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Post-acute COVID-19 Syndrome / 新型コロナウイルス感染症罹患後症候群

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大塚 勇輝

2021/02/01
(2021/03/26 更新)

大塚 勇輝

岡山大学病院

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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行拡大から1年が経過し、罹患後に持続する様々な症状について徐々にその実態が明らかになってきました。このスライドでは最新の文献に触れて疫学や症状などについて紹介します。

※long COVID、post-COVID syndromeなどとも表記されますが、本スライドでは「post-acute COVID-19 syndrome」で統一しています。日本ではいわゆる「コロナ後遺症」と呼ばれることが多いと思われますが、「後遺症」というと語弊があると考え「新型コロナウイルス感染症罹患後症候群」と訳語を今回筆者らで作成しました。

2021/1/26 Ver.1作成
2021/3/25 Ver.2改訂(2021/1~3の文献を追加しました)

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Post-acute COVID-19 Syndrome / 新型コロナウイルス感染症罹患後症候群

1. Post-acute COVID-19 syndrome 新型コロナウイルス感染症罹患後症候群 Ver. 2 2021/3/25 岡山大学病院 総合内科・総合診療科 作成:大塚 勇輝 監修:徳増 一樹
2. あなたの外来にも来るかも… “ホテル療養が終わって家に帰ったんですが だるくて仕事ができません” “もう罹患してから1か月になるのに まだ匂いがしないのですが…” “ずっと息苦しい感じが残ってて また重篤化しないかと不安です”
3. このスライドについて • 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)罹患後に 様々な症状が持続することがある • 流行拡大から約1年が経過し、 徐々にその実態が明らかになってきた • 疫学や症状について最近の文献をいくつか紹介する • 治療に関する知見はいまだ乏しい Ver.1作成:2021/1/26 Ver.2追記:2021/3/25
4. 呼び方 • 海外ではlong COVID、post-COVID syndrome、 post-acute COVID-19 syndrome、或いは、 俗語としてはlong haulersなどと呼ばれている • 本スライドでは、 post-acute COVID-19 syndromeで統一 • 日本では「コロナ後遺症」と呼ばれることが多いと 思われるが、「後遺症」というと語弊があり 「新型コロナウイルス感染症罹患後症候群」 という訳語を筆者らで作成しタイトルとした
5. Ver.2 追加 • 2021年2月米国NIHが、 post-acute sequelae of SARS-CoV-2 infection (PASC)という表現を採用 • Sequelae ≒ 後遺症 • 今後はPASC(パスク?)と呼ばれる可能性 https://www.nih.gov/about-nih/who-we-are/nihdirector/statements/nih-launches-new-initiative-study-long-covid
6. 定義 Ver.2 改訂 • 明確な定義はない、論文によってまちまち • 「we define post-acute covid-19 as extending beyond three weeks from the onset of first symptoms」…初発症状から3週以降の症状と定義 • 「we defined post-acute COVID-19 as persistent symptoms and/or delayed or long-term complications of SARS-CoV-2 infection beyond 4 weeks from the onset of symptoms」 …発症から4週以降の持続症状と定義 ざっくりと、隔離解除の後も持続する症状 という疾患概念を持つとよさそう Greenhalgh, BMJ (Aug 2020). Ani Nalbandian, Nat Med. (Mar 2021).
7. 病因・病態生理 • はっきりしたところは未解明 • 急性期の臓器障害の影響、高サイトカイン状態、 残存するウイルスの活動、不十分な抗体反応、 などを反映している可能性 • 加えて、療養に伴う廃用、既往歴・併存症、 心理的変化、ライフスタイルの変化も影響 感染による直接的・間接的な心身への変化が 複雑に絡み合って表出していると思われる CDC Website (2020). https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/hcp/clinical-care/late-sequelae.html
8. 症状のReview Ver.2 追加 Ani Nalbandian. Nat Med. (Mar 2021).
9. 国 患者数(人) Carfi et al. Halpin et al. イタリア イギリス 143 100 症状発現後2ヶ月 直接 平均値(SD) Carvalho- Chopra et al. Arnold et al. フランス アメリカ 150 488 退院後1〜2か月 症状発現後2ヶ月 電話調査 電話調査 中央値 病棟 / ICU Schneider et al. Moreno-Pérez et Moreno-Pérez et Garrigues et al. Huang et al. al. al. イギリス スペイン スペイン フランス 中国 110 277 277 120 1,733 退院後2ヶ月 症状発現後3ヶ月 発症後2〜3か月 発症から4か月 入院後3〜4か月 症状発現後6ヶ月 電話調査 直接 直接 直接 電話調査 直接 平均値(SD) 中央値(IQR) 中央値(IQR) 中央値(IQR) 平均値(SD) 中央値(IQR) 45 (15) 60(44-76) 56(42–67.5) 56(42–67.5) 63.2 (15.7) 57 (47–65) 56 38.2 47.3 47.3 37.5 48 ファローアップ 期間 評価方法 患者背景 年齢(歳) 56.5 (14.6) 70.5 / 58.5 37.1 46 酸素投与(%) 53.8 78 非侵襲的換気(%) 14.7 30 侵襲的換気(%) 4.9 1 ICUケア(%) 12.6 32 女性(%) 急性期COVID-19の特徴 75.4 75 6 1 0 16.4 8.7 74 50.9 40 39 34.8 16.3 4.5 19.6 8.7 20 4 Post Acute COVID-19 1つ以上の症状(%) 87.4 3つ以上の症状(%) 55.2 66 32.6 76 全身性の後遺症 倦怠感 (%) 53.1 関節痛 (%) 27.3 64 0 63 9 19.6 2 0.9 0 0.1 22.9 39 34.4 11.1 41.
10. スマホアプリによる4182人の調査 Ver.2 追加 • 422万人がアプリを使用(英国88%、米国7%) • 検査陽性者4182人を陰性対象群と比較 • 10日、28日、56日、84日と症状の持続期間で陽性者も 群に分けて解析 • • • • 初週に5つ以上の症状は28日以降も症状持続のリスク 倦怠感、頭痛、呼吸苦、嗄声、筋肉痛が5大予測因子 年齢、BMI、女性は後遺症状のリスクになる 初週の症状、年齢・性別から後遺症状予測モデルを作成 (曲線下面積76%) Sudre. Nat Med. (Mar 2021).
11. スマホアプリによる4182人の調査 Ver.2 追加 Sudre. Nat Med. (Mar 2021).
12. 外来患者を含む177人の追跡 • 米国シアトルの退院後患者16人 外来患者(通院 or PCR陽性者)150人 Ver.2 追加 • 軽症者でも150人中の49人(32%)は何らかの症状 • 倦怠感13%、味覚・嗅覚障害13%が最多 Logue. JAMA Netw Open. (Feb 2021).
13. 中国1733人6ヶ月間の追跡 • • • • 現時点で最大規模かつ最長期間のコホート研究 中国、武漢の単一病院 退院患者2469人のうち1733人を6ヶ月後にフォロー 急性期の重症度を、酸素不要群、酸素投与群、 HFNC/NIV/IMV群の3つに分けて退院後の症状を解析 • 重症度に依らず76%の患者で何らかの残存症状 • 倦怠感/筋力低下(63%)が最多 • その他に、睡眠障害、呼吸困難、脱毛、嗅覚・味覚障 害、不安・抑うつ、動悸、関節痛、食欲不振…etc • 倦怠感/筋力低下、不安・抑うつ、拡散障害などは、 軽症群より重症群でより発症リスクが高い Huang, Lancet (Jan 2021).
14. 277人の前向きコホート • 422人の患者のうち死亡した58人などを除外 • 277人について前向きに10~14週後に評価 • 50%で持続する症状あり • 重症肺炎、軽症肺炎、肺炎なしと分けると それぞれ58%、37%、37% • 呼吸困難と倦怠感が34%で最多、味覚・嗅覚障害が 21%、筋肉痛/関節痛が20%と続く • 呼吸困難は16~18週後には2.1%まで減少 • 発症の独立した予測因子なし • 重症肺炎のみに絞ったサブ解析では、 心拍数と肺陰影>50%のみが独立したリスク因子 Moreno-Pérez. J Infect. (Jan 2021).
15. 277人の前向きコホート Moreno-Pérez. J Infect. (Jan 2021).
16. 米国488人60日間の追跡 • • • • ミシガン州の38病院に入院した1648人 うち398人は死亡退院、残り1250人を60日間フォロー 退院後に189人が再入院、84人が死亡 生存者のうち488人の状態を調査できた • • • • 咳、呼吸苦、味覚・嗅覚障害などが33%に 49%が感情的な影響を受けている 雇用されていた117人中78人(67%)は職場復帰できず 入院によって179人(37%)が経済的影響を受けた Chopra, Ann Intern Med (Nov 2020).
17. 仏150人60日間の追跡 • フランスの単一大学病院 入院or外来患者293人 • ICU患者、施設退院/転院/死亡退院の患者を除外 • 150人を30日後まで、130人を60日後までフォロー • • • • 30日後には68%が、60日後には66%が有症状 60日後に最多な症状は味覚・嗅覚障害(22%) 30日後から60日後にかけて殆どの症状の率が減少 症状持続の有意な危険因子としては 年齢(40~60歳)、発症時の異常聴診所見、入院 Carvalho-Schneider, Clin Microbiol Infect (Oct 2020).
18. まとめると… • 1/2~2/3程度もの患者がなんらかの症状 • 症状は非常に多彩、数か月単位と長期間 • 急性期症状の残存+新規症状の出現 罹患後患者には何でもありうる! と思っておいた方がよさそう
19. マネジメント • プライマリケアにおける post-acute COVID-19 syndromeのマネジメント についてまとめた文献 • 簡単に和訳した Greenhalgh, BMJ (Aug 2020).
20. Greenhalgh, BMJ (Aug 2020). <評価> ・発症からの日数と経過 ・臨床症状の把握 ・診察 体温, 脈, 血圧, 胸部診察, functional status, SpO2
21. Greenhalgh, BMJ (Aug 2020). <検査> 必ずしも必須ではないが、 症状の原因の特定、肺塞 栓や心筋炎の除外に有用 である。 血算, 電解質, 肝・腎機能, Troponin, CRP, CK, D-Dimer, BNP, Ferritin, 胸写, 尿検査, 12誘導心電図
22. Greenhalgh, BMJ (Aug 2020). <合併症管理> 糖尿病、高血圧、腎臓病、 虚血性心疾患などの合併症 の管理もしましょう。 <社会的・経済的・文化的サポート> 長引くCOVID-19によって仕事や家族活 動の制限を受けているはず。死別、失 職、金欠、食料不足などあるかもしれ ません。
23. Greenhalgh, BMJ (Aug 2020). <受診と紹介> 増悪する呼吸苦、SpO2<96%、 胸痛、意識障害、倦怠感な どあれば受診を。 必要に応じて、呼吸器、循環 器、神経内科、リハビリに相 談を。 解熱鎮痛薬などで対症療法、 最適化、傾聴、2次感染の 管理、その他の合併症治療 + 患者各自の健康管理
24. 呼吸器合併症に対して Ver.2 追加 軽症~中等症:退院12週後にレントゲンを推奨 →必要に応じて呼吸機能検査、CT、造影CT、心エコー (British Thoracic Society) George, Thorax (Aug 2020).
25. 呼吸器合併症に対して Ver.2 追加 重症:追加で退院4-6週後に電話での評価 (British Thoracic Society) George, Thorax (Aug 2020).
26. 私が考えるマネジメント ① 血液検査や画像検査 急性期病態(肺病変や腎障害など)の残存や再発の有無を確認 ② 症状に応じた鑑別疾患を考えて検査を追加 ③ 呼吸不全や廃用などといった医学的介入が可能・必要な病態かどうか →専門医への紹介やリハビリ依頼を検討 難しければ各症状に対して対症療法 ④ 心理面や社会面も含めて、総合的な患者背景の把握と評価を試みる →何か介入できるポイントがあればサポート ⑤ 長引く症状と気長に付き合っていく
27. 多数の前向き研究が進行中 Ver.2 追加 • 米国連邦議会は NIHに11億㌦を超える 資金提供を行うと発表 • 多数の前向き研究が 各国で進行している Ani Nalbandian. Nat Med. (Mar 2021). https://www.nih.gov/about-nih/who-we-are/nihdirector/statements/nih-launches-new-initiative-studylong-covid
28. 日本の現状 Ver.2 改訂 • 東京を中心とした一部のクリニックが対応 • 2021年1月、聖マリアンナ医科大学が専門外来を開設 • 2021年2月、岡山大学病院が専門外来を開設 https://www.marianna-u.ac.jp /hospital/kanja/specialty/specialty_24.html https://www.okayamau.ac.jp/user/hospital/index377.html