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旭労災病院総合内科の紹介と診断の重要性
#2. よくある疾患をきちんと診断するには 1.その疾患の典型的な経過を覚えておく
2.その疾患に似た重篤な疾患を除外できる
3.本当にその疾患でよいかを常に疑う ちゃんと全体像を覚えておくことが大事なんだね。
片頭痛の特徴と症状の詳細
#3. よくある疾患その⑦:片頭痛
片頭痛は、片側に発生する拍動性頭痛で、吐き気や光・音過敏を伴う疾患。
#4. 1.その疾患の典型的な経過を覚えておく
2.その疾患に似た重篤な疾患を除外できる
3.本当にその疾患でよいかを常に疑う
#5. 片頭痛は、痛みと随伴症状が強く、これらの症状で日常生活が阻害される疾患 片頭痛の特徴 + 随伴症状 ズキズキ 片側(両側もあり)の中等度~重度の拍動性頭痛 体動で悪化し、日常生活動作が困難になる 4~72時間持続 悪心・嘔吐を伴う 光過敏(まぶしい)
や音過敏あり 暗い部屋でじっとしていると楽!
=日常生活ができない
片頭痛のICHD-3基準と随伴症状
#6.
片頭痛(前兆なし)におけるICHD-3基準の要点:
A:発作回数: 少なくとも5回以上の頭痛発作がある
B:持続時間: 4~72時間(未治療or治療無効時)
C:特徴: 以下の4つのうち2つ以上を満たす
片側性
拍動性
中~重度の痛み
日常動作で増悪(例: 歩行や階段昇降)
D:随伴症状: 悪心/嘔吐、または光・音過敏のいずれか1つ以上
E:他疾患が除外できる
片頭痛全体の2~3割は、閃輝暗点(ギザギザ、キラキラ)や感覚症状などの前兆を伴うが、多くは前兆なし。 + 随伴
症状 頭痛と随伴症状で日常生活が阻害
#7. + 痛みの程度が強く、動作で悪化する→日常生活が阻害される 持続時間:4~72時間だが、小児では短め(2時間~)
痛みの性質:中等度~重度で拍動性(ズキズキ)
増悪因子:体動で悪化し、日常生活に支障をきたす
部位:典型的には片側だが、両側の場合もある 鑑別としてよくある緊張型頭痛は、痛みの強さは軽度~中等度で日常動作で悪化しないため、多くの場合で日常生活は継続可能(鑑別点の1つ)
#8. + 随伴
症状 頭痛が出ていない時期も、随伴症状で日常生活が阻害される 患者さんは頭痛期のみを訴えることが多いので、それ以外の時期も随伴症状で調子が悪いことを意識して聞く。
片頭痛の典型的な患者像と誘因の考察
#9. 片頭痛の典型的な患者像と主な誘因 50歳以降の初発の片頭痛はレア!
まずは側頭動脈炎や脳卒中、脳腫瘍などの二次性頭痛を先に疑う。 月経周期との関連、睡眠不足や飲酒、特定食品の摂取(チョコ、赤ワイン、チーズなど)との関連を問診で聞く
#10. 一次性頭痛 3大疾患の比較 + 随伴
症状 + 片頭痛のイメージ 緊張型頭痛のイメージ 随伴症状 ギューッ ズキズキ 緊張型頭痛は、頭痛は軽度で随伴症状もほぼない
➡日常生活はOK 実際には片頭痛と緊張型頭痛の併発(混合型頭痛)も多い。
片頭痛と緊張型頭痛の鑑別ポイント
#11. そうなんだ。それって、頭痛や吐き気で、日常生活の支障がでているし、光過敏もありそうだから片頭痛の要素もあるんじゃないの? 先生、20歳代のパソコン作業で肩こりがひどく、両側性に頭痛がある緊張型頭痛の女性ですが、
最近パソコンの画面を見ると頭痛が悪化して吐き気もあり仕事ができないらしいんです。 え?でも両側性だし肩こりもあるんですよ? 片頭痛とはいうけれど、実際は両側性のことも多いんだ。あと、緊張型頭痛だと思っても頭痛や随伴症状がひどくて動けない場合は両者が合併した混合型頭痛を考えるべきだね。頭痛の性状は? 緊張型頭痛だと思っても片頭痛のことがある! 脈打つような痛みで、動くと悪化するから、よく休憩室で安静にしているようです。 なるほど、NSAIDsが効いていないみたいだし、トリプタンを試してみよう。
#12. 1.その疾患の典型的な経過を覚えておく
2.その疾患に似た重篤な疾患を除外できる
3.本当にその疾患でよいかを常に疑う
二次性頭痛を見逃さないためのSNOOP基準
#13. S: Systemic symptoms/signs(全身症状・徴候)
発熱、体重減少などの全身症状がある場合は、
感染症や悪性腫瘍など二次性の可能性を考慮。
N: Neurologic symptoms or signs(神経学的症状・徴候)
意識レベルの変化、麻痺、視野欠損など
神経学的異常を伴う場合は要注意。
O: Onset sudden(急激な発症)
雷鳴頭痛のように突然発症して激痛になる場合は
くも膜下出血などを疑い、緊急対応が必要。
O: Onset after age 40 years(40歳以降の発症)
40歳以降に新規発症した頭痛は、側頭動脈炎や脳腫瘍などの可能性を除外すべき。
P: Pattern change(パターンの変化)
頭痛の頻度・強度・性質が変化した場合は、再評価や画像検査などで二次性原因を検討。 二次性頭痛を見逃さないためのポイント:SNOOP ※下記項目のいずれかがあれば、二次性頭痛を最優先に疑う!
#14. S: Systemic symptoms/signs(全身症状・徴候)
発熱、体重減少などの全身症状がある場合は、
感染症や悪性腫瘍など二次性の可能性を考慮。
N: Neurologic symptoms or signs(神経学的症状・徴候)
意識レベルの変化、麻痺、視野欠損など
神経学的異常を伴う場合は要注意。
O: Onset sudden(急激な発症)
雷鳴頭痛のように突然発症して激痛になる場合は
くも膜下出血などを疑い、緊急対応が必要。
O: Onset after age 40 years(40歳以降の発症)
40歳以降に新規発症した頭痛は、側頭動脈炎や脳腫瘍などの可能性を除外すべき。
P: Pattern change(パターンの変化)
頭痛の頻度・強度・性質が変化した場合は、再評価や画像検査などで二次性原因を検討。 二次性頭痛を疑うSNOOP→日本語で覚えるなら…
#15. 日本語で覚えるなら➡突然、熱心(神)に変わる中高年! うおおぉおぉ!! 命を燃やして
応援するぜッ! みなぎってキターッ! 眠い…。 やる気でない…。
くも膜下出血と髄膜炎の鑑別診断
#16. 突発の激痛+項部硬直→ SAHをまず疑う! ◆どんな疾患?
最多原因は脳動脈瘤の破裂
「人生最悪の頭痛」「雷鳴頭痛」と呼ばれる激烈な痛み
◆特徴
数秒~数分で痛みがピークに達する
項部硬直・意識障害を伴いやすい
CTで出血確認し、陰性でも疑い強ければ腰椎穿刺
◆片頭痛との鑑別点
片頭痛:徐々に痛みが強くなる
SAH:突然(瞬間的)に最大強度の痛み
#17. “いつもとは違う痛み”なんだよね?
痛みの性質や発症状況は詳しく確認した? もともと片頭痛持ちですが、今回は普段よりも痛みがかなり強くて救急要請したようです。鎮痛剤を点滴して帰宅してもらおうと思っています。 もともと頭痛持ちでも“いつもの頭痛”と同じか確認する テレビで野球番組を見ていて、打者がホームランを打った瞬間に頭が割れたように痛みが来たらしいです。 頭痛が起きた瞬間を鮮明に言えるということは突然発症だね。急激にピークに達するような場合は、くも膜下出血を疑って早急にCT検査が必要だよ。 え…、既往があるので、今回も同じ片頭痛かと思っていました。
#18. 頭痛+発熱+髄膜刺激症状→ 髄膜炎の可能性! ◆どんな疾患?
髄膜(脳や脊髄を包む膜)の炎症
細菌・ウイルス・真菌などが原因
◆特徴
高熱、項部硬直、頭痛、悪心・嘔吐
時に意識障害、けいれん、発疹(髄膜炎菌など)を伴う
◆片頭痛との鑑別点
片頭痛では発熱や意識障害は通常みられない
髄膜炎は髄膜刺激症状があり、低Na血症や排尿障害を伴うことがある
細菌性髄膜炎は急激な進行や全身状態の悪化を伴うことがあるため、疑ったら迷わず髄液検査を行う
無菌性髄膜炎と巨細胞性動脈炎の特徴
#19. ウイルス感染による無菌性髄膜炎だと炎症が髄膜に留まって肝臓でCRPが産生されず、炎症反応は陰性になることもあるから否定はできないよ。
診察でも軽い髄膜刺激症状があるし、膀胱も緊満してる。血清Naも低いね。 先生! この頭痛の患者さん、発熱と頭がガンガン痛いということで受診されました。
熱はあるようですが、WBCは上昇なくCRPも陰性なので髄膜炎は否定的でいいですよね? え、どういうことですか? 尿閉や低ナトリウム血症は、髄膜炎の合併症としてしばしば見られるんだ。
髄液検査をしてみよう。 無菌性髄膜炎はCRP陰性に騙されない!
#20. 高齢初発+こめかみ痛+炎症反応高値 →巨細胞性動脈炎(GCA)? ◆どんな疾患?
50歳以上に多い大型血管炎
側頭部の拍動痛や顎跛行、視力障害に要注意
◆特徴
浅側頭動脈の圧痛・拍動減弱
炎症反応(ESR・CRPなど)が上昇
◆検査
視力障害リスクが高いため眼科依頼。
エコーでハローサインの確認、側頭動脈生検で確定診断
◆片頭痛との鑑別点
高齢で初発、こめかみに圧痛、炎症所見が高値
高齢者における片頭痛と二次性頭痛の鑑別
#21. 高齢で初発の片頭痛はレアだから、まずは二次性頭痛を除外しないと。
ん、なんか熱っぽくない? 高齢の患者さんですが、こめかみあたりがズキズキ痛いようですね。痛みは今回が初めてのようですが、片頭痛でしょうか。 そういえば発熱もありました。
熱のためか、最近食事を食べていると顎が疲れてゆっくり休憩しないと食べれないそうです。 それって顎跛行だよね。
側頭動脈に圧痛もありそうだし、まずは側頭動脈のエコー検査をしてみよう。 高齢初発の片頭痛はレア!GCAを鑑別にあげよう。
#22. 慢性的な頭痛の増悪+神経症状 → 画像検査で脳腫瘍を除外! ◆どんな疾患?
頭蓋内の腫瘍が徐々に拡大 → 慢性進行性頭痛
◆特徴
朝方に頭痛が強く、嘔吐すると軽快しやすい
進行するとうっ血乳頭や局所神経症状(麻痺・性格変化・てんかん発作など)を伴う
◆検査
CT/MRIで占拠性病変を確認
脳外科へコンサルト
◆片頭痛との鑑別点
片頭痛:反復性の発作
脳腫瘍:徐々に悪化し、頭痛が消えずに持続
診断エラーを防ぐための考え方と方法
#23. 1.その疾患の典型的な経過を覚えておく
2.その疾患に似た重篤な疾患を除外できる
3.本当にその疾患でよいかを常に疑う
#25.
簡単に読めて、網羅的な鑑別診断の考え方をマスターできる診断学の入門書です。
ロジックツリーを使用して分析的に考える 意見の共有とフィードバック 参考:
当院の診断推論カンファレンスの流れ マインドフルネス 呼吸と身体感覚に意識を集中。10分やるだけでもスッキリ。
丹田呼吸や54321法と組み合わせるのもオススメです。 診断エラーを防ぐためには?