#4.
本日の学習目標 • 細菌をグラム染色で分類できる • 細菌の耐性化を起こさないために 留意する事項がわかる • 肺炎、皮膚感染症、尿路感染症を起こす主な細菌が言える • 血液培養を取るタイミングと手技がわかる • 感染のトライアングルの考え方がわかる
#5.
おしながき 抗菌薬入門 • 抗菌薬の歴史 • 感染症とは何か • 抗菌薬各論 ①ペニシリン系 ②セフェム系 ③カルバペネム ④その他 • 演習
#6.
おしながき 抗菌薬入門 • 抗菌薬の歴史 • 感染症とは何か • 抗菌薬各論 ①ペニシリン系 ②セフェム系 ③カルバペネム ④その他 • 演習
#7.
#8.
TRIAL ¥1,000 50:50 ライフライン B BACTERIONAIRE
#9.
TRIAL ¥1,000 50:50 B BACTERIONAIRE Moraxella catarrhalisはグラム染色するとどう見える? ◆A: GPC(グラム陽性球菌) ◆B: GNC(グラム陰性球菌) ◆C: GPR(グラム陽性桿菌) ◆D: GNR(グラム陰性桿菌)
#10.
TRIAL ¥1,000 50:50 B BACTERIONAIRE Moraxella catarrhalisはグラム染色するとどう見える? ◆A: GPC(グラム陽性球菌) ◆B: GNC(グラム陰性球菌) ◆C: GPR(グラム陽性桿菌) ◆D: GNR(グラム陰性桿菌)
#11.
微生物との邂逅の歴史 • 1670年代:レーウェンフック 300倍のレンズで初めて微小動物(animalcule)を観察 『微生物学の父』 • 1850年代:パスツール 発酵が微生物によるものであることを証明 さらに自然発生説の否定(原因微生物は不明) animalculeのスケッチ • 1876年:コッホ 炭疽菌が炭疽の病原体であることを証明 →コッホの3原則へ (疾患には特定の原因微生物がいることを証明) 『細菌学の父』 • 1884年:グラム。グラム染色を開発 白鳥の首フラスコ
#12.
グラム染色で分ける4分類 なにが写っているでしょうか?
#13.
グラム陽性球菌(連鎖球菌) グラム染色って陰性陽性の どっちが青でどっちが赤…? 真菌(Candida glabrata) (かなりでかい)
#14.
グラム染色の一生忘れない覚え方 赤ワイン・・・ 赤ワイン性・・・ 赤は陰性!! ©大阪公大 金子先生
#15.
細菌を4つに分類する グラム陽性 (GramPositive) GPC GNC GPR GNR (Rods) 棹 菌 (Cocci) 球 菌 グラム陰性 (GramNegative)
#16.
覚え方~GNRはそれ以外 グラム陽性 (GramPositive) 『●●球菌』 (Rods) 棹 菌 (Cocci) 球 菌 グラム陰性 (GramNegative) 『吸引(球・陰)は漏らない』 肺炎球菌、黄色ブドウ球菌 腸球菌… Moraxella, Neisseria(淋菌・髄膜炎菌) GPC GNC 『羊羹(陽・桿) の黒いホコリ』 Nocardia, Clostridium, Bacillus(芽胞) 放線菌, Listeria Corynebacterium(ジフテリア含) GPR 『その他!』 GNR
#17.
それでは問題 陰・球(吸引はモラナイ) • モラキセラは? 陽・桿(羊羹のクロイホコリ) • クロストリジオイデスは? • サルモネラは? 陰・桿 陽・球 • A群溶連菌は? 陽・桿(羊羹のクロイホコリ) • リステリアは? 陽・球 • 肺炎球菌は? • 大腸菌は? 陰・桿 • 淋菌は? 陰・球(吸引はモラナイ)
#18.
「抗菌薬」の開発 • 1928年 フレミング がペニシリンを「発見」 アオカビのエピソード • 1940年 フローリーとチェインが「再発見」 大量生産に成功 • WW2で数多くの兵士の命を救う 魔法の弾丸と言われた • 1945年3人ともにノーベル医学賞・生理学賞を受賞
#19.
寄り道:原初の抗菌薬は? • 実は「サルバルサン」という梅毒の薬があった • エールリッヒが1909年に開発(ペニシリンの発見の20年前) • 当時は感染症に使えるのは「毒」だけだった(サルバルサンのヒ素) →人より先に病原体が死ぬ「毒」(≒化学療法) • エールリッヒは病原体だけを狙い撃つ“魔法の弾丸”を目指した • ペニシリンは人にほぼ無害で、菌には致命的 →これこそがエールリッヒの理想とした“魔法の弾丸”であり、 細菌に選択的に作用する“抗菌薬”だと言える (抗癌剤と分子標的薬の関係に類似しているのが興味深い)
#20.
ペニシリンの作用機序 ペニシリン Penicillin-binding Protein 細菌 細胞壁 (ペプチドグリカン層) ペニシリンの発見は『偶然』であることがよくわかるネーミング
#21.
ペニシリンの作用機序 ペニシリン 細胞壁の 合成阻害! 細菌 人類は肺炎の一部と皮膚感染症を克服した!
#22.
人工ペニシリンの開発 皮膚感染や肺炎の一部が 治せるようになった! ペニシリン 尿路感染も治せるように なった! アンピシリン アミノベンジルペニシリン(ABPC) アミノ基つけただけ 安定性が向上! 初の内服抗菌薬! アモキシシリン(AMPC) 水酸基つけただけ 人類は感染症を克服した!めでたしめでたし…!?
#23.
寄り道:正しく言うと… βラクタム環 ペニシリンの構造式 • ペニシリンの構造式の4員環をβラクタム環と言う (ペニシリン系・セフェム系・カルバペネム系の共通構造) • βラクタム環がPBPと共有結合することによりペプチドグリカン層の 架橋ができなくなり、細胞壁が弱くなる • Mycoplasmaはペプチドグリカン層(というか細胞壁)を持たないので βラクタム薬が無効である • バンコマイシンは分子量が大きく、グラム陰性菌の細胞壁の外側に ある脂質二重層を越えられないのでグラム陰性菌に無効である • ABPCはアミノ基を付けることにより親水性が増し、脂質二重層の porin孔(水の通り道)を通過しやすくE.coliに感受性が広まった
#24.
細菌の逆襲~耐性菌の発生 (アミノ) ペニシリン こいつや! このツノのせいで ワイらは… 細菌
#25.
細菌の逆襲~耐性菌の発生 (アミノ) ペニシリン βラクタマーゼ 細菌 人類は感染症の進化に屈するのか?
#26.
これに対し人間は… (アミノ) ペニシリン ⊖ βラクタマーゼ βラクタマーゼ阻害薬 細菌
#27.
これに対し人間は… (アミノ) ペニシリン ⊖ βラクタマーゼ阻害薬 細菌 ツノ復活!
#28.
βラクタマーゼ阻害薬 • 具体的にはABPC /SBT, AMPC /CVA , PIPC /TAZ のこと • ABPC/SBT アンピシリンスルバクタム • AMPC/CVA アモキシシリンクラブラン酸 • PIPC/TAZ ピペラシリンタゾバクタム
#29.
さらに開発は進み… せや!最初から ツノにカバー かけといたろ! メチシリン カバーのせいで βラクタマーゼが 効かん… βラクタマーゼ 産生菌 *ただしメチシリンは間質性腎炎を起こしやすいため流通していません
#30.
黄色ブドウ球菌最後の逆襲! (Staphylococcus aureus) メチシリン なんやて!? PBPが変化した!? MSSA もう最後の手段や! Methicillin Susceptible S.aureus メチシリン感受性黄色ブドウ球菌
#31.
黄色ブドウ球菌最後の逆襲! (Staphylococcus aureus) メチシリン うーん、どうやっても 刺さらん! 完全勝利! MRSA Methicillin Resistant S.aureus メチシリン耐性黄色ブドウ球菌 黄ブの中にペニシリン系薬剤が完全に無効な株が出現してしまった… このような耐性が誘導されるのにどれくらいの年月がかかったのだろう?
#32.
耐性菌の発生 • 1945年のノーベル賞受賞の スピーチで、既にフレミングが 耐性菌について言及 • メチシリンが開発されたのが 1960年ごろ →1962年にはMRSAが出現 • 1991年にCRE(カルバペネム耐性 腸内細菌)の発生が報告 • 薬剤耐性は恐るべきスピードで進む(現在6割がMRSA)
#33.
抗菌薬投与で起こること~①選択圧 不要な抗菌薬の投与により体内の細菌叢が変化してしまう ⇒ 抗菌薬投与環境に対応できる菌を“選択”してしまう
#34.
機序②:投与量が少ないと… 菌の筋トレ!! 抗菌薬治療 〇〇〇〇〇 〇〇〇〇〇 耐性化なし → ××××× ×××⦿⦿ → ⦿⦿⦿⦿⦿ ⦿⦿⦿⦿⦿ 中途半端な治療を繰り返すことで 相対的に抗菌薬に強い株が残る 今日のTake Home Message1 抗菌薬投与は耐性菌を作らないためにも ①不必要な(長期)投薬を避け ②最大用量を投与する!
#35.
必ず抗菌薬の本を1冊は買いましょう 腎機能による用量調整や 適正な投与期間など、 覚えていられない情報は こういう本を リファレンス! ついでに関連事項にも 目を通して知識の補充!
#36.
#37.
TRIAL ¥100,000 50:50 B BACTERIONAIRE
#38.
TRIAL ¥100,000 50:50 B BACTERIONAIRE 尿路感染の原因菌として考えにくい細菌は、次のうちどれ? ◆A: 大腸菌 ◆B: インフルエンザ桿菌 ◆C: Proteus mirabilis ◆D: Klebsiella pneumoniae
#39.
TRIAL ¥100,000 50:50 50:50 B BACTERIONAIRE 尿路感染の原因菌として考えにくい細菌は、次のうちどれ? ◆A: 大腸菌 ◆B: インフルエンザ桿菌 ◆C: Proteus mirabilis ◆D: Klebsiella pneumoniae
#40.
TRIAL ¥100,000 50:50 50:50 B BACTERIONAIRE 尿路感染の原因菌として考えにくい細菌は、次のうちどれ? ◆B: インフルエンザ桿菌 ◆D: Klebsiella pneumoniae
#41.
TRIAL ¥100,000 50:50 50:50 B BACTERIONAIRE 尿路感染の原因菌として考えにくい細菌は、次のうちどれ? ◆B: インフルエンザ桿菌 ◆D: Klebsiella pneumoniae
#42.
感染症と起炎菌 ★重要スライド★ 各疾患を起こしやすい細菌が存在する 肺炎球菌+HeM 【 肺 】 (Haemophilus influenzae, Moraxella catarrhalis) *非定型菌を除く 【皮膚】 ●●球菌(Staphylococcus aureus, 溶連菌(GAS)) 【尿路】 PEK(Proteus mirabilis, Escherichia coli, Klebsiella pneumoniae) 次の疑問:なぜこれらの菌が起炎菌となるのか?
#43.
感染症と起炎菌 ★重要スライド★ 各疾患を起こしやすい細菌が存在する 肺炎球菌+HeM【答え】 【 肺 】 (Haemophilus influenzae, Moraxella catarrhalis) *非定型菌を除く そこにいる菌が感染するから = aureus, 溶連菌(GAS)) 【皮膚】 ●●球菌(Staphylococcus そこにいない菌は感染を起こさない 【尿路】 PEK(Proteus mirabilis, Escherichia coli, Klebsiella pneumoniae) 次の疑問:なぜこれらの菌が起炎菌となるのか?
#44.
肺炎の起炎菌について 肺炎の菌(肺炎球菌とHeM)は口腔内にいる菌→肺に落ちて肺炎 (余談:)Moraxella catarrhalisのカタルって…? • カタルとは: 感染症の結果生じる粘膜腫脹 滲出液を伴う病態 •『カタル症状を引き起こすMoraxella • やはり上気道に住んでいることが 示唆されるネーミング
#45.
皮膚にはなぜ●●球菌がいるか • ペプチドグリカン層の有無が重要 →皮膚の酸性環境下で安定 (ペプチドグリカン層=G染色で青くなる部分) (ペプチドグリカン層) (脂質二重層) (参考)G染の仕組み • GPCのペプチドグリカン層が厚い → クリスタルバイオレット液で染色後 アルコールで脱色されない → 紫色になる • G陰性菌は脱色される → 追加のサフラニンで赤色になる
#46.
尿路感染とPEK • 女性と男性、どちらが尿路感染になりやすい? ⇒ 女性 • その理由は? ⇒ 女性の方が尿道が短いから+尿道口と肛門が近いから • PEKのEはE.coli(大腸菌)というだけあって、腸内に存在する菌 • この(既存の)知識から類推されることは? ⇒ 腸内にいる細菌が細菌感染症を起こしている!
#47.
そこにいる細菌が感染するのだから… • 副鼻腔炎は? 肺炎球菌+HeM(きっと口にいる細菌が感染するだろう) • 蜂窩織炎は? ●●球菌(きっと皮膚にいる細菌が…) PEK(もちろん腸内にいる細菌が…) • 虫垂炎は? ●●球菌 • 乳腺炎は? • 外傷性化膿性関節炎は? ●●球菌 PEK • 化膿性胆管炎は? という風にある程度起炎菌を 推定することができます *もちろん、あくまで“原則”です
#48.
Japanese Board of General Medicine 起炎菌がわかれば感染臓器を推定できる 【例】発熱とSpO2の低下で救急搬送された施設入居中の高齢患者。 CTで右下肺に浸潤影があり、誤嚥性肺炎として入院
#49.
Japanese Board of General Medicine 起炎菌がわかれば感染臓器を推定できる 【例】発熱とSpO2の低下で救急搬送された施設入居中の高齢患者。 CTで右下肺に浸潤影があり、誤嚥性肺炎として入院 翌日血液培養から E.coli が検出された
#50.
Japanese Board of General Medicine 起炎菌がわかれば感染臓器を推定できる 【思考プロセス】 E.coliが血液培養から陽性 ⇒ (典型的には)尿路や腹腔内の感染症では? ⇒ 本当に肺炎でいいのか?
#51.
Japanese Board of General Medicine 起炎菌がわかれば感染臓器を推定できる 【例】発熱とSpO2の低下で救急搬送された施設入居中の高齢患者。 CTで右下肺に浸潤影があり、誤嚥性肺炎として入院 翌日血液培養から E.coli が検出された 救急搬送時脱水があり、尿検査が 提出されていなかったことが判明 → 本日の採尿検査では尿中白血球が多数 → 腎盂腎炎で嘔吐し、これを誤嚥した肺炎であった
#52.
Japanese Board of General Medicine 起炎菌がわかれば感染臓器を推定できる 【思考プロセス】 E.coliが血液培養から陽性 ⇒ 肺炎の起炎菌として非典型的では? ⇒ (典型的には)尿路や腹腔内の感染症では? ⇒ 尿路感染を見つけることができた (適切な)培養を取っておくことは、診断学上有用である 細菌感染症を疑う場合、必ず血液培養を2セット取得する
#53.
血液培養を取るということ • 感染症を疑えば血液培養を取るのが基本 • 血液は最もアクセスが簡単な 無菌検体 であるという特徴がある ⇒菌が検出されたら 必ず原因菌と言える (*ただしコンタミ除く。コンタミ=常在菌が混入すること)
#54.
血液培養を取るということ • 感染症を疑えば血液培養を取るのが基本 • 血液は最もアクセスが簡単な 無菌検体 であるという特徴がある ⇒菌が検出されたら 必ず原因菌と言える (*ただしコンタミ除く。コンタミ=常在菌が混入すること) • 例えば、便培養でE.coliが出て感染と言える? ⇒ もちろん言えない。便は不潔検体である
#55.
血液培養はいつ取るべき? • 感染症=血液培養陽性か? • 菌が血管に入ったらどうなる? → 好中球の遊走+貪食 を受ける → 通常、菌血症は一過性である → 血中に菌が生存している間 に採取する必要がある =白血球に貪食されてからでは陰性となる 果たして菌血症になったタイミングを知ることはできるのだろうか?
#56.
血液培養を取るタイミング • 陽性率が高めるため血中に菌が放出された直後に採血したい = 菌量が多い! → そのタイミングを知る身体的な徴候は 悪寒戦慄 体温上昇終了 ① 悪寒戦慄している ② 体温上昇中 好中球に貪食され尽くす前に血液培養を取ろう!!
#57.
日常臨床でよく見る風景… (血培を取らないとどうなるか) 不明熱が主訴で他院より紹介転院になっているが、 培養を取らずに抗菌薬が開始・継続されている… → 考えられること: ① 感染症だが、投与している抗菌薬が無効 ② 感染症ではないので、そもそも抗菌薬が無効 ①の場合、投与している抗菌薬が無効なら培養が陽性に なるのでは??(菌は生きているはずなので)と思いがちですが… →実臨床では陰性(偽陰性) になることをよく経験します
#58.
日常臨床でよく見る風景… (血培を取らないとどうなるか) ・細菌感染症であることを完全に除外したい!と思っても、 抗菌薬が既に投与されているので、今から採取する 血液培養は偽陰性になる可能性が高い → 一度抗菌薬を終了して、抗菌薬の効果がなくなった時に 各種培養を取り直す必要がある(だいたい2日間空ける) ・最悪なのは、患者のバイタルが悪い時 → 抗菌薬を止めると死亡する可能性があるので中止できない → 泣く泣く広域抗菌薬を連日投与する羽目に…
#59.
血液培養を取るタイミングのまとめ • 抗菌薬投与中は培養の陽性率は著しく低下 →発熱して抗菌薬投与するなら少なくとも培養は取っておく (このタイミングは唯一血培が取れるタイミングかもしれない!) • 血中に菌が放出されたことを示す徴候は、 ① 悪寒戦慄している ② 体温上昇中 今日のTake Home Message3 悪寒戦慄・体温上昇を見つけたら血培の採り時! 抗菌薬投与前に培養を採れ! 抗菌薬投与時の培養は偽陰性になりやすい!
#60.
血液培養手技 ①ボトルキャップを外しアルコール綿で消毒 (ゴム栓は無菌でない) ②採血部位をアルコール綿で消毒 (ゴシゴシ!垢を取る!) ③採血部位をクロルヘキシジンで消毒(GPCへの抗菌活性高い) 必ず作用時間を保つため30秒置く(ヨードは2分)必要がある ④清潔手袋をして採血(20mL) ⑤ 嫌気性(オレンジ) ⇒ 好気性(緑) の順番にボトルに入れる(各10mL) ⑥凝固防止のため静かに転倒混和 以上を違う場所から2セット!
#61.
培養はなぜ2セット? ① 陽性率の担保のため 血液培養1セットの陽性率は73% →2セットで検出できる確率は 1-0.27×0.27=94% 3セットでは1-0.27×0.27×0.27=97% ② コンタミの判断のため 通常表皮の常在菌が1セットだけ陽性の場合 コンタミ と判断する →1セットでは真の菌血症かコンタミか判断できない
#62.
血液培養陽性になるとここに表示が出る
#63.
では逆に、そこにいれば感染症? • 不潔検体(=無菌でない検体)の取り扱いは要注意! → そこにいても感染(infection)とは限らない → そこにいるだけ=colonization として 区別する • よく問題になるのは尿路感染 → 尿は無菌検体ではない可能性がある
#64.
尿路感染症の診断に注意! ①症状はないが患者の尿から『細菌+』が結果が出た → 無症候性細菌尿 と言う (カテーテル長期留置、糖尿病、高齢者、神経因性膀胱などがリスク) ②排尿時痛や残尿感を伴い発熱を欠く: 膀胱炎 ③発熱してCVA叩打痛が陽性:腎盂腎炎 ④血液培養が陽性: 菌血症 この中で抗菌薬を投与すべきは… ②~④(*②は必須ではないかも) 「尿培養陽性≠尿路感染」にくれぐれも注意!!
#65.
colonizationとinfectionを見分ける型 無菌検体に細菌がいる 症状がある
#66.
感染症のトライアングルで抗菌薬を選択 どの臓器に感染している? 感染臓器 腎臓?大腸?髄液?前立腺? ① 微生物 の推定のため ② 臓器移行性 どんな微生物が感染している? 細菌?ウイルス?真菌? 微生物 「そこにいる」微生物が感染する 若い健康な人?超高齢者? 入院中?デバイス挿入? 免疫不全?経口摂取できる?
#67.
Japanese Board of General Medicine 抗菌薬が移行しにくい 臓器 髄液 BBB(blood-brain barrier)の存在による MSSAの第一選択のCEZはBBBの透過性が低いため CTRXが第一選択となる、など 前立腺 慢性前立腺炎ではLVFXやST合剤など(*急性期には 血流豊富となるため通常の抗菌薬でも治療できる) 眼球 眼内炎などでは抗菌薬の局所注射が必要 その他にもDAP(ダプトマイシン)は肺サーファクタントで 失活するため肺炎に使用できない、など
#68.
感染症のトライアングルで抗菌薬を選択 どの臓器に感染している? 腎臓?大腸?髄液?前立腺? ① 微生物 の推定のため ② 臓器移行性 感染臓器 どんな微生物が感染している? 細菌?ウイルス?真菌? 微生物 宿主 「そこにいる」微生物が感染する どんな宿主に感染している? 若い健康な人?超高齢者? 入院中?デバイス挿入? 免疫不全?経口摂取できる?
#69.
Japanese Board of General Medicine 宿主 宿主要因と免疫 ①30歳男性の3日間続く発熱と咳嗽 ⇒ 肺炎球菌、HeM(インフルエンザ桿菌、モラキセラ) マイコプラズマなどを想起 HIVに罹患している ②30歳男性の3日間続く発熱と咳嗽 ⇒ 上記に加え、ニューモシスチス肺炎などが想起される 免疫低下を示唆する宿主要因の例: カテーテルなどのデバイス挿入、抗がん剤治療、免疫抑制剤、糖尿病 ステロイド、生物学的製剤、脾摘後、HIV、好中球減少…
#70.
寄り道:ステロイドで好中球は 増えるのになぜ感染しやすくなる? • 好中球は血管壁に付くmarginal poolと 血中を流れるcirculation poolを行き来している • 感染が起こるとmarginal poolの好中球がrollingし血管外遊走して 感染局所へ移動する(marginal poolは交番のような働き) • ステロイドを投与すると好中球表面のL-selectinの接着機構が低下 ⇒ 好中球が血管壁に留まりにくくなる(demargination) ⇒ circulation poolにいる好中球は増える(=採血で好中球が増多 する)が、局所感染には集まりにくくなる • ステロイドにより血管外遊走能も低下するという側面もある
#71.
寄り道: 脾摘すると感染しやすくなる菌は? • 莢膜を持つ細菌を効率よく除去できなくなる • 具体的には肺炎球菌、髄膜炎菌、インフルエンザ菌type b(Hib) • 莢膜菌は表面がつるつるしているのでそのままでは貪食されにくい ⇒ オプソニン化(目印をつける)が重要 • 脾臓はオプソニン化された細菌を除去するフィルターとして働く • 外傷性脾破裂の患者には必ず肺炎球菌や髄膜炎菌、Hibワクチンを接種 しておくこと!
#72.
感染症のトライアングルで抗菌薬を選択 どの臓器に感染している? 腎臓?大腸?髄液?前立腺? ① 微生物 の推定のため ② 臓器移行性 感染臓器 選択すべき 抗菌薬 微生物 どんな微生物が感染している? 細菌?ウイルス?真菌? 宿主 「そこにいる」微生物が感染する どんな宿主に感染している? 若い健康な人?超高齢者? 入院中?デバイス挿入? 免疫不全?経口摂取できる? これらの情報を基にして抗菌薬を一つに絞ることができる
#73.
細菌感染症治療の始め方 • 感染のトライアングルを考え 「どんな宿主のどの臓器にどんな細菌が感染しているか」 を考える(そこにいる菌が感染する) • 感染のトライアングルから導き出される適当な抗菌薬を選ぶ • 抗菌薬投与する前に 必要な培養を取る (血液・血液・必要な巣由来の検体) • 抗菌薬を投与する →次回は各抗菌薬の特徴について学びましょう
#74.
本日の学習目標(おさらい) • 細菌をグラム染色で4つに分類できる GNRは残り全部!GNR以外の3つを覚えて! • 細菌の耐性化を起こさないために留意する事項がわかる 最大容量を十分期間投与! • 肺炎、皮膚感染症、尿路感染症を起こす主な細菌が言える HeM、●●球菌、PEK 感染臓器 • 血液培養を取るタイミングと手技がわかる 熱が上がっている時、悪寒戦慄 微生物 宿主 • 感染のトライアングルの考え方がわかる
#75.
感染症と起炎菌 ★重要スライド★ 各疾患を起こしやすい細菌が存在する。まずはそれを押さえよう 【肺】 肺炎球菌 HeM(Haemophilus influenzae, Moraxella catarrhalis) *非定型菌を除く 【皮膚】 ●●球菌(Staphylococcus aureus, 溶連菌(GAS)) 【尿路】 PEK(Proteus mirabilis, Escherichia coli, Klebsiella pneumoniae) なぜこれらの菌が起炎菌となるのか? →そこにいるから!
#76.
#77.