テキスト全文
せん妄の理解と抗精神病薬の使用
#1. せん妄理解して使う抗精神病薬 まずは“コレだけ” 
 #3. --- 翌 日 --- こんな経験ありませんか? 実臨床では,せん妄対策がおろそかになりがちです.  せんせい!なんとかしてください!!  えっと…とりあえずサイレース®を使っといてください
 (全例で抑制帯の同意書取っておいて良かった…) 誤嚥性肺炎 過鎮静 転倒・骨折 3 
 せん妄診療の重要性と要点
#4. 普段は看護師さんに任せて,
暴れたら寝かせたらOK! とりあえず不穏時のセットを
入れておけば何とかなる! 間違ったせん妄診療 正しいせん妄診療のために,正しい理解が重要です. 4 
 #5. せん妄診療がデキる! 診療の要点を押さえて,適切に対応しましょう. 5 ①せん妄診療の概観を理解している
②患者ごとに適切に予防・治療介入できる 
 #6. せん妄とは 非薬物的介入 薬物治療 アルコール離脱 01 02 03 04 CONTENTS 
 せん妄の定義と病態の理解
#8. 急性発症 & 変動する
注意障害 + 意識障害 8 せん妄とは DSM-5では,急性に発症し変動する注意・意識の障害と定義されています.  せん妄  
 #9. 9 病態 病理生理学的メカニズムは,まだ十分に解明されていません. 神経伝達物質
の不均衡? 神経炎症? 
 #10. 参考:N Engl J Med 2017;377:1456-66. 10 疫学 せん妄は入院中に非常に多くみられます. せん妄
1/3 ≧70歳
一般内科患者 
 #11. 11 病型 「せん妄=興奮状態」ではなく,低活動性せん妄も起こります. ⬆認識されにくい 
 せん妄評価スケールの紹介
#12. 12 認知:3D-CAM  (3-Minute Diagnostic Interview for Delirium Using the Confusion Assessment Method) 3D-CAMでは,短時間で簡便にせん妄をスクリーニングできます. ① + ② + ③ or ④ = せん妄 
 #13. 13 CAM-ICU 〜ICU患者に特化したせん妄評価スケール〜 
 非薬物的介入の重要性と方法
#15. 15 せん妄の因子 せん妄の因子は,準備・直接・促進因子に分類することができます. ⬆準備因子多い=必要な直接・促進因子少ない
(若年で起こらないような因子で高齢者がせん妄発症) 準備 促進 直接 
 #16. 16 DELIRIUM まずは一般的な可逆的要因の有無を確認しましょう. 
 #17. 17 せん妄への介入 修正可能なすべての因子に対して,非薬物的な介入を行います. 
 #18. ハイリスク薬 日常でよく用いられる薬が,せん妄の原因となり得ることを知りましょう. 18 
 せん妄における薬物治療の基本
#19. 19 注意すべきハイリスク薬 入院時に内服していても,急に中止できない薬もあります. 
 #21. 21 薬物治療 非薬物的な介入が無効 or 危険な行動な行動がある場合に,薬物治療へと踏み出します. 準備 促進 直接 ⬆非薬物的介入 うまくいかない
危険な行動  薬 物 治 療  
 #22. 22 せん妄で用いられる薬① せん妄では,主に抗精神病薬が用いられます. 
 #23. 23 せん妄で用いられる薬① それぞれの薬剤で,鎮静作用・半減期・副作用等の違いがあります. 
 #24. 薬物治療治療のキホン 薬物の種類・量・内服時間のキホンを押さえましょう. 24 ●単剤・少量から開始 :過鎮静予防
●短半減期の薬から選択:翌日への持ち越し予防
●興奮する前から内服 :興奮してからでは拒薬&必要量⬆
 (例:夕食後内服) せん妄薬物治療のキホン 
 せん妄治療に用いる薬剤の種類
#25. 翌日の対応 夜間せん妄があった翌日は,定期内服で対応します. 前日使用した量を定期内服 
 #26. 26 薬物治療の注意点 治療の目的を見誤ると,過鎮静など副作用が問題になりがちです. リスペリドンやハロペリドールの鎮静作用は弱い
➔「寝かせる」投与すると過量投与になることも せん妄治療のゴール≠「寝かせる」 
 #27. 27 せん妄で用いられる薬② 他にも,以下の薬がせん妄治療に用いられることがあります. 
 #28. 28 せん妄で用いられる薬② 他にも,以下の薬がせん妄治療に用いられることがあります. 
 興奮時の薬剤選択と使用法
#29. 29 せん妄で用いられる薬③ 興奮が強くて抑えられない時,以下の薬剤も消極的選択肢として存在します. 他剤(ハロペリドールなど)が
効果不十分 or 禁忌の場合に使用 
 #30. 30 せん妄で用いられる薬③ 興奮が強くて抑えられない時,以下の薬剤も消極的選択肢として存在します. 抗精神病薬と併用
落ち着くor入眠したら投与中止 
 アルコール離脱の病態と診断
#32. 32 病態 慢性的なアルコールへの曝露が,神経活動に影響を与えます. アルコール摂取
 ・GABA受容体(神経活動を抑制)を刺激
 ・NMDA受容体(神経活動を興奮)を抑制
 
        ⬇慢性的な摂取
 
 ・GABA受容体への感受性低下
 ・NMDA受容体の数が増える
 
        ⬇減量or中止
 
NMDA受容体が過度に刺激・活性化 
 #33. 33 症状 動悸〜痙攣発作まで,症状はさまざまです. 
 #34. 34 検査 アルコール多飲患者では,離脱以外にも考慮すべき病態が多々あります. 
 #35. 35 診断 下記の4項目を満たしたら,アルコール離脱と診断されます. 
 #36. 36 評価  -Clinical institute Withdrawal Assessment scale for Alcohol revised- 診断したら,CIWA-Arで重症度評価を行いましょう. CIVA-Ar 
 アルコール離脱の治療と予防策
#37. 37 治療 アルコール離脱治療では,ベンゾジアゼピン受容体作動薬が用いられます. 
 #38. 38 リスク評価 最も重要なのは予防的介入です.離脱リスクを評価するスケールもあります. ≧4つ該当➔離脱リスク高い 
 #39. 39 予防 離脱リスクが高い患者では,予防投薬を開始します.