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アナフィラキシーのRRS対応

投稿者プロフィール
かんぱち

神戸市立医療センター中央市民病院

16,539

60

投稿した先生からのメッセージ

とある病院のRRS導入に伴って院内勉強用に作成したスライドです。

アナフィラキシー対応に慣れていない方にも想像しやすいような内容にしています。

概要

RRSは昨今必要とされるシステムです。普段慣れない診療を行うことがあるため、その講義資料になります。

投稿された先生へ質問や勉強になったポイントをコメントしてみましょう!

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テキスト全文

アナフィラキシーとRRSの概要

#1.

「アナフィラキシー」 RRS症候別セミナー2023 一般社団法人 日本アレルギー学会 アナフィラキシーガイドライン2022: https://anaphylaxis-guideline.jp/wp-content/uploads/2022/12/anaphylaxis_guideline2022.pdf 

#2.

院内迅速対応システムRRS(Rapid Response System)  目的:重症化や急変を未然に防ぐ 対象:入院患者 「RRS起動基準」に当てはまる 初期対応 院内急変コール 窒息・CPAなど 直ちに救命処置が必要なとき CPAコール

#3.

CONTENTS 症例 観察項目:RRS起動基準 鑑別診断 対処方法 検査 フローチャート 主治医への連絡 解散

症例紹介とバイタルサイン

#4.

1.症例 65歳男性 路上で躓き転倒、頭部打撲し外傷性SAHの診断で経過観察入院 夜間頻尿・下腹部痛が新規出現し、尿検査から膀胱炎と診断 セファレキシン2g/day内服開始の方針となっていた 病棟Ns「血圧が低い」とのことで、RRT看護師がcallされた RRT看護師が接触後、RRT医師(外科系当直医)へcallあり RRT Ns「ショックです!」

#5.

1.症例 A M P L E アレルギー Allergy 薬剤歴 Medication 既往歴 Past Medical History 摂食歴 Last Meal 現病歴 Event 薬剤・食べ物で指摘なし カロナール、ビソプロロール、リクシアナ 虫垂炎術後、高血圧、心房細動 最終食事18時 UTIとしてセファレキシン内服開始のあとに 「なんかのどが変」という発言があった そのあと嘔吐し、血圧低下した

#6.

1.症例 【バイタルサイン】 HR 140/min BP 70/40(50)mmHg SpO2 95% (10Lリザーバー) RR 30/min BT 36.9度 意識GCS11:E2V4M5 【身体所見】 全身に膨疹が広がっている WheezeⅢ度聴取する アナフィラキシーショックとして 0.5mgのアドレナリンを大腿前外側に筋注

RRS起動基準と鑑別診断

#7.

呼吸 2.観察項目RRS起動基準 RRS起動基準(一例) 5分以上SpO2 90%以下(酸素なし) 5L/min以上の増量が目標SpO2の維持に必要 呼吸数8回/minまたは24回/min以上(15秒カウントで2回以下または6回以上) 収縮期血圧90mmHg未満 心拍数40回/min以下または130回/min以上 新たな意識レベルの変化 何かおかしい 循環 意識 その他

#8.

呼吸 2.観察項目RRS起動基準 RRS起動基準(今回の症例) 5分以上SpO2 90%以下(酸素なし) 5L/min以上の増量が目標SpO2の維持に必要 呼吸数8回/minまたは24回/min以上(15秒カウントで2回以下または6回以上) 収縮期血圧90mmHg未満 心拍数40回/min以下または130回/min以上 新たな意識レベルの変化 何かおかしい 循環 意識 その他

#9.

3.鑑別診断 皮膚症状:膨疹(多くは掻痒感+) アレルギー性蕁麻疹

#10.

3.鑑別診断 皮膚症状:膨疹(多くは掻痒感+) 皮膚症状+その他の症状 アナフィラキシー 気道症状: 呼吸困難、喘鳴など 循環症状: 血圧低下、失神など 消化器症状: 腹痛、嘔吐など

アナフィラキシーの鑑別診断

#11.

3.鑑別診断 アナフィラキシー 皮膚症状がなくても 血圧低下 これも

#12.

3.鑑別診断 皮膚症状だけ 皮膚症状+その他の粘膜症状(A・B・C) 皮膚症状はないが血圧低下+気管支攣縮 or 喉頭症状 アナフィラキシー アレルギー性蕁麻疹 +循環動態不安定 (酸素需給バランスの障害) アナフィラキシーショック そんなにやばくない やばい 本当にやばい

#13.

3.鑑別診断 特に皮膚症状のないときが困る アナフィラキシーの鑑別はやまほど その他… 失神、解離性障害、血管性浮腫、消化管アニサキス、食中毒、 ACS、PE、急性心不全、中毒(ヒスタミン・セロトニン・チラミン) 好塩基球性白血病、カルチノイド症候群、甲状腺疾患 など

アナフィラキシーの対処方法

#14.

4.対処方法

#15.

4.対処方法 RRS要請

#16.

4.対処方法

#17.

4.対処方法

#18.

4.対処方法 治療選択肢 1st choice:アドレナリン(エピネフリン)筋注 大腿外側・真ん中(外側広筋)へ(ブルー針23Gを用いる) ※服の上からなら黒針22Gを用いる 10分で最大血中濃度、40分で半減 反応をみて5-15分毎に繰り返し投与する 心停止・それに近い状態では静脈投与も可能だが、 不整脈等の有害事象のリスクになるので筋注が第一

#19.

4.対処方法

#20.

4.対処方法 特にアドレナリン筋注の 適応基準はない ※「絶対的禁忌はない」 投与の参考: Grade 3(重症) 重篤なアナフィラキシーの既往 症状進行が激烈なGrade 2 気管支拡張薬吸入で改善しない呼吸器症状

#21.

4.対処方法 アドレナリン持続投与:複数回の筋注、補液で改善しないショック 0.1μg/kg/分を、血圧があがるまで増量(最大:0.2μg/kg/分) H1抗ヒスタミン薬:救命効果はないが皮膚・粘膜症状を改善 ポララミン(クロルフェニラミン):5mg/1ml 1A セチリジン:10mg/回 経口or静注 SABA吸入:β2刺激で気道症状の改善 サルブタモール:吸入製剤1回2吸入 ステロイド投与:二相性反応の予防・緩和、作用までに数時間 ソル・メドロール(mPSL, コハク酸型):1-2mg/kg/day ハイドロコートン(HC, リン酸型):100mg/2ml 1A H2抗ヒスタミン薬:H1抗ヒスタミンと合わせると蕁麻疹を更に軽減 ガスター(ファモチジン):10mg 1V グルカゴン投与:β遮断薬使用中などでアドレナリンが効果乏しいとき有用 1-5mg/dose(1mg 1V 1ml注射用水で溶解)を5分で投与、5-10分ごと 補液:distributive shockとなる、前負荷↓→心停止のリスク ショック、不応性なら5-10ml/kgを5-10分で投与 治療選択肢 ガイドライン上の第二選択薬 よく行う プラクティス 困ったときの 次の手段

#22.

4.対処方法 Ns「先生、検査何出しますか?」 Dr 「(アナフィラキシー単独なら 不要だけどほかの原因検索も するし)検査一般で」

アナフィラキシーにおける検査

#23.

5.検査 アナフィラキシーでは 血液検査は不要 ただし ショックや他疾患鑑別を要する 場合はRRSセット展開を

#24.

6.フローチャート アドレナリン0.5mg 大腿外側 IM その他 3つの対応 ICU入室の判断 治療のための 関連科コンサルト 家族への病状説明 CODE確認 ±

主治医への連絡と対応

#25.

7.主治医への連絡 Rapid RTの活動範囲 患者情報収集 トリアージ 診察・検査 初期治療 現状評価 治療方針確認および調整(コーディネート) 将来重症化した際の対応 CODE(Full or DNAR or DNIなど)の確認 ICU入室の必要性を判断 関連科オンコール医師介入 他職種・医療チーム介入 病状によっては家族対応 ※注意※ Rapid RTが継続して診療を行うものではない 日中 速やかに主治医へ 情報共有する

#26.

7.主治医への連絡 Rapid RTの活動範囲 患者情報収集 トリアージ 診察・検査 初期治療 現状評価 治療方針確認および調整(コーディネート) 将来重症化した際の対応 CODE(Full or DNAR or DNIなど)の確認 ICU入室の必要性を判断 関連科オンコール医師介入 他職種・医療チーム介入 病状によっては家族対応 夜間 ここに関して主治医(or オンコール当番医)対応が必要であれば相談 必須ではない

#27.

8.解散 上記3つの対応が完了すれば解散

アナフィラキシーの流れと重要事項

#28.

+α.流れ 実際の流れ:はじめの症例で RRT医師接触時、全身紅潮・膨疹+呼吸症状+循環症状あり、ショック 誘引として初めて使用したセファレキシン内服があり、 アナフィラキシーショックとしてアドレナリン0.5mg大腿外側筋注 5分後、全身紅潮はやや引いたが、ショック遷延しており アドレナリン0.5mg大腿外側に2回目の筋注 ビソプロロール(β遮断薬)内服による難治性アナフィラキシーとして グルカゴン1mgを2回目の筋注に連続して投与、補液全開投与(1000ml) 血圧上昇、酸素化、意識レベル改善傾向にあり、全身掻痒感の訴えあり ガスター・ポララミンを生食100mlへ混注投与し30分で投与 二相性反応の懸念(ショック)あり、ソル・メドロール40mgを投与 ・ICU入室 要相談(連続モニタリングできていれば不要) ・関連科コンサルト なし ・家族への病状説明 増悪傾向ならば連絡

#29.

Take Home Message 「皮膚症状」がなくてもアナフィラキシーはある 認識したらアドレナリンを大腿外側真ん中に筋注大人なら0.5mg(0.01mg/kg)必要なら5-15分毎に投与 アナフィラキシーの原因検索を怠らない:RRSセット展開 二相性反応にご注意を 「ICUかどうか」「治療介入」「病状説明とCODE」確認

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