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急性期脳梗塞 初期診療

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208,166

324

2021/1/2
2022/8/7 更新

本スライドの対象者

研修医/専攻医

内容

急性期脳梗塞の初期診療において重要となるポイントを、t-PA静注療法や血管内治療などの再灌流療法、NIHSSやASPECTS、病型診断と抗血栓療法などに言及しながら、まとめました。

*2022/8/7、tPAと血栓回収療法のエビデンスなど追記し、スライドデザインを統一しました。

菊野宗明

東京医科大学病院


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急性期脳梗塞 初期診療

  1. 急性期脳梗塞 初期診療 -clinical thinking and evidence- 東京医科大学病院 脳神経内科 菊野 宗明

  2. このスライドをつくったひと 東京医科大学卒業 東京医療センター 初期研修医 国立循環器病研究センター 脳血管内科レジデント 東京医科大学病院 脳神経内科 助教 東京医科大学病院 脳神経外科 脳血管内治療班 日本内科学会 認定内科医 日本神経学会 神経内科専門医 日本脳卒中学会 脳卒中専門医 日本脳神経血管内治療学会 専門医 日本脳神経超音波学会 認定検査士・評議員 医学博士 急性期から慢性期まで、より良い脳卒中診療の実践と普及を目指しています!

  3. Take Home Message 「発症時刻」を意識する。 「所見」を意識する。 「病型」を意識する。

  4. 症例 研修医生活も半年、今夜の出前は何にしようと悩む当直医A君の下に、救急隊から以下のような電話が・・・。 こちら新宿救急、78歳男性、意識障害です。 糖尿病と心房細動の既往あります。 本日19時ごろ、夕食後に突然倒れ、救急要請です。 バイタルは意識JCSⅠ-3、血圧185/95、脈拍70回不整、発語なく、右麻痺ありそうです。 貴院までは10分ほどです。受け入れいかがでしょうか?

  5. なにを考える? 研修医が夕食をとろうとした時に、19時発症の脳卒中・・・あれ?t-PAや血管内治療の適応かもしれない? 発語がなくて右麻痺って、左大脳が病巣かな? 突然発症で心房細動があるみたいだけど、心原性脳塞栓症かな?

  6. 脳卒中 stroke, apoplexy 「脳卒中」 …脳血管が破れたり詰まったりして、血流が急激に途絶え、脳が障害される病気。 「卒中」 …突然邪気や邪風に中る。 “stroke” …一撃を与える。 “apoplexy” …殴られて倒れる。

  7. 脳卒中 脳梗塞 脳血管が詰まって、脳細胞が死ぬ病気。 脳出血 脳血管が破けて、脳内に出血する病気。 くも膜下出血 動脈瘤が破け、脳周囲のくも膜下に出血する病気。

  8. -脳卒中の診断と検査- アルゴリズム 脳卒中の疑われる神経徴候 (片麻痺、構音障害、失語、視野障害、頭痛、めまいなど) 問診 (既往歴、合併症、危険因子、家族歴など) 一般身体所見、神経学的所見、血液検査 (血算、生化、凝固・線溶系検査) CT・MRI 脳梗塞・TIA 脳出血 くも膜下出血 脳卒中類似疾患 (低血糖、てんかん、片頭痛、 慢性硬膜下血腫、脳腫瘍、脳炎など) MRA、心電図、頸動脈超音波、心臓超音波 アテローム血栓性 ラクナ 心原性 その他 脳卒中! Stroke mimics!

  9. Stroke mimics けいれん、脳腫瘍、低血糖等の代謝異常、電解質異常、感染、大動脈解離、偏頭痛、ヒステリー…etc. “A stroke is never a stroke until it has received 50 of D50.”  Laurence M.Tierney  

  10. -脳梗塞の初期治療- アルゴリズム t-PA投与の適応はあるか? 血管内治療の適応はあるか? 病型は? 抗血小板療法 抗血小板療法 抗凝固療法 補液、抗潰瘍薬、血圧管理はルーチンで 脳保護療法は24時間以内の全病型で使用可能 頭蓋内圧亢進を伴う例では抗浮腫予防を アテローム血栓性 ラクナ 心原性 その他 t-PA 血管内治療

  11. Outline 「発症時刻」 →  「所見」  →  「病型」  →  “t-PA”と“血管内治療” “診察”と“画像” “病型”と“二次予防”

  12. Outline 「発症時刻」 →  「所見」  →  「病型」  →  “t-PA”と“血管内治療” “予測スコア”と“診察” “病型”と“二次予防”

  13. 脳卒中 脳梗塞 脳出血 くも膜下出血

  14. なぜ脳梗塞が大事か? 多い! 日本脳卒中データバンク報告書 2018 年より

  15. なぜ脳梗塞が大事か? 戦える、武器があるから! 田辺三菱製薬 ホームページより t-PA と 血管内治療

  16. t-PAとは? 組織型プラスミノーゲン活性化因子(t-PA:tissue-plasminogen activator)は、血栓上のプラスミノーゲンに作用し、これをプラスミンに活性化、血栓の主成分であるフィブリンを分解して作用を発揮する。 1995年に発症3時間以内の脳梗塞に対する有用性が、米国のNINDS研究で明らかにされ、本邦でも2005年に承認、J-ACT試験で同様の有効性が確認されている。 2008年のECASS Ⅲの成果を受けて、2012年より本邦でも発症4.5時間以内に適応が拡大。

  17. 日本脳卒中学会医療向上・社会保険委員会rt-PA静注療法指針部会より  t-PAの作用機序

  18. グルトパ®️ 田辺三菱製薬 ホームページより アクチバシン®️ 協和キリン ホームページより

  19. t-PAに関する臨床試験 「この治療を行うと、大体10人中3-4人は血の塊が溶けて今よりも良くなります。6人は余り変わりません。5%くらい出血を起こす人もいます。概して治療した方が良くなる可能性が高いです。こちらで治療適応があると判断される場合、治療させて頂いても良いですか?」   NINDS rt-PA Stroke Study Group. N Engl J Med 1995; 333:1581-1587 Yamaguchi T, et al. Stroke 2006; 37:1810-1815

  20. t-PA投与のアルゴリズム 日本脳卒中学会医療向上・社会保険委員会rt-PA静注療法指針部会より 

  21. 投与のチェックリスト 日本脳卒中学会医療向上・社会保険委員会rt-PA静注療法指針改訂部会 静注血栓溶解(rt-PA)療法 適正治療指針 第三版 より 

  22. t-PAアルゴリズムの実際 救急外来では3人組を形成! 1人が末梢血管を確保して同時に採血(凝固系の採血が、t-PAの律速段階となることが多い)。 1人は問診で、発症時刻や形式、禁忌事項の確認などを行う。 最後の1人がNIHSSで神経診察をする。 以上を、10分以内で! 無論、マンパワーがあれば大勢で!

  23. Time is Brain 典型的には脳梗塞の治療が1分遅れるごとに、190万の神経細胞が死ぬ。 Jeffrey LS, et al. Stroke 2006; 37:263-266 血栓溶解療法が1分遅れるごとに、平均1.8日の健康な生活が失われる。 Atte M, et al. Stroke 2014; 45:1053-1058

  24. t-PA投与後の重要点 症状の増悪がないか、NIHSSなどによる診察できっちりと経過をフォローしましょう。 怖いのは出血!神経症状の増悪があれば、緊急CTを!

  25. 近年のt-PAの動向 起床時発症など発症時刻不明で、MRIのDWI-FLAIR mismatchにより発症早期と推定される症例で、0.9mg/kgのアルテプラーゼは有意に90日後mRS 0-1を増加させた(53.3% vs 41.8%, OR:1.61, p=0.02)。 Thomalla G, et al. N Engl J Med 2018; 379:611-622 起床時発症など発症時刻不明で、MRIのDWI-FLAIR mismatchにより発症早期と推定される症例で、0.6mg/kgのアルテプラーゼ群と標準治療群で90日後mRS 0-1に有意差はなかったが(47.1% vs 48.3%, p=0.892)、症候性頭蓋内出血の増加もなかった(0.01% vs 0%, p>0.999) 。 Koga M, et al. Stroke 2020; 51:1530-1538 よりフィブリン親和性が高く、ボーラス投与も可能なテネクテプラーゼは、血栓回収前の再開通率(22% vs 10%, OR:2.2, p=0.03)、90日後の機能予後(mRS中央値2 vs 3, OR:1.7, p=0.04)を有意に改善した。 Campbell BCV, et al. N Engl J Med 2018; 378:1573-1582

  26.  t-PA skipも状況に応じて可能か DIRECT-MT試験では、前方循環の主幹動脈閉塞に伴う発症4.5時間以内の脳梗塞患者で、脳血栓回収療法単独群は0.9mg/kgのt-PA併用群に比べて、90日後のmRSの分布について非劣性であった(OR:1.07, 95%CI:0.81-1.40, p=0.04)。 Yang P, et al. N Engl J Med 2020; 382:1981-1993 SKIP試験では、主幹動脈閉塞に伴う急性期脳梗塞患者で、脳血栓回収療法単独群は0.6mg/kgのt-PA併用群に比べて、90日後mRS 0-2の有意差はなかったが非劣性は示さなかった (59.4% vs 57.3%, OR:1.09, p=0.18)。頭蓋内出血は単独群で少なかった (33.7% vs 50.5%, OR:0.50, p=0.02)。 Suzuki K, et al. JAMA 2021; 325:244-253

  27.  血管内治療後のtPA動注の有用性 血栓回収療法によりeTICI2b50以上の有効再開通の得られた主幹動脈閉塞による急性期脳梗塞を対象とした二重盲検ランダム化比較試験で、0.225-22.5mg/kgのアルテプラーゼ動注療法はプラセボに比べて、90日後mRS 0-1を増加させ(59.0% vs 40.4%, OR:1.61, p=0.047)、症候性頭蓋内出血は認めなかった。 Renú G, et al. JAMA 2022; 327:826-835 主幹動脈閉塞による急性期脳梗塞に対して血栓回収療法単独とアルテプラーゼやウロキナーゼ、チロフィバンといった動注薬の併用を比較したメタアナリシスで、併用群は単独群に比べて90日後mRS 0-2が多く (RR:1.13, 95%CI 1.03-1.24)、死亡は少なく(RR:0.82, 95%CI 0.72-0.94)、症候性頭蓋内出血は増えなかった (RR:1.13, 95%CI 0.87-1.46)。 Chen VHE, et al. Stroke 2021; 52:1192-1202 微小循環を改善する可能性あり今後、新たな治療選択肢になるか。

  28. 脳血管内治療 Solitaire Platinum®️ Medtronic ホームページより Penumbra システム®️ メディコスヒラタ ホームページより

  29. ステントリトリーバーと吸引カテーテルを併用した Combined techniqueによる血栓回収

  30. 注意すべき穿刺部血腫

  31. 2015年 年始… 90日後mRS 0-2 血管内治療群32.6% vs 内科治療群19.1% Berkhemer OA, et al. N Engl J Med 2015; 372:11-20 歴史的革命!

  32. 血管内治療エビデンス Goyal M, et al. Lancet 2016; 387:1723-1731 Bracard S, et al. Lancet Neurol 2016; 15:1138-1147 Muir KW, et al. J Neurol Neurosurg Psychiatry 2017;88:38–44

  33. ガイドライン 「発症前mRS 0-1」、「ICAやMCA水平部閉塞」、「18歳以上」、 「NIHSS≧6点」、「ASPECTS≧6点」、「発症≦6時間」を満たす症例へのステントリトリーバーによる治療はclass Ⅰa、Grade Aで推奨 AHA/ASA 2018 Guidelines for the Early Management of Patients With Acute Ischemic Stroke 3学会合同 経皮経管的脳血栓回収用機器 適正使用指針 第3版より 軽症でなく、梗塞が広くなく、発症早期であれば、 絶対にやらなければいけない治療!

  34. 適応拡大 -Time Course- DAWN試験では発症6-24時間の前方循環系の主幹動脈閉塞を対象に、臨床症状と梗塞体積のミスマッチのある症例で、血管内治療が有意に90日後のmRS 0-2を増加させた(49% vs 13%)。 Nogueira RG, et al. N Engl J Med 2018; 378:11-21 DEFUSE 3試験では発症6-16時間の前方循環系の主幹動脈閉塞を対象に、灌流画像で梗塞と虚血の体積のミスマッチのある症例で、血管内治療が有意に90日後のmRS 0-2を増加させた(45% vs 17%, p<0.001)。 Albers GW, et al. N Engl J Med 2018; 378:708-718

  35. 適応拡大 -高齢者や病前からの障害- 90歳以上の内頚動脈か中大脳動脈M1閉塞の急性期脳梗塞患者を対象に、血管内治療は32.7%で行われ、血管内治療群では内科治療群に比べて、90日後のmRS 0-2かベース同様のmRSが、有意に多かった(28.6% vs 6.9%, p<0.01)。 Fujita K, et al. Stroke 2021; 52:1561-1569 病前のmRS 2-4の内頚動脈か中大脳動脈M1閉塞の急性期脳梗塞患者を対象に、血管内治療は51.6%で行われ、血管内治療群では内科治療群に比べ、90日後のベース同様のmRSが、有意に多かった(28.0% vs 10.9%, p<0.01)。 Tanaka K, et al. J Am Heart Assoc 2021; 10:e020783 年齢や障害のみでは、血管内治療を行わない理由とはならない。

  36. 適応拡大 -広範梗塞や末梢病変- 脳主幹動脈閉塞によるASPECTS 3-5点の広範梗塞を対象とした、多施設ランダム化比較試験において、血管内治療群で内科治療群に比べ、90日後mRS 0-3が有意に多かった(31.0% vs 12.7%, p=0.002)。頭蓋内出血は血管内治療群で多かった(58.0% vs 31.4%, p<0.001)。 Yoshimura S, et al. N Engl J Med 2022; 386:1303-1313 末梢動脈閉塞(A2/3、M2/3、P2/3)は血栓回収療法の新たな治療ターゲットと見做され、主幹動脈閉塞と比べても、TICI2b以上の有効再開通率(60.5% vs 72.6%, p=0.12)や合併症(0% vs 6.1%, P=0.10)、頭蓋内出血(34.9% vs 45.9%, p=0.30) などの治療成績は遜色ないことが指摘される。 Ospel JM, et al. J NeuroIntervent Surg 2021; 13:623-630 Shek K, et al. J NeuroIntervent Surg 2022; 14:434-438 救える脳組織、救える症状があるなら、血管内治療を考慮すべき方向に!

  37. 目標タイムコース

  38. 時間短縮への取り組み -Target Stroke Key Best Practice Strategies- 救急隊から病院への事前連絡 迅速なトリアージと脳卒中チームへの連絡 単一の連絡手段によるアクチベーション 院内アルゴリズムなど脳卒中ツールの活用 迅速な画像撮影と読影 迅速な血液検査(迅速キットの活用含む) tPA製剤の事前準備 tPA製剤の迅速な投与 チーム主体のアプローチ データのフィードバック Gregg CF, et al. Stroke 2011 ;42:2983-2989

  39. With コロナの 脳卒中診療・・・ 日本脳卒中学会 COVID-19対応 脳卒中プロトコルより 

  40. Time is Brain 5つの血管内治療の有効性を示したランダム化比較試験のメタアナリシスでは、来院から再開通が1時間遅れるごとに、3ヶ月後自立している人は19%ずつ減少した(OR 0.81, 95%CI 0.71-0.92) 。 Jeffrey LS, et al. JAMA 2016; 316:1279-1288 脳の心肺蘇生!

  41. Outline 「発症時刻」 →  「所見」  →  「病型」  →  “t-PA”と“血管内治療” “診察”と“画像” “病型”と“二次予防”

  42. 脳梗塞治療の目的は? Penumbraの救済! *Penumbraとは? →虚血コア周囲の低灌流域で、正常に回復することも壊死に陥ることもあり得る領域。 González RG, et al. AJNR 2006; 27:728-735

  43. Penumbraの画像的評価 Diffusion-Perfusion Mismatch 梗塞(虚血コア)と低灌流(Penumbra)の差 Albers GW, et al. N Engl J Med 2018; 378:708-718 RAPID®️によるCT灌流画像

  44. 画像以外のPenumbraの評価 85歳男性、2時間前からの右麻痺・失語で来院。直後のMRIでは、左放線冠に高信号を僅かに認めるが・・・症状はかなり重症。 Diffusion-Clinical Mismatch 梗塞(虚血コア)と症状(Penumbra)の差

  45. NIHSS  1989年、脳卒中の神経学的重症度を客観的に測定するため臨床試験で用いられたのが、National Institute of Health Stroke Scale (NIHSS)。 改訂を経た15項目の観察事項。 →意識・眼5つ、運動5つ、その他5つ! Brott T, et al. Stroke 1989; 20:864-870

  46. 意識・眼5つ 運動5つ その他5つ

  47. NIHSSとASPECTS 項目上は42点、実際は39点満点。点数が高いほど重症! →画像評価のASPECTSは10点満点で、低いほど重症! Pexman JH, et al. AJNR 2001; 22:1534-1542

  48. 脳卒中かも? せめてこれだけ! 循環器病研究開発費 22―4―1 新しい脳卒中医療の開拓と均てん化のためのシステム構築に関する研究 (主任研究者:峰松一夫)より Face (顔面麻痺) Arm (上肢麻痺) Speech (言語障害) Time (発症時刻を確認し救急要請!)

  49. もう一歩! “FAST AND” Deviation (共同偏奇) Neglect (半側空間無視) Aphagia (失語) Parton A, et al. J Neurol Neurosurg Psychiatry 2004;75:13–21

  50. “AND”は、tPAや血管内治療の対象となる主幹動脈閉塞が多い 救急隊による失語、視空間無視、共同偏倚からなるELVO scoreは感度85%、特異度72%で主幹動脈閉塞を予測した。 Suzuki K, et al. Stroke 2018; 49:2096-2101 救急隊による失語、視空間無視、共同偏倚を含むJUST scoreはAUC 0.80で全脳卒中、AUC 0.85で主幹動脈閉塞を予測した。 Uchida K, et al. Stroke 2018; 49:1820-1827

  51. JUST Score 脳卒中の主な病型を鑑別して、適切な治療が実施可能な医療機関に搬送できる! 項目が多そうだが、実は救急隊がルーチンで聞いていることに数項目加えただけ! Uchida K, et al. Stroke 2018; 49:1820-1827

  52. 脳梗塞 (主幹動脈閉塞) のゲシュタルト* 脳梗塞 脳血管が詰まって、脳細胞が死ぬ病気。 突然発症、不整脈(AF)、意識障害、半側空間無視、顔と上肢の麻痺… *「ゲシュタルト」・・・「見ため」、「全体像」を意味する 心理学、診断学用語

  53. 脳出血のゲシュタルト 脳出血 脳血管が破けて、脳内に出血する病気。 発症後増悪、頭痛、構音障害、血圧高値、意識障害、共同偏倚、上肢麻痺…

  54. くも膜下出血のゲシュタルト くも膜下出血 脳動脈瘤が破け、脳周囲のくも膜下に出血する病気。 若年、喫煙歴、頭痛、嘔気嘔吐、意識障害…

  55. Outline 「発症時刻」 →  「所見」  →  「病型」  →  “t-PA”と“血管内治療” “予測スコア”と“診察” “病型”と“二次予防”

  56. なぜ病型診断することが大事か? 治療戦略が変わるから! 医療においては“行動変容”に重みづけがある。

  57. 問診、身体診察に始まり、頭部MRIとMRA、頚動脈エコー、心エコー、心電図、脳血管撮影・・・これら膨大な検査は何のためにするの? 一つには、病型を知るため!

  58. NINDS分類 A.発症機序による分類 血栓性 塞栓性 血行力学性 B.臨床的カテゴリー アテローム血栓性脳梗塞 心原性脳塞栓症 ラクナ梗塞 その他の脳梗塞 C.病巣や灌流域による分類 内頚動脈 中大脳動脈 前大脳動脈 椎骨脳低動脈 椎骨動脈 脳底動脈 後大脳動脈 *広く用いられているが、各病型の具体的診断基準は明記されておらず、その点ではTOAST分類の基準がよく活用される。 Special report from the National Institute of Neurological Disorders and Stroke. Classification of cerebrovascular diseases III. Stroke 1990; 21:637-676 Adams HP Jr, et al. Stroke 1993; 24:35-41

  59. 臨床カテゴリー アテローム血栓性脳梗塞:「責任血管である主幹動脈の50%以上の狭窄・閉塞があること」 →抗血小板療法 心原性脳塞栓症:「塞栓源となる心疾患が存在するもの」 →抗凝固療法 ラクナ梗塞:「脳幹や皮質下に1.5cm未満の梗塞巣を呈するもの」 →抗血小板療法 その他の脳梗塞

  60. 薬物治療戦略

  61. 抗血小板療法と抗凝固療法 Mackman N, et al. Nature 2008; 451:914-918 Gurbel PA, et al. Circulation 2019; 139:2170-2185 内皮障害を主体とした動脈血栓には抗血小板、血流うっ滞を主体とした静脈血栓や 心内血栓には抗凝固が基本だが、病態生理や経験則から両者を併用する症例も。

  62. 抗血小板療法 アスピリン(バイアスピリン®) →早い!安い!エビデンスが多い! クロピドグレル(プラビックス®) →再発予防、出血リスクの軽減でアスピリンを上回る。作用の発現まで時間が掛かる。より作用発現が早く、CYP2C19の遺伝子多型による代謝への影響が少ないプラスグレル(エフィエント®︎)も虚血性脳血管障害の適応となった。 シロスタゾール(プレタール®) →脳動脈を開く作用がある。出血リスクが少なく、長期DAPTでの有用性、安全性も指摘される。頭痛と頻脈という副作用が欠点。 オザグレル(カタクロット®) →点滴。抗血小板作用と血管拡張作用。半減期が短く、数時間。

  63. 抗凝固療法 ワルファリン →PT-INRでモニターが可能。拮抗薬(ビタミンK)がある。個人差、薬物相互作用が大きい。作用発現に時間が掛かる。 ヘパリン →点滴。直ぐ効いて、半減期も短い。急性期脳梗塞に対するエビデンスは限定的だが、本邦ではよく用いられる。 アルガトロバン(ノバスタン®) →アンチトロンビンを介さずに直接トロンビンを阻害。発症48時間以内の非心原性の脳梗塞に。特に症状が動揺、進行する症例で。2日間持続投与し、5日間1日2回投与。 DOAC(direct oral anticoagulants) →ダビガトラン(プラザキサ®)、リバーロキサバン(イグザレルト®)、アピキサバン(エリキュース®)、エドキサバン(リクシアナ®︎)といった新規経口抗凝固薬。ワルファリンより重篤な出血が少ない、腎排泄でモニター不要といった特徴があり、エビデンスも多い。

  64. 注意すべき病型① BAD (Branch Atheromatous Disease) 79歳男性、軽度の左麻痺で来院。ラクナ梗塞の診断で、オザグレルで加療を開始したが、翌日に左麻痺が増悪。 複数の穿通枝に動脈硬化性病変の及ぶ進行性脳梗塞と考え、アルガトロバンとDAPTの治療とした。

  65. 注意すべき病型② その他の脳梗塞 ・・・椎骨動脈解離 特に既往のない42歳男性、後頚部痛で来院。MRAで両側の椎骨動脈に壁不整があり経過観察のため入院。 翌日に意識レベル低下、眼球運動障害あり、橋両側に新規の脳梗塞を認めた。

  66. 注意すべき病型➂ 原因不明の脳梗塞 ・・・Embolic stroke of undetermined source (ESUS) 特に既往のない36歳女性、眼球運動障害、左上下肢の失調で来院。MRIでは右中脳に高信号を認め、脳梗塞の診断で入院となった。 しかし若年で動脈硬化のリスクなく、不整脈もない。精査のため経食道心エコーを予定。 卵円孔開存 大動脈複合粥腫 潜因性心房細動

  67. 病型と病棟指示 アテローム血栓性脳梗塞 BAD 補液の漸減 安静度の漸増 ESUS 心電図モニターの徹底

  68. Take Home Message 「発症時刻」を意識する。 「所見」を意識する。 「病型」を意識する。

  69. まとめ Time is Brain! t-PAアルゴリズムは10分以内で末梢確保と採血、問診、診察の3つを行う! “FAST AND”で脳卒中を疑う! 病型が変われば、治療もケアも変わる!

  70. For Further Study 日本脳卒中学会編集、『脳卒中治療ガイドライン2021』、2021年、協和企画 豊田一則、古賀政利編著、『SCUグリーンノート』、2016年、中外医学社 日本救急医学会他監修、『ISLSガイドブック2018』、2018年、へるす出版

  71. かつて「診断学あれど治療学なし」と揶揄された神経学の分野においても、 新薬や再生医療の発達、カテーテル治療や外科治療の協働、 リハビリテーションの進歩などにより、 治療できる疾患、患者、症状は、日進月歩で増えています。 脳梗塞診療は治せる時代へと、パラダイムシフトの最中にあります!

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