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中村磨美

63231

233

救急診療ABC

投稿者プロフィール
松田律史

医療法人徳洲会札幌東徳洲会病院

16,049

65

投稿した先生からのメッセージ

初期研修医向けに昔作ったスライドです。今でも十分通じるのではないかと思います。

概要

救急診療について簡単に解説します。

大事なことは死なせないこと、そのために必要なステップを踏めるようにしましょう。

そして、患者さんの全体像を掴むために、スクリーニングでSAMPLE/GUMBAを聞くのは大切ですが、それだけではなく、疾患を想定した攻める問診も必要です。

何より大切なのは、救急外来は目的が特殊な場所なので、そこで完結しないことです。的刹那フォローアップ先を設定する習慣をつけましょう。

本スライドの対象者

医学生/研修医

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テキスト全文

救急診療の基本と評価方法

#1.

2ND EDITION 救急診療ABC 札幌東徳洲会病院 救急科 後期研修医 松田 律史

#2.

ALSに学ぶ救急診療

#3.

時系列に沿った評価様式 ① ② ③ ④ ①First impression :Resuscitative approach ②Primary survey :Physiological approach ③Secondary survey :Anatomical approach ④Tertiary survey :Error-eliminating approach

ABCDEに基づく介入と評価

#4.

異常があれば必ず介入 • ABCDE不安定そうな患者に対して条件反射で行う介入と評価 さ———酸素投与 る———ルート も———モニター装着 ちょ——超音波 しん——心電図 き———胸部レントゲン写真 • ABCDEに対する順序だった評価と介入 介入と評価を 同時に行う!

#5.

順序立った介入と評価 簡易介入 A 吸引 エアウェイ B 酸素吸入 補助換気 C D E 理学所見 検査方法 鼾音 喉頭ファイバー 嗄声・気道狭窄音 胸郭運動異常 胸部異常雑音 輸液 冷感・湿潤・頻脈 DONT 瞳孔異常 意識障害 麻痺 保温 冷感 外傷所見 胸部Xp 血液ガス分析 根本介入 気管挿管 外科的気道確保 人工呼吸管理 ドレナージ 輸血・カテコラミン FAST 胸部・骨盤Xp 止血術 神経画像診断 血液検査 原疾患治療 TRIAGE 加温・冷却 止血術

#6.

患者像を把握する SAMPLE+α + 「攻める問診」 全身診察 + 重点診察

情報収集と患者像の把握

#7.

二段構えの情報収集 医療面接 身体診察 SCREENING AMPLE OPQRST HEAD TO TOE FRONT TO BACK TA R G E T I N G 危険因子把握 初発症状の確認 異常部位/系の詳細評価

#8.

患者情報の統合 SAMPLE + α 全身診察 既往・アレルギー歴の 1. 頭部(-) 無い54歳男性 2. 胸部(+) 6. 上肢(-) 突然発症の片麻痺 3. 腹部(-) 7. 背部(-) 4. 骨盤(-) 8. 神経(+) 攻める問診 5. 下肢(-) 重点診察 父はAMIで死亡。1日20本 顔面含む右不完全片麻 ×40年の喫煙者。麻痺の 痺、diastolic murmur@4th 直前に背部痛自覚あり。 LSB (Ⅲ/Ⅵ)、体幹に冷 感・湿潤あり

#9.

Door-to-balloon < 90min tPA < 4hr30min 高エネルギー外傷 →1時間以内の根本治療

#10.

律速段階と決定打 最優先 ACS Stroke 律速段階 決定打 次の一手 (+)→循環器Call ECG (到着5分以内) (−)→TEE etc… 頭部CT (+)→脳外科Call Vital sign 血液検査 (到着20分以内) (−)→MRI etc… (+)→整形外科Call Cauda equina 安定化 (要時間) 脊椎CT syndrome (−)→MRI etc… High energy trauma Trauma pan-scan (+)→外科系Call (−)→S.S.続行

鑑別診断のアプローチと優先順位

#11.

ALSに学ぶ救急診療 • • 「死なせない」為に次のポイントを外さない。 • 第一印象:Vital signの異常を五感で判断 • Vital signの評価と安定化を最優先とする 根本治療を遅らせない為に次のポインを外さない。 • 血液検査は早期に提出する(結果出るまで長い) • Keyになる検査を優先して評価(治療方針決定)

#12.

診断とマネージメント

#13.

鑑別診断のカテゴリー • Leading hypothesis:最も考え易い疾患 • Alternative hypothesis:並行して考慮する疾患 • S/O:良くある疾患 • R/O:見逃してはならない疾患

#14.

鑑別診断の優先順位 • 3つのCを以て考える • Critical: 予後重視(Prognostic approach) • Common:確率重視(Probabilistic approach) • Curable:治療重視(Pragmatic approach)

ERでの診療方針とマネージメント

#15.

ERでの完結を目指さない • • 患者が殺到するERで何処までやるか? • 時間制限:お互い大変(眠いし辛い) • リソース制限 • Man power不足:医療スタッフも最低限 • Modality不足:夜間は検査できず フォローアップを設定して診療は完結する

#16.

容認される「OVER」 • Over triage:容認(殺さない為に) • Over diagnosis:容認(見逃さない為に) • Over treatment:部分容認(悪化させない為に) →但し、後医の迷惑にならない範囲で Overcon dent:否認(ERで必要なバイアス) fi •

#17.

ER診療のスローガン • 患者さんの立場から…… • • On demand:「主訴の解決を第一」 医者の立場から…… • Do no harm:「害を成すなかれ」 • Manegement:「来院後1時間以内には方針決定」

#18.

診断とマネージメント • Critical・Common・Curableで鑑別診断を組む。 • どんな患者も必ずフォロー先を明確にする。 • 救急外来ではOverな判断を容認する。 • 「主訴の解決」と「致死的疾患の除外」との間に存在する 齟齬を常に意識する。 • 来院後1時間以内の方針決定を目指す。

時間管理と診療の効率化

#19.

時間の使い方とコツ

#20.

思考の基本骨格 Vital signは 安定か? No 蘇生 Yes 耐え難い 苦痛は? No 主訴からの 鑑別診断 Yes 苦痛緩和を考慮 1. Leading 2. Alternative 1. s/o • common • curable 2. r/o:critical

#21.

不快症状からの解放 • 最初はEssential minimumのみ行う(禁忌の把握など) • 安定したら追加で診療を行う(診断の確定など) • 対応は主訴によって異なる • 喘息:メプチン0.3mL+生食20mL • 疼痛:点滴 ± 鎮痛剤/鎮痙剤 ± 姿勢 • 眩暈:抗眩暈薬 ± 制吐剤 etc…

#22.

情報収集の方向性 基本情報 鑑別リスト OPQRST Disease A Disease B Disease C ・ ・ ・ AMPLE Vital sign Pertinent positives 「これあるで Pertinent negatives 「これは無いよ

次回の診療内容と展望

#23.

診療をコンパクトにするコツ • 検査/治療にかかる時間を 認識する。 医療面接 身体診察 • • 検体:長時間 • 画像:短時間 • 点滴:長時間 • 縫合:短時間 検査/治療に費やす自分の 労力を認識する。 血液検査 点滴

#24.

時間軸の中でTASKを整理する 想定される鑑別や優先する検査などを最初の5〜15分で判断 診療開始時 検査途中 診察終了時 Time 致死的疾患の可能性やマネージメントの方針 Disposition決定の理由、入院後の戦略や帰宅指示内容など

#25.

To Be Continued……? できれば次回は各論(神経、心臓、外傷 etc…)をやりたい

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