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凍傷へのアプローチと基本知識
#1. 凍傷へのアプローチ -重症度、応急処置、治療を中心に- Dr.さいころのメモ帳 Noteやってます @saikoro_memo dr.saikoro.memo
#2. こんな人に知っておいてほしい 救急外来に従事する 寒冷地域に住んでいる 特にスキーや雪山関係
#3. ハイライト:ここを押さえておく 重症度分類は復温してから 病院前では、脱衣と待避優先 マッサージは禁忌 重症例はアルゴリズムに従ってtPAを検討
凍傷の重症度分類と特徴
#5. 凍傷とは? A:低温に曝露し生じる組織障害 微小血管閉塞 末梢循環不全
#6. 凍傷の重症度分類 深度 1度 表層 2度 真皮 3度 皮下組織 4度 筋・骨 特徴 紅斑や浮腫を伴う 透明な水泡形成 復温後に疼痛を伴う 血液を伴う水泡 黒色化 切断のリスク ほぼなし 中等度 高度 100% まず浅在性(1-2度)と深在性(3-4度)を見分ける
凍傷のリスク因子と注意点
#7. ここが分類のポイント 深度 症状 皮膚所見 浅在性 表層-真皮 感覚鈍麻や 疼痛を伴う 透明な水泡 深在性 皮下組織より深い 復温後も疼痛がない 赤黒い水泡(血液) 真の重症度や切断の判定に数週間かかることも 熱傷に似て、時間経過で深度が悪化する
#8. このような人では要注意! リスク因子 高齢者 ホームレス 嗜好品:アルコール常飲、喫煙者 既往歴:末梢血管疾患、糖尿病、精神疾患 ※ 末梢血管疾患:閉塞性動脈硬化症、バージャー病など
凍傷のファーストエイドと初期治療
#9. 凍傷のファーストエイド International Commission for Alpine Rescue(ICAR), Alpine Emergency Medicine Commission: On Site Treatment of Frostbite for Mountaineers,2000.より
#10. ファーストエイド:もう少し要点を押さえると 風を避け撤退しよう 靴や手袋は脱ごう マッサージはやめよう 「直で加熱」はやめよう International Commission for Alpine Rescue(ICAR), Alpine Emergency Medicine Commission: On Site Treatment of Frostbite for Mountaineers,2000.より
#11. 凍傷の恐れがない場所についたら アスピリンや イブプロフェンを服用 足を解凍したら 歩かせない 37℃のお湯で復温 水泡は破らないように International Commission for Alpine Rescue(ICAR), Alpine Emergency Medicine Commission: On Site Treatment of Frostbite for Mountaineers,2000.より
復温方法と血管損傷の評価
#12. 初期治療:病院についたら 中等度以上の低体温(32℃未満)ではその治療を優先 患部の復温を行う 破傷風予防を忘れずに ルーチンでの抗菌薬は不要
#13. このように復温しよう ・患部を37度前後の微温湯に浸漬(ヨウ素などを混ぜたお湯) ・四肢を軽く動かすように促す ・15-30分ほど 組織が赤くなる・柔らかくなるまで継続 復温で疼痛が出るため鎮痛を忘れない! 禁忌がなければイブプロフェンを投与
#14. 血管損傷が疑われたら 末梢の脈が弱い 触られた感覚がない 青白い、色がおかしい こういった所見があれば血管造影検査を考慮する
tPA療法の適応とアルゴリズム
#15. アルゴリズム:tPA療法の適応はこう考えよう① Burns. 2017 Aug;43(5):1088-1096. PMID:28159151
#16. アルゴリズム:tPA療法の適応はこう考えよう② Burns. 2017 Aug;43(5):1088-1096. PMID:28159151
#17. ほかにもこのような場合にはtPAを考慮しよう tPAを考慮する 多数の指、足趾が凍傷 複数の四肢におよぶ凍傷 切断リスクが高い症例 American Burn Associationガイドライン 末節骨より近位にチアノーゼがあり 復温後も中節骨より近位に灌流がない場合
凍傷の再確認と宣伝
#18. 再度ハイライトを 重症度分類は復温してから 病院前では、脱衣と待避優先 マッサージは禁忌 重症例はアルゴリズムに従ってtPAを検討