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曳舟ER診断カンファレンス第4回〜Circling Back for the Diagnosis〜

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11,960

19

2021/11/9
2021/11/10 更新

本スライドの対象者

研修医/専攻医

内容

東京曳舟病院救急科では診断・身体診察に関する勉強会を行っています。

実際にERで出会った難診断症例や、New England Journal of MedicineのClinical Problem-Solvingなどの症例を元にカンファレンス形式で実施しています。

ERでの診断学に興味がある方はぜひご参照下さい。勉強会の参加もお待ちしております。

東京曳舟病院 救急科医長

藤原 翔

mail: fujiwarackn@gmail.com

藤原翔

東京曳舟病院


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曳舟ER診断カンファレンス第4回〜Circling Back for the Diagnosis〜

  1. 東京曳舟病院 救急科 藤原 翔 ER診断カンファレンス 〜Circling Back for the Diagnosis〜

  2. ※一部アレンジしています

  3. 主訴:腹痛, 嘔気, 嘔吐 現病歴:6週間前から右上下腹部に断続的な痛みが続いている.食事で増悪し, 母親からもらった制酸剤を服用すると1~2時間で消退していた. 受診日は腹痛が8時間続き, 食後に増悪し,嘔吐を繰り返したためERを受診した. 症例 28歳男性

  4. 既往歴:Gilbert症候群 (2年前に近医で指摘)     非アルコール性脂肪肝, BMI 33 嗜好歴:喫煙歴なし, 機会飲酒 追加問診

  5. ROS(-):吐血, 胆汁様嘔吐, 下痢, 発熱, 悪寒 ROS(+):右上下腹部痛, 嘔気, 嘔吐 Review of System

  6. Onset:6週間前, 特に契機なし Provocative/palliative factor:食事で増悪, 制酸剤で改善 Quality/quantity:断続的で波がある Region/radiation:右上下腹部, 放散痛なし Severity:痛みのため動けないほど Time course:1〜2時間で消退する 痛みに関する追加問診

  7. 来院時現症 BP 145/90mmHg, PR 84bpm, BT 37.1℃, RR 18/min SpO2 100%(room air) GCS E4V5M6, 腹痛により苦悶様 眼球結膜黄染あり 呼吸音清, cracklesなし, 心雑音なし, gallop rhythmなし 右上下腹部に軽度の圧痛あり, 上腹部に強い 反跳痛なし, 筋性防御なし, 肝臓は触知せず

  8. # 6週間前からの右上腹部痛 # Gilbert症候群 # 非アルコール性脂肪肝 # 肥満 (BMI 33) Problem List

  9. System1直感的思考 第一印象と鑑別の最上位について考えて下さい 疾患名でなく病態の解釈でも良いです 最優先で欲しい問診項目についても

  10.  Key Factは? ・6週間前からの右上下腹部痛 ・食事で増悪する腹痛 ・制酸剤で改善 ・Gilbert症候群 ・非アルコール性脂肪肝 System1直感的思考

  11. System1直感的思考 Impression 右上腹部痛がメインなら肝胆道系疾患 食後の増悪は, 胃潰瘍や胆石発作に典型的 1〜2時間で改善しており, 制酸剤による改善かは不明 Gilbert症候群は確定診断かは怪しい

  12. System1直感的思考 # 胆石疝痛発作  - 胆嚢炎, 胆管炎, 肝膿瘍 # 胃潰瘍 # 増悪寛解を繰り返している虫垂炎

  13. 血算 凝固 生化学

  14. ・肝腫大なし、脂肪肝 ・脾腫あり (矢状断で16cm) ・胆石なし, 胆管拡張なし ・胆嚢の壁肥厚なし, 周囲の脂肪織濃度上昇なし ・虫垂の腫大なし 腹部単純CT 画像ありません...

  15. 腹部超音波 ・胆泥あり ・胆嚢壁の肥厚 ・胆嚢周囲に少量の液貯留 ・門脈, 肝静脈の血流は正常

  16. 急性胆嚢炎疑いとして入院となり、メロペネムが開始された. 入院2日目, 腹痛は改善傾向となった. フォローの採血が行われ, ビリルビン, 肝酵素の上昇を認めた. 肝炎のスクリーニング採血では有意所見なし. 肝胆道系精査のためMRCPが撮影された. 経過

  17. 血算 生化学 その他

  18. MRCP ・肝内胆管・総胆管拡張なし ・胆管結石なし ・脂肪肝 ・胆泥あり, 胆嚢壁の肥厚 ・胆嚢周囲に少量の液貯留

  19. 入院3日目, 解熱し腹痛は消退した.T-Bil 5.7mg/dL, D-Bil 2.5mg/dLまで低下し, ALT 292U/L, AST 89U/L, APL 174U/Lまで改善. メロペネムは中止され、胆嚢摘出術目的に外科へ紹介され退院となった. 経過

  20. めでたしめでたし... ではない! 一連の経過で違和感はないか?

  21. # 無石性胆嚢炎# 一過性のD-bil上昇 (D-bil 11.2/ I-Bil 8.3) # 脾腫 # Gilbert症候群→間接ビリルビン上昇 # 肥満 (BMI 33) # 非アルコール性脂肪肝 Problem List

  22. # 無石性胆嚢炎  胆泥形成あり, 発症年齢としては非典型的   # 一過性のD-Bil上昇 (D-Bil 11.2/ I-Bil 8.3)  閉塞はないが高値→一過性の閉塞で説明可能   # 脾腫  脂肪肝のみでは門脈圧亢進で説明困難   # 間接ビリルビン上昇 Gilbert症候群は確定診断?溶血の可能性は?

  23. ・若年性の無石性胆嚢炎の原因 Semantic Qualifier

  24.  - 5F (Forty, Female, Fatty, Fair, Fecund・Fertile)  50-60歳代, 肥満傾向の女性, 中心性肥満の男性, 白人, 妊娠,  - 胆泥の構成物質の過剰  ビリルビン, コレステロール, カルシウムの過剰  - 薬剤性:フィブラート系, セフトリアキソン, ソマトスタチンアナログ製剤      ホルモン補充療法, 経口避妊薬  - その他:長期間の絶食, 脊髄損傷, 肝硬変, クローン病, 溶血性貧血(I-Bil上昇) 胆泥が溜まる病態 (≒胆石症のリスク) Nezam H Afdhal. Gallstones: Epidemiology, risk factors and prevention: UpToDate →若年性で関与する主な病態は, 溶血性貧血, 脂質異常症, 薬剤性.

  25. 無石性胆嚢炎の原因として, 溶血性貧血は鑑別上位. 脾腫の鑑別として, 溶血性貧血もoverlapする. Gilbert症候群の診断がついた, 2年前の診療情報を取り寄せた. 経過

  26. 正常範囲

  27. I-Bil上昇, LDH上昇, ハプトグロビンの低下あり.Hbは正常のため, 代償された溶血性貧血が疑われた. 精査のため, 網状赤血球数, 血液像の目視を提出した. 家族歴を聴取すると, 父親が27歳の頃に胆石症で胆嚢摘出術を受けていたことが判明した.

  28. Ret 3.2% (正常範囲 0.5~2.2) 網状赤血球絶対数 172,100個/mm3 (正常範囲31,500~108,800) 末梢血塗抹標本:パッペンハイマー小体あり        有棘細胞, 分裂細胞, 球状赤血球は認めず

  29. 網状赤血球数の上昇は, 代償された溶血性貧血を支持する所見. 一方で血液像の目視では, 有意な所見は得られなかった. 父親も若年発症の胆石症の既往があり, 遺伝性疾患が疑われる.

  30. ・遺伝性の溶血性貧血 Semantic Qualifier

  31. 赤血球膜異常 遺伝性球状赤血球症, 遺伝性楕円赤血球症症候群,遺伝性有口赤血球症, 遺伝性乾燥有口赤血球症 (xerocytosis) 赤血球酵素異常 グルコース-6 リン酸脱水素酵素 (G6PD)欠損症, ピルビン酸キナーゼ (PK)欠損症, グルコースリン酸イソメラーゼ欠損症, ピリミジン 5’ヌクレオチダーゼ欠損症 赤血球ヘモグロビン異常 鎌状赤血球症候群, サラセミア症候群, 不安定ヘモグロビン症 遺伝性溶血性貧血 Wintrobe’s clinical Hematology, 13th edition, Greer JP, et al, ed. Lippincott Williams & Wilkins, 2014, 606 先天性溶血性貧血の7割が遺伝性球状赤血球症

  32. 4週間後に腹腔鏡下胆嚢摘出術を行った. 複数の色素性胆石があり, 最大1.0cm×0.6cm×0.6cmであった. 周術期に行った末梢血塗抹標本で, 球状赤血球が散在していた. 経過

  33. 赤血球浸透圧抵抗試験:脆弱性が亢進 赤血球EMA(Eosin-5-maleimide)結合能試験:結合能低下 →遺伝性球状赤血球症と診断 直接クームス試験は行われなかった. 7ヶ月後の末梢血塗抹標本では, 多数の球状赤血球を認めた. 経過 東南アジア楕円赤血球症, 先天性赤血球異形成貧血(CDA)Ⅱ型でも低下

  34. 末梢血塗抹標本 7ヶ月後の検体 多数の球状赤血球を認める

  35. 遺伝性球状赤血球症による 胆泥形成を原因とした急性胆嚢炎 最終診断

  36. ・溶血性貧血は若年性の胆石症のリスク   ・貧血を伴わない溶血性貧血  代償された軽症の溶血性貧血では貧血を伴わない   ・球状赤血球を認めない球状赤血球症  初期の末梢血塗抹標本では, 球状赤血球は認めなかった  →軽症例の2〜3%では少数のため, 観察されないことがある   Turning Point

  37. ・先天性溶血性貧血の中で最も多く, 7割を占める ・本邦の有病率は人口100万人あたり5.7〜20.3人 ・北欧系の人種では2000人に1人 ・発症年齢は0~65歳, 20歳以上の発症が40%を占める ・遺伝形式は常染色体優性遺伝, 1/3は遺伝性が確認できず ・本疾患の小児, 若年成人における胆石症の発症率は40% 遺伝性球状赤血球症

  38. ・網状赤血球増加により相殺されてMCV正常が多い ・赤血球浸透圧抵抗試験は10〜20%で正常 ・赤血球EMA結合能試験が有用 ・重症貧血の場合は, 脾臓摘出術の適応 ・感染を契機に溶血発作や, ヒトパルボウイルスB19など による無形成発作を生じることがある 遺伝性球状赤血球症

  39. ・溶血性貧血は胆泥・胆石症のリスク・貧血の無い, 代償性の溶血性貧血という病態がある ・「前医の診断は疑え」 Take home message

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