テキスト全文
意識障害の鑑別とAIUEOTIPSの概要
#1. 意識障害の鑑別〜AIUEOTIPSを深掘りする〜 ドクターくりつべ@Youtube
#2. 意識障害の語呂といえば 『AIUEOTIPS』 極めて有能だが語呂が言えるだけで
その中身を詳しく理解していない人が多い!
#3. AIUEOTIPS Alcohol アルコール
Insulin 血糖
Uremia 尿毒症
Encephalopathy 脳症
Endocrinopathy 内分泌疾患
Electrolytes 電解質異常
Overdose 薬物中毒
O2 低酸素 Temperature 体温
Trauma 外傷
Infection 感染症
Psychogenic 精神疾患
Seizure てんかん
Stroke, SAH 脳卒中
Shock ショック A I U E O T I P S
アルコール関連の意識障害と治療
#4. Alcohol アルコール A アル中だけでなく
アルコール離脱症候群も考えよう!
多飲の患者の意識障害では
離脱症候群、ウェルニッケ脳症も考える
VitB1投与、予防的にセルシン内服
#5. 意識障害で搬送 アルコール飲酒あり
➡︎アル中だ!!!
とりあえず点滴しとけ!!!
血糖異常による意識障害の鑑別
#7. アルコール濃度は推定できる! 浸透圧ギャップ
=血漿浸透圧測定値 - 血漿浸透圧予測値
=血漿浸透圧測定値 – [2Na + BUN/2.8 + 血糖/18]
推定エタノール濃度(mg/dl)
=浸透圧ギャップ×4.6
#8. Insulin 血糖 I 低血糖:
→50%ブドウ糖2A静注
糖尿病歴やない方や繰り返す低血糖は専門に相談を!
高血糖:糖尿病性ケトアシドーシス(DKA), 高浸透圧性高血糖(HHS)
→まず生食補液 (※高度脱水のため)
インスリン投与などは専門に相談を!(決して補液前に投与しない)
#9. 補足:正常血糖ケトアシドーシス SGLT2 阻害薬の内服
糖尿病薬だが心保護作用、腎保護作用
近年では心不全や慢性腎臓病にも使用される
薬剤による尿糖排泄作用により高血糖をきたさないDKAになる
アシドーシスでSGLT2阻害薬内服している方には疑うことがとても重要! 最近内服している方
増えてきている
尿毒症と脳症の鑑別ポイント
#10. Uremia 尿毒症 U 血ガスで代謝性アシドーシスチェック
BE、 Anion gap開大チェックを!
腎不全の鑑別 (腎前性か腎性か腎後性)
(主なもの:ショック、DKA、尿毒症) ※概要欄からチェック
#11. 脳症 肝性、高血圧性、ウェルニッケ
→肝不全、血圧、栄養状態・多飲歴チェック
電解質 低Na血症(最も多いのはSIADH)
高Ca血症(副甲状腺↑、悪性腫瘍転移、Vit D中毒)
→副甲状腺機能、病歴、内服薬チェック
リン:P高値→Vit D中毒
内分泌 粘液水腫性(TSH↑)、甲状腺クリーゼ
Encephalopathy 脳症 Endocrinopathy 内分泌疾患Electrolytes 電解質異常 E
#12. Overdose 薬物中毒O2 低酸素 O
問診・病歴がとても重要
トライエージも場合によっては検討
尿検査、10分程度 フェンシクリジン類
ベンゾジアゼピン類
コカイン系麻薬
覚醒剤
大麻
モルヒネ系麻薬
バルビツール酸類
三環系抗うつ剤 @TriageDOA®︎
外傷、体温異常、感染症の鑑別
#13. Temperature 体温Trauma 外傷 T 低体温:病歴で判断
高体温:熱中症、悪性症候群、悪性高熱症、甲状腺↑
※直腸温で測る
外傷→外傷のアルゴリズムで診察
※概要欄からチェック
#14. 覚えておくとお得! 悪性症候群、悪性高熱症、交感神経賦活薬中毒、セロトニン症候群
筋肉の収縮の活発化が原因
(筋肉が過剰に収縮して熱生産が起こっている)
深い鎮静(ベンゾジアゼピン系が良い)
筋弛緩薬
#15. Infection 感染症 I 髄膜炎:発熱、頭痛、項部硬直
→jolt accenturation、ケルニッヒ徴候
→原因の分からない意識障害や感染では髄液まで検査を
ケルニッヒ徴候 jolt accenturation 膝を伸ばそうとするも伸びない
腰を痛がることもあり 1秒間に2~3回の早さで
水平に振ると頭痛が悪化
精神疾患とてんかんの鑑別方法
#16. Psychogenic 精神疾患 P 転換性ヒステリー → 偽物を見抜く診察
ストレス強いときに起こるのを伝え、寄り添うことが大切
Arm drop test(上肢), Hoover test(下肢)
上肢を顔の上に挙げて突然離す
手が顔にそのまま勢い良くぶつかる➡︎本物の意識障害
手をそらして顔にぶつけるのを回避➡︎偽物の意識障害
#17. Seizure てんかんStroke, SAH 脳卒中Shock ショック S 痙攣 → 偽物を見抜く診察
本物なら気道確保、鎮痙剤:セルシン︎®️投与
Stroke, SAH:頭蓋内病変は意識障害ではみんな考えられている
ショック4つの分類を念頭に鑑別をしていく
#18. けいれんが本物か偽物か 偽物っぽい要素
ストレスが引き金
誰かがいると悪化
自然寛解、自然増悪あり
精神科疾患の既往
転倒した割に大きな外傷なし
身体所見や画像所見に異常所見なし
ショックの分類と意識障害の関連
#20. 血圧と脳病変の関連 BMJ 2002; 325: 800–802. (収縮期血圧) (拡張期血圧) 脳病変あり 脳病変なし ERにきた意識障害(GCS<15)の方が対象 収縮期血圧>160mmHgでは
頭蓋内病変を考える! ※概要欄からチェック
#21. 閉塞性
(心タンポ、肺塞栓、緊張性気胸)
心原性
(ポンプ失調) ➡︎(心筋梗塞、心筋炎、心筋症)
(心破裂、中隔穿孔、乳頭筋断裂)
循環血漿量減少性
(出血、脱水、サードスペース)
(熱傷、膵炎、イレウス)
血液分布異常性
(敗血症性、神経原性、アナフィラキシー)
3つ 3つ 3つ 3つ 3つ 覚:3つずつ! 3つ ※概要欄からチェック
AIUEOTIPSのまとめと重要ポイント
#22. AIUEOTIPS まとめ Alcohol アルコール
Insulin 血糖
Uremia 尿毒症
Encephalopathy 脳症
Endocrinopathy 内分泌疾患
Electrolytes 電解質異常
Overdose 薬物中毒
O2 低酸素 A I U E O アル中だけでなく離脱症候群も
すぐに血糖測定、SGLT2阻害薬確認
ガスでAnion gap開大チェック
肝性、高血圧性、ウェルニッケ
甲状腺機能チェック
低Na、高Caが多い
場合によってはトライエージも使用
#23. AIUEOTIPS まとめ Temperature 体温
Trauma 外傷
Infection 感染症
Psychogenic 精神疾患
Seizure てんかん
Stroke, SAH 脳卒中
Shock ショック T I P S 低体温は病歴、高体温:特に熱中症
髄膜炎を除外するために診察
偽物意識障害を見抜く
偽物けいれんを見抜く
血圧高いときにはより念頭に置く
ショックの4分類からさらなる鑑別
#24. 最後までみていただきありがとうございました