テキスト全文
発熱の原因検索とメカニズム
#2. 目次 ①発熱の原因検索
②発熱のメカニズム
③解熱方法
#3. 目次 ①発熱の原因検索
②発熱のメカニズム
③解熱方法
発熱の定義と感染の鑑別
#4. 38.3℃以上
※根拠なし
Guidelines for evaluation of new fever in critically ill adult patients:
2008 update from the American College of Critical Care Medicine
and the Infectious Diseases Society of America 37.8℃以上(単回)
37.2℃以上(複数回)
1.1℃以上↑(ベースラインから)
※口腔温
Clinical practice guideline for the evaluation of fever
and infection in older adult residents of long-term care facilities 発熱の定義は様々…
#5. 発熱時指示ね…
38度以上で
アセリオ投与にしとこ…
#6. 発熱時指示ね…
38度以上で
アセリオ投与にしとこ… まずは
原因検索!
#7. 院内感染といえば7Dが有名ですが… Device(デバイス感染)
Decubitus(褥瘡)
Debris(胆嚢炎)
Diarrhea(下痢 特にCD腸炎)
Drug(薬剤熱)
DVT/PE(深部静脈血栓)
CPPD(偽痛風)
#9. 体温からの鑑別で両者をざっくり分ける ●38.3-38.8°C
➡感染or非感染
●38.9-41.0°C
➡感染が多い
●41.1°C以上
➡感染以外が多い
(輸血、甲状腺、悪性高熱.etc)
Up to date: Fever in the intensive care unit
感染源の検索と機能異常
#11. Common is common !
感染症は まずは想起しやすいものから… 肺:肺炎・気管支炎・副鼻腔炎
創:創部感染・褥瘡
腸:CD腸炎
尿:腎盂腎炎・前立腺炎
血:血流感染(CRBSI)
#12. 日本のICU入院 敗血症患者の内訳 引用) Crit Care ,22: 322,2018
画像引用)レジデントノート 羊土社 Vol.23 No.13 2021 肺炎・腹腔内感染症
尿路感染症・軟部組織感染症で9割を占める
#13. 感染源の検索 Commonな部位
機能/構造異常のある部位
#14. 機能/構造異常をチェック ●あるはずのものがない
・嚥下機能・排尿機能・⽪膚バリア
・脾臓摘出後
●ないはずのものがある
・結⽯・腫瘍・創傷
・カテーテル等の⼈⼯物
身体診察のポイントと注意点
#15. 決め打ちしすぎない Top
to
bottom
アプローチで診察を
#16. 参考 Top to bottomアプローチの例 画像引用)レジデントノート 羊土社 Vol.23 No.13 2021
#17. 身体診察のPit Fall ●見えないカバーされている部分
●ドレッシングされている創部やカテ
●パルスオキシメーターで隠れている指
(感染性心内膜炎)
●痰やドレーンの廃液を見ない
●時間節約のためにシステマティックな身体診察を行わない
●圧がかかる部位
(後頭部、踵、仙骨部仙骨部、臀部)を見ない
●眼底検査や直腸骨盤診察をしない
(患者の尊厳に常に配慮しながら)
#18. 参考:敗血症のバイオマーカー検査について
日本版敗血症診療ガイドライン2020 CQ2-4-1 バイオマーカー単独による敗血症診断は困難
その使用はいずれも全身状態観察などに加えた
補助的な位置付け 【表】一般病棟あるいは救急外来において敗血症を疑ったとき
薬剤熱の原因と対策
#20. 薬剤熱が30%という報告も
➡commonな原因検索+止められる薬チェック
発熱のメカニズムと解熱方法
#21. 目次 ①発熱の原因検索
②発熱のメカニズム
③解熱方法
#22. 発熱の仕組み
セットポイント上昇 感染 or 非感染性刺激 リンパ球の活性化 サイトカイン
産生 視床下部
セットポイント上昇 熱産生 発熱 参考)月刊ナーシング Vol.32 No.7 2012.6
#23. 寒冷反応
33℃ 41℃
暑熱反応 セットポイントに
向けた身体反応 参考) INTENSIVIST VOL 12 NO.1 2020-1
#24. 寒冷反応
【体温を上げる】
●皮膚血管の収縮
●立毛
●ふるえ 参考) INTENSIVIST VOL 12 NO.1 2020-1
#25.
暑熱反応 参考) INTENSICIST VOL 12 NO.1 2020-1 【体温を下げる】
●皮膚血管の拡張
●発汗
●ふるえの抑制
#26. 目次 ①発熱の原因検索
②発熱のメカニズム
③解熱方法
解熱処置の適応と酸素需給バランス
#27. 主な解熱方法 物理的解熱
(クーリング) 解熱剤
#28. 患者自らが
暑熱反応の時
物理的解熱(クーリング)していいのは? 体温を上げようとしている時はダメ!
#29. 解熱処置の適応 ●医学的に下げた方が良い熱
➡①急性期の中心神経系機能異常時
・心肺蘇生後(32-36℃に)
・脳出血、脳虚血後
・頭部外傷後
②41℃以上
・高体温そのものによる細胞障害
●以下の項目に相当
・暑熱反応がおきている
・十分な鎮静
・患者が気持ち良い
INTENSIVIST VOL 12 NO.1 2020-1
#30. 酸素需給バランスの観点から… ●体温1℃上昇
➡HR5.3bpm↑/酸素消費量9%↑
●酸素需給バランスが保てていない時
(不整脈, 頻脈, 頻呼吸)
➡解熱を積極的に考慮
Am J Respir Crit Care Med 2012;185:1088–95.
クーリングのポイントと注意事項
#31. クーリングのポイント ●氷枕, 氷嚢は避ける
➡冷たい物理的刺激
・鎮静をしていなければ
・寒冷反応を誘発する可能性 ●皮膚に冷刺激を与えない方法
・やや暖かめの濡れたガーゼ
・弱い風による対流 など
●意識下➡爽快感を目的に
INTENSIVIST VOL 12 NO.1 2020-1
#32. ・PGE2の産生抑制
・肝障害, 腎障害のリスク
・中毒性表皮壊死症のリスク
・胃粘膜障害のリスク
・輸液負荷(10mg/ml) 比較的使いやすいアセリオですが… 血圧低下に注意!
#33. 敗血症における発熱
日本版敗血症診療ガイドライン2020 ●解熱療法(物理的、あるいは薬物的)
●死亡率やICU退室などの重要転帰は改善なし
●感染症合併症の発生率が増加する可能性は否定できない
●解熱のためのスタッフの仕事量増加やコスト増加 ●微生物に対する抵抗性が増す
(=好中球・MΦ・NK細胞の活性化細菌増殖の抑制) ●患者本人の不快感
●酸素消費の増大
→心肺機能へ負荷
●ミトコンドリアなどの
細胞機能障害が生じうる 害 利
#34. Take home message ●ルーチンの解熱指示は不要!有害なことも!
●酸素需給バランスの破綻, 急性期の中枢性疾患
で解熱を考慮!
●クーリングによる寒冷反応誘発には注意!
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