テキスト全文
#2.
Clinical question ①高Kの薬物治療
②高Kによる徐脈の対応
#3.
① 高Kの薬物治療 緊急にKを下げる適応: 有症候性
- 筋力低下・麻痺
- 心筋伝導異常(脚/房室ブロック)
- 不整脈(SSS(洞性徐脈、洞停止など)、VT、VF、心停止)
K ≧ 6.5mEq/L
K ≧ 5.5mEq/L + 腎機能障害 or 進行性の組織障害 / カリウム吸収 UpToDate:Treatment and prevention of hyperkalemia in adults #4.
PMID: 2266671. 1990
PMID: 2498781. 1980 PMID: 2266671. 1990
PMID: 2498781. 1980 PMID: 1552710. 1992 #5.
① 高Kの薬物治療 SABA+GIで相加効果あり、血清K濃度を約1.2~1.5mEq/L減少させる Kidney Int. 1990;38(5):869.
対象:維持透析患者 GI vs SABA vs GI+SABA 結果:GI=SABA・GI+SABAは相加的
Nephrol Dial Transplant. 1989;4(3):228.
対象:腎不全+K>6mEq/L GI vs SABA vs GI+SABA 結果:GI<SABA=GI+SABAJ Accid Emerg Med. 2000;17(3):188.
文献レビュー メイロンはK低下に関してはあまり意味がない Kidney Int. 1992 Feb;41(2):369-74.
対象:末期腎不全患者 重炭酸ナトリウム8.4%1hr or 1.4%5hr
結果:1時間後は優位な変化なし、4時間と6時間後に6程度から5.4程度までの低下あり #6.
① 高Kの薬物治療 確実に行うのは、
「グルコン酸カルシウム」+「GI」±「血液透析」 #7.
② 高Kによる徐脈の対応 徐脈のアルゴリズム
ACLSプロバイダーマニュアル2020
AHA
不安定なら、まずアトロピン
薬剤対応しつつ、PM準備 #8. ② 高Kによる徐脈の対応 アトロピン(Atropine, ATRO)
方 法:徐脈アルゴリズムが2020で変更 1回あたり0.5mg→1mg
※少ないと末梢の弱いムスカリン作用でHR↑が一過性減少
※最大容量3mgは変わらず、3回投与までとなる
「抗コリン(ムスカリン)作用による副交感神経遮断剤」
選択性:心筋・ 平滑筋・外分泌腺に選択性が高い
薬 効:洞結節・房室結節での迷走神経抑制→房室伝導の加速→HR↑
※CAVB等、ヒス束以下での伝導障害では無効
「とりあえず試す薬剤」 麻酔薬および麻酔関連薬使用ガイドライン 第3版: http://www.anesth.or.jp/guide/pdf/publication4-8_20181004s.pdf #9. ② 高Kによる徐脈の対応 ドパミン(Dopamine, DOA)
方法:150mg/50ml(0.3%)製剤を薬効を意識して用量調整、個人差も大きい
「用量依存性に陽性変力・変時作用が出現」
薬効:0.5〜3μg/kg/min → 組織血管拡張 DA1
3~10μg/kg/min → 心収縮力増強、SVR軽度上昇 β1+β2+DA1
10~20μg/kg/min → SVRが著名に上昇 α(+β+DA1)
「「ショック」に有用」「徐脈では第二選択薬に位置づけ」
※添付文書に記載がない 麻酔薬および麻酔関連薬使用ガイドライン 第3版: http://www.anesth.or.jp/guide/pdf/publication4-8_20181004s.pdf
Circulation. 2008;118:1047-1056 #10. ② 高Kによる徐脈の対応 アドレナリン(Adrenaline, AD or Epinephrine, EN)
方 法:5A+NS45ml 持続を用いて反応をみつつ増量
「強い陽性変時・変力作用」
薬 効:β1受容体を介した陽性変時作用・陽性変力作用
注 意:Lac産生増加が生じる、心原性ショックでは難治性になりうる
「血圧低下がある場合に特に役立つ」「徐脈では第二選択薬的な存在」
※添付文書では症候性徐脈が適応に入っている 麻酔薬および麻酔関連薬使用ガイドライン 第3版: http://www.anesth.or.jp/guide/pdf/publication4-8_20181004s.pdf
J Am Coll Cardiol. 2018 Jul 10;72(2):173-182. #11. ② 高Kによる徐脈の対応 イソプロテレノール(Isoproterenol, ISO or Isoprenaline, ISNA)
方 法:0.2mg/1A+NS100mlで反応をみながら滴下、1秒1滴から
「非選択的β受容体アゴニスト」
選択性:β1で陽性変力・変時作用(上位中枢へ作用)、β2でSVR低下
薬 効:HRは上げる、血圧はβ1であげるがβ2で下げる→COは横ばい
注 意:循環血液量低下の場合はより血圧が下がりやすい
「AVブロックでペーシングまでのつなぎに使える」 麻酔薬および麻酔関連薬使用ガイドライン 第3版: http://www.anesth.or.jp/guide/pdf/publication4-8_20181004s.pdf
J Am Coll Cardiol. 2018 Jul 10;72(2):173-182. プロタノール #12.
② 高Kによる徐脈の対応 Temporary Pacemakerの適応
2020年改訂版 不整脈薬物治療ガイドライン
「薬剤や高 K 血症など可逆性の原因があれば,
原因その ものへの対処と,適宜一時的ペーシングを行う」と記載
UpToDate:Temporary cardiac pacing
「高カリウム血症」の記載 #13.
② 高Kによる徐脈の対応 高Kで生じる不整脈: SSS(洞性徐脈、洞停止など)、VT、VF、心停止 Am J Emerg Med. 2022 May;55:117-125.
【高K+徐脈で循環補助要する要因を調べる観察研究】
対象:319件の記録⇨87名が対象、後方視的、単施設研究
[平均年齢72.5(95%CI 53-92)、女性55%、HR中央値43(38-47)/分、K平均7.1(95%CI 5.6-8.7)mEQ/L]
[平均カリウム7.1(95%CI 5.6-8.7)mEQ/L]
[カリウム7.1(95%CI 5.6)mEQ/L]
併存疾患:心血管(高血圧82%,うっ血性心不全28%)、腎臓(透析依存30%)
血液透析未実施,孤立性急性腎不全,重篤疾患を合併した急性腎不全が主
心電図変化:接合部リズム(39%)、ピークT波(27%)、QRS延長(30%)
処置:循環補助33人(38%)(うちtPM12人(14%))、RRT42人(48%)
ICU入室:57人(66%)
院内死亡率:10%
循環補助の要因:非透析、接合リズム、低体温、アシデミア、敗血症