#4.
論文とは? l 査読付きの医学雑誌に掲載された記事 英語ではpeer review 複数の専門家によって内容を評価される 詳しくは
#5.
医学雑誌の種類 l 総合誌:いろんなジャンルの論文が含まれる l NEJM:New England Journal of Medicine(米国) l JAMA:Journal of American Medical Association(米国) l Annals of Internal Medicine(米国) l Lancet(英国) l BMJ:British Medical Journal(英国) l 各科の専門誌 細かいものも含めると 推計で30000種類以上 by ChatGPT l 糖尿病:Diabetes care l 総合内科:Journal of General Internal Medicine l 家庭医療:Annals of Family Medicine などなど…
#6.
医学雑誌の種類 l オープンアクセスジャーナル l オンライン上で無料かつ制約無しで閲覧可能 l 例:PLOS ONE、BMC Medicine、BMJ Openなど l 採択率が高め→最近はそうでもないかも l ものによって査読の厳しさも異なる l 日本語の論文 l 「英語じゃない」=質が低い、ではない l 日本の制度・環境に応じた内容が参考になることも
#7.
論文の種類 l 原著論文(Original article) l ケースレポート(Case report) l その他:Editorial、Letter / Correspondence l 総説(Review) l ナラティブレビュー:特定のトピックについて専門家がまとめたもの l システマティックレビュー:原著論文をルールに則ってまとめたもの l メタアナリシス:複数の研究結果をまとめて分析したもの l ガイドライン
#8.
ちなみに l 西伊豆健育会病院の仲田和正先生が定期的に主要論文のreviewを 翻訳・まとめて共有してくれています l TFC、IDATEN、EMAなどのメーリングリストで流してくれます 書籍化
#9.
なぜ論文を読むのか? l 最新の知見を得られるから l 新たな治療 l 新たな診断方法 l 新たな疾患概念 l その領域の世相・ブームを読む l 研究の先行文献
#10.
絶対に読まないといけないの? l インターネットのお陰で良質な情報源はたくさんある l 電子教科書、書籍、公的機関からの発信、ウェブサイト、SNS… l ぶっちゃけ「標準的プライマリケアを提供する」には上記で十分 l “最新の治療”が標準となるまでにはタイムラグがある l 単一のRCTの結果がガイドライン的推奨になることは少ない l 検証した論文や同様の論文のメタアナリシスが出てようやく l どれだけ読んでもきりがない l 30000の医学雑誌 掲載論文=莫大な量 完全なキャッチアップは不可能 l 読むための労力
#11.
Usefulness Equation POEMs Usefulness of = Medical Information 批判的吟味 Relevance Validity (関連性) (妥当性) Work (コスト、時間) Slawson, David C., Mark H. Ebell, and Henry C. Barry. "Mastering medical information and the role of POEMs-Patient-Oriented Evidence that Matters." Journal of family practice 45, no. 3 (1997): 195-197. 情報を得るためのコストが大きい=有用性は低い
#12.
倉原先生のブログ
#13.
要点をまとめると l 医学雑誌は娯楽である l 結局は「好み」なので、読む人もいれば読まない人もいる l でも、読んで面白い記事は確かにある! l 読むとしたら l 全文を読む必要はない l つまみ食いして、面白そうなものを精読する l 最新号を毎回読む
#14.
じゃあ、全然読まなくてもいい? l やっぱり原著論文が必要になるときがある! l 非典型的な経過のとき l 「標準的治療」が定まっていないとき l ガイドラインを当てはめてよいのかどうか迷うとき 情報を「取りに行く」 l 「その道のプロ」として、最新の情報を知らないのは恥ずかしい 情報に「暴露する」
#15.
2通りの情報収集 Foraging(採餌) Hunting(狩猟) SNS ニュース 検索など メルマガ 情報のプール 過去の検索 テレビ・会話 読書・積読 患者
#16.
Foragingに必要なスキル l 診ている患者のことであれこれ頭を悩ませること l 情報が流れ込む「場」や「仕組み」に身を置くこと l 医局、カンファレンス、ジャーナルクラブ、RSS、メーリス、SNS、AI l 情報を吟味するスキル l ピンときたときに精読するスキル EBMのスキル l 手に入れた情報を管理するスキル l 英語能力:なくてもなんとかなる世の中になりつつある 気張りすぎないのも大事かな、と思います 質よりも、量=継続すること、が大事
#17.
Huntingに必要なスキル l EBM(Evidence Based Medicine)のスキル l Step1 患者の問題の定式化 l Step2 問題についての情報収集 l Step3 情報の批判的吟味 l Step4 情報の患者への適応 l Step5 1-4のステップの評価 しっかりと「型」を身につける! そのための方法の一つがジャーナルクラブ
#18.
EBMについて
#19.
EBMって? l 臨床疫学からの派生 l 1992年に初めて医学雑誌に登場 l Guyatt GH : Evidence-based Medicine. ACP Journal Club. l Sackettらによる定義(BMJ 1996) EBM is the conscientious, explicit and judicious use of current best evidence in making decisions about the care of individual patients. 今ある最良のエビデンスを、良心的に、明確に、思慮深く用いて、 個々の患者の臨床決断を下すこと 福井次矢. Evidence-based Medicineの手順と意義. 日本内科学会雑誌 第87巻 第10号
#20.
EBMって? 4つの要素 臨床現場の状況・環境 Clinical state & circumstances 医療者の技術・経験を含む 専門性 Clinical expertise 患者の意向・行動(価値観) 科学的根拠 Patientʼs preferences & actions Research evidence Haynes RB, Devereaux PJ, Guyatt GH. BMJ. 2002 Jun 8;324(7350):1350-1350.
#21.
EBMって? 家庭医療学 家庭医を特徴づける能力 全ての医師が備える能力 生物心理社会 モデル (BPS) 患者中心の 医療の方法 (PCCM) 臨床倫理 4分割法 根拠に基づく医療 (EBM) 身体的 生物医学的視点 Bio-Medical Disease 医学的適応 科学的根拠 価値観 精神・心理的視点 Psycho Illness / Narrative 患者の嗜好 患者の意向・ 行動(価値観) 状況論 社会・環境的視点 Social Context 周囲の状況 臨床現場の 状況・環境 ー 医療者の技術・ 経験を含む 専門性 医療者側の要因 Relationship 佐藤けんた先生のブログより
#22.
科学的根拠がないと… l 外来に発熱、鼻汁、咽頭痛、咳、痰を主訴に40歳男性が受診 l とりあえず抗菌薬を出してみた l 3日後には改善したので抗菌薬が効いたと思った l 次に似たような人がきたらまた抗菌薬を出そうと思った l 高血圧にとりあえずアムロジピン l 糖尿病にとりあえずグリメピリド Experience-Based Medicine…
#23.
EBMのステップ l Step1 患者の問題の定式化 l Step2 問題についての情報収集 l Step3 情報の批判的吟味 l Step4 情報の患者への適応 l Step5 1-4のステップの評価
#24.
Step1 患者の問題の定式化 エビデンスを調べる 必要性が高い事例 前景疑問 Foreground Question 背景疑問 Background Question 初学者 教科書や二次文献に 載っている 専門家
#25.
Step2 問題についての情報収集 l まずはUpToDateやガイドラインを検索:背景疑問 l それらの参考文献を読むのも良い l 見つからなければ:前景疑問 l 王道:Pubmed l 時短:Google scholar l 未知数:Chat GPT<Perplexity
#26.
Step1 患者の問題の定式化 l 前景疑問の5分類 ① メカニズム → 研究が難しい ② 診療の実態 → PO ③ 検査の有効性 → PICOT ④ 要因と結果 → PECO ⑤ 介入の効果 → PICO
#27.
Step1 患者の問題の定式化 ②診療の実態 P:Population どんな人に O:Outcome 何が起こっているか 例)プライマリケアでの腰痛患者のなかの がんの割合は? →0.2%
#28.
Step1 患者の問題の定式化 ③検査の有効性 P:Population どんな患者か I:Index test 対象の検査 C:Comparison 他の検査 O:Outcome 結果の指標 T:Target condition 対象疾患
#29.
Step1 患者の問題の定式化 ③検査の有効性:例 P:腰痛を主訴に一般外来を受診 I:レントゲン C:MRI O:感度・特異度 T:骨腫瘍
#30.
Step1 患者の問題の定式化 ④要因と結果 P:Patient どんな患者で E:Exposure 暴露あり C:Comparison 暴露なし O:Outcome どうなるか
#31.
Step1 患者の問題の定式化 ⑤介入の結果 P:Patient どんな患者に I:Intervention 何をすると C:Comparison 何と比べて O:Outcome どうなるか
#32.
ちなみに:論文の種類 研究者が介入を計画(方法、割り付け)したか? Yes No 介入研究 観察研究 ランダム割り付けをするか? 比較対象があるか? Yes No Yes No ランダム化比較試験 非ランダム化比較試験 分析的観察研究 記述研究 要因とアウトカムの測定は? 異なる時点 同時 縦断研究 横断研究 診療実態調査など 観察の向きは? 症例報告 前向き 後ろ向き コホート研究 ケース・コントロール研究
#33.
ちなみに:論文の種類 Type of question Type of study design 病因・リスク コホート・症例対照 頻度 診断 確定診断 横断研究 除外診断 治療 効果 RCT 害 コホート・症例対照・ケースレポート 自然経過 予後 一般人と比べた予後 コホート・症例対照 予後因子 予防 修正可能なリスク スクリーニング RCT 意味付け 質的研究 改善 症例報告
#34.
ちなみに:論文の種類 必ずしも 上のほうが優れている わけではない
#35.
ちなみに:論文の種類 Circle of clinical research methods 適材適所 知りたいことに合った 研究デザインを Walach et al. 2006. Circular instead of hierarchical : methodological principles for the evaluation of complex interventions
#36.
EBMのステップ l Step1 患者の問題の定式化 l Step2 問題についての情報収集 l Step3 情報の批判的吟味 l Step4 情報の患者への適応 l Step5 1-4のステップの評価
#37.
批判的吟味とは Systemic error (系統誤差) =Bias(バイアス) Random error (ランダム誤差) =Chance(偶然) ズルしてない? 自分の患者に適用できる?
#38.
批判的吟味のやり方 l そもそも、5大誌に載るような論文はすでに吟味されている… l そんなに時間をかけずに、患者への適応の方をしっかり考える! l とはいえ教養として知っておくことも大事 RCTの吟味がまとまっています 流行りの非劣勢試験がまとまっています
#39.
EBMのステップ l Step1 患者の問題の定式化 l Step2 問題についての情報収集 l Step3 情報の批判的吟味 l Step4 情報の患者への適応 l Step5 1-4のステップの評価
#40.
患者への適応 l 研究の対象がどんな患者か → Tableにまとまっている l 自分たちの現場で利用できるものか? l 治療による利益と害はどれほどか? → NNT、NNH、RR、HR、OR l 患者はどんな価値観や期待を持っているか? → 患者中心の医療の方法
#41.
ジャーナルクラブ
#42.
ジャーナルクラブの目的 l 論文の読み方を学ぶ l 患者への適応についてみんなで考える l 最新の知識を得る l 業界のトレンドについていく l 一人で継続して読むのはしんどいので皆で分担する
#43.
論文のポイント l 背景情報 l 著者、所属機関、COIの有無 l Introduction l その領域の何がわかっていて何がわかっていないのか? l 何を調べようとした論文なのか? l 論文に対するEditorialを読むのも勉強になる
#44.
論文のポイント l Methods l 研究デザイン l 研究が行われた環境や使ったデータ l 研究対象となった患者 l 測定・評価した項目 l 統計解析 l 統計については少しずつ学んでいけば良い l 実際に研究してみないとわからないことも
#45.
論文のポイント l Results l Study flow:組み入れ→除外→脱落→解析の流れ l Table 1:最終的に研究対象となった患者集団の特徴 l 結果 l Discussion l 研究の強み(strengths)と弱み(limitations) l メカニズムの考察
#46.
読み終わったら l 最後に l この論文を踏まえて、今後の臨床がどうなるか l 自分なりの考えも出してみよう! みんなで学べば楽々!