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ミニマム!運動障害の患者さんに出会ったら

  • 内科

  • 脳神経内科

  • 神経内科
  • 神経診察
  • 運動障害

97,291

130

2020/1/21
2020/1/21 更新

本スライドの対象者

研修医/専攻医

内容

「動きが悪い」というテーマについて、診断アプローチの整理とともに、診察についても学べるスライドです。運動障害を整理して理解し、整然と患者説明ができるようになることが目標です。

山本大介

湘南鎌倉総合病院


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ミニマム!運動障害の患者さんに出会ったら

  1. DAISUKE YAMAMOTO Department of Neurology, Shonan Kamakura General Hospital Neurological examination and diagnostic approach for motor disorder ミニマム!運動障害の 患者さんに出会ったら

  2. Introduction 運動障害について考えなければいけないシチュエーションは多いです。動けるか動けないか?は言うまでもなく重大なテーマであり、神経領域の診療ではメジャーな検討事項の一つであります。神経領域以外でも、救急診療・外来/入院診療で話題に上がることも多い事でしょう。ここでは、運動障害の診察の仕方、考え方について学べるスライドを作ってみました。簡単には語れない内容ではありますが、わかりやすさを重視して作成しています。カルテ記載の方法、患者説明も含めて言及しており、実践的な内容が学べるように工夫しています。

  3. 運動障害の見方の入り口 運動障害の導入で、まずはじめに確認する事。

  4. それぞれの場合で、原因は以下のように分類できます。   力が入らない場合    → 脳の問題、脊髄の問題、末梢神経の問題、筋肉の問題               神経筋接合部の問題 力は入るが動けない場合 →「運動調節」の問題 まずは入り口で、「力は入るが、動けない場合」の可能性を検討するようにしましょう。 まずは運動障害が、「力が入らなくて動けないのか?」 それとも「力は入るけど動けないのか?」 この二つを考えることから始めます。

  5. 運動障害  ・力が入らない場合  ・力は入るが動けない場合 SUMMARY

  6. 力は入るけど動けない場合 →運動調節の問題 運動障害において 運動調節障害を、まずは独立して 理解することが重要です。

  7. 運動失調とは、「筋力低下がないのにもかかわらず、力の入り具合を微調節することができないことにより、運動が拙劣になること」と言えます。 パーキンソニズム(無動)とは、「筋力低下がないのにもかかわらず、脳深部の機能障害により、動きが遅くなったり、少なくなったりすること」と言えます。 この二つについて理解し、説明ができると、ロジカルに患者説明ができます。 力が入るが動けないのは、運動調節の問題によります。 そして、運動調節が悪い場合は、2通りを考えます。   ひとつは、運動失調の可能性。   もうひとつは、パーキンソニズム(無動)の可能性。

  8. 運動障害  ・力が入らない場合  ・力は入るが動けない場合    ・運動失調の場合    ・パーキンソニズム(無動)の場合 SUMMARY

  9. 診察では、二つの運動失調を評価する手技を学びましょう。 小脳性失調をみる試験 →指鼻試験・膝踵試験 感覚性失調をみる試験 →Romberg試験   感覚性失調をみるのに、Romberg試験だけでは不十分です。臨床現場で感覚性失調を評価する頻度は少ないと思われますので、ここではRomberg試験だけ記載しています。臨床では、小脳性失調の頻度の方が多いです。 ①力は入るけど動けない→運動失調の可能性 運動失調はシンプルには、 小脳性失調と感覚性失調に分けられます。

  10. 運動障害  ・力が入らない場合  ・力は入るが動けない場合    ・運動失調の場合       ・小脳性失調の場合:四肢失調の診察       ・感覚性失調の場合:深部感覚の診察    ・パーキンソニズム(無動)の場合:無動の診察 SUMMARY

  11. 無動、振戦、筋強剛がパーキンソニズムでしたね。運動障害に関しては、主たる症状は無動ですので、パーキンソニズムの中の、無動を診察で確認して下さい。   無動の診察→指タップ、グーパー、足タップ 運動障害が問題になるときに、パーキンソニズムは実にメジャーなテーマです。 評価ができるようになると診療に幅が広がります。 ②力は入るけど動けない→パーキンソニズム(無動)の場合 無動の診察ができるようになりましょう。

  12. 運動障害  ・力が入らない場合  ・力は入るが動けない場合    ・運動失調の場合       ・小脳性失調の場合:四肢失調の診察       ・感覚性失調の場合:深部感覚の診察    ・パーキンソニズム(無動)の場合:無動の診察 SUMMARY

  13. 運動障害について評価しようとしたとき、まずはその入り口に二つのことを考えます。運動機能障害が、「力が入らなくて動けないのか」、「力は入るが運動調節障害があり動けないのか」、を検討します。 後者の運動調節障害は二つに大きく分けられます。一つは運動失調です。運動失調は小脳性失調と感覚性失調に分かれます。もう一つの運動調節障害は、パーキンソニズム(無動)です。 運動失調と無動の診察を加えることで、「力は入るが動けない」を評価できます。この検討を行い、次に力が入らない場合にについて検討していきます。 ここまでのまとめ

  14. 力が入らない場合→ 軽微な麻痺を検出する方法 脱力を診察するのに、 まず覚えてほしい診察技法。

  15. 上肢Barre試験とMingazzini試験を覚えましょう。これらは軽微な麻痺を検出する診察方法です。これをミニマムな診察として覚えましょう。 上肢の軽微な麻痺を検出する試験:「上肢Barre試験」 下肢の軽微な麻痺を検出する試験:「Mingazzini試験」 これら試験の名称については色々意見があるところですが、ここではわかりやすさを重視して上記の記載を採用しています。 力が入らない場合→軽微な麻痺を検出する方法 上肢Barre試験とMingazzini試験

  16. 力が入らない場合→ MMTについて MMTについて、もう一度見直してみましょう。

  17. 力が入らない場合→MMT MMTは関節ごとに記載すると、記載もしやすいですし、読む側もわかりやすいです。記載者にも第3者にも、わかりやすさを重視した記載は私は価値が高いと考えます。ここでは関節ごとの記載をお勧めしてみます。視覚的なわかりやすさに優れています。 □MMT (上肢) 肩関節外転 肘関節屈曲 肘関節伸展 手関節背屈 手関節屈曲 手指伸展  手指屈曲 (下肢) 大腿屈曲 膝関節屈曲 膝関節伸展 足関節底屈 足関節背屈 

  18. 脱力の評価で、 追加して評価すること 「腱反射」による部位診断 反射が亢進していれば、中枢神経系(脳と脊髄)の問題。反射が低下していれば、末梢神経の問題と言えます。 反射の亢進・低下って曖昧で難しいですよね。まずは、これはさすがに亢進しているよな!という判断ができればいいと思います。 □腱反射 上腕二頭筋反射 上腕三頭筋反射 腕橈骨筋反射 膝蓋腱反射 アキレス腱反射   病的反射:バビンスキー反射   そしてバビンスキー反射はかなり重要です。これは陽性だったら明らかに問題です。バビンスキーは面倒ではありますが、なるべく評価するようにして下さい。

  19. 追加で評価すること 筋萎縮があるか? 感覚障害があるか? 筋肉が痩せていて脱力なのか、筋肉の痩せがないのか、は重要です。筋肉の痩せがある場合には、脳神経内科疾患の守備範囲になりますので、それだけで脳神経内科へ紹介もありでしょう。 感覚障害の合併もわかりやすいので、この情報を確認することも難しい事ではありません。 □筋萎縮があるかどうか? →筋肉疾患   OR   末梢神経疾患 OR   ALS □感覚障害があるかどうか? →末梢神経疾患 OR   脊髄障害

  20. 追加で評価すること  歩行の様子は確認する 歩行評価は大切です。 ちゃんと歩けるかどうか?は、簡単にできる運動障害の確認方法ですので、ぜひ診察に加えていただきたいことです。 ベッド上だったり、坐位では、患者さんの運動障害の主訴がはっきりわからないことも多々あります。 実際に歩いてもらうと、やはり運動障害がある、ということがわかります。 歩いてもらうことは非常に重要です。 歩いて変なら、やはり変です。

  21. 運動障害の原因が、力が入らないか?運動調節の問題なのか?を評価する。力が入らない場合に、軽微な麻痺を評価するために、上肢Barre試験とMingazzini試験を行う。またMMTをとる。MMTは関節ごとの評価で記載してみるのが提案。腱反射も評価する。 脱力の情報に加えて、筋萎縮を伴っているかどうか?感覚障害を伴っているか?は局在評価に参考になる。また、歩行の様子も確認すること。 これらを、まとめると次のスライドのごとくとなる。 続いて、神経所見のテンプレートは次のごとくとなる。 ここまでのまとめ

  22. 運動障害  ・力が入らない場合    ・導入:バレーとミンガッチーニ    ・関節ごとのMMT    ・腱反射+病的反射(バビンスキー)    ・局在を考えるにあたって合わせてみる所見:筋萎縮、感覚障害    ・力は入るが動けない場合    ・運動失調の場合       ・小脳性失調の場合:四肢失調の診察       ・感覚性失調の場合:深部感覚の診察    ・パーキンソニズム(無動)の場合:無動の診察 SUMMARY

  23. □運動 上肢Barre試験     Mingazzini試験  MMT 肩関節外転 肘関節屈曲 肘関節伸展 手関節背屈 手関節屈曲 手指伸展  手指屈曲 大腿屈曲 膝関節屈曲 膝関節伸展 足関節底屈 足関節背屈   □腱反射 上腕二頭筋反射 上腕三頭筋反射  腕橈骨筋反射 膝蓋腱反射   アキレス腱反射 病的反射:Babinski反射 □運動調節障害 四肢運動失調    :指鼻指試験             膝踵試験 深部感覚障害    :Romberg試験 パーキンソニズム :無動  指タップ グーパー 足タップ   □歩行 □感覚障害 □筋萎縮 TEMPRATE

  24. 神経障害局在の推測 症状に由来する、神経障害部位の診断について。 症状の組み合わせのヒントが、 診断に役立ちます。

  25. 力が入らない のみ  :脳梗塞、ALS、筋疾患、重症筋無力症 力が入らない+筋萎縮 :ALS、筋疾患、末梢神経障害 力が入らない+感覚障害:末梢神経障害、脊髄障害、脳障害 力が入らない+反射亢進:脳障害、脊髄障害 力が入らない+反射低下:末梢神経障害、筋疾患   力は入るが動けない+小脳性失調:小脳障害、脳幹障害 力は入るが動けない+感覚性失調:末梢神経障害、脊髄障害 力は入るが動けない+無動   :脳深部障害             (パーキンソン病、パーキンソン症候群など) 局在診断を考えるヒント これらの組み合わせ参考にしてみて下さい。

  26. ケーススタディ このスライドのテーマは、運動障害の入り口を 整理して、評価について習熟する、であります。 それを意識して記載しています。

  27. 病歴から、「慢性経過で進行性増悪の疾患だな」、ということは分かった。 運動障害について一通り診察しましょう。 運動障害が脱力によるのかどうか?を入り口として考えましょう。 ケーススタディA 一年経過で歩行が緩慢になった、 という主訴で外来受診した80歳男性。

  28. □運動 上肢Barre試験  ―/―    Mingazzini試験   ―/― MMT(RT/LT) 肩関節外転 5/5 肘関節屈曲 5/5 肘関節伸展 5/5 手関節背屈 5/5 手関節屈曲 5/5 手指伸展 5/5 手指屈曲 5/5 大腿屈曲 5/5 膝関節屈曲 5/5 膝関節伸展 5/5 足関節底屈 5/5 足関節背屈 5/5  □腱反射 上腕二頭筋反射 +/+ 上腕三頭筋反射 +/+  腕橈骨筋反射 +/+ 膝蓋腱反射 +/+ アキレス腱反射 +/+ 病的反射:Babinski反射 底屈/底屈 □運動調節障害 四肢運動失調    :指鼻指試験 正常             膝踵試験  正常 深部感覚障害    :Romberg試験 陰性 パーキンソニズム :無動  指タップ グーパー 足タップ →両手、両下肢で動作の緩慢さあり □歩行 歩幅は狭い。ゆっくりとした歩行。 ターンでより緩慢になる。 □感覚障害  なし □筋萎縮  なし TEMPRATE

  29. □運動 上肢Barre試験  ―/―    Mingazzini試験   ―/― MMT(RT/LT) 肩関節外転 5/5 肘関節屈曲 5/5 肘関節伸展 5/5 手関節背屈 5/5 手関節屈曲 5/5 手指伸展 5/5 手指屈曲 5/5 大腿屈曲 5/5 膝関節屈曲 5/5 膝関節伸展 5/5 足関節底屈 5/5 足関節背屈 5/5  □腱反射 上腕二頭筋反射 +/+ 上腕三頭筋反射 +/+  腕橈骨筋反射 +/+ 膝蓋腱反射 +/+ アキレス腱反射 +/+ 病的反射:Babinski反射 底屈/底屈 □運動調節障害 四肢運動失調    :指鼻指試験 正常             膝踵試験  正常 深部感覚障害    :Romberg試験 陰性 パーキンソニズム :無動  指タップ グーパー 足タップ →両手、両下肢で動作の緩慢さあり □歩行 歩幅は狭い。ゆっくりとした歩行。 ターンでより緩慢になる。 □感覚障害 □筋萎縮 TEMPRATE わかったこと ・力は入るが動きが悪い。 ・運動調節障害と思われた。 ・運動失調ではない。 ・パーキンソニズムがある。歩行もゆっくり、小刻み歩行の様子。脳深部の障害と考えた。   まとめ   ・無動による運動調節障害が、運動障害の原因らしい。

  30.  患者説明 「力は入るが、動きが悪い。という場合は、運動調節の問題と考えます。運動調節障害の中でも、動きの遅さが目立ちます。この場合には、脳深部の機能障害を考慮します。運動のプログラミングが悪いと、動きが遅くなります。脳深部の機能障害を来たす疾患としては、パーキンソン病などがあります。それらの可能性を考えて、評価を加えていきましょう。」 ケーススタディA 脳深部障害:パ-キンソン病 一年経過で歩行が緩慢になった、 という主訴で外来受診した80歳男性。 →無動による運動調節障害

  31. 「急性経過で悪化する病気」ということは理解できた。 構音障害もあるので、首から上(脳の症状)だろうな、とは思われた。 運動障害について一通り診察しましょう。 運動障害が脱力によるのかどうか?を入り口として考えましょう。 ケーススタディB  3日間の経過で歩けなくなった20歳男性。 発語の聞き取りにくさ(構音障害)もある。

  32. □運動 上肢Barre試験  ―/―    Mingazzini試験   ―/― MMT(RT/LT) 肩関節外転 5/5 肘関節屈曲 5/5 肘関節伸展 5/5 手関節背屈 5/5 手関節屈曲 5/5 手指伸展 5/5 手指屈曲 5/5 大腿屈曲 5/5 膝関節屈曲 5/5 膝関節伸展 5/5 足関節底屈 5/5 足関節背屈 5/5  □腱反射 上腕二頭筋反射・上腕三頭筋反射  腕橈骨筋反射 ・膝蓋腱反射・ アキレス腱反射  →正常もしくは低下 病的反射:Babinski反射 底屈/底屈 □運動調節障害 四肢運動失調    :  指鼻指試験 両側拙劣である  膝踵試験  両側拙劣である 深部感覚障害    :  Romberg試験 起立保持ができない パーキンソニズム :無動  指タップ グーパー 足タップ →動作の緩慢さはない。 □歩行 坐位もぐらぐらして難しい。 起立も動揺性が強くて歩行不可。 □感覚障害 なし □筋萎縮  なし TEMPRATE

  33. □運動 上肢Barre試験  ―/―    Mingazzini試験   ―/― MMT(RT/LT) 肩関節外転 5/5 肘関節屈曲 5/5 肘関節伸展 5/5 手関節背屈 5/5 手関節屈曲 5/5 手指伸展 5/5 手指屈曲 5/5 大腿屈曲 5/5 膝関節屈曲 5/5 膝関節伸展 5/5 足関節底屈 5/5 足関節背屈 5/5  □腱反射 上腕二頭筋反射・上腕三頭筋反射  腕橈骨筋反射 ・膝蓋腱反射・ アキレス腱反射  →正常もしくは低下 病的反射:Babinski反射 底屈/底屈 □運動調節障害 四肢運動失調    :  指鼻指試験 両側拙劣である  膝踵試験  両側拙劣である 深部感覚障害    :  Romberg試験 起立保持ができない パーキンソニズム :無動  指タップ グーパー 足タップ →動作の緩慢さはない。 □歩行 坐位もぐらぐらして難しい。 起立も動揺性が強くて不可。 □感覚障害 なし □筋萎縮  なし TEMPRATE わかったこと ・力は入るが動きが悪い。 ・運動調節障害と思われた。 ・運動失調である。 ・パーキンソニズムはない。   まとめ   ・運動失調による運動調節障害。

  34. 患者説明 「力は入るが、動きが悪い。という場合には運動調節の問題と考えます。運動調節の中でも、失調症状が目立ちます。失調症状のうち、小脳性失調考慮します。小脳障害を来たす疾患について検討すべきです。髄液検査やMRIなど評価を加えていきましょう。」 ケーススタディB 小脳障害:小脳炎うたがい  3日間の経過で歩けなくなった20歳男性。 発語の聞き取りにくさ(構音障害)もある。 →運動失調による運動調節障害

  35. 「急性経過で進行している」病態。 構音障害もあるので、首から上(脳の病変)なんだろうなと思われた。 運動障害について一通り診察しましょう。 運動障害が脱力によるのかどうか?を入り口として考えましょう。 ケーススタディC  起床時からの右上下肢の脱力がある。 やや進行している経過で来院した60歳男性。 発語の聞き取りにくさ(構音障害)もある。

  36. □運動 上肢Barre試験   右で回内、軽度下垂    Mingazzini試験    右で軽度下垂、挙上保持可能 MMT(RT/LT) 肩関節外転 4/5 肘関節屈曲 4/5 肘関節伸展 5/5 手関節背屈 4/5 手関節屈曲 4/5 手指伸展 4/5 手指屈曲 4/5 大腿屈曲 4/5 膝関節屈曲 5/5 膝関節伸展 5/5 足関節底屈 5/5 足関節背屈 5/5  □腱反射 上下肢ともに、右側で亢進しているかもしれない。 病的反射:Babinski反射 背屈/底屈 □運動調節障害 四肢運動失調    :指鼻指試験 正常             膝踵試験  正常 深部感覚障害    :Romberg試験 陰性 パーキンソニズム :無動なし  □歩行 なんとか歩行可能。右足引きずる様あり。 □感覚障害 なし □筋萎縮  なし TEMPRATE

  37. □運動 上肢Barre試験   右で回内、軽度下垂    Mingazzini試験    右で軽度下垂、挙上保持可能 MMT(RT/LT) 肩関節外転 4/5 肘関節屈曲 4/5 肘関節伸展 5/5 手関節背屈 4/5 手関節屈曲 4/5 手指伸展 4/5 手指屈曲 4/5 大腿屈曲 4/5 膝関節屈曲 5/5 膝関節伸展 5/5 足関節底屈 5/5 足関節背屈 5/5  □腱反射 上下肢ともに、右側で亢進しているかもしれない。 病的反射:Babinski反射 背屈/底屈 □運動調節障害 四肢運動失調    :指鼻指試験 正常             膝踵試験  正常 深部感覚障害    :Romberg試験 陰性 パーキンソニズム :無動なし  □歩行 なんとか歩行可能。右足引きずる様あり。 □感覚障害 なし □筋萎縮  なし TEMPRATE わかったこと   ・力が入らなくて動きが悪い。麻痺である。筋萎縮はない。   ・運動調節障害はない。   ・反射は軽度亢進があるので、大脳か脊髄を考えたい。     まとめ   ・脱力(麻痺)による運動障害。

  38. 患者説明 「診察ではやはり右手足の脱力があり、しゃべりにくさもあります。しゃべりにくさも加味すると、症状は脳由来と考えられます。急に脳の症状で運動障害がでた場合には、脳卒中を考える必要があります。画像検査をすぐにしましょう。」 ケーススタディC 大脳障害:脳梗塞  起床時からの右上下肢の脱力がある。構音障害もある。 やや進行している経過で来院した60歳男性。 →麻痺による運動障害。

  39. 「比較的慢性経過で進行している」経過である。 体重減少も伴う脱力。筋肉も痩せている。 運動障害について一通り診察しましょう。 運動障害が脱力によるのかどうか?を入り口として考えましょう。 ケーススタディD  半年間で進行した上肢の運動障害。 70歳男性。体重減少もある。

  40. □運動 上肢Barre試験   拳上はできるが努力的である   Mingazzini試験 ー/ー MMT(RT/LT) 肩関節外転 3/3 肘関節屈曲 5/5 肘関節伸展 5/5 手関節背屈 4/4 手関節屈曲 4/5 手指伸展 4/4 手指屈曲 4/4 大腿屈曲 4/5 膝関節屈曲 5/5 膝関節伸展 5/5 足関節底屈 5/5 足関節背屈 5/5  □腱反射 上下肢ともに、亢進している。 病的反射:Babinski反射 背屈/背屈 □運動調節障害 四肢運動失調    :指鼻指試験 正常             膝踵試験  正常 深部感覚障害    :Romberg試験 陰性 パーキンソニズム :無動なし  □歩行 歩行は概ね正常にみえるが、歩行障害の訴えあり。 □感覚障害 なし □筋萎縮  あり。手足の全体的な萎縮がある。手内筋のやせはある。大腿も普通よりはやせていそう。 TEMPRATE

  41. □運動 上肢Barre試験   両上肢とも努力性に挙上する    Mingazzini試験   ー/― MMT(RT/LT) 肩関節外転 3/3 肘関節屈曲 4/4 肘関節伸展 5/5 手関節背屈 4/4 手関節屈曲 4/4 手指伸展 3/3 手指屈曲 3/3 大腿屈曲 5/5 膝関節屈曲 5/5 膝関節伸展 5/5 足関節底屈 5/5 足関節背屈 5/5  □腱反射 上下肢ともに、亢進していると思われる。 病的反射:Babinski反射 背屈/背屈 □運動調節障害 四肢運動失調    :指鼻指試験 正常             膝踵試験  正常 深部感覚障害    :Romberg試験 陰性 パーキンソニズム :無動なし  □歩行 なんとか歩行可能。右足引きずる様あり。 □感覚障害 なし □筋萎縮  あり。手足の全体的な萎縮がある。手内筋のやせはある。大腿も普通よりはやせていそう。 TEMPRATE わかったこと   ・力が入らなくて動きが悪い。   ・筋萎縮も伴っている。   ・運動調節障害はない。   ・反射は亢進がある。病的反射もある。     まとめ   ・脱力(麻痺)による運動障害。   ・反射が亢進していて、筋肉がやせるのはALSを考えたくなる。

  42. 患者説明 「力が入らなくて動きが悪い。筋肉のやせがある場合には、筋疾患、末梢神経障害、運動神経障害が考えられます。末梢神経障害としては、反射の亢進が合わない印象です。末梢神経障害であれば、感覚障害はあることが多いですが、それもないです。筋萎縮を伴う脱力は明らかにおかしいので、きちんと調べましょう。」 ケーススタディD 運動ニューロン病:ALSうたがい  半年間で進行した上肢の運動障害。 70歳男性。体重減少もある。 →筋萎縮を伴う、脱力による運動障害

  43. 「急性経過で進行する疾患」である。 両下肢脱力で、上肢は問題がない。 運動障害について一通り診察しましょう。 運動障害が脱力によるのかどうか?を入り口として考えましょう。 ケーススタディ E  1週間で進行した高度の両下肢脱力。50歳女性。

  44. □運動 上肢Barre試験   ー/―  Mingazzini試験    膝立てはできるが挙上はできない。 MMT(RT/LT) 上肢はMMT Full 大腿屈曲 3/3 膝関節屈曲 4/4 膝関節伸展 3/3 足関節底屈 3/3 足関節背屈 3/3  □腱反射 上肢反射 正常 膝蓋腱反射 ・アキレス腱反射  →左右とも高度亢進あり 病的反射:Babinski反射 背屈/背屈 □運動調節障害 四肢運動失調    : 指鼻指試験 正常 膝踵試験  施行できない 深部感覚障害    :  Romberg試験 起立できず施行不可 パーキンソニズム :無動なし  □歩行 立てない。 □感覚障害 両側下肢の感覚鈍麻としびれ感(びりびりする)あり。 □筋萎縮  なし TEMPRATE

  45. □運動 上肢Barre試験   ー/―  Mingazzini試験    膝立てはできるが挙上はできない。 MMT(RT/LT) 上肢はMMT Full 大腿屈曲 3/3 膝関節屈曲 4/4 膝関節伸展 3/3 足関節底屈 3/3 足関節背屈 3/3  □腱反射 上肢反射 正常 膝蓋腱反射 ・アキレス腱反射  →左右とも高度亢進あり 病的反射:Babinski反射 背屈/背屈 □運動調節障害 四肢運動失調    : 指鼻指試験 正常 膝踵試験  施行できない 深部感覚障害    :  Romberg試験 起立できず施行不可 パーキンソニズム :無動なし  □歩行 立てない。 □感覚障害 両側下肢の感覚鈍麻としびれ感(びりびりする)あり。 □筋萎縮  なし TEMPRATE わかったこと   ・力が入らなくて動きが悪い。   ・運動調節障害はない。   ・反射は亢進がある。病的反射もある。   ・感覚障害も伴っている。     まとめ   ・脱力(麻痺)による運動障害。   ・反射が亢進している。   ・両下肢麻痺なので、感覚障害もあり、脊髄障害うたがい。

  46. 患者説明 「力が入らなくて動きが悪い。評価になります。反射の亢進、病的反射もあり、  また感覚障害の合併もあり、強く脊髄障害を疑います。  すぐにMRIをとりましょう。」 ケーススタディ E 脊髄障害:脊髄炎うたがい  1週間で進行した高度の両下肢脱力。50歳女性。 →脱力による運動障害、両下肢のみ。

  47. 「亜急性経過で進行する、運動感覚障害」である。 感覚障害も合併しているので、末梢神経障害か脊髄障害を考えたくなる。 運動障害について一通り診察しましょう。 運動障害が脱力によるのかどうか?を入り口として考えましょう。 ケーススタディ F  半年経過で四肢の脱力が進行している。 感覚障害も伴っている。

  48. □運動 上肢Barre試験   ー/―  Mingazzini試験 ー/― MMT(RT/LT) 肩関節外転 4/4 肘関節屈曲 4/4 肘関節伸展 4/4 手関節背屈 4/4 手関節屈曲 4/4 手指伸展 4/4 手指屈曲 4/4 大腿屈曲 4/4 膝関節屈曲 4/4 膝関節伸展 4/4 足関節底屈 4/4 足関節背屈 4/4  □腱反射 上下肢とも、やや低下がありそう。 病的反射:Babinski反射 底屈/底屈 □運動調節障害 四肢運動失調    : 指鼻指試験 正常 膝踵試験 正常 深部感覚障害    : Romberg試験  陰性 パーキンソニズム :無動なし  □歩行 歩行は可能だが、ややふらつきあり。 □感覚障害 両手関節・足関節以遠のしびれ感の訴えあり。 □筋萎縮  上下肢軽度筋萎縮ありそう。 TEMPRATE

  49. □運動 上肢Barre試験   ー/―  Mingazzini試験 ー/― MMT(RT/LT) 肩関節外転 4/4 肘関節屈曲 4/4 肘関節伸展 4/4 手関節背屈 4/4 手関節屈曲 4/4 手指伸展 4/4 手指屈曲 4/4 大腿屈曲 4/4 膝関節屈曲 4/4 膝関節伸展 4/4 足関節底屈 4/4 足関節背屈 4/4  □腱反射 上下肢とも、やや低下がありそう。 病的反射:Babinski反射 底屈/底屈 □運動調節障害 四肢運動失調    : 指鼻指試験 正常 膝踵試験 正常 深部感覚障害    : Romberg試験  陰性 パーキンソニズム :無動なし  □歩行 歩行は可能だが、ややふらつきあり。 □感覚障害 両手関節・足関節以遠のしびれ感の訴えあり。 □筋萎縮  上下肢軽度筋萎縮ありそう。 TEMPRATE わかったこと   ・力が入らなくて動きが悪い。   ・運動調節障害はない。   ・反射は低下がある。   ・感覚障害も伴っている。   ・軽度の筋萎縮もある。     まとめ   ・脱力(麻痺)による運動障害。   ・反射が低下している。   ・感覚障害も伴っており、末梢神経障害うたがい。

  50. 患者説明 「力が入らなくて動きが悪い。評価になります。  反射の低下、感覚障害の合併からは末梢神経障害疑いです。  四肢遠位の感覚障害は末梢神経障害らしいです。」   ケーススタディ F 末梢神経障害:CIDPうたがい  半年経過で四肢の脱力が進行している。 感覚障害も伴っている。 →脱力による四肢運動障害、感覚障害もある。

  51. 最後に 運動障害の評価の難しさについて 複合的要因が関与することについての説明。

  52. 高齢者診療においては、例えば運動障害を患者さんが訴えているときに、単一の問題で運動障害が起こっていないシチュエーションの方が多いと思われます。脳血管性パーキンソニズムの要素もあるでしょうし、加齢による筋肉ボリュームの減少もあるでしょう。ここでは述べられていませんが、骨関節系の問題も必ず併存していると思われますし、前庭機能障害によるバランス障害も関与している可能性もあります。また、認知機能自体も運動機能(運動調整)に関与していると推測されます。これらのごとく、運動障害の原因は多様です。患者さんと話し合うときには、「運動機能は複合的な問題による。クリアカットな答えは出にくいかもしれない。」、という前提は共有しておくべき事実とも思われます。 患者さん、医療者ともに理解しておくべきこと

  53. 広範な神経診察の知識を学ぶことは骨が折れることですし、総論的に語ろうとすると話題が多岐にわたりすぎてしまいます。よって、このスライドでは、運動障害にテーマを絞って、神経診察を学ぶことを目標にしました。運動障害は重要なテーマでありますので、このスライドの知識を入り口として、より深く勉強を進めていただけたら幸いです。また、患者説明の方法についてもご参考にしてみて下さい。 TAKE HOME MESSAGE!

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