テキスト全文
RRS症候別セミナーと目的の説明
#2. 院内迅速対応システムRRS(Rapid Response System)
目的:重症化や急変を未然に防ぐ 対象:入院患者
「RRS起動基準」に当てはまる 初期対応 院内急変コール 窒息・CPAなど
直ちに救命処置が必要なとき
CPAコール
#3. CONTENTS 症例
観察項目:RRS起動基準
鑑別診断
対処方法
検査
フローチャート
主治医への連絡
解散
症例紹介と観察項目の基準
#4. 1.症例 76歳男性
大腿骨頸部骨折術後day4
昼からしんどそう、夕方のバイタル測定で38℃あり。
23時ごろ本人より「寒い」とナースコール
発熱+血圧低下のため23時頃にRRT看護師をcall
ショック状態と判断され、
RRT医師(外科系当直医)もcallされた
【バイタルサイン】
HR 135/min BP 87/45(59)mmHg SpO2 92% 室内気
RR 23/min BT 39.8℃ 意識GCS14:E3V5M6
#5. 1.症例 A M P L E アレルギー
Allergy 薬剤歴
Medication 既往歴
Past Medical History 摂食歴
Last Meal 現病歴
Event 薬剤・食べ物なし カロナール、ユリーフ 前立腺肥大、尿管結石 最終食事18時 大腿骨頸部骨折術後day4、発熱あったがその後悪寒訴え、血圧低下みられた
#6. 呼吸 2.観察項目RRS起動基準 RRS起動基準(一例)
5分以上SpO2 90%以下(酸素なし)
5L/min以上の増量が目標SpO2の維持に必要
呼吸数8回/minまたは24回/min以上(15秒カウントで2回以下または6回以上)
収縮期血圧90mmHg未満
心拍数40回/min以下または130回/min以上
新たな意識レベルの変化
何かおかしい 循環 意識 その他
敗血症性ショックの鑑別診断
#7. 呼吸 2.観察項目RRS起動基準 RRS起動基準(今回の症例)
5分以上SpO2 90%以下(酸素なし)
5L/min以上の増量が目標SpO2の維持に必要
呼吸数8回/minまたは24回/min以上(15秒カウントで2回以下または6回以上)
収縮期血圧90mmHg未満
心拍数40回/min以下または130回/min以上
新たな意識レベルの変化
何かおかしい 循環 意識 その他
#8. 3.鑑別診断 敗血症性ショック の対応を抑えましょう Septic shock 何はともあれ ※ベッドサイド診断のためのqSOFAはSIRSと比較して「特異度は高いが感度が低い」とされていて「スクリーニングとして単独では用いない」となっています(SSCG2021) !! 注意 !!
「無熱性」「低体温」でも敗血症のことがあり
予後が悪いことが知られています
対処方法と1-Hour Bundleの重要性
#10. ただし、その院内死亡率への影響は明らかではなく、不要な広域抗菌薬の使用が耐性菌の増加につながる懸念もある 4.対処方法 1-Hour Bundle 日本の敗血症ガイドライン(J-SSCG2020)CQ4-6では、
Q:経験的抗菌薬は,敗血症認知後1時間以内を目標に投与開始するか?
A:敗血症あるいは敗血症性ショックと認知した後,抗菌薬は可及的早期に開始するが,必ずしも 1 時間以内という目標は用いないことを弱く推奨する (GRADE 2C:エビデンスの確実性 =「低」)。 JJAAM. 2020; 31: 2402-8 SSCG2012(Sepsis-2)、 SSCG2016(Sepsis-3)で
「敗血症認知後3時間以内に抗菌薬投与」すべき、と記載 もともとは「敗血症3時間Bundle」 これをもとに、SSCで「1-Hour Bundle」が提唱された
#11. ただし、その院内死亡率への影響は明らかではなく、不要な広域抗菌薬の使用が耐性菌の増加につながる懸念もある 4.対処方法 1-Hour Bundle 日本の敗血症ガイドライン(J-SSCG2020)CQ4-6では、
Q:経験的抗菌薬は,敗血症認知後1時間以内を目標に投与開始するか?
A:敗血症あるいは敗血症性ショックと認知した後,抗菌薬は可及的早期に開始するが,必ずしも 1 時間以内という目標は用いないことを弱く推奨する (GRADE 2C:エビデンスの確実性 =「低」)。 JJAAM. 2020; 31: 2402-8 SSCG2012(Sepsis-2)、 SSCG2016(Sepsis-3)で
「敗血症認知後3時間以内に抗菌薬投与」すべき、と記載 もともとは「敗血症3時間Bundle」 これをもとに、SSCで「1-Hour Bundle」が提唱された 必ずしも1時間以内の投与を目標としない
としたとしても、このBundleの考え方は有用!
Lactate測定と血液培養の手順
#13. 4.対処方法 Lacを測定する 2mmol/L以上で上昇
#14. 4.対処方法 Lacを測定する
血液培養2セット 尿検査・尿培養も提出!
#15. 4.対処方法 Lacを測定する
血液培養2セット
広域抗菌薬 投与済みの抗菌薬
検出菌歴を確認して
感染巣を考えながら
CTRX or P/T or MEPM
± VCM
血圧低下時の対応と薬剤使用
#16. 4.対処方法 Lacを測定する
血液培養2セット
広域抗菌薬
血圧低下 or lac 4mmol/L→30ml/kg 細胞外液 IV 50kgの患者で1500ml(3本)
#17. 4.対処方法 補液でも血圧が低い→血管収縮薬を用いる※目標MAP≧65mmHg 血管収縮は早期に開始!
ノルアドレナリン 1st
ショット:1A(1mg/1ml)+生食100ml
→1回あたり1-2mlを2-5分毎
持続:5A(5mg/5ml)+生食45ml
→2-10ml/hが目安
ピトレシン 2nd(NADに併用)
持続:1A(20U/1ml)+生食19ml
→2ml/hを超えない
#18. 4.対処方法 補液でも血圧が低い→血管収縮薬を用いる※目標MAP≧65mmHg 血管収縮は早期に開始!
ノルアドレナリン 1st(001)
ショット:1A(1mg/1ml)+生食100ml
→1回あたり1-2mlを2-5分毎
持続:5A(5mg/5ml)+生食45ml
→2-10ml/hが目安
ピトレシン 2nd(NADに併用)(007)
持続:1A(20U/1ml)+生食19ml
→2ml/hを超えない セット → オーダ → 病院タブ
010:注射:
希釈・投与量に注意が必要なもの
から展開
#19. 4.対処方法 Lacを測定する
血液培養2セット
広域抗菌薬
血圧低下 or lac 4mmol/L→30ml/kg 細胞外液 IV
補液でも血圧が低い→血管収縮薬を用いる※目標MAP≧65mmHg 培養とって抗菌薬!
#20. 4.対処方法 Lacを測定する
血液培養2セット
広域抗菌薬
血圧低下 or lac 4mmol/L→30ml/kg 細胞外液 IV
補液でも血圧が低い→血管収縮薬を用いる※目標MAP≧65mmHg 培養とって抗菌薬! 補液して昇圧薬!
検査の実施と感染源の特定
#21. 4.対処方法 Lacを測定する
血液培養2セット
広域抗菌薬
血圧低下 or lac 4mmol/L→30ml/kg 細胞外液 IV
補液でも血圧が低い→血管収縮薬を用いる※目標MAP≧65mmHg +αで…
#22. 4.対処方法 “尿検査・尿培養、及び必要に応じて喀痰培養を提出する” “原因検索目的の画像検査を行う”
Fever work upとしてRRSセットには胸部Xpが含まれますが、
「感染源のコントロールが重要とされる疾患」の検索に造影CTが必要な場合が多いです
#23. 4.対処方法 Ns「先生、検査何出しますか?」 Dr「検査一般と培養で!」
フローチャートによる対応手順
#24. 5.検査 一般血液検査
+
各種培養・尿検査
+
造影CT検査
#25. 6.フローチャート 発熱・血圧低下 RRSセット + 尿検査 + 血液・尿(±喀痰)培養
同時に蘇生 身体診察
全身造影CT検査 3つの対応 ICU入室の判断 治療のための
関連科コンサルト 家族への病状説明
CODE確認 敗血症性ショックを想起 1-Hour Bundle
培養とって抗菌薬!
補液して昇圧薬!
#26. 7.主治医への連絡 Rapid RTの活動範囲
患者情報収集
トリアージ
診察・検査
初期治療
現状評価
治療方針確認および調整(コーディネート)
将来重症化した際の対応
CODE(Full or DNAR or DNIなど)の確認
ICU入室の必要性を判断
関連科オンコール医師介入
他職種・医療チーム介入
病状によっては家族対応
※注意※
Rapid RTが継続して診療を行うものではない 日中 速やかに主治医へ
情報共有する
主治医への連絡と解散の流れ
#27. 7.主治医への連絡 Rapid RTの活動範囲
患者情報収集
トリアージ
診察・検査
初期治療
現状評価
治療方針確認および調整(コーディネート)
将来重症化した際の対応
CODE(Full or DNAR or DNIなど)の確認
ICU入室の必要性を判断
関連科オンコール医師介入
他職種・医療チーム介入
病状によっては家族対応
夜間 ここに関して主治医(or オンコール当番医)対応が必要であれば相談
必須ではない
#28. 8.解散 上記3つの対応が完了すれば解散
#29. +α.流れ 実際の流れ:はじめの症例で RRT医師接触時、静脈路2本あり輸液前回投与中でBP75/39(51)
希釈ノルアドレナリン(NAD)(1mg/100ml)を5分おきに2ml投与しつつ、
持続NADの準備・2ml/hで開始(後押し生食100ml/h)を指示
希釈NAD計2回bolus投与、持続NAD開始するが
輸液1500ml投与後(BW50kg)もBP80/56(64)とまだNAD増量が必要
尿管結石の既往あり、診察(超音波検査)で右水腎症を認めた
複雑性尿路感染症の可能性が高いとしてタゾピペ4.5g投与
熱源検索目的の造影CTを施行し右尿管結石あり、NADは8ml/hまで増量
・ICU入室 必要
・関連科コンサルト 尿管ステント留置のため泌尿器科オンコールへ
・家族への病状説明 増悪傾向が続くならば連絡
部屋移動の後に解散
#30. Take Home Message 「発熱・血圧低下」ではまず敗血症性ショックを想起する 無熱性・低体温の敗血症にも注意!
Hour-1 Bundleの「5つのポイント」「目標MAP65mmHg」 培養とって抗菌薬!補液して昇圧薬!
オーダーは一般検査 + 各種培養 ±(造影)CT
「ICUかどうか」「治療介入」「病状説明とCODE」確認