… 細胞内液 750ml(細胞内に500ml+細胞外に250ml) 細胞外液 250ml こういう風に 分布しますよ~
細胞外液/細胞内液って何で気にしなきゃ? 体液量を考慮した輸液を考えるときにとっても大事! メジャーなものとして、脱水を例に挙げると…
脱水とは? 細胞外脱水(Hypovolemia) 細胞内脱水(Dehydration)
細胞外脱水(Hypovolemia) ・みなさんが『脱水』という言葉でよく表現するもの。 身体の中から塩水が喪失されている状態。 例) 熱中症、出血性ショック
細胞外脱水(Hypovolemia) ・みなさんが『脱水』という言葉でよく表現するもの。 身体の中から塩水が喪失されている状態。 例) 熱中症、出血性ショック
細胞外脱水(Hypovolemia) より理解を深める体液電解質異常と輸液 改訂3版 p35
細胞内脱水(Dehydration) ・塩分は減っていないが自由水だけが喪失されている状態 例) 飲水行動ができない高齢者 ※大抵の場合はdehydrationの人はhypovolemiaを伴っている。
細胞内脱水(Dehydration) ・塩分は減っていないが自由水だけが喪失されている状態 例) 飲水行動ができない高齢者 ※大抵の場合はdehydrationの人はhypovolemiaを伴っている。
脱水を示唆する所見 JAMA. 1999 ; 281 : 1022. 細胞外脱水
脱水を示唆する所見 JAMA. 1999 ; 281 : 1022. 細胞内脱水
脱水を示唆する所見 JAMA. 1999 ; 281 : 1022. 両方
脱水を示唆する所見 JAMA. 1999 ; 281 : 1022. 脱水の身体所見に特異的なものはない! Hypovolemiaとdehydrationを見分けるのはなかなか難しい!
じゃあ実際どうやって決めればいいの?
救急外来でよくある場面… Lac上昇してる! 吐血/下血してる! やばい! 血圧やばい! 急性腎障害ある!(腎前性っぽい)
この人達は体液のどこが足りてませんか?
この人達は体液のどこが足りてませんか?
救急外来でよくある場面… Lac上昇してる! 吐血/下血してる! やばい! 血圧やばい! 急性腎障害ある!(腎前性っぽい) 血管内が足りてない!!!!
つまり! 救急外来セッティングではほとんどの場合、 細胞外液を使う! ※アルブミンとHESが1stになることはほぼない
ただし、 浮腫性疾患(心不全、ネフローゼ、肝硬変、腎不全)が 明らかにある場合には、 細胞外液の低下があっても輸液は少なめに! 早めに昇圧薬の使用の検討を!
輸液の速度 救急外来では、細胞外液を 使えばいいってのは分かったけど、 じゃあ、実際どのくらいの 速度で点滴つなげばいいの?
細胞外脱水(Hypovolemia)
輸液の速度 バイタルが安定する まで1-2Lは全開で! 不足分を50~100ml/hrで Treatment of severe hypovolemia or hypovolemic shock in adults, up to date
0.9%生理食塩水? or 乳酸リンゲル液? ・重症細胞外脱水の患者において、 0.9%生理食塩水 or 乳酸リンゲル液の大量輸液をしたときに 死亡率や急性腎障害が起こる確率は0.9%生理食塩水の方が わずかに高いと報告している文献もある。 ・しかし! メタ解析では明らかな有意差はなかった。 Treatment of severe hypovolemia or hypovolemic shock in adults, up to date
0.9%生理食塩水? or 乳酸リンゲル液? ・つまり、 基本的にはどっちでも良いが、リンゲル液が好まれる傾向あり ・ただ、生理食塩水を大量投与すると 高Cl性代謝性アシドーシスを起こす可能性があることに注意。 Treatment of severe hypovolemia or hypovolemic shock in adults, up to date
メニュー ①輸液の基本 ~細胞外液/細胞内液について~ ②病棟での輸液の考え方 ③浸透圧比について
病棟での輸液を考えるときの3step Step1:1日に必要な維持液を考える Step2:過去の不足分を考える Step3:今後の喪失分を考える
病棟での輸液を考えるときの3step Step1:1日に必要な維持液を考える Step2:過去の不足分を考える Step3:今後の喪失分を考える
Step1:1日に必要な維持液を考える ①1日に必要な水分量を考える。 ②1日に必要な電解質量(Na、K)を考える。 今回は基本だけなので これ以外の電解質/栄養は 基本的に考えないです
Step1:1日に必要な維持液を考える① 1日の水分のOUTの量は、 不感蒸泄:10mL/kg/日 (不感蒸泄 15mL/kg/日-代謝水 5mL/kg/日) 尿量維持:20mL/kg/日 (最低でも10mL/kg/日は必要) より理解を深める体液電解質異常と輸液 改訂3版
Step1:1日に必要な維持液を考える① 1日の水分のOUTの量は、 不感蒸泄:10mL/kg/日 (不感蒸泄15mL/kg/日-代謝水5mL/kg/日) 尿量維持:20mL/kg/日 (最低でも10mL/kg/日は必要) つまり、 体重×20~30mL/日 の水分量が必要!
Step1:1日に必要な維持液を考える② 目安として、 Na:食塩 6g(60-100mEq/日) K :KCl 3g(40-60mEq/日)
病棟での輸液を考えるときの3step Step1:1日に必要な維持液を考える Step2:過去の不足分を考える Step3:今後の喪失分を考える
Step2:過去の不足分を考える ①輸液を組む時点までで、すでに不足している 細胞外液量/細胞内液量を考える。 ex.嘔吐や下痢、食事摂取不良など ②不足している電解質量(Kなど)を考える。
細胞外脱水の補正は? ・細胞外液で補正を行う。 ・細胞外脱水を疑う所見: 血圧低下、頻脈、腎前性腎不全、尿量低下など ・不足している外液量を測定する目安はなく、 バイタルや尿量、腎機能をみながら外液の補正を行う。
細胞内脱水の補正は? ・5%ブドウ糖液で補正を行う。 ・細胞内脱水を疑う所見: 口喝、腋窩乾燥、皮膚ツルゴール低下、高Na血症、体重減少 ・不足している細胞内液の量の目安 細胞内液欠乏量(L)=(血清Na濃度-140)÷140×体重×0.6 ・上記を3~5日間で補正する。 より理解を深める体液電解質異常と輸液 改訂3版
Step2:過去の不足分を考える② ・低K血症など電解質不足を合併している場合には補正を行う。
ここで、Kの投与の仕方について少し。 ・末梢から使用できるK製剤には色んな制限がある。 ・必ず覚えておきましょう! ・ちなみに、K 1mEq上げるためには100~200mEq必要。
具体的には… 低K血症があるから、 できるだけたくさんKを 補充したいな~。 何をどれだけ入れれば いいんだっけ…。
ラクテックにKを混ぜるとしたら… KCL 20mEqを 1キット これを30分以上かけて投与。 1日に×6セットまで投与可。
ラクテックにKを混ぜるとしたら… アスパラギン酸カリウム 10mEqを2A これを30分以上かけて投与。 1日に×6セットまで投与可。
3号液にKを混ぜるとしたら…
3号液にKを混ぜるとしたら… 元々 K 10mEq/500ml 入ってるよ~
3号液にKを混ぜるとしたら… KCL 20mEqを 0.5キット これを30分以上かけて投与。 1日に×6セットまで投与可。
3号液にKを混ぜるとしたら… アスパラギン酸カリウム 10mEqを1A これを30分以上かけて投与。 1日に×6セットまで投与可。
意外と末梢点滴からKの補充できない… ・本気でKの補充をしたい場合は、 中心静脈ルートを取ったり、内服で追加補充したり、 Mgの補充を検討したりしましょう! 1包 4mEq 1錠 8mEq
病棟での輸液を考えるときの3step Step1:1日に必要な維持液を考える Step2:過去の不足分を考える Step3:今後の喪失分を考える
Step3:今後の喪失分を考える ・今後も発熱、嘔吐や下痢、多尿、ドレーンからの排液が続くか を検討し、続く可能性がある場合には、 予測して補うか、追っかけで補うかを検討する。 ・基本的には、喪失する体液と同等の成分の輸液(水分量、電解質量) で補いたい。 ・ただし、補正量が適切かは分からないため、 バイタルや、尿量、血液検査でフォローしながら 適切かを日々判断する必要がある。
Step3:今後の喪失分を考える ①今後喪失し得る細胞外液量/細胞内液量を考える。 ②今後喪失し得る電解質量(Kなど)を考える。 喪失する体液の 水の量 Na/Kなどの組成が大事
Step3:今後の喪失分を考える① ・発熱: 体温1℃上昇で不感蒸散量(12~15mL/kg)が15%上昇 ・下痢や多尿の病態、ドレーンからの排液が続く場合: 喪失量を予測してあらかじめ輸液負荷 or 喪失量を次の日に追っかけて補正する
Step3:今後の喪失分を考える② ・嘔吐や下痢、ドレーンからの排液の場合、 電解質も一緒に喪失するため、 あらかじめ喪失分を予測して補正する必要がある。 NGチューブやイレウス管も
体液の電解質組成 単位はmEq/L より理解を深める体液電解質異常と輸液 改訂3版
病棟での輸液を考えるときの3step Step1:1日に必要な維持液を考える Step2:過去の不足分を考える Step3:今後の喪失分を考える
病棟での輸液を考えるときの3step Step1:1日に必要な維持液を考える Step2:過去の不足分を考える Step3:今後の喪失分を考える ただし!
病棟での輸液を考えるときの3step Step1:1日に必要な維持液を考える Step2:過去の不足分を考える Step3:今後の喪失分を考える この考え方だと輸液が多めに… 実際は×0.8~1.0くらいの量を 投与することが多い。
病棟での輸液の組み方 3stepのまとめ Step1:1日に必要な維持液を考える 水分量→体重×20~30mL/日 Na→60~100 mEq/日 K →40~60 mEq/日 Step2:過去の不足分を考える 細胞外脱水:外液で補正 細胞内脱水:5%Gluで補正 電解質 :Na、Kなど Step3:今後の喪失分を考える 発熱、下痢、嘔吐、ドレナージなどがあれば補正 やや多めになるので ×0.8~1.0くらいを 目安に調節!
メニュー ①輸液の基本 ~細胞外液/細胞内液について~ ②病棟での輸液の考え方 ③浸透圧比について
浸透圧比とは ・定義: 0.9%生理食塩水の浸透圧 285mOsmを『浸透圧比1』とする。 ※血液の浸透圧≒0.9%生理食塩水の浸透圧 ・末梢から投与できる輸液は浸透圧比3(約900mOsm)まで。 浸透圧比3以上だと、静脈炎のリスクが! 自分で輸液を作るときには浸透圧比も計算してみよう!
例えば、 ・3%生理食塩水の浸透圧比は? 0.9%食塩水(1) 400ml + 10%塩化ナトリウム(10) 120ml =(400ml×1+120ml×10) / (400+120) =3.07 →ぎりぎり末梢からの投与OK!
輸液、組めそうですか?
練習問題①
症例:80歳女性 【主訴】 発熱 【現病歴】 認知症がある施設入所中、ADLほぼ全介助の高齢女性。 来院2日前に38℃の発熱を認めた。 来院当日に発熱継続していたため前医を受診した。 尿検査で膿尿、細菌尿を認めたため尿路感染症と診断され、 入院加療目的に当院へ搬送された。
入院後経過 尿路感染症の診断でCTRX 2g+生食 100ml q24hrで加療を 開始した。 発熱によって意識レベルがあまり良くなかったため、 絶食輸液管理として入院とした。 入院後から翌日の朝までラクテック 80ml/hrを投与した。
入院翌日のデータ 【現症】 身長:150cm、体重:40kg 意識:E3V3M5(普段通り) 体温:38.0℃、血圧:121/76mmHg、脈拍数:120回/分、 SpO2:99%(RA) 尿量:15ml/hr(直近) 口腔内軽度乾燥、CRT>2sec 下痢や嘔吐はなし
血液検査
今後の予定 ・これまでむせがあったようで、明日嚥下機能評価を行う予定。 それまでは絶食輸液管理で。 ・抗菌薬は継続。 ・ちなみに既往は何もないこととします。
さあ!今日の輸液はどうしましょう? Let’s Discuss!
病棟での輸液を考えるときの3step Step1:1日に必要な維持液を考える Step2:過去の不足分を考える Step3:今後の喪失分を考える
病棟での輸液を考えるときの3step Step1:1日に必要な維持液を考える Step2:過去の不足分を考える Step3:今後の喪失分を考える
Step1:1日に必要な維持液を考える ①水分量 体重×20~30mL/日→800~1200mL/日 ②電解質 Na→60~100mEq/日 K →40~60mEq/日
病棟での輸液を考えるときの3step Step1:1日に必要な維持液を考える Step2:過去の不足分を考える Step3:今後の喪失分を考える
Step2:過去の不足分を考える ①水分量 頻脈傾向、CRT延長、腎前性腎不全、Lac上昇 →細胞外脱水がありそう ②電解質 低Kはない
病棟での輸液を考えるときの3step Step1:1日に必要な維持液を考える Step2:過去の不足分を考える Step3:今後の喪失分を考える
Step3:今後の喪失分を考える ①水分量 発熱が持続しているので不感蒸泄が増えているはず。 治療開始24時間くらいなので、解熱までもう少し時間が かかりそう。 体温1℃上昇で不感蒸散量(12~15mL/kg)が15%上昇するので、 150~180mlが今後喪失され得ると予想される。 ②電解質 不感蒸泄が亢進しているのみなので、電解質の喪失は考えない。
今回の症例をまとめると… Step1:1日に必要な維持液を考える ①800~1200ml/日 ②Na→60~100mEq/日、K→40~60mEq/日 Step2:過去の不足分を考える ①細胞外脱水がありそう、②なし Step3:今後の喪失分を考える ①150~180ml/日の喪失、②なし ①水分量の計算 ②電解質の計算
主な輸液
主な輸液 維持液として3号液を使ってみよう。
維持液+喪失分 不足分 ×2日分くらいかなぁ
維持液+喪失分 不足分 水分量:1100ml Na:50.4mEq K:20mEq ×2日分くらいかなぁ
維持液+喪失分 不足分 水分量:1100ml Na:50.4mEq K:20mEq ×2日分くらいかなぁ
維持液+喪失分 不足分 ×2日分くらいかなぁ
維持液+喪失分 不足分 水分量:1100ml Na:85.9mEq K:40mEq ×2日分くらいかなぁ
維持液+喪失分 不足分 水分量:1100ml Na:85.9mEq K:40mEq ×2日分くらいかなぁ
最後に必ずKの投与の仕方をチェック!
ちなみに浸透圧比は、 ソルデム3A(1) 500ml+10%NaCl(10) 20ml+アスパラK(6) 10ml =(500×1+20×10+10×6)/(500+20+10) =1.433 <3なのでOK!
めっちゃ頑張って輸液考えた…。
あれ???っていうか… 水分量も電解質量も 結構幅あったよね? 50mlとか 10mEqまで 細かく輸液の調整 しなきゃなの?
すごい細かい調整は不要です! ただし、 高度腎不全、重症心不全、肝硬変、 重症病態などでで代償機構が働きにくい人は、 厳密に管理をするかを検討しましょう。
しかし!!! 残念ながらこれで終わりでは ありません。
明日確認したい所見は?(現症、血液検査など) ちょっとだけ考えてみてください。
確認する所見 ・バイタル 頻脈、血圧、尿量、体重 ・身体所見 口腔内乾燥、浮腫 ・血液検査(必要に応じて採血をしよう) 腎機能、電解質
輸液を考えるときに大切なのは! ・日々、所見をフォローすること。 ・カルテの前で計算だけしていても患者さんは 助けられません。
練習問題②
症例:40歳男性 【主訴】 嘔吐 【現病歴】 腹部手術歴があるが、それ以外の既往がないADL自立した男性。 来院前日から嘔吐を繰り返し、飲食ができない状態が持続した。 そのため、来院当日に救急外来を受診した。
来院時のデータ 【現症】 身長:170cm、体重:60kg 意識:E4V5M6 体温:36.0℃、血圧:121/76mmHg、脈拍数:120回/分、 SpO2:100%(RA) 口腔内軽度乾燥あり、CRT>2sec
血液検査
経過 ・癒着性腸閉塞の診断で胃管挿入を行った。 ・保存的加療として絶飲食、輸液管理を行う方針となった。 ・胃管からは勢いよく排液が出ている。
さあ!今日の輸液はどうしましょう? 少し考えてみましょう。
病棟での輸液を考えるときの3step Step1:1日に必要な維持液を考える Step2:過去の不足分を考える Step3:今後の喪失分を考える
病棟での輸液を考えるときの3step Step1:1日に必要な維持液を考える Step2:過去の不足分を考える Step3:今後の喪失分を考える
Step1:1日に必要な維持液を考える ①水分量 体重×20~30mL/日→1200~1800mL/日 ②電解質 Na→60~100mEq/日 K →40~60mEq/日
Step1:1日に必要な維持液を考える ①水分量(必要量) 体重×20~30mL/日→1500mL/日 ②電解質(必要量) Na→60~100mEq/日 K →40~60mEq/日 ×1 混注 3A 1500mLだと水分量1500mLだが Na 52.5mEq, K 30mEqとちょっと足りない 10%NaCl 20mLとアスパラK 1A追加すると 合計Na 86mEq, K 40mEqとなりいい感じ
病棟での輸液を考えるときの3step Step1:1日に必要な維持液を考える Step2:過去の不足分を考える Step3:今後の喪失分を考える
Step2:過去の不足分を考える ①水分量 頻脈傾向、CRT延長、腎前性腎不全 →嘔吐による細胞外脱水がありそう ②電解質 K 3.3とやや低め
Step2:過去の不足分を考える ①水分量 頻脈傾向、CRT延長、腎前性腎不全 →嘔吐による細胞外脱水がありそう ②電解質 K 3.3とやや低め 細胞外液+K 20mEq ×2日分くらいかなぁ
病棟での輸液を考えるときの3step Step1:1日に必要な維持液を考える Step2:過去の不足分を考える Step3:今後の喪失分を考える
Step3:今後の喪失分を考える ①水分量 入院後すぐなので、胃管排液が持続しそう。 ②電解質 胃液の中にはNa、Kも含まれているため、電解質が喪失される。
体液の電解質組成 単位はmEq/L より理解を深める体液電解質異常と輸液 改訂3版
体液の電解質組成 単位はmEq/L より理解を深める体液電解質異常と輸液 改訂3版
体液の電解質組成 単位はmEq/L より理解を深める体液電解質異常と輸液 改訂3版 1号液 とか 3号液に 近い
Step3今後の喪失 追っかけ(例) 尿量や排液を8時間毎にカウントし、前の8時間に出た排液量を 次の8時間で追っかける。 指示の例:排液量が 0-500ml/8hrのとき→負荷なし 501ml-1000ml/8hrのとき →ソルデム3A 500mlを次の8時間かけて側管から負荷 1001-1500ml/8hrのとき →ソルデム3A 1000mlを次の8時間かけて側管から負荷 4時間毎でやる時もあり ちょっとoutbalance管理の例
輸液を3stepで組んだら、 必ず最後に Kと浸透圧比をチェック!
今回の症例では 維持液 不足分 喪失分 8時間毎におっかけ ×2日分くらいかなぁ ×1 混注 ×1 混注
Take home message ・これからは考えながら輸液をオーダーしてみよう! ・経過をフォローすることを忘れずに。 症例問題はあくまで1例です 提示したものが絶対正解とかではないですからねー よく考えて日々輸液を組んでみてください
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