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輸液をナトリウム(Na)量から考える

投稿者プロフィール
かたやまたかし@循内
Award 2023 受賞者

国家公務員共済組合連合会斗南病院

192,692

1,040

概要

輸液を学び始めた初期研修医のための、15分で読めるように要点を抽出したスライドです。

Antaa Slideには輸液関連の素晴らしいスライドがすでに多数ありますが、このスライドでは輸液のオーダーに必要な要点だけに絞っています。

【目標】

・輸液製剤の特徴をナトリウム(Na)濃度で理解する

・病態からNa投与量を考えられる

・いまの点滴、今日の点滴を決められるようになる

【対象】

以下のような初期研修医向けです。

・輸液の本を買ってみたけれど長くてまだ読み切れていない

・自由水とか組織間液とかわからない

・実臨床での要点を知りたい

・輸液をいま考えてオーダーしたい

【目次】

1. いま投与する、最初の輸液

2. 今日投与する、1日の輸液

3. [補足]末梢点滴のルール

【改訂内容 2024/3/31】

投稿からちょうど1年が経過したこともあり、内容を見直し、主に下記を加筆・修正しました

・「1日の水分量」と「1日のNa量」について、2013年の英国NICEガイダンスを含む複数の出典を併記

・近年の使用頻度の変化に従い、乳酸→酢酸リンゲル液 へ変更(薬価も安いですし)

・生理食塩水→生理食塩液 へ変更

1年間で10万回以上ご閲覧いただき、そして650件以上保存いただき、誠にありがとうございます。

まだまだ至らぬ点が多数あるかと思いますので、ご意見や改善点をぜひお寄せください。

本スライドの対象者

医学生/研修医/専攻医

参考文献

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テキスト全文

輸液の基本とNa濃度の重要性

#1.

輸液を学び始めた研修医のための 15分で読める要点 輸液をNa量から考える かたやまたかし@循環器内科 Powered by

#2.

自己紹介 かたやまたかし@循環器内科 北海道内の総合病院 • 2009年卒業(卒後16年目) • 循環器専門医、総合内科専門医 • 輸液に少し興味を持ってくれた初期研修医へ15分くらいで 説明できる内容の本スライドを作成しました • 本スライド内容に関連し開示すべき利益相反(COI)関係にある 企業などはありません

#3.

まとめ Summary • 血管内脱水へは、Na濃度が高い 生理食塩液 か 酢酸リンゲル液 • 1日の輸液は、水分量、食塩量で 決める

輸液製剤の特徴と選択基準

#4.

本スライドのゴール Goal • 輸液製剤の特徴をNa濃度で理解する • 病態からNa投与量を考える • いまの点滴、今日の点滴を決められる

#5.

本スライドの対象 以下のような初期研修医向けです Target • 輸液の本を買ってみたけれど 長くてまだ読み切れていない • 自由水とか組織間液とかわからない • 実臨床での要点を知りたい • 輸液をいま考えてオーダーしたい

#6.

目次 1. いま投与する、最初の輸液 2. 今日投与する、1 日の輸液 3. [補足]末梢点滴のルール

血管内水分保持のための輸液選択

#7.

いま投与する、最初の輸液

#8.

輸液製剤は ナトリウム(Na)の濃度や量で理解する 8 血液(細胞外液)には ナトリウム(Na) が約 140 mEq /L 含まれ、浸透圧の維持を担っています。 多くの輸液製剤にも Na が含まれており、投与された後の血管内水分保持に影響するので重要です。 生理食塩液の Na 濃度 154 mEq/L Na の mEq → g 換算は、 生理食塩液 生食注 4.5g Na 154 ÷ 17 mEq/L 1 本に食塩 4.5g 相当 154÷17 ≒ 9 食塩(NaCl) 9 g/L 相当の Na 生理食塩液500mLあたり食塩(NaCl) 4.5 g 相当の Na 原子量はNa 22.99、Cl 35.45 なので、Na 1 mEq = 1 mmol は、(22.99+35.45)×0.001=0.05844 [g/mmol] の食塩(NaCl)相当量です。 「mEq」に0.05844 をかけると「g」になるほか、その対数(1/0.05844=17.11)でわる換算式が一般的です。

#9.

輸液製剤は Na濃度で使い分ける Na濃度によって血管内(+組織間=細胞外液)に留まる水分量が決まります。 血管内に水分をどの程度留めたいかを考えて輸液のNa濃度を決めます。 ← 血管内に水分を留めたい Na濃度 体全体に水分を満たしたい → 生食 154 酢酸リンゲル液 130 1号液 90 3号液 35 糖液 0 mEq/L mEq/L mEq/L mEq/L mEq/L 開始液 維持液 5%ブドウ糖液 等張液/細胞外液補充液 低張液 ※浸透圧は ほぼ同じ 生理食塩液 浸透圧規定成分 Na 154 + Cl 154 Na 130 + Cl 109 + Lac 28 Na 90 + Cl 70 + Lac 20 + Glu 2.6% Na 35 + Cl 25 + Lac 20 + Glu 4.3% Glu 5% 4.5 g/500mL 4 g/500mL 2.5 g/500mL 1 g/500mL 0 0 4 0 20 0 食塩量 (Na換算) K (mEq/L) (0.9%食塩水) 乳酸/酢酸/重炭酸 リンゲル液 1号液はソリタ-T1号輸液、ソルデム1輸液、リプラス1号輸液の場合です。KN1号輸液やデノサリンはNa77+Cl77+Glu2.5%です。 3号液はソリタ-T3号輸液の場合です。種類によって、Na 35~50 mEq/Lと幅があります。 食塩量は、ナトリウム濃度から算出した食塩相当量 (Na 17.11 mEq = NaCl 1 g 相当) です。厳密には、酢酸リンゲル液は3.8g/500mL、1号液は2.6g/500mLです。

#10.

血管内に水分を留めたいときは、細胞外液を投与 10 低血圧、腎血流が低下し尿量が少ない、水分が体外へ出ている状況などでは、細胞外液を投与します。 血管内に水分をどの程度留めたいかを考えて輸液のNa濃度を決めます。 ← 血管内に水分を留めたい Na濃度 体全体に水分を満たしたい → 生食 154 酢酸リンゲル液 130 1号液 90 3号液 35 糖液 0 mEq/L mEq/L mEq/L mEq/L mEq/L 等張液/細胞外液補充液 • 低血圧、立ちくらみ • 末梢循環不全 • 尿が少ない(腎血流が足りない) • 出血、外傷、嘔吐・下痢 イラスト:イラストや

1日の輸液量と食塩量の決定

#11.

Q. どうして自由水は蒸留水じゃなくてブドウ糖液なの? 11 Na濃度が低い「低張性電解質液」には、体内で代謝されるブドウ糖や乳酸などが添加されています。 それは投与される時点での輸液の浸透圧比を 1 以上にして溶血しないようにするためです。 NG例 高血糖・高Na血症の患者さんに 点滴したら真っ赤な尿が出てきた 高浸透圧高血糖状態(HHS)だね... もしかして注射用水を点滴した? • 高浸透圧高血糖状態(HHS)でも、 浸透圧の低い注射用水ではなく、 細胞外液補充液(生食など)を 投与しましょう 単独点滴禁止 浸透圧 0 の注射用水は そのまま点滴すると溶血します 注射用水 蒸留水 3号液などを「低張液」と呼ぶことがありますが、体内に投与された後にブドウ糖などが代謝されて最終的な浸透圧が低下するためです。 生理食塩液 生食注

#12.

Na と ブドウ糖 で分類した各輸液製剤の位置づけ 12 輸液製剤が食塩水と糖液との組み合わせでできていると考えると、下図のように分類されます。 輸液製剤の浸透圧は Na と 糖 の濃度でおおよそ決まります*。 15 ブドウ糖 濃度 (%) 10 5 0 0 20 40 60 80 100 120 140 160 Na濃度 (mEq/L) 糖質がブドウ糖の電解質液製剤を記載。演者作図。 * 実際の浸透圧は、電離した電解質 Na+, Cl-, pHの緩衝剤である乳酸/酢酸/重炭酸、そして主に細胞内液に分布するため輸液内の量は少ないですが K+, Ca2+ なども関与します。

#13.

いま投与する、最初の輸液 Summary • 低血圧、血管内脱水、出血など 血管内に水分を留めたいときは、 Na 濃度が高い 生理食塩液や 酢酸リンゲル液を投与します

#14.

今日投与する、1 日の輸液

輸液製剤の食塩相当量と注意点

#15.

Q. 1日にどれくらい点滴したらいいの? 15 適正水分量は定まっていません。病態による抗利尿ホルモン(ADH)不適切分泌や水分過量が要因で 低ナトリウム血症をきたすこともあり *1 、病態および電解質等の経過により軌道修正が必要です。 水分量 日本の平均 水摂取量*2*5 食塩量 2230 mL (食物由来51%、飲物由来49%) 静脈経腸栄養 ガイドライン*3 30~40 mL/kg 英国NICE輸液 ガイダンス*4 25~30 mL/kg 高齢者は 20~25 mL/kg 本スライドでは 水分 25 mL/kg とします 日本の食塩 成人推奨量*5 男性7.5g 女性6.5g未満 WHO*6 ガイドライン 食塩 5 g 未満 (Na 110~130 mEq 相当) (Na 85 mEq 相当) 英国NICE輸液 Na 1 mEq/kg ガイダンス*4 (体重50kgの場合は食塩2.9g) 本スライドでは 食塩 5 g とします *1 Sugiyama A, et al. JSPEN 2020; 2(5): 341-345 . *2 Tani Y, et al. Eur J Clin Nutr 2015; 69: 907-13. *3 静脈経腸栄養ガイドライン 第3版(2013年) P143「II 水分投与量」. *4 英国NICEのガイダンス Padhi S, et al. BMJ. 2013: 347: f7073. PMID: 24326887. *5 日本人の食事摂取基準(2020年版). *6 WHO Guideline: Sodium intake for adults and children. 2012

#16.

輸液製剤 500 mL あたりの 食塩相当量 16 よく使う輸液製剤 500 mL 1袋 に含まれる食塩相当量を覚えておくと便利です。 「Na 17 mEq ≒ NaCl 1 g 相当」からも計算できます。 ← 血管内に水分を留めたい Na濃度 体全体に水分を満たしたい → 生食 154 酢酸リンゲル液 130 1号液 90 3号液 35 糖液 0 mEq/L mEq/L mEq/L mEq/L mEq/L 等張液/細胞外液補充液 2g 4.5g 4g 2.5g 1g 0g 生理食塩液 酢酸 リンゲル液 1号液 3号液 糖液 維持液 5%ブドウ糖 0.9% NaCl 10% 塩化 ナトリウム 20mL 低張液 細胞外液補充液 開始液 1g 1g 1号液 200mL ビーフリード 500mL 食塩量は、ナトリウム濃度から算出した食塩相当量 (Na 17.11 mEq = NaCl 1 g 相当) です。厳密には、酢酸リンゲル液は3.8g/500mL、1号液は2.6g/500mLです。

#17.

食塩の投与量が過剰にならないよう注意 17 日本では高血圧や心不全などでの食塩摂取量 6 g 未満(Na 100 mEq 相当)と推奨されています。 たとえば酢酸リンゲル液 500 mL を 2 本 投与するだけで、食塩量 8 g と過剰になってしまいます。 酢酸リンゲル液 味噌汁 500 mL × 2 本 160 mL × 6 杯 特に高齢者は腎での調節能が低下しておりバランスが破綻 しやすいので、こまめに血清Na値や体液量を評価して投与 するNa量・水分量を調整しましょう。 3号液 酢酸 リンゲル液 維持液 食塩4g×2本 輸液に含まれる食塩相当量がそれまでの食事内容から大き く異なると、血清Na値や体液量の思わぬ変動を招くことが あります。 食塩1.3g×6杯 ←味噌汁1杯 = 食塩 1.3 g

#18.

1日の点滴例 18 Naだけでなく、K(1日 40 mEq や 1 mEq /kg *1 が目安)、栄養なども考えます。 みなさんも院内にある製剤で組み合わせをシミュレーションしてみましょう。 35歳、65kg 65×25=1950 → 2000mL 80歳、43kg 43×25=1075 → 1000mL 95歳、32kg 32×25=800 → 700mL 1g×3 2.5g • ソリタ-T3G号輸液 500mL 3本 3号液 3号液 (Na 35 K 20 Glu 7.5%) 3号液 1号液 • ソリタ-T1号輸液 500mL 1本 (Na 90 K 0 Glu 2.6%) • ソルアセトD輸液 500mL 1本 (Na 131 K 4 Glu 5%) • ソルデム3PG輸液 500mL 1本 4g 1g 酢酸 3号液 リンゲル液 (Na 40 K 35 Glu 10%) • グルアセト35注 500mL 1本 (Na 35 K 20 Glu 10%) • 塩化ナトリウム注10% 30mL 3号液 500mL = 1g ビーフリード 500mL 食塩 1g×3本+2.5g×1本 =5.5gほど (Na 97.5mEq) K 30mEq Glu 125.5g (502kcal) 食塩 4g×1本+1g×1本 =5gほど (Na 85.5mEq) K 19.5mEq Glu 75g (300kcal) 1g 1g 2g×1.5 • リプラス1号輸液 200mL 1本 3号液 1号液 (Na 90.8 K 0 Glu 2.6%) 1g 200mL 10% NaCl ちなみに K 40 mEq ≒ 1600 mg です *1 NICEガイダンスによる.Na も K も 1 mEq/kg でよいと言っています.Padhi S, et al. BMJ. 2013: 347: f7073. PMID: 24326887 20mL 食塩 1g+1g+2g×1.5本 =5gほど (Na 86.7mEq) K 20mEq Glu 55g (220kcal)

末梢点滴のルールと注意事項

#19.

今日投与する、1 日の輸液 • 必要水分量は 25 mL/kg くらい Summary • 食塩は 5 g (Na 85 mEq )くらい • 病態や電解質の経過により調整 • K は 1 mEq /kg 、病態により調整 • 2~3日目以降は栄養にも配慮

#20.

まとめ Summary • 血管内脱水へは、Na濃度が高い 生理食塩液 か 酢酸リンゲル液 • 1日の輸液は、水分量、食塩量で 決める

#21.

[補足] 末梢点滴のルール

#22.

末梢静脈への点滴のルール Summary 静脈炎などの恐れがあるので 下記に注意 1. 浸透圧比は 1~3 まで 2. K は 濃度 40 mEq /L まで 投与速度 20 mEq /h まで 3. その他(血管炎、配合変化)

循環器関連薬剤の投与注意点

#23.

末梢静脈への点滴のルール (1) 浸透圧比は 1~3 まで 23 高濃度の注射液を高浸透圧の輸液製剤(高濃度糖加3号液など)へ混注する時は注意しましょう。 特に末梢静脈栄養輸液(ビーフリード、ツインパル等)の浸透圧比は約3なので混注は避けましょう。 • 輸液500mL に 50%糖液(20mL/A) 3A (30g) 混注で 浸透圧比 1上昇 • 輸液500mL に 10%NaCl(20mL/A) 3A (6g) 混注で 浸透圧比 1上昇 たとえば、 • 生理食塩液 400mL + 10%NaCl(20mL/A) 6A (12g) で 浸透圧比 3.1 • いわゆる3%食塩水 (NaCl 15.6 g /520mL, Na 0.51 mEq /mL) です • 意識障害を伴うような低Na血症に使用します • 投与速度 0.6 mL/体重kg /h を超えないようにします • 血清Na上昇速度 0.5 mEq /L/h を超えないようにします

#24.

末梢静脈への点滴のルール (2) カリウムは希釈してゆっくり カリウムは濃度が濃いと血管痛や血管炎を生じるため、十分希釈します。 投与速度が速いと致死性不整脈や心停止を生じる危険性があるため、ゆっくり投与します。 • 濃度は 40 mEq /L まで *1 、速度は 20 mEq /h まで *2 • 1日 100 mEq まで *3 投与例(濃度の上限) 10mEq +10mEq 3号液 維持液 0 mEq +20mEq 生理食塩液 要希釈! 0.9% NaCl KCL注 カリウム 10mEq 20 mEq/500mL/h *1*3 カリウム製剤の添付文書にも記載がある *2 添付文書、および 厚生労働省による重篤副作用疾患別対応マニュアル 低カリウム血症 p11 20 mEq/500mL/h 24

#25.

末梢静脈への点滴のルール (3) その他 25 輸液関連ではいろいろな注意点がありますが、とりあえず 血管外漏出がハイリスクな薬剤、混合時に 配合変化を生じやすい薬剤があることを知っておいてください。 • 血管外漏出すると血管炎や組織障害(疼痛、発赤、硬結など)を 生じやすい薬剤があります • 抗がん剤、高浸透圧性、血管収縮薬、pHが高い/低い薬剤 などなど • たとえば、バンコマイシン、フェニトイン、炭酸水素Na、ガベキサート などなど • これらの薬剤をやむをえず末梢静脈投与する場合は刺入部をこまめに確認 して血管外漏出の早期発見に努めましょう • 混合時に配合変化を生じるため注意が必要な薬剤があります • 基本的には添付文書通りに希釈して使用しますが、やむを得ず混合したい 場合は薬剤師へ相談し配合変化の情報を入手して確認しましょう

#26.

循環器関連薬剤での一例 26 私は循環器内科医なので循環器に関連して、血管外漏出に注意が必要な薬剤の一例をあげます。 先述の通り、末梢静脈投与する場合は血管外漏出の早期発見に努めましょう • ノルアドレナリン(昇圧薬) • 6~12時間以内 *1 であれば末梢静脈投与でも組織障害は増えないという報告もあります • 濃度、投与速度、ゲージ数などと血管外漏出との関連は明らかではないようです *1*2 • ニカルジピン(血管拡張薬) • 添付文書では、生食や5%ブドウ糖液で0.1~0.2 mg /mLへ希釈することとされていますが、 添付文書通り希釈して投与しても血管外漏出時には血管障害を生じ得ます。 • 実臨床では 0.5~1 mg /mL(2倍希釈~原液)で側管などから投与する場合もあると思います。 • 投与速度 45 mL/h 以上、投与時間 20 h 以上 は血管障害リスクという報告があります *3 *1 J Crit Care. 2015; 30(3): 653. e9-17, *2 J Intensive Care Med. 2019; 34(1): 26-33 *3 医療薬学. 2012; 38(9): 541-546

輸液管理における学びと参考文献

#27.

その他、学んでほしいこと このスライドでは扱っていませんが、輸液関連でほかにも学んでおくべき事項がいくつかあります。 書物を読みながら症例ごとに考え実践しフィードバックしていくと理解が深まると思います。 • 病態に応じた K 投与量 • 腎不全・維持透析患者における投与制限、消化管からの喪失に対する補充など • 電解質補正(Na、K、高Ca) • 病態の鑑別も一緒に学びましょう • 集中治療領域や術後管理における輸液量 • 病態や各種指標の経時的変化などから総合的に判断し、輸液後の反応をみて修正していきます • 末梢静脈栄養 (PPN)、中心静脈栄養 (TPN) • 飢餓状態における栄養 (refeeding syndromeに留意) • 糖の前にビタミンB 1 投与、カロリーは少量から、電解質(K,P, Mg)の変動に注意 27

#28.

参考文献一覧 1. NICE ガイダンス(英国) Padhi S, et al. BMJ. 2013; 347: f7073. PMID: 24326887 https://www.nice.org.uk/guidance/cg174 References 2. 静脈経腸栄養ガイドライン 第3版 (日本静脈経腸栄養学会 2013) https://minds.jcqhc.or.jp/n/med/4/med0180/G0000654 3. 3Rで整理する輸液の基本の「き」 ~Routine maintenance: Non criticalの急性期維持輸液~ Shibazaki S. 民間医局コネクト 記事 2023. https://connect.doctor-agent.com/article/column501/ ※本スライドは15分程で説明できるようかなり簡略化しています 世の中には輸液関連の素晴らしい資料がたくさんありますので、 それらを用いてお時間のある時に輸液の理解を深めてください

輸液管理の重要性と今後の展望

#29.

本スライドの背景とねらい 29 • 食塩量をもっと気にかけてほしい • 体重35kgくらいの小柄な高齢女性患者さんが連日酢酸リンゲル液3本や生食もいくつか点滴され ていて「胸水が溜まってきました、心不全ではないでしょうか」と相談されることがあります。 • 胸水が溜まる理由としてもちろん心不全が要因の一つであることも多いのですが、輸液量や食塩 摂取(投与)量についてもご配慮いただけたらと思います。 • 適切な水分投与量は日々変わる • 他科の先生から「心不全既往のあるこの患者さんの点滴の量はどれくらいがいいか教えてくださ い」と相談されることがあります。 • 身体所見、バイタルサイン、心エコー図などから現在の循環動態を評価して今後1~2日の輸液量 をどれくらいにするかは検討できますが、1週間先はわかりません。輸液療法や病態による、バ イタルサインや尿量や電解質などの経時的変化を確認し輸液内容を修正していく必要があります。 • 多くの先生方に輸液管理へご関心とご配慮をいただけたらと願っています

#30.

次回予告 ご意見や改善点をぜひお寄せください 2024年3月の改訂で主に下記を加筆・修正しました • 「1日の水分量」と「1日のNa量」について、 2013年の英国NICEガイダンスを含む複数の出典を併記 • 近年の使用頻度の変化に従い、乳酸→酢酸リンゲル液 へ変更 まだまだ至らぬ点が多数あるかと思いますのでご意見お願いします @katayamatks

スライドのまとめと次回予告

#31.

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