#4.
大阪医大総診の水谷です 大学院卒後、不動産屋で地上げ
東北大震災を機に再受験を決意
30歳で大阪公立大学に入学
1年生の時に総合診療に出会う
大阪市大で研修。37歳で医者になった僕
3年目に大阪医大総診へ入局
4月で総診歴6年目、医師8年目に突入
総合診療専門医
新家庭医専門医受験中(←イマココ)
#5.
今回のレクチャーについて 感染症は誰にでも起こり得る極めてcommonな疾患群
医師なら誰もがマネジメントできてよい
→
モットーは型を守った丁寧な医療
感染症を診療する『 』を
身に付けるのが今回の目的です
学問的な厳密さより『わかりやすさ』
を意識しています 詳しすぎない(笑)総合診療医が語る意義がある 型
#6.
本日の学習目標 細菌をグラム染色で分類できる
細菌の耐性化を起こさないために
留意する事項がわかる
肺炎、皮膚感染症、尿路感染症を起こす主な細菌が言える
血液培養を取るタイミングと手技がわかる
感染のトライアングルの考え方がわかる
#7.
おしながき 細菌の分類(イントロ)
抗菌薬の歴史
感染症とは何か
抗菌薬各論
①ペニシリン系
②セフェム系
③カルバペネム
④その他
演習
抗菌薬入門
#8.
おしながき 細菌の分類(イントロ)
抗菌薬の歴史
感染症とは何か
抗菌薬各論
①ペニシリン系
②セフェム系
③カルバペネム
④その他
演習
抗菌薬入門
#9.
細菌の分類(イントロ)
#10.
T R I A L BACTERIONAIRE ライフライン
#11.
GPC(グラム陽性球菌) GPR(グラム陽性桿菌) GNC(グラム陰性球菌) GNR(グラム陰性桿菌) Moraxella catarrhalisはグラム染色するとどう見える? T R I A L BACTERIONAIRE
#12.
GPC(グラム陽性球菌) GPR(グラム陽性桿菌) GNC(グラム陰性球菌) GNR(グラム陰性桿菌) Moraxella catarrhalisはグラム染色するとどう見える? T R I A L BACTERIONAIRE
#13.
グラム染色で分ける4分類 なにが写っているでしょうか?
#14.
グラム染色って陰性陽性の
どっちが青でどっちが赤
やっけ…? グラム陽性球菌(連鎖球菌) 真菌(Candida glabrata) (かなりでかい)
#15.
グラム染色の一生忘れない覚え方 赤ワイン・・・
赤は陰性!! 赤ワイン性・・・ ©大阪公大 金子先生
#16.
細菌を4つに分類する グラム陽性
(GramPositive) グラム陰性
(GramNegative) (Cocci)
球菌 (Rods)
棹菌 GPC GPR GNC GNR
#17.
覚え方~GNRはそれ以外 グラム陽性
(GramPositive) グラム陰性
(GramNegative) (Cocci)
球菌 (Rods)
棹菌 肺炎球菌、黄色ブドウ球菌
腸球菌… Moraxella,
Neisseria(淋菌・髄膜炎菌) Nocardia,
Clostridioides, Bacillus(芽胞)
放線菌, Coryne(ジフテリア含)
Listeria 『吸引(球・陰)は漏らない』 『羊羹(陽・桿)
の黒いホコリ』 GPC GPR GNC GNR 『●●球菌』 『その他!』
#18.
それでは問題 モラキセラは?
クロストリジオイデスは?
サルモネラは?
A群溶連菌は?
リステリアは?
肺炎球菌は?
大腸菌は?
淋菌は? 陰・球(吸引はモラナイ) 陽・桿(羊羹のクロイホコリ) 陰・桿 陽・球 陽・桿(羊羹のクロイホコリ) 陽・球 陰・桿 陰・球(吸引はモラナイ)
#19.
抗菌薬の歴史
#20.
T R I A L BACTERIONAIRE
#21.
江戸時代後期 大正時代 明治時代 昭和時代 ペニシリンが作られたのは何時代? T R I A L BACTERIONAIRE
#22.
江戸時代後期 大正時代 明治時代 昭和時代 ペニシリンが作られたのは何時代? BACTERIONAIRE T R I A L
#23.
人々を苦しめ、命を奪ってきた感染症 感染症を治療することは人類の悲願であった
抗菌薬はいつごろできたのだろう?
#24.
ペニシリンの発見 1928年
が「発見」
アオカビのエピソード
1940年
フローリーとチェインが「再発見」
大量生産に成功
WW2で数多くの兵士の命を救う
と言われた
1945年3人ともにノーベル医学賞・生理学賞を受賞
フレミング 魔法の弾丸
#25.
ペニシリンの作用機序 Penicillin-binding Protein 細胞膜 ペニシリンの発見は『偶然』であることがよくわかるネーミング
#26.
ペニシリンの作用機序 細胞膜の
合成阻害! 人類は肺炎の一部と皮膚感染症を克服した!
#27.
次に人類が目指したもの ペニシリン アミノベンジルペニシリン(ABPC) アモキシシリン(AMPC) アミノ基つけただけ 水酸基つけただけ 人類は感染症を克服した!めでたしめでたし…!? 皮膚感染や肺炎の一部が治せるようになった! 尿路感染も治せるようになった! 安定性が向上!
初の内服抗菌薬! アンピシリン
#28.
そうは問屋が卸さない!?細菌の逆襲 こいつや!
このツノのせいでワイらは…
#29.
細菌の逆襲 (アミノ)
ペニシリン ✖ 人類は感染症の進化に屈するのか?
#30.
これに対し人間は… (アミノ)
ペニシリン ✖ βラクタマーゼ βラクタマーゼ阻害薬
#31.
これに対し人間は… ツノ復活! βラクタマーゼ阻害薬
#32.
βラクタマーゼ阻害薬 具体的にはABPC , AMPC , PIPC のこと
ABPC/SBT アンピシリンスルバクタム
AMPC/CVA アモキシシリンクラブラン酸
PIPC/TAZ ピペラシリンタゾバクタム /SBT /CVA /TAZ
#33.
さらに開発は進み… メチシリン βラクタマーゼ産生菌 せや!最初から
ツノにカバー
かけといたろ! カバーのせいで
βラクタマーゼが効かん… *ただしメチシリンは間質性腎炎を起こしやすいため流通していません
#34.
黄色ブドウ球菌最後の逆襲! メチシリン MSSA もう最後の手段や! なんやて!?
PBPが変化した!? (Staphylococcus aureus) Methicillin Susceptible S.aureus
メチシリン感受性黄色ブドウ球菌
#35.
黄色ブドウ球菌の逆襲! MRSA うーん、どうやっても刺さらん! 黄ブの中にペニシリン系薬剤が完全に無効な株が出現してしまった… このような耐性が誘導されるのにどれくらいの年月がかかったのだろう? Methicillin Resistant S.aureus
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌 完全勝利! (Staphylococcus aureus)
#36.
耐性菌の発生 1945年のノーベル賞受賞の
スピーチで、既にフレミングが
耐性菌について言及
メチシリンが開発されたのが
1960年ごろ
→1962年にはMRSAが出現
1991年にCRE(カルバペネム耐性
腸内細菌)の発生が報告
薬剤耐性は恐るべきスピードで進む(現在6割がMRSA)
#37.
耐性化のイメージ 〇〇〇〇〇
〇〇〇〇〇
耐性化なし → ×××××
×××⦿⦿ → ⦿⦿⦿⦿⦿
⦿⦿⦿⦿⦿
中途半端な治療を繰り返すことで
相対的に抗菌薬に強い株が出現 → … → ×××××
××●●●
完全耐性化 抗菌薬治療 菌の筋トレ!!
#38.
十分な期間=長ければよい? もちろん長ければよいというわけではない
長すぎる抗菌薬投与は患者さんの健康にマイナスでしかない
(例) 下痢(CD腸炎)、アレルギー反応、腎障害、肝障害… 各疾患ごとに適切な抗菌薬投与期間がある
#39.
必ず抗菌薬の本を1冊は買いましょう 腎機能による用量調整や
適正な投与期間など、
覚えていられない情報は
こういう本を
リファレンス!
ついでに関連事項にも
目を通して知識の補充! vol.9発売されました!
必ずポケットに1冊!自己投資は必要!
#40.
そもそも、感染症とは何か
#41.
T R I A L BACTERIONAIRE
#42.
黄色ブドウ球菌 Proteus mirabilis インフルエンザ桿菌 緑膿菌 市中肺炎の原因菌として考えるべき細菌は、次のうちどれ? T R I A L BACTERIONAIRE
#43.
黄色ブドウ球菌 Proteus mirabilis インフルエンザ桿菌 緑膿菌 市中肺炎の原因菌として考えるべき細菌は、次のうちどれ? T R I A L BACTERIONAIRE
#44.
インフルエンザ桿菌 緑膿菌 市中肺炎の原因菌として考えるべき細菌は、次のうちどれ? T R I A L BACTERIONAIRE
#45.
インフルエンザ桿菌 緑膿菌 市中肺炎の原因菌として考えるべき細菌は、次のうちどれ? T R I A L BACTERIONAIRE
#46.
感染症と起炎菌 ★重要スライド★
【 肺 】
【皮膚】
【尿路】 肺炎球菌
HeM(Haemophilus influenzae, Moraxella catarrhalis)
*非定型菌を除く ●●球菌(Staphylococcus aureus, 溶連菌(GAS)) PEK(Proteus mirabilis, Escherichia coli, Klebsiella pneumoniae) 次の疑問:なぜこれらの菌が起炎菌となるのか? 各疾患を起こしやすい細菌が存在する。まずはそれを押さえよう
#47.
A.そこにいるから そこにいない菌は感染を起こさない(大原則)
肺炎の菌:肺炎球菌とHeMは口腔内にいる菌→肺に落ちて肺炎
(余談:)Moraxella catarrhalisのカタルって…?
#48.
皮膚にはなぜ●●球菌がいるか (参考)G染の仕組み
GPCのペプチドグリカン層が厚い
→ クリスタルバイオレット液で染色後
アルコールで脱色されない
→ 紫色になる
G陰性菌は脱色される
→ 追加のサフラニンで赤色になる (ペプチドグリカン層) = ペプチドグリカン層の有無が重要
→皮膚の酸性環境下で安定
(ペプチドグリカン層=G染色で青くなる部分)
#49.
尿路感染とPEK 女性と男性、どちらが尿路感染になりやすい?
⇒
その理由は?
⇒
この(既存の)知識から類推されることは?
⇒
PEKのEはE.coli(大腸菌)というだけあって、腸内に存在する菌
女性 女性の方が尿道が短いから+尿道口と肛門が近いから 腸内にいる細菌が細菌感染症を起こしている!
#50.
そこにいる細菌が感染するのだから… 副鼻腔炎は?
蜂窩織炎は?
虫垂炎は?
乳腺炎は?
外傷性化膿性関節炎は?
化膿性胆管炎は?
という風にある程度起炎菌を
推定することができます
*もちろん、あくまで“原則”です
肺炎球菌+HeM(きっと口にいる細菌が感染するだろう) ●●球菌(きっと皮膚にいる細菌が…) PEK(もちろん腸内にいる細菌が…) ●●球菌 ●●球菌 PEK
#51.
起炎菌を推定できるということは… 培養で想定外の菌が培養されたら診断ミスを疑うことができる
(例) 肺炎と思って治療していたら血液培養からE.coli
→ 肺炎はあるけれど尿路感染もあった
→ (抗菌薬は効いていても)治療期間が違う
従って培養を取ることは、診断学上非常に重要
#52.
血液培養を取るということ 感染症を疑えば血液培養を取るのが基本
血液は最もアクセスが簡単な であるという特徴がある
⇒菌が検出されたら
(*ただしコンタミ除く。コンタミ=常在菌が混入すること)
例えば、便培養してE.coliが出て感染と言えるか?
⇒
無菌検体 必ず原因菌と言える もちろん言えない
#53.
血液培養はいつ取るべき? 感染症=血液培養陽性か?
菌が血管に入ったらどうなる?
→ を受ける
→ 通常、菌血症は
→ に採取する必要がある
=白血球に貪食されてからでは陰性となる 好中球の遊走+貪食 一過性である 血中に菌が生存している間 果たして菌血症になったタイミングを知ることはできるのだろうか?
#54.
血液培養を取るタイミング 陽性率が高めるため血中に菌が放出された直後に採血したい
→そのタイミングを知る身体的な徴候は
①
②
好中球に貪食され尽くす前に血液培養を取ろう!! 悪寒戦慄している 体温上昇中
#55.
総診でよく見る風景…(血培を取らないとどうなるか) 不明熱が主訴で他院より紹介転院になっているが、
培養を取らずに抗菌薬が開始・継続されている…
→ 考えられること:
①
②
①の場合、投与している抗菌薬が無効なら培養が陽性に
なるのでは??と思いますが…
→実臨床では になることをよく経験します 感染症だが、投与している抗菌薬が無効 感染症ではないので、そもそも抗菌薬が無効 陰性(偽陰性)
#56.
総診でよく見る風景…(血培を取らないとどうなるか) ・細菌感染症であることを完全に除外したい!と思っても、
抗菌薬が既に投与されているので、今から採取する
血液培養は偽陰性になる可能性が高い
→
・最悪なのは、患者のバイタルが悪い時
→ 抗菌薬を止めると死亡する可能性があるので中止できない
→ 一度抗菌薬を終了して、抗菌薬の効果がなくなった時に
各種培養を取り直す必要がある(だいたい2日間空ける) 泣く泣く広域抗菌薬を連日投与する羽目に…
#57.
血液培養を取るタイミングのまとめ 抗菌薬投与中は培養の陽性率は著しく低下
→発熱して抗菌薬投与するなら少なくとも培養は取っておく
(このタイミングは唯一血培が取れるタイミングかもしれない!)
血中に菌が放出されたことを示す徴候は、
①
②
悪寒戦慄している 体温上昇中 悪寒戦慄・体温上昇を見つけたら血培の採り時!抗菌薬投与前に培養を採れ! 今日のTake Home Message3
#58.
血液培養手技 ①ボトルキャップを外しアルコール綿で消毒
(ゴム栓は無菌でない)
②採血部位をアルコール綿で消毒
(ゴシゴシ!垢を取る!)
③採血部位をクロルヘキシジンで消毒(GPCへの抗菌活性高い)
必ず作用時間を保つため30秒置く(ヨードは2分)必要がある
④清潔手袋をして採血(20mL)
⑤ の順番にボトルに入れる(各10mL)
⑥凝固防止のため静かに転倒混和 以上を違う場所から2セット! 嫌気性(オレンジ) ⇒ 好気性(緑)
#59.
培養はなぜ2セット? ① 血液培養1セットの陽性率は73%
→2セットで検出できる確率は1-0.27×0.27=94%
3セットでは1-0.27×0.27×0.27=97%
② コンタミの判断のため
通常表皮の常在菌が1セットだけ陽性の場合 と判断する
→1セットでは真の菌血症かコンタミか判断できない
*小児でも2セットが基本 コンタミ
#60.
血液培養陽性になるとここに表示が出る
#61.
では逆に、そこにいれば感染症? そこにいるだけ→ →治療は不要
そこにいて悪さをする→ →抗菌薬を使う(原則)
この二者の判断は、少なくとも、
①
②
(例) 尿路に細菌がいる場合
症状はないが患者の尿から『細菌+』が結果が出た:
排尿時痛や残尿感を伴う:
発熱してCVA叩打痛が陽性:
血液培養が陽性:
無菌検体に細菌がいればinfection colonization infection 症状があればinfection 無症候性細菌尿 膀胱炎(症状がある) 腎盂腎炎(症状がある) 要抗菌薬! 菌血症(無菌検体から細菌) 尿路感染は診断が難しい!
#62.
感染症のトライアングルで抗菌薬を選択 腎臓?大腸?髄液?前立腺?
① の推定のため
② 臓器移行性
細菌?ウイルス?真菌?
若い健康な人?超高齢者?
入院中?デバイス挿入?
免疫不全?経口摂取できる? 感染臓器 微生物 宿主 選択すべき抗菌薬 「そこにいる」微生物が感染する これらの情報を基にして抗菌薬を一つに絞ることができる どんな微生物が感染している? どの臓器に感染している? どんな宿主に感染している? 微生物
#63.
細菌感染症治療の始め方 感染のトライアングルを考え「どんな宿主のどの臓器にどんな細菌が感染しているか」を考える(そこにいる菌が感染する)
感染のトライアングルから導き出される適当な抗菌薬を選ぶ
抗菌薬投与する前に必要な培養を取る
抗菌薬を投与する →次回は各抗菌薬の特徴について学びましょう
#64.
本日の学習目標(おさらい) 細菌をグラム染色で4つに分類できる
GNRは残り全部!GNR以外の3つを覚えて!
細菌の耐性化を起こさないために留意する事項がわかる
最大容量を十分期間投与!
肺炎、皮膚感染症、尿路感染症を起こす主な細菌が言える
HeM、●●球菌、PEK
血液培養を取るタイミングと手技がわかる
熱が上がっている時、悪寒戦慄
感染のトライアングルの考え方がわかる 感染臓器 微生物 宿主
#65.
感染症と起炎菌 ★重要スライド★
【 肺 】
【皮膚】
【尿路】 肺炎球菌
HeM(Haemophilus influenzae, Moraxella catarrhalis)
*非定型菌を除く ●●球菌(Staphylococcus aureus, 溶連菌(GAS)) PEK(Proteus mirabilis, Escherichia coli, Klebsiella pneumoniae) なぜこれらの菌が起炎菌となるのか?
→そこにいるから! 各疾患を起こしやすい細菌が存在する。まずはそれを押さえよう
#66.
#67.
出版間近! 総合診療医が教える!抗菌薬入門実況中継 3回の内容を、レクチャーの臨場感を大事にしながら1冊の本に詰め込みました!もちろん大幅加筆!
総合診療医だからこそ語れる『難しすぎない』感染症の入門書!
感染症が苦手な人、感染症をこれから勉強してみようという人、ぜひ手に取ってみてください!
監修はなんと大阪急性期総合医療センター大場雄一郎先生!
2025年5月に出版予定です!
#68.
大阪医大総診にも遊びにきてください! 見学のお問い合わせはこちら
大阪医科薬科大学病院総合診療科
教授秘書 吉田朝子
asako.yoshida(あっと)ompu.ac.jp
#69.
ご視聴ありがとうございました 需要あれば時間ある限りレクチャーします。気軽にお声がけください。いっしょに勉強しましょう!