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救急外来で働く医師・看護師の皆様が明日から使える小児診療の知識をまとめました。
①は主に診療の概論です。②で薬剤について深く触れたいと思います。

小児の痙攣のER診療① -救急外来で働く医師・看護師へ-

痙攣の患者を診療するにあたって、、、   

まずは外傷のチェックを!  次に血糖のチェックを!  「Fleisher & Ludwig's Textbook of Pediatric Emergency Medicine (English Edition) 8th 版」   

病歴 ・痙攣前のイベント(外傷、中毒、発熱、頭痛や嘔吐、下痢など) ・前兆の有無 ・意識障害、舌を噛む、失禁などの症状 ・全身性発作、それとも部分発作 ・痙攣発作の持続時間 ・発作後の状態 ※ビデオで撮影してもらっておくように指導することが重要!! ・周産期歴/既往歴/家族歴/予防接種歴/発達歴/過去の痙攣の日時・様式   

身体所見 ・瞳孔所見-大きさ、対光反射、瞳孔不同の有無 ・筋緊張 ・舌咬傷の有無 ・感染を示唆する所見 ・外傷を示唆する所見 ・皮疹 ・神経学的診察(Focal signの有無、易刺激性の有無)   

搬送されてきた患児 痙攣は本当に止まっていますか？   

痙攣が本当に止まっているかどうかの確認事項(エビデンスはなし) ・意識状態：疼痛刺激への反応なし  開眼(睫毛反射なし)  ・交感神経：瞳孔散大  呼吸不安定  心拍数上昇  ・筋緊張：亢進(or 低下) →1つでも満たせば痙攣の持続を疑う 止痙が得られているかどうかの確定診断は"脳波"のみ   

Afebrile seizure -無熱性痙攣原因 低血糖、電解質異常、髄膜炎、薬剤性、中毒、外傷、頭蓋内病変 他の鑑別疾患：不整脈、無呼吸発作、神経調節性失神、NCSE  Red Flag Sign ・頭部外傷 ・先行する頭痛 ・薬剤性/アルコール使用  ・発達障害/退行 ・出血性疾患/抗凝固療法中 ・Focal sign(皮質症状)   

Afebrile seizure -無熱性痙攣-  採血/血糖  心電図  CT/MRI  ※脳波は感度特異度ともに低く、初発発作の直後は不要!!   

CT撮像のIndication ・急性発症の焦点性発作 ・無熱性発作を2回以上起こしている ・特発性てんかんの臨床的特徴や脳波的特徴がない ・痙攣重積発作 ・持続する神経学的症状 ・頭部外傷歴 ・持続する頭痛 ・悪性腫瘍、抗凝固療法あり ・数時間意識レベルが普段通りまで回復しない  CT/MRI   

小児科コンサルトへのIndication ・6ヵ月未満の小児 ・痙攣重積発作 ・痙攣からの回復が不十分 ・Focal sign ・2回目の発作 ・てんかんの反復発作 ・発達遅滞  コンサルト   

帰宅を検討できる基準 ・生後6ヶ月以上 ・病歴、身体所見、検査所見にRed ﬂagがないこと ・意識清明に回復していること ・外来でFollow up可能な環境であること Disposition 上記、全てを満たしていること   

Febrile seizure -熱性痙攣熱性痙攣の特徴 ・38℃以上の発熱を伴う ・CNS感染やその他の明確な原因、神経学的疾患の所見がない ・6ヵ月-5歳の間に起こる発作 ・持続時間が15分未満 ・家族歴がある(25-40%)  熱性けいれんガイドライン2023   

Febrile seizure -熱性痙攣単純型熱性痙攣：以下を全て満たす ・38℃以上の発熱 ・全般性強直間代性発作 ・持続時間15分以内 ・1時間以内に完全に回復する ・同じ発熱ｲﾍﾞﾝﾄで再発しない  複雑型熱性痙攣 熱性けいれんガイドライン2023   

Febrile seizure -熱性痙攣再発Riskと再発頻度 1) 両親もしくは同胞の熱性けいれん家族歴 2) 1歳未満での発症 3) 1時間以内の短時間の発熱ー発作間隔 4) 発作時39℃以下 いずれかあれば再発確率は2倍以上 再発因子がなければ再発率15%、再発因子を有していれば30%になる  熱性けいれんガイドライン2023   

CT撮像のIndication ・Focal signを伴う痙攣発作 ・3rd lineを必要とする痙攣発作 ・6ヵ月未満 ・頭蓋内圧上昇の徴候がある ・出血性疾患/抗凝固療法 ・発作後、意識状態がfull recoverしない 以上を1つでも満たせば頭部CTを検討  CT/MRI   

小児科コンサルトへのIndication ・痙攣重積発作 ・複雑性熱性痙攣 ・1時間以内に意識レベルが普段通りに回復しない ・PAT不良 コンサルト ・熱源について懸念がある   

帰宅を検討できる基準 ・単純性熱性痙攣発作であること ・普段通りの意識レベルに回復していること ・基礎疾患に対して適切な管理がされている ・熱源に対して適切な治療ができる ・熱源が重症細菌感染症が除外されている ・両親が発作時の対応について知識がある ・適切なFollow upが組めている 上記、全てを満たしていることを確認  Disposition   

本当に普段の意識状態に回復しているか？   

本当に普段の意識状態に回復しているか？ ＜確認ポイント＞ ・GCSとJCSで客観的に評価を行う ・両親を含む家族から見て、普段通りであるかの確認 ・発達段階に合わせた運動が可能であるかの確認 例）座位の保持、歩行など   

Management  A-B-Cの安定化  血糖測定  + 親への寄り添いを忘れずに!!  薬剤   

Management 痙攣で心停止にはならないが、 痙攣に伴う換気障害・低酸素血症は心停止に繋がる 痙攣患者であったとしても最優先は“A・B・Cの安定化”   

目の前で痙攣発作が起きれば、 まずは気道確保＋酸素投与を行う   

Management ‒薬剤(一部紹介)・1st line ミダゾラム 0.1mg/kg/回 IV or 0.2mg/kg/回 IM ロラゼパム 0.1mg/kg 2-4分かけて静注 ジアゼパム 0.2mg/kg IV ・2nd line ホスフェニトイン 22.5mg/kg 15分以上かけて投与 ・3rd line ※原則、気管挿管の管理が必要 チオペンタール 2-4mg/kg   

Pit fall ・眼球偏位などのFocal signを見落とす ・低血糖など評価せずに抗痙攣薬投与のみの対応 ・抗痙攣薬投与によるA-B-Cの異常 ・隠れたShock vital に気づかない   

Take Home Message ・痙攣の重積発作でも呼吸＋循環の管理が最優先 ・抗痙攣薬の使用時も呼吸＋循環に注意する ・本当に意識レベルが改善しているか確認する   

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