テキスト全文
失敗から学ぶ多職種連携の重要性
#2. 多職種でのチームプレイのはずなのに こんなことはありませんか?
#3. 多職種連携は苦手な人が多いかもしれない 失敗から学ぶ多職種連携
目標の不一致がもたらす影響
#5. パーティの全滅につながる 目標の不一致 各ジョブが,自分の目標しか考えないため 戦闘に負けてしまう 傷を見ると,とにかく 治療したくなる 次のバトルでは 100発殴ってやる
#6. パーティの全滅につながる 目標の不一致 パーティの目的は 目の前のモンスターを倒すことだ
患者中心の多職種連携の必要性
#7. 多職種連携は 患者・利用者・家族・コミュニティ中心 である それぞれの職種の都合はあるかもしれないが 協働する職種の共通の目標は,患者・利用者・家族・コミュニティの アウトカムを中心に据えなければならない それぞれの職種の視点の違いによる意見のすれ違いがある場合には いったん大きな目標である患者や家族のアウトカムに立ち返ろう 春田淳志,後藤亮平「総合診療が地域医療における専門医や他職種連携等に与える効果についての研究」報告書 多職種連携に求められる総合診療医の役割とは何か?
#8. パーティの全滅につながる コミュニケーションの不足
#9. パーティの全滅につながる コミュニケーションの不足 それぞれの状況や役割について意思疎通ができず 戦闘に負けてしまう まだまだみんな 体力があるね! なんであいつは 俺を回復しないんだ..
#10. 多職種連携は 職種間コミュニケーション が重要である 職種背景の違いに配慮し,互いから職種としての役割,知識,意見, 価値観を伝える 「互いに,互いについて,互いから」双方向のコミュニケーションを 努めて取る 自職種しかわからない略語とかはダメ. 仕事以外の話をすることも大事 春田淳志,後藤亮平「総合診療が地域医療における専門医や他職種連携等に与える効果についての研究」報告書 多職種連携に求められる総合診療医の役割とは何か?
職種間コミュニケーションの重要性
#11. 多職種連携のコンピテンシー ? 職種間 コミュニケーション ? 患者 利用者 家族 コミュニティ 中心 ? ここまでが多職種連携のコアとなる 大前提の部分である(コア・ドメイン) ここからはコア・ドメインを支える 4つのドメイン ? 春田淳志,後藤亮平「総合診療が地域医療における専門医や他職種連携等に与える効果についての研究」報告書 多職種連携に求められる総合診療医の役割とは何か?
#12. コア・ドメインを支える 4つのドメイン パーティの連携を乱す おしつけあい
#13. コア・ドメインを支える 4つのドメイン パーティの連携を乱す おしつけあい 役割分担があいまいだと,ついつい他人任せになってしまう 特にジョブ間で重複するタスクでよく起こる よし!今だ!誰か攻撃しろ!
#14. 多職種連携は 職種の役割を全うする ことが重要である お互いの職種の知識・技術を活かして役割を 明確にし,お見合いや押し付け合いを防ぐ
パーティの連携を乱す要因
#15. コア・ドメインを支える 4つのドメイン パーティの連携を乱す 言いたいことが言えない
#16. コア・ドメインを支える 4つのドメイン パーティの連携を乱す 言いたいことが言えない ジョブ間の隠れたヒエラルキー構造のせいで,必要なことが 伝えられない よっしゃ! ガンガン攻撃魔法を! はい!! (もうMPが足りないなんて怖くて言えない..) *MP:マジックポイント.魔法を使うために消費する力
#17. 多職種連携は 関係性に働きかける ことが重要である 職業的なヒエラルキーを作らず,それぞれが 専門家としてフラットに意見が言えるような 心理的安全性を保つ チーム,個人の関係性を構築し,維持,成長 させる ex) 見えないヒエラルキーによって医師に意見ができない他職種と, それに気づかず全員賛成と勘違いしている医師
#18. コア・ドメインを支える 4つのドメイン パーティの連携を乱す 自分のクセがわかっていない
自職種を省みることの重要性
#19. コア・ドメインを支える 4つのドメイン パーティの連携を乱す 自分のクセがわかっていない 自分が当然だと思っていることは,他のジョブでは当然ではない かもしれない 敵は弱っている! 今のうちに敵の装備を盗もう! いやいや さっさとトドメさせや
#20. 多職種連携は 自職種を省みる ことが重要である 自職種の特徴,考え方の特徴,強み/弱みを 振り返ってみる 自職種で当然としていることも, 意外と自職種ならではの視点で,他職種から すると当然ではないかもしれない ex) エビデンスにこだわるあまり,薬価のことを気にしていない医師
#21. コア・ドメインを支える 4つのドメイン パーティの連携を乱す 相手に無関心
#22. コア・ドメインを支える 4つのドメイン パーティの連携を乱す 相手に無関心 各ジョブの価値観・優先順位を知らないために,方針がバッティングする 最大の攻撃魔法だ! <全力で戦うことが第一.それで全滅なら名誉> いえ!逃げましょう! <パーティの全滅を防ぐのが第一>
各職種の役割と文化の理解
#23. 多職種連携は 他職種を理解する ことが重要である 他職種は異文化であることを大前提とする. 同じ職場で日常的に働いていると,いつの間にか相手の 職種も自職種と同じ価値観を持っていると勘違いしがち 各職種には専門教育を受ける過程で培われた文化や価値観 があることを忘れずに,それを知る努力をする ex) セーフティファーストの看護師文化と自律性を優先する医師での 病棟での患者抑制に対する意見のぶつかり合い
#24. 医師 <役割> 病気の診断,治療 検査や処方のオーダー権がある <職業文化> 診断がつかないと治療ができないと感じる人が多い 診断したら治療をしなければならないと感じる人も多い <よく起こる問題> 人は論理で行動すると思いがち 良くも悪くもチームのリーダーとして振る舞い,多職種を使おうと してしまう 当院職員から聴取 春田淳志先生からの「チャレンジ多職種連携」を参考
#25. 看護師 <役割> 患者の身体的・精神的・社会的・スピリチュアルケア→全人的ケア 医師の診療補助(投薬管理、点滴、処置など) 病棟管理(患者の24時間の状態管理、記録、家族対応など) 患者・家族の教育や相談対応 <職業文化> 患者を「生活者」としてみて,生活を援助する 患者に最も近い医療者という意識が強い 医療安全に関して慎重で、リスク管理の意識が高い 病棟では「夜勤・シフト制」の勤務体系による独自のチーム文化 <よく起こる問題> 医師による治療と患者のQOLの間の葛藤 医師が患者の治療の目的がACPとズレていると感じている場合を感じる 医師から患者への情報提供の仕方がshared dicision makingできるような 内容ではないと感じることがある 当院職員から聴取 春田淳志先生からの「チャレンジ多職種連携」を参考
#26. 薬剤師 <役割> 薬のスペシャリストとして,薬剤の有効性を担保し、かつ安全性を 損なわないで薬物治療を遂行 薬物の相互作用や副作用の情報提供 服薬指導 調剤 流通管理 <職業文化> 処方が適切か(適応があるか)を常に気にする <よく起こる問題> 職業上の役割として疑義照会をすることで,医師が機嫌を悪くする 当院職員から聴取 春田淳志先生からの「チャレンジ多職種連携」を参考
多職種連携のコンピテンシー
#27. リハビリ療法士 <役割> 患者の機能回復・維持・向上を支援 ADL,IADLの改善を目指す 社会復帰に向けたサポートを提供する <職業文化> 「できること」に焦点を当てる 目標設定と評価を重視 長期的な視点で介入 <よく起こる問題> 「とりあえずリハビリやってみて」とリハビリの目的を考えずに 依頼されることがある 当院職員から聴取 春田淳志先生からの「チャレンジ多職種連携」を参考
#28. ソーシャルワーカー <役割> 退院支援・生活調整(患者の退院後の環境を整える) 医療・福祉サービスの調整(介護保険、障害者支援などの手続き) 患者・家族の心理的支援(経済的問題、社会的孤立などの相談) 虐待などでの行政との調整 社会福祉学、心理学、社会資源に関する知識などを持つ <職業文化> 「社会的な視点を持つ」ことが特徴 医療機関の間に入り文化のすり合わせをする <よく起こる問題> 医師が経済的,ADL的な側面を考えずに退院先を決め,退院調整係として 丸投げされたあとに経済的問題が発覚し,退院先の再調整に難渋する 当院職員から聴取 春田淳志先生からの「チャレンジ多職種連携」を参考
#29. 多職種連携のコンピテンシー 職種の役割を全うする 多職種で関わるときには このポイントを意識していくと 連携がしやすい 多職種パーティとして レベルアップする 職種間 コミュニケーション 自職種 理解 患者 利用者 家族 コミュニティ 中心 関係性に働きかける 春田淳志,後藤亮平 「総合診療が地域医療における専門医や他職種連携等に与える効果についての研究」報告書 多職種連携に求められる総合診療医の役割とは何か? 他職種 理解
#30. パーティはレベルアップする 範囲 戦略 戦闘力
パーティの戦闘力と連携の進化
#31. 連携の範囲と内容が増える モンスター退治 個々の患者対応のための連携 同じシステム内で連携 ダンジョン攻略 より広い医療機関間の連携 別のシステム間で連携 診療のスタンスを合わせる コミュニティ対応 医療機関のみならず 地域全体を巻き込む連携 さらに関係職種が増える
#32. パーティの戦闘力・練度が上がる ただの人の集まりから,チームとして機能するまでには段階がある チームがどの段階にいるのかを考えながら動く. メンバーが対立するのはチームとしての成長の証なので恐れてはいけない. 形成期 混乱期 統一期 機能期 相手がまだわからず, 出方を伺っている 自分の言いたいこと が言えるため,対立 することがある 相手を理解でき, 関係性が安定する 行動規範ができる 同じ目標に向かって 一体感と結束力が生まれる タックマンのチームの形成段階モデル Psychological Bulletin.1965;64:384
#33. 戦術を使い分けられるようになる 常にパーティが全力で連携しなければならないわけではない. 対応する相手によって,連携の度合いを変えるのが現実的でよい 予測:可能 緊急性:なし 複雑性:なし 予測:可能 緊急性:低 複雑性:低 予測:可能 緊急性:中 複雑性:中 ex) 通常の病棟 外来業務 予測:不可能 緊急性:高 複雑性:高 ex) 業務内容の伝達 勉強会 ex) 通常の退院調整 ネットワーキング コーディネーション 対面で会う必要なし メールやオンラインでOK 目標の明確化,説明責任, 目標の明確化,説明責任, チームの価値観が共有され, 役割分担が必要. 役割分担,相互依存が必要. 目標の明確化,説明責任,役割 分担,相互依存,統合が必要. コラボレーション ex) 急変患者の対応 複雑困難症例の対応 チームワーク JOURNAL OF INTERPROFESSIONAL CARE.2018;32:1-3 日本プライマリ・ケア連合学会 基本研修ハンドブック.南山堂. 2021年.p.213
#34. クロージング コンピテンシーを意識して レベルアップした多職種連携を