#4.
HBV再活性化による肝炎は重症化しやすく死亡リスクが高い
肝炎の発症によって、原疾患の治療の中断・中止を余儀なくされる
不適切な対応は、医療側の責任が問われる(損害賠償・医療訴訟) HBV再活性化の問題点 日本経済新聞(2019.11.13). https://www.nikkei.com/article/DGXMZO52110250T11C19A1000000/
詳細は、医療機関から公表されている文書を参照
https://www.pref.aichi.jp/uploaded/attachment/312799.pdf 必須(あたりまえ)の医療と考えられている
①再活性化予防に関するガイドラインが存在する
②基本的な問診と検査で対応可能である
③再活性化は適切に対応すれば予防可能である
④肝炎を発症すると予後不良である
#5.
本邦におけるHBV感染率(キャリア)は約1%である
既往感染者はさらに多く、65歳以上の2~3割を占める
HBV再活性化のリスクのある患者は数多く存在する HBV再活性化に注意すべき患者は多い 日内会誌 2018;107:10-18. 日内会誌 2018;107:26-31. Intervirology. 2004;47(1):32-40.
#6.
医療安全情報:2017-2020 13例報告 「もれ」が起こりやすいポイント
・スクリーニング検査の実施・解釈ミス
・HBV DNA量のモニタリングの未実施(既往感染者で核酸アナログ予防投薬の適応がない場合)
・核酸アナログ製剤の不適切な投与中断 公益財団法人日本医療機能評価機構. 医療安全情報(No. 171, 2021年2月).
免疫抑制・化学療法によるB型肝炎ウイルスの再活性化. https://www.med-safe.jp/pdf/med-safe_171.pdf
#7.
再活性化のリスクは、HBVの感染状態と免疫抑制の程度に規定される
ウイルスの感染状態
- 慢性肝炎>非活動性キャリア>既往感染者
免疫抑制の程度
- 抗CD20モノクローナル抗体は、特に再活性化のリスクが高い
例:リツキシマブ、オビヌツズマブ
- フルダラビン、造血幹細胞移植も高リスク
- 通常の化学療法・分子標的薬・ステロイド・抗リウマチ薬も原因になりうる HBV再活性化のリスク 日本肝臓学会肝炎診療ガイドライン作成委員会. B型肝炎治療ガイドライン第4版(2022.6).
#8.
添付文書上でHBVの再活性化について注意喚起されている薬剤
- 免疫抑制薬:シクロスポリン、タクロリムス、ミコフェノール酸モフェチルなど
- 副腎皮質ステロイド
- 抗腫瘍薬:フルダラビン、リツキシマブ、ボルテゾミブ、ダサチニブなど
- 抗リウマチ薬:生物学的製剤、メトトレキサート、フィルゴチニブなど
- C型肝炎ウイルスに対する抗ウイルス薬:ソホスブビルなど
添付文書に記載のない薬剤もリスクがあるため、「免疫抑制療法または化学療法施行前のすべての患者を対象とする」ことが推奨されている どの薬剤を対象とするか? 日本肝臓学会肝炎診療ガイドライン作成委員会. B型肝炎治療ガイドライン第4版(2022.6).
#9.
●3つの重要ポイント●
原疾患の治療開始前のスクリーニング
適応のある患者への核酸アナログ製剤の投与
適切なフォローアップ
- 核酸アナログ製剤を開始するタイミングの判断
- 核酸アナログ製剤を終了するタイミングの判断
- 核酸アナログ製剤終了後のフォローアップ HBV再活性化の予防は非常に重要である
#10.
HBV再活性化対策に関する診療フロー 日本肝臓学会肝炎診療ガイドライン作成委員会. B型肝炎治療ガイドライン第4版(2022.6). 対象:免疫抑制・化学療法を予定している全患者 ※2020年の診療報酬改定で、免疫抑制剤や化学療法を行う患者に対して、HBs抗原・HBs抗体・HBc抗体の同時測定が保険適用となった
#11.
目的
- HBV感染の有無を確認する
- HBV感染者の場合、キャリアか既往感染者か区別する
検査項目
- HBs抗原、HBc抗体、HBs抗体 免疫抑制・化学療法開始前のスクリーニング検査 日本肝臓学会肝炎診療ガイドライン作成委員会. B型肝炎治療ガイドライン第4版(2022.6).
#12.
HBs抗原陽性の場合
- 慢性B型肝炎(ALT上昇、HBe抗原陽性 or 陰性、HBV DNA陽性)
- 非活動性キャリア(ALT正常、HBe抗原陰性、HBV DNA低値)
追加検査(目的:再活性化のリスク評価)
- HBe抗原、HBe抗体、HBV DNA定量、肝臓専門医コンサルト
対応(追加検査の結果は関係ない)
- 免疫抑制・化学療法を開始する前にできるだけ早く核酸アナログ開始 スクリーニング検査の解釈とその後の対応 日本肝臓学会肝炎診療ガイドライン作成委員会. B型肝炎治療ガイドライン第4版(2022.6).
#13.
HBs抗原陰性の場合
- 既往感染者(HBc抗体陽性、または、HBs抗体陽性)
- 非感染者(HBc抗体陰性、かつ、HBs抗体陰性)
- HBVワクチン接種者(接種歴あり、HBc抗体陰性、かつ、HBs抗体陽性)
追加検査(対象:既往感染者、目的:予防投薬の適応判断のため)
- HBV DNA定量
20 IU/ml以上→核酸アナログ開始、20 IU/mL未満→モニタリング スクリーニング検査の解釈とその後の対応 日本肝臓学会肝炎診療ガイドライン作成委員会. B型肝炎治療ガイドライン第4版(2022.6).
#14.
既往感染者のHBV DNA量が20 IU/mL未満の場合
- 免疫抑制・化学療法中と治療終了後、モニタリングを行う
- 1~3ヶ月に1回HBV DNA定量とAST・ALTを測定する
- HBV DNA量が20 IU/mL以上になったら、核酸アナログ開始
- モニタリングの間隔と期間は、免疫抑制・化学療法を内容を考慮して決定
・高リスク(例:リツキシマブ、造血幹細胞移植):1か月に1回検査する
・通常の化学療法:1~3か月に1回検査する 既往感染者におけるモニタリング 日本肝臓学会肝炎診療ガイドライン作成委員会. B型肝炎治療ガイドライン第4版(2022.6).
#15.
投与目的
- 再活性化を予防するため
- 再活性化を治療して、肝炎への進展を予防するため
核酸アナログ製剤の選択肢:各薬剤の特徴を踏まえて1つ選択する
- エンテカビル(ETV)
- テノホビル・ジソプロキシルフマル酸塩(TDF)
- テノホビル・アラフェナミドフマル酸塩(TAF) 核酸アナログ製剤の投与目的と種類 日本肝臓学会肝炎診療ガイドライン作成委員会. B型肝炎治療ガイドライン第4版(2022.6).
#16.
各核酸アナログ製剤の特徴 日本肝臓学会肝炎診療ガイドライン作成委員会. B型肝炎治療ガイドライン第4版(2022.6)を参考作成
#17.
肝臓専門医に相談した上で、核酸アナログ製剤終了の可否を判断する
HBs抗原陽性の場合
- 慢性肝炎の治療と同様の基準を使用する
2年以上、HBV DNA・HBe抗原・HBs抗原・HBコア関連抗原の値から検討する
既往感染者の場合
- 免疫抑制・化学療法終了後、12か月間は継続する
- 投与期間中、ALT持続正常とHBV DNA持続陰性化が達成できている
- HBs抗原およびHBコア関連抗原も持続陰性化していることが望ましい
※核酸アナログ製剤終了後、12か月間以上HBV DNAをモニタリング(20 IU/mL以上で再開) 核酸アナログ製剤はいつまで継続する? 日本肝臓学会肝炎診療ガイドライン作成委員会. B型肝炎治療ガイドライン第4版(2022.6).
#18.
免疫抑制・化学療法中のHBV再活性化という病態を認識する
肝炎を発症すると予後不良、かつ、原疾患の治療の中断・中止が必要になる
HBV再活性化とそれによる肝炎は、予防することが重要である
免疫抑制療法または化学療法施行前のすべての患者を対象に...
- HBV感染のスクリーニング(HBs抗原、HBc抗体、HBs抗体)を行う
- 適応ある患者(HBs抗原陽性、HBV DNA 20 IU/mL以上)へ核酸アナログ製剤を投与
- 核酸アナログ製剤は、ETV・TDF・TAFから選択する
- 適切なフォローアップを行う(核酸アナログ製剤開始・終了のタイミングを見極める) まとめ