テキスト全文
レベチラセタム使用中の精神症状
#1. TIPS
レベチラセタム使用中に
精神症状が出現したら、
レベチラセタムは「すぐ中止」。 Daisuke Yamamoto
Department of Neurology, Shonan Kamakura General Hospital みんなの脳神経内科実践編
―神経診療が楽しくなる、明日から使えるACTION TIPS―
#2. みんなの脳神経内科実践編
―神経診療が楽しくなる、明日から使えるACTION TIPS― 私たちの行動を変える・支える「言葉」があります。
知識はAIが教えてくれます。
TIPSの価値は、知識でなく、「生きた言葉」を伝えることです。
行動を変えるACTION TIPSを伝えていきます! Daisuke Yamamoto
Department of Neurology, Shonan Kamakura General Hospital
#3. TIPS
レベチラセタム使用中に精神症状が
出現したら、
レベチラセタムは「すぐ中止」。
アルツハイマー病患者の症例
#4. 症例 85歳男性例。背景にアルツハイマー病がある。てんかん発作で入院し、レベチラセタム1000 mg/dayを投与とした。入院後、夜間易怒性を伴い、不眠状態であった。さてこの状況をどう考えるか?認知症のせん妄症状の可能性を考慮して、せん妄対応の投薬介入をするのか?はたまた、レベチラセタムの副作用として捉えるべきか?区別がつけられない。まずはせん妄対策として、抗精神病薬の投与から始めてみようか…。 みんなの脳神経内科 実践編
神経診療が楽しくなる、明日から使えるACTION TIPS!!
#5. 症例 そう考えそうになったが、本TIPSの原則に従い、思い切ってレベチラセタムを「引き算」して中止とし、精神副作用の少ないラコサミドへと切り替えた。すると、投与中止から数日で夜間易怒性と不眠は嘘のように消失し、穏やかな状態を取り戻した。抗精神病薬を「足し算」してポリファーマシーに陥るのを防ぐことができたのもよかった。 みんなの脳神経内科 実践編
神経診療が楽しくなる、明日から使えるACTION TIPS!!
LEVの精神症状リスクと影響
#6. LEVの精神症状リスク 症例は既知の認知症診断があり、夜間に精神症状があったわけですので、認知症背景のせん妄症状をまずは考えるのは妥当でしょう。一方で、レベチラセタム(LEV)が精神症状を悪化させるリスクについては心得ているわけですが、ここでLEVの中止判断を下していくのは尚早な気もします。このようなシチュエーションは臨床判断の悩みとして、あるあるのシチュエーションともいえます。 みんなの脳神経内科 実践編
神経診療が楽しくなる、明日から使えるACTION TIPS!!
#7. 神経救急セッティングでのLEVの副作用は多い ただし、LEV内服下で発生したせん妄症状は、往々にして薬剤が関与している確率は高いです。LEV投与中の神経救急患者の約50%が過活動性の精神症状を認めたという報告があります。特に、高齢者や神経救急患者では、その頻度が高くなる傾向が複数報告で支持されています。 みんなの脳神経内科 実践編
神経診療が楽しくなる、明日から使えるACTION TIPS!! Strein M, et al. Pharmacotherapy. 2023;43:122-128.
LEVの作用機序と高齢者への影響
#8. LEVの機序 LEVはSV2Aを介して神経伝達を調整する薬剤であり、情動制御に関与する回路にも影響を及ぼすと考えられています。高齢者では脳の予備能が低く、もともとせん妄や行動変化を起こしやすい背景があるため、薬剤の影響がより顕在化しやすいと考えられます。 みんなの脳神経内科 実践編
神経診療が楽しくなる、明日から使えるACTION TIPS!! Steinhoff BJ, et al. Epilepsy Behav. 2021;118:107939.
Inouye SK, et al. Lancet. 2014;383:911-922.
#9. LEVは粘らず中止 ここは粘って、LEVを継続しながらせん妄治療を…と対応していくと、往々にしてうまくいきません。もちろん発作再発リスクは考慮すべきですが、精神症状が悪化すれば治療継続そのものが困難になります。このシチュエーションでは潔く、LEV中止が好ましいです。必要であれば他剤への切り替えを検討します。てんかん診療で頻用するLEVの副作用については、常に留意しておきましょう。 みんなの脳神経内科 実践編
神経診療が楽しくなる、明日から使えるACTION TIPS!!
精神症状への対応と薬剤中止の重要性
#10. このTIPSを元に、以下を行動のルールにしてください。精神症状があり、LEVが原因薬剤かどうかで悩んだ場合は、LEV中止を判断すること。LEVが精神症状に悪影響を与えている可能性は高いので、まずは薬剤性要因から検討するのがよいでしょう。薬剤中止によって症状が改善する可能性があるなら、足し算(問題解決のための追加処方)よりも、引き算(薬剤中止)による問題解決を試みるのは賢い判断になります。 POINT
#11. 問題が起きたとき、まず薬を足すのではなく、
原因となりうる薬を引いてみる。この姿勢は高齢者診療の基本でもあります。
総論的に、日常診療における対応において、足し算をするのか?
引き算をするのか?この発想を持っておくことは重要です。 POINT
抗てんかん薬の選択と引き算の考え方
#12. ためらう気持ちはわかるが、まずはLEVの「引き算」を考える。(抗てんかん発作薬は精神症状の少ないラコサミドなど他剤への切り替えを同時にセットで計画する)
ACTION
#13. TIPS
レベチラセタム使用中に
精神症状が出現したら、
レベチラセタムは「すぐ中止」。